イスラエル、ガザ地上攻撃を開始-アメリカの関与と波及効果の懸念
2023年11月3日
Taut Bataut
New Eastern Outlook
イスラエル、ガザ地上攻撃を開始-アメリカの関与と波及効果の懸念
空母カーニーがイエメンから発射されたミサイルと無人機群を迎撃したとアメリカ合州国は主張している。ペンタゴンによれば、これらミサイルは、イエメンのフーシ派がイスラエルを狙ったものだ。この出来事は、イスラエル領空をアメリカ合州国が守ることで、最近の記憶の中で初めて戦争に直接関与した点で重要だ。この関与は、イスラエル・ガザ状況に煽られた地域の緊張の高まりを背景にしている。
紅海上空でのミサイルと無人機迎撃はアメリカ外交政策の転換点を示している。アメリカはロシア・ウクライナ紛争でウクライナを支援しながらも、直接的な軍事関与は控えてきた。しかし長年の同盟国イスラエルの場合、アメリカは積極的な姿勢をとっている。
エスカレートする中東情勢は多面的だ。紅海上空でのミサイル迎撃に限らない。最近のイラクとシリアの米軍基地に対する無人機攻撃は事態を更に複雑にしている。イランが支援する戦闘員の傘下組織、イラクのイスラム・レジスタンスはイラクでの2回の無人機攻撃犯行声明を出した。これら攻撃は米軍を標的とし、この集団は「アメリカ占領」に対する更なる作戦を誓っている。アメリカはイラクに約2,500人、隣国シリアに更に約900人の兵士を駐留させ、ISIS武装集団と戦う現地部隊への助言と支援を任務としている。近年、米軍への攻撃は比較的落ち着いているが、ガザの状況は緊張を再燃させている。著名なシーア派イスラム教指導者アヤトラ・アリ・アル・シスターニはガザにおけるイスラエルの行動を非難し、イランとつながりのある強力な武装勢力カタイブ・ヒズボラは、アメリカがイスラエルの行動を支持していると非難し、イラクからの撤退を米軍に求めた。
イスラエルがガザ地区で地上攻撃を開始し、レバノン国境沿いの緊張が高まるのではないかという懸念が高まっている。イランとその代理人は、イスラエルがガザを侵略した場合、イランが介入すると警告するなど強い姿勢をとっている。レバノンのヒズボラも、イスラエルとアメリカにとって重大な懸念事項であり続けている。
地域的波及効果の可能性に、欧州委員会委員長は懸念を表明している。ベルギーを含むいくつかの国は、レバノンが紛争のホットスポットになる可能性があると予想し、自国民にレバノンを離れるよう勧告している。
この不安定な状況は、この地域への米軍の追加配備につながり、アメリカが紛争にさらに引き込まれるのではないかという懸念が高まっている。既に一隻の空母が東地中海におり、もう一隻が向かっており、海兵隊の軍艦や追加航空機とともに、アメリカはこの地域で物々しい存在感を生み出している。この武力示威はイスラエルが地上攻撃を開始した際、ヒズボラやイランを含む潜在的敵対者がガザを支援するのを阻止するのが狙いだ。
このアメリカの関与増大と強力な親イスラエル姿勢に議論がないわけではない。中東での紛争は人権侵害によって問題を生じており、アメリカの道徳的・倫理的立場に疑問を投げかけている。イスラエルへのアメリカの関与は国内政治、特に2024年11月に行われる大統領選挙の影響を受けていると批判者たちは主張している。アメリカの選挙結果を形成する上で、イスラエル・ロビーは歴史的に極めて重要な役割を演じてきた。更にジョー・バイデン大統領は在任中「眠い大統領」と非難されいる。イスラエル・ガザ問題における彼の積極的姿勢は自分を良い大統領に見せるのが狙いだと評論家たちは述べている。
イスラエル・ガザ紛争がより広い地域に波及するリスクが懸念されている。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は地域危機の可能性を警告した。イランに責任を転嫁しようとする動きは、緊張を更に悪化させている。欧州連合(EU)は、イランがハマスに武器を供給していると非難し、イランに対する制裁強化を求めている。イスラエルと近隣諸国との対話は、より広範な地域紛争を防ぐため不可欠と考えられている。
イランとヒズボラによる介入の可能性を阻止するためワシントンが二つの空母打撃群をこの地域に派遣した大きな紛争リスクに国連中東和平特使も警鐘を鳴らしている。
複雑な地政学的力学にもかかわらず、中東へのアメリカの関与は依然議論の対象となっている。イスラエルの利益を守るため不可欠だと主張する人もいれば、地域の安定に影響を及ぼす可能性があるリスクが高い物議を醸す動きだと考える人もいる。バイデン政権の対応は、2024年の大統領選挙に向け、イスラエルの忠実な同盟国としての地位を確立しようとしており、国内政治と密接に結びついている。
こうした地政学的な駆け引きの中、アメリカが停戦を呼びかけなかったことが支持者から批判を浴びている。最近紛争の人道的停止を求める国連安保理提案にワシントンが拒否権を発動したことで指導部の失敗に対する懸念が高まっている。紛争が長引く中、世界はエスカレートするこの危機がもたらす広範な影響を認識し不安を持って見守っている。
根深い紛争の歴史を特徴とする中東は新たな暴力の連鎖に巻き込まれているように見える。高まる緊張を鎮めるための外交的突破口と国際的介入を世界は期待している。しかし中東和平への道のりは依然課題に満ちており、解決は地域全体に広範囲に及ぶ結果をもたらす可能性がある。
Taut Batautは南アジア地政学に関する記事を書いている研究者、作家。オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。
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