ウクライナ状況報告:テクノロジーと膠着状態-ザルジニーの失敗
2023年11月2日
Moon of Alabama
ウクライナのザルジニー将軍が登場する新記事が三編エコノミスト誌に掲載されている。
一つ目はインタビューだ。
ウクライナ最高司令官、ロシアを打倒するのに必要な画期策を語る - エコノミスト - 2023年11月1日
二つ目は、ザルジニー自身が書いた論説だ。
ウクライナ軍最高司令官 ロシアを打倒するには何が必要か - エコノミスト - 2023年11月1日
戦争が「膠着的」になるにつれテクノロジーが鍵となるとヴァレリー・ザルジニーは言う
この論説はザルジニーによる長いエッセイの短縮版でEconomistサイトでも読める。
現代陣地戦と、それに勝つ方法 - エコノミスト - 2023年11月1日
ザルジニーの中心テーゼは戦争は現在膠着状態だというものだ。戦争は動きが少なくなり、大きな作戦は不可能になった。彼はそれを1917年のヨーロッパでの戦争になぞらえている。そこでは新技術(戦車などの)導入によってのみ変化が起きたと彼は言う。
情勢の変化が少ない戦争の長期的勝者はロシアだとザルジニーは認識している。
多くの主観的および客観的な理由により、現段階の戦争は徐々に情勢の変化が少ない形態に移行しており、歴史的に振り返れば、そこから抜け出すのは軍隊と国家両方にとって常に困難だった。同時に、戦争の長期化は、原則として、ほとんどの場合、紛争当事者の一方に有利だ。私たちの特定の場合、それはロシア連邦で、それが軍事力を再構築し、構築する機会を与えるためだ。したがって、このような状況の原因を理解し、そこから抜け出す方法を見つけ、ウクライナに有利なようにこの戦争の性質と路線を変える問題は、現代の状況に特に重要だ。
情勢の変化が少ない戦争の膠着状態に終止符を打つ方法は新技術だとザルジニーは考えている。彼の解決策はウクライナに有利になる可能性のある特定分野を見いだし多額投資をすることだ。
大量の無人偵察機、より小型の電子戦システム、より優れた対砲兵能力、より優れた地雷破砕技術、そして最後に、少なくとも重要な予備軍増強を彼は望んでいる。
ザルジニーは間違っていると私は思う。戦争は膠着状態ではない。前線全体に沿って自由に行動し好きな場所を攻撃できるためロシアは明らかに有利だ。現状では最高司令官がウクライナ軍事力を破壊する命令を都合よく果たせるため全力でそうしていない。
ザルジニーが挙げたテクノロジーはどれも本当に新しいものではない。これらはロシアが既に持っている能力で、ウクライナには明らかに欠けている。テロ戦争の20年、ロシアがさらに発展させ続ける一方、欧米諸国はこの分野への大規模投資を怠ってきた。追いつくのは困難な優位性だ。
ザルジニーが実施したい最後の変更について、もう1つ、予備軍増強について。
ウクライナの「あらゆる場所を攻撃する」戦略と「人命を救うため領地をあきらめることはしない」戦略が、それを妨げている。これはバフムートを押さえ、現在はどんな代償を払ってもアウディーイウカを押さえるのにゼレンスキーが固執しているからかもしれない。この両方で、ウクライナは莫大な物資と人員を費やしている。より多くの資金と武器を手に入れるため成功を示す必要があったので、ゼレンスキーは攻撃と持ちこたえることにこだわった。
その戦略は失敗し、ウクライナ兵士を殺してしまった。
侵攻が始まって以来、ウクライナは公式死者数と負傷者数の公表を拒否している。しかし、アメリカと欧州の推計によれば、両陣営とも犠牲者は10万人を遙かに超えている。ウクライナ軍の兵卒がひどく失われたため徴兵局はかつてないほど高齢要員の徴募を余儀なくされ、ウクライナ兵士の平均年齢は約43歳に引き上げられた。「彼らは今や良い年の男性で、しかもそれほど健康的ではない」とゼレンスキー側近は言う。「ここはウクライナだ。スカンジナビアとは違う」
軍最高指導者ザルジニーの任務は戦争を戦う正しい方法を文民指導部に説得することだった。
一年前ヘルソン市からのロシア軍撤退後、ウクライナ軍は有利な地理的特徴に沿った防御陣地に留まるべきだった。ロシアは攻撃し、より大きな損失に耐えなければならなかったろう。だがウクライナがきちんと構築した防衛線は依然一つも見当たらない。その代わり、予備軍は依然失敗した攻撃に投入され、明らかに煮えたぎる大釜状態の陣地にしがみつくことになる。
ここ数日、第47旅団(レオパルト2)と第10山岳旅団(T-64BM/BV)戦車がアウディーイウカ付近で目撃され破壊された。つい最近、両旅団は南部戦線での絶望的攻撃で壊滅的打撃を受けたばかりだった。残されたものを再構成せずに別の戦いに投入するのは意味がない。これら旅団が得た経験と知識は彼らとともに全て失われるだろう。
ザルジニーは、これら過ちを認める気配を見せていない。もしゼレンスキーが軍の助言に従わなかったのなら辞任すべきだった。もし彼がゼレンスキーの戦略に同意したのなら、彼の判断は単に失敗したことになる。どちらかを正すには今となっては遅すぎる。
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大本営広報部洗脳呆導、いまだにウクライナ反攻を扱っている? 見ないので具体的内容は知らない。マグレガー氏解説と違い、怪説。
Douglas Macgregor: "The Offensive of The Russian and Ukrainian Troops Has Ended" 24:21
Alex Christoforou ブリンケン国務長官、キプロス到着時、大統領を抱擁しようとして避けられた。アンカラ空港到着時迎えたのはアンカラ副知事だけ。
Blinken denied hug/kiss. Ursula 5 principles for Gaza. Elensky no elections. Kuleba no stealing. 41:23
アンドレイ・マルチャノフ氏NATO解説も興味深い。宗主国軍の無能さを徹底批判。
NATO's Inevitable Erosion | Andrei Martyanov 56:19
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
イスラエル・ガザ戦争を巡り中国当初慎重姿勢、中国と湾岸諸国との深い経済関係が中国の中東政策に影響。イスラエルの軍事作戦後にこれら諸国から強い抗議が起こると、中国のレトリックは明らかに親パレスチナ寄りに。停戦求める国連決議で米国反対、中国賛成 と別れる。
「イスラエルによるガザ侵攻で、インド、UAE、イスラエル、EUを結ぶ『インド・中東・欧州経済回廊』構想が頓挫!」
はじめに~イスラエルによるガザ侵攻で、インド、UAE、イスラエル、EUを結ぶ「インド・中東・欧州経済回廊」構想が頓挫! イスラエルに連帯を示したインドにとって、湾岸アラブ諸国も重要な存在! ガザで虐殺が行われている以上、シオニズムを批判したガンジーの警告に従い、インド政府はイスラエルを非難すべき!!
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