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2023年11月22日 (水)

爆撃で住民を従順にして服従させるのは不可能

 アメリカ合州国がアフリカに「対テロ戦争」を持ち込んで以来、アフリカ大陸でのテロ攻撃が75,000パーセント増加したのを皆様ご存知だろうか?

 

ケイトリン・ジョンストン
2023年11月17日

 

 この英語記事の朗読を聞く(ティム・フォーリーによる朗読)。

 

 こイスラエルの民間人を殺害するガザで、ガザでイスラエル人の民間人を殺すイスラエルの暴力的報復行為があると、イスラエルは無邪気な目で見上げて言う。「私たちは彼らに何をしましたか? 我々はただ平和に暮らしたいだけなのです!」

 

 そして欧米マスコミ全体が同じメッセージを増幅する。またしても連中は、それを「いわれのない」攻撃として描き、行われたことに「正当化の余地はない」と言い、あたかも歴史があの攻撃の日から始まったかのように全ての話を描き、イスラエルに批判的なことを言いたい人全員に、批判をする前に、地球の裏側にいる、その人とは何の関係もない少数の過激派集団に対し十分強力に非難をするよう要求するのだ。

 

 この暴力行為が起きる時(そして、それは起きる)、背後にいる連中は、2023年にイスラエルがガザで何千人もの子供たちの殺害を目撃するはずだ。もしかしたら、虐殺で親が殺された孤児になるかもれない。もしかしたら妹が爆弾で引き裂かれ、弟の頭が真っ二つに吹き飛ばされ、隣人が爆撃された建物に押しつぶされ、家族の遺体が焼けて黒ずんだ骸骨になるのを見るかもしれない。あるいは、私たちと同じように、事態の展開を液晶画面で見ているだけかもしれない。

 

 いずれにせよ、2023年後半の状況は、しばらくすれば必然的に芽吹くはずの復讐の種を蒔いたが、欧米世界公認の言説担当者が、それに言及することはあるまい。この暴力が、イスラエルによる悪行の報いにすぎない事実は、言説から消し去られるだろう。

 

 またしても。

 

 アフリカにアメリカ合州国が「対テロ戦争」を持ち込んで以来、アフリカ大陸でのテロ攻撃が75,000パーセント増加したのを皆様ご存知だろうか? そうなのだ。75の後に9つゼロがつくパーセントだ。ジャーナリストのニック・タースの新記事で、この統計を知ったが「ペンタゴンによれば、テロ攻撃はサヘル地域だけで9,818人の死者を出した - 42,500%増だ」と彼は述べている。

 

 爆撃でテロを絶滅しようという取り組みが、実際更なるテロを生み出す様子を、人々は長年にわたり記録している。2010年、自爆テロは、イスラム原理主義ではなく、外国による軍事占領の結果だと発見したシカゴ大学との研究に関し、「占領こそ重要だ、愚か者!」と題する記事をロバート・A・パプ教授がフォーリン・ポリシー誌に書いた。

 

 いくつかの注目すべき抜粋。

 

  • 「自爆攻撃の95%以上は外国による占領に対する反撃だ」
  • 「アメリカ合州国が、二国の人口総計が6000万人のアフガニスタンとイラクを占領した結果、1980年から2003年までは約300件だった自爆攻撃が、2004年から2009年で、1,800件にまで劇的に増加した。
  • 「今や世界の自爆攻撃の90%以上が反米だ」
  • 「アフガニスタンやイラクや他のイスラム諸国で、毎月、アメリカ人と同盟者を殺そうとする自爆テロリストの数は、2001年以前の全ての年を合わせた数より多い。1980年から2003年にかけて、世界中で343件の自爆攻撃があり、せいぜい10%が反米だった。2004年以来、2,000件以上あり、91%以上がアフガニスタン、イラク、その他の国々での、アメリカ軍と同盟軍に対する攻撃だ。

 

 2017年にジャーナリストのジョナサン・マーシャルが次のように書いている

 

 アフリカ大陸におけるテロと反乱の発生源に関する最も権威ある新研究「アフリカにおける過激主義への旅Journey to Extremism in Africa」(2017年9月)は、多くの人が暴力集団に加わるきっかけとなるのは「家族や友人の殺害」や「家族や友人の逮捕」など政府が支援する暴力事件であることを明らかにした。

 

 武装組織の元メンバー500人以上への聞き取り調査に基づき「これら調査結果は、対テロ対策やリスクにさらされた環境における政府の広範な治安機能が、人権や適正手続きに関し、どう機能しているかという疑問を浮き彫りにしている」と報告は結論付けている。

 

 「国家安全保障担当機関の行動は、過激派採用の顕著な促進要因として明らかにされているが逆ではない。これら調査結果は、国家安全保障に重点を置く介入の劇的再評価が緊急に必要なことを示唆している。

 

 他の多くの専門家も中東やアジアの紛争地帯から同様の結論を導き出している。2008年、ランド研究所の報告書「アルカイダに対抗するための教訓Lessons for Coutering al-Qai'da」は、アルカイダの存在はテロリスト採用を増加させる可能性が高いので「イスラム社会で戦闘作戦に引き込まれるのに米軍は抵抗せよ。通常軍事力は意図したものとは逆の効果をもたらす。軍事力はしばしば乱用され、高圧的性質により、地元住民を疎外しテロ集団に採用の機会をもたらす。

 

 同様に、2014年、CIA、国防総省、国務省元高官で構成された「米国の無人機政策に関するスティムソン・タスクフォース」は、アメリカの攻撃が中東、アフリカ、南アジアのイスラム過激派集団を強化したと警告した。

 

 言い換えれば、どんな方法であれ、あなたを攻撃したいと人々に思わせるには、近隣を爆撃し、愛する人を殺し、強制退去させ、抑圧的軍事占領で支配する以上に良い方法はない。全てイスラエルが何世代にもわたりパレスチナ人に対して行ってきたことだ。

 

 10月7日はイスラエル政権による何十年にもわたる抑圧と虐待に対する反撃だった。今のガザでの行動で確実に報復として起きるはずの暴力と同様、イスラエルがこの暴力を引き起こしたのだ。そのような暴力を、いわれのないものとして描き出すことでのみ、爆撃で住民を従順にし服従させることが可能だという考えを正当化できるので、公式言説の作り手はパレスチナ人による最新の暴力行為の瞬間、常に歴史をやり直そうとする。

 

 だが、もちろん爆撃で住民を従順にして服従させるのは不可能だ。あなた方が彼らに行うあらゆる残虐行為は彼らの復讐心を増大させるだけだ。10月7日以来、イスラエル人はその欲望に飲み込まれ、狂気の虐殺応援団に変わったのだから、この願望はイスラエル人が共感すべきものだ。しかし、攻撃はどこからともなく、全くいわれないものだという偽りの主流言説によって彼らの復讐心が可能になるのだ。

 

 パレスチナ人が罰せられている本当の罪は服従を拒否していることだ。この対立は最初からずっとそうだった。1948年のイスラエル建国時、パレスチナ人は自分の土地から放り出され、殺され、強制移住させられるのを受け入れるのを拒否し、その拒否が、住民を爆撃し、圧制で服従させることが可能だという前提の下、毎年、何十年も、途方もない量の暴力と抑圧で打ちのめされてきた。

 

 世界に広がる帝国が供給する爆弾によって隣人や愛する人が引き裂かれるのを見ることほど、人を暴力へと過激化させるものはない。目の前でパレスチナ人の子どもを何千人も殺害することほど、更なる暴力的抵抗を確実にするものはない。つまり、パレスチナ人への補償、賠償、土地返還以外に、この悪夢をきっぱり終わらせることはできないのだ。

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 画像Gaza Palestineから (パブリックドメイン)

 

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2023/11/17/its-impossible-to-bomb-a-population-into-submission-and-obedience/

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 Judging Freedom

 

Matthew Hoh: The Ongoing Tragedy in Gaza: Examining Israel's Actions and the Role of the US 24:53

 

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

 

最近のウクライナ情勢①戦場、南部でウクライナの意図する奪回ならず、東部で押され気味②ウクライナでゼレンスキーと軍との見解の違い露呈③米国のウクライナ支援、下院の混乱の中追加支援が決定できない④世界の関心ガザへ、支援弱体化、⑤欧州に支援疲れ

 

 日刊IWJガイド

 

「【IWJ号外】を出しました!『スコット・リッター氏が暴く!(後半)10月7日のハマスのイスラエル攻撃は政治的な成功を収めた!』」

【第1弾!『ガーディアン』が2002年に公開したウサマ・ビンラディンの「アメリカへの手紙」がネットで数百万回シェア!『ガーディアン』は記事を削除!】ビンラディンは、米国がイスラエルによるパレスチナ民族浄化を援助していたことを非難! 民主主義国米国の有権者の責任とイスラム法の復讐の権利で9.11を正当化! ジャーナリストのグレン・グリーンウォルド氏は「この手紙は、反米憎悪が、何十年にもわたる彼らの国への干渉、暴力、クーデター、侵略にもとづいていたことを示している」と指摘!(『AFPBB』、2023年11月17日)

【第2弾!「病院の地下にハマスの軍事基地」というイスラエル軍の「証拠映像」に捏造の可能性!】『アルジャジーラ』が別々の映像をつなぎあわせた可能性を指摘! さらに「イスラエル軍がトンネルの入り口であると主張したハッチ」が貯水システムの一部だったことも判明!! イスラエルという国ぐるみの嘘が次々とバレつつある! こんな国を岸田政権・日本政府は支持・支援している! 正気の沙汰か!?(『アルジャジーラ』、2023年11月20日)

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