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2023年11月23日 (木)

断片化の限界。欧米諸国は期待過剰に注意すべき

スティーブン・カルガノビッチ
2023年11月15日
Strategic Culture Foundation

 

 欧米諸国の集団的戦闘計画の鍵は、敵とみなすロシア系諸国の文化的、精神的分断だ。

 

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 故タチアナ・グラチェワが倦むことなく指摘していた通り、欧米集団の戦闘計画の鍵となる要素は、敵とみなすロシア系諸国の文化的、精神的分断だ。分裂の土台さえうまく構築してしまえば、政治的崩壊が起き、壮大な規模の略奪機会が生まれるはずだという期待だ。ウクライナでの紛争は、そのような期待が、実際どれ程現実的なのかに関し実際的問題を提起している。この疑問は実に深刻だ。この期待は、相手の精神構造の壮大な誤解と、相手の素晴らしい回復力の歴史的実績に対する嘆かわしい無知に基づく可能性が高いと我々は主張したい。もちろん標的は、ロシア、ウクライナ、ベラルーシという三つの極めて重要な諸国を含む広い意味のロシア世界そのものだが、それ以上のものでもある。

 

 あらゆるレベルでのロシアからのウクライナ離反(ブレジンスキー「ウクライナがなければロシアは帝国でなくなる」)が、ロシアとウクライナ間に欧米が引き起こした多層的紛争の根本的な狙いだ。勿論、ウクライナ作戦が果たすべき他の並行した狙いもある。結果は様々だ。ウクライナ人に取って代わる別の民族集団を移植する可能性に備えた過疎化など、これら目標のいくつかは、かなり成功裏に実現している。だが綿密に練られた計画に反して、ロシア政権転覆はめざましい失敗だ。2022年2月23日よりずっと前から、忍耐強く、熱心に作業が始められていた、これら目標の最も基本的なものは、ロシア人とウクライナ人という二つの大きな同族スラブ集団を不可逆的に分裂させる基盤の構築だ。悪魔のようなブレジンスキーが正しく指摘した通り、両国が一緒にいるか、それとも分裂しているかは、地政学的に大きな違いを生むのだ。

 

 それゆえ、ウクライナ紛争は、欧米に意図的に画策されたもので、純粋な経済的、軍事的懸念を超えている。ウクライナの大混乱に関する全てが、二つの同族で実質的に区別のつかないスラブ系住民間に最大の敵意を生み出し、敵意を煽り、永続的な不治の病にするようアングロサクソンの人間性理解の観点から計算されているのだ。ロシアが「帝国」と見なされようなものになるのはどんな犠牲を払おうとも阻止しなければならない。

 

 ウクライナ紛争の少なくとも二つの特徴が、連中の病的計算が望ましい実を結ぶかもしれないという欧米集団の自信に満ちた期待に拍車をかけている。

 

 第一は、ウクライナ・ナチス分子の面を、正面から攻撃的に起動したことだ。何十年も経った今も、大祖国戦争のトラウマ的記憶にロシア人は敏感であり続けている。彼らにとってナチスの象徴は、スペイン闘牛の赤い布のような効果がある。ウクライナでそのような象徴を誇示する狙いは、彼らを煽り立て、激怒させることだ。

 

 キーウ政権側でナチス幇助者連中が戦っているのは、ウクライナの欧米管理者の完全かつ意図的な決定であることに留意するのは重要だ。もし連中がそれを望まなければ、それが連中のハイブリッド戦の基本計画に合わなければ、連中の明確な命令がなければ、それはおそらく今のように起きなかったはずなのだ。紛争計画の多層的性質を考えると、ナチス分子を入れたのには二重の目的があった。一つは、イデオロギーに動機づけられた部隊で、キーウ政権軍の軍事的効力を高めることだった。だが、より重要な目的は、ナチスの象徴主義のあらゆる顕現に敏感なことで知られるロシア人の精神のより深い層に影響を及ぼし、連想により憤りを煽り立て、ウクライナ国民全体に対して無差別にさせることだった。取り返しのつかない亀裂を作ろうとするこの試みは、ロシア側では完全な失敗に終わっている。彼らの名誉のために言っておくと、忌まわしい鉤十字の入れ墨をしたアゾフ連隊の凶悪犯と、自身のウクライナの親戚や隣人との違いを認識するのにロシア国民は成熟していることが証明されている。

 

 分裂させる欧米戦略は、ウクライナ側では確実に、より成功している。それは主に、圧倒的に優勢なロシア軍が、不釣り合いな死傷者を出したことで喚起されるはずの憎悪への期待に基づいていた。この予想は、ロシア最高司令部が従っている作戦教義を考えれば、全く不合理なわけではない。教義は1対1の戦闘ではなく、技術資産(大砲、ロケット、爆弾)に主に依存し、敵の人員を消耗させ、ロシアの人的資源を可能な限り温存するよう規定している。妥当な推計によると、この教義の適用は、ウクライナ軍に恐ろしい損失をもたらし、少なくとも50万人が戦死し、最大150万人が他の負傷者になった。このロシアの軍事教義と、ウクライナ指導部と欧米監督者によるウクライナ人命の損失に対する冷淡な無視とが相まって、途方もない死傷者を生み出し、全ての年齢層のウクライナ男性を絶滅した。その結果、状況は、1860年代の三国同盟戦争におけるパラグアイの男性人口の壊滅的減少に益々似てきている。最近浮上した、恐らく犯罪的キーウ政権に強制的に徴兵され前線に派遣されたロシア偵察隊による哀れな妊娠中のウクライナ人女性逮捕を記録した胸が張り裂けるような映像は、この点を実に雄弁に物語っている。

 

 典型的な「他人の不幸は密の味」で、自分たちが煽った敵意が、自分の大義に大いに役立つたとネオコン陰謀団と文化的に無知な傀儡連中はほくそ笑んでいる。全く異なる視点から著名アナリストで、著名ロシア専門家のアンドレイ・マルチャノフは、そのような見方の変種を支持しているように見えるが、もちろん反ロシア的な点はない。多くの聴衆が熱心に視聴している彼のポッドキャストで、ロシアを憎む陰謀団が望んでいるほど永遠ではないだろうが、近い将来、ウクライナの敵意は非常に深いままになろうと彼は発言した。ハリコフやオデーサのような伝統的ロシア地域さえも含むウクライナの残滓は、上記のように陰湿な洗脳と軍事作戦の実施の組み合わせで生み出された強い憤りのため、到底統治できないとロシアは思うはずだと繰り返し彼は示唆している。

 

 全面戦争を特徴づける激しさや破壊的暴力がどれほど限定的であろうと、どれほど短期間であろうと、ロシア軍事介入はウクライナ人の精神に深い傷を負わせるに違いないことに我々は同意するかもしれない。しかし、そのような傷跡が、ロシアとウクライナの関係を必然的に永久に損なう影響があるかどうかには議論の余地がある。

 

 第一に、中世、単一ロシア国家の政治的統合に先立ち、キーウ・ルーシ(ウクライナ)が不可欠な部分だった競合するロシア公国と都市国家間で激しい内戦があったことを歴史的実績は示している。これら敵対行為は、当時利用可能な技術資源の相対的効果を考慮すると、暴力と騒乱という点で現在の軍事作戦の影響にほぼ匹敵するものだった。これら紛争が残した傷跡は、少なくとも今と同じくらい深く、癒えるのにかなりの時間を要したという歴史的証拠は多々ある。しかし傷が癒えると、不満は最終的に脇に追いやられ、統一ルーシが築かれた。今の外国による攻撃的干渉は分断化の狙いを押し付けると固く決意しており過小評価すべきではない。しかし過去には同様の可能性に反して、和解と団結が実現した。歴史的経験は、これが再び起きる可能性があることを示唆している。

 

 第二に、外部の策謀がなくとも、スラブ連邦は歴史的に強力な遠心力の影響を受けやすい。様々なスラブ人社会を結びつけるアイデンティティの共通核は常に不安定で、現地の忠誠心とミクロなアイデンティティとの永続的緊張状態にあった。伝統的にスラブ人にとって、それは常に極端な弱点で、今もそうだ。外国人征服者連中は、その脆弱性につけこんで、同族の、ある部族を他の部族と戦わせるため、標的にしたスラブ人集団のアイデンティティと忠誠心を捏造し、大きな効果を上げてきた。このような人工的な地域的アイデンティティ構造は、汎スラブの「集合的無意識」の統一的対抗力と常に対立している。それゆえ深く埋め込まれた自然の共通点が人為的差異よりも再び優勢になると予想するのは妥当なことだ。結局、文化的、言語的、精神的に混ざり合ったウクライナ人とロシア人は、異質で操るのが巧妙な欧米より、お互い無限に多くの共通点があるのに気づく可能性が高い。捏造された分裂の永続性に対し、潜在意識レベルで強く抵抗するだろう。

 

 第三に、ウクライナ側の傷と憤りがどれほど手に負えないものか、そして短期的に、あるいは、おそらくやや長期的に巨大な共通点が、それらを和らげ克服するのに十分だと証明するかどうか評価するのは困難だ。キーウ政権支配下にあるウクライナの一部は恐怖に支配されており国民の本当の気分を正確に測ることはできない。公式に決められた思考や表現の規範から少しでも逸脱することに対する報復は迅速で冷酷なのを全員知っている。威嚇されての受動性は固執の証拠ではなく麻痺させるような不安の証拠だ。個人の集合体でトラウマを解決するには時間が必要だ。平穏が回復し、文化が正常化し回復した成果、あるいはその欠如が明らかになって初めてロシアとの将来関係の再評価が可能になる。

 

 最後に、ウクライナ軍があらゆる困難に立ち向かって好成績を収めたのは「敵」ロシアに対する憎悪の強さを示すものではない。それは兵士がどちらの側で戦うかに関係なく、彼らがスラブ人で、彼らの遺伝子コードに組み込まれている事実を反映している。これもまた欧米「専門家」が見落としがちな重要な文化的詳細だ。彼らは誤解に基づいて根拠のない結論を導き出す傾向があるのだ。

 

 第一次世界大戦に遡る、オーストリア・ハンガリー軍に強制徴兵されたセルビア系ボスニア人兵士の逸話がある。彼らはセルビア兵に包囲され降伏を求められた。同じセルビア人の包囲者に対する彼らの反応は、今日の多くのウクライナ兵の行動と共通するものだった。「我々はセルビア人で、セルビア人は降伏しない。」文化的に波長が合う人々にとっては、100年以上前のスラブ人徴集兵の特定部隊の武道精神だけでなく、現在の紛争で多くのウクライナ人徴集兵が見せている粘り強さについてもより具体的に多くを物語っている。適切な文化的文脈を知らなければ、普通の欧米人評論家、特に(アンドレイ・マルチャノフが皮肉を込めて言う)法律やジャーナリズムや政治学の無価値な学位を持った連中は、それをどう解釈すべきか途方に暮れるはずだ。完全に自分の文化的偏見の観点から、彼らは必然的に誤解するはずだ。

 

 しかし情熱は冷め、誘発された意識はやがて必ず消え去る。キーウ・ルーシ、現代の言説でウクライナという名で呼ばれているものは古代の精神的係留地へと安全に戻ってゆくだろう。

 

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2023/11/15/the-limits-of-fragmentation-the-west-should-beware-of-excessive-expectations/

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 イスラエルのガザ攻撃はパレスチナ人が誰も住めないようにする狙い。大イスラエル計画の第一段階。

 

Col Douglas Macgregor: "Russia Is Now Delivering The Final Blow" 23:20

 

 北ミサイル発射 という恫喝大本営広報新聞見出し、昔訳した記事を思い出した。

 

ハワード・ジン「歴史の効用とテロリズムに対する戦争」を語る

 

 ゲーリングは言っています。「もちろん国民は戦争を望んではいない。なぜ畑にいる貧しいまぬけが、自分の命を戦争にさらそうなどと望むだろう?だが、結局、政策を決定するのは国家指導者だ。国民はいつでも指導者達の命令に従わせることができる。連中に、我々は攻撃されているのだと言って、平和主義者は愛国心に欠けると非難するだけで良いのだ。これはどこの国でも同様に機能する。」

 

 耕助のブログ Paul Craig Roberts記事翻訳

 

No. 1983 沈黙させられた西側世界の道徳的良心

 

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

 

米国大統領選挙への動向、トランプは共和党候補になるのは確実な勢い。バイデン、トランプ派拮抗していたが、最近トランプのリードが増加。泡沫候補的扱いだったケネディは高い好感度を持ち、三者の支持直近でトランプ43,バイデン37,ケネディ16%

 

 日刊IWJガイド

 

はじめに~ネタニヤフ政権は人質50人の解放を条件に4日間の停戦を認めたものの、戦争を継続すると宣言!! しかし、日本のほとんどの大手メディアは、この戦争継続宣言はまったく伝えず!

【第1弾! パレスチナのためにガザマリーン(ガザ沖の海底ガス田)開発を米国がプッシュ!? 米国が、パレスチナに手をさしのべる!? 実は米国のスーパーメジャー、シェブロン(商標「スタンダードオイル」)の利権だった!】(『ハアレツ』2023年11月20日ほか)

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コメント

 オリバー・ストーン監督 製作総指揮の映画 「ウクライナ・オン・ファイヤー」が、2014年からの戦争の真実を語ります。
 (だからこそ、米英では削除され続けています)。

 かつて、アメリカ軍が、ユーゴスラビアに侵攻した際には、国民のための公共設備だけを選択的に爆撃し、外国資本のビルや工場は、決して空爆しませんでした。
 シリアでも、また同様です。
 米軍やNATOによる他国への侵略が、いかに、経済的利益を追求したものかは、はっきりしています。

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