竹を割ったように正直なビル・クリストルのウクライナ戦争広告
帝国が我々に信じさせようとしている最も愚かなことの一つは、この戦争が(A)まったくいわれがないと同時に(B)偶然にも、それを挑発したと非難されている政府の戦略的利益を大規模に推進していることだ。
ケイトリン・ジョンストン
2023年9月25日
ビル・クリストルが率いる集団「ウクライナのための共和党」が、ワシントンの対ロシア代理戦争に対する共和党支持鼓舞を支援するテレビ広告を公開したが、この戦争が本当は一体何なのかやら、ウクライナ人を捨て駒として利用し、アメリカの戦略的権益を前進させることについて驚くほど正直だ。
書き起こしは下記の通りだ。
「アメリカがウクライナを武装させる際、我々は僅かの投資で多くを得られる。プーチンはアメリカの敵だ。我々は国防予算の5%をウクライナを武装させるために使い、それで彼らはプーチンの軍隊の50%を破壊した。我々は軍隊ではなく、倉庫から武器を送ることで、この全てを行った。ウクライナがロシアを弱体化させればするほど、ロシアの最も近い同盟国、中国も弱体化する。アメリカは我々の敵に対し、しっかり立つ必要があり、それが議会共和党員がウクライナを支持し続けなければならない理由だ。」
「ウクライナのための共和党」は、ピエール・オミダイアなどのオリガルヒに資金提供される別のクリストル主導の言説支配作戦「民主主義を共に守る」により先月開始された。ネオコン思想の指導者として、2003年イラク侵攻を推進する上で極めて重要な役割を果たしたクリストルは、土曜、この広告が「日曜日の番組で明日DCで放映される」とTweetした。
帝国が我々に信じさせようとしている最も愚かなことの一つは、この戦争は(A)まったくいわれがないのと同時に、(B)偶然にもそれを挑発したと非難されている政府の戦略的利益を大規模に前進させたことだ。2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した瞬間から、これは「いわれのない侵略」だという一様なプロパガンダで欧米人はマスコミに何度も繰り返し攻撃的に叩かれているが、それ以来、この戦争はアメリカが地政学的敵を粉砕し、海外権益を推進するのを助けているというこれら独特のメッセージをアメリカ帝国管理者や言論歪曲者連中からも受けている。
この奇妙な二段階宣伝は、アメリカに中央集権した帝国が、二つの明らかに矛盾するメッセージを国民に常に伝える必要があるために起きている。
1.アメリカは、良き友人であるウクライナ人が、邪悪で自由を憎むという理由だけで侵略した殺人的ロシア人から彼らの民主主義を守るのを助けたいだけの無辜の小さな花にすぎない、
2.この戦争を継続することはアメリカ人の利益になる。
第二の点が必要なのは、アメリカはウクライナでの紛争に対する単なる無辜の受動的目撃者にすぎないという言い方は、必然的に、特定政治派閥に「そう。我々はそこで何をしているのか? なぜ我々はこの全ての金を我々と何の関係もないことに注ぎ込むのか?」という疑問を引き起こす。したがって、この代理戦争を支援するのは、国内で武器製造するアメリカの雇用を創出する一方、アメリカの海外における戦略的権益にとって大きな恩恵でもあると説明するために、もう一つの物語が必要なのだ。
McConnell defends the proxy war in Ukraine: "We haven’t lost a single American... Most of the money that we spend related to Ukraine is actually spent in the US, replenishing weapons... So it’s actually employing people here and improving our own military for what may lie ahead." pic.twitter.com/xjd3RcVoRb
— Aaron Maté (@aaronjmate) August 10, 2023
そしてもちろん、この戦争はアメリカの戦略的利益を推進する。もちろんそうだ。アメリカが他国に武器を注ぎこむのは、そこに暮らす人々を愛し、彼らが自由になるのを望んでいるからで、それが多くのロシア人を殺し、NATOを強化し、ヨーロッパにおけるアメリカのエネルギー権益を前進させているのは全くの偶然だと信じるのは愚か者だけだ。それは国内の普通のアメリカ人に利益をもたらすものではないが、ワシントンに集中する世界を股にかける帝国の利益には絶対に役立つ。それが帝国が意図的に戦争を挑発した理由だ。
侵略のずっと前から、ウクライナでの戦争でアメリカ帝国に直接利益をもたらす方法を帝国の指導者連中は公然と話し合っていた。2019年、国防総省が資金提供したランド・コーポレーション論文「ロシアに手を広げさせる。有利な立場で競争する」は、帝国が代理戦争や経済戦争や、その他の冷戦戦術を利用して、アメリカ人の命を犠牲にしたり核戦争を引き起こしたりすることなく、長年の地政学的敵を瀬戸際に追いやる方法を詳述していた。アメリカ陸軍が委託した論文はウクライナに何百回も言及し、モスクワに対する経済制裁を促進し、ヨーロッパにおけるロシアのエネルギー権益を攻撃するため、ウクライナでの戦争をどう利用できるか明確に論じていた。
2021年12月、NATOのプロパガンダ企業アトランティック・カウンシルのジョン・デニは、「ウクライナで戦争リスクを冒す戦略的事例」という題の記事をウォールストリート・ジャーナルに執筆し「侵略はプーチンにとって外交的、経済的、軍事的過ちとなるはずだ。彼がしなければならないなら、それをやらせよう。」モスクワに対し「欧米は強硬な姿勢をとる正当な戦略的理由がある」とデニは主張し、ウクライナをめぐる交渉や後退を拒否し、そうすることでロシアが侵略すれば「ヨーロッパ全体で更に強力な反ロシア合意を築き」「ロシア経済を更に弱体化させ、より衰弱させる更なる経済制裁を実施する」と主張した。そして「プーチンの国内人気を弱体化させ、ロシアのソフトパワーを世界的に低下させながら、ロシア軍の強さと士気を奪う」。
"We get a lot for a little...we've sent weapons, not our troops...the more we weaken Russia, the more it weakens China."
— Kit Klarenberg (@KitKlarenberg) September 24, 2023
Staggering levels of honesty here for a) an advert, b) Bill Kristol https://t.co/zXhzuLSM8Z
帝国内部の連中は、この戦争がアメリカにどのような利益をもたらすかについて侵略前に話しており、それ以来それがアメリカにどれほど利益をもたらしているか連中は話している。ワシントン・ポストのデイビッド・イグナティウスが今年7月に述べた通り「この18カ月間の戦争は、(ウクライナ人を除き)比較的低コストな戦略的棚ぼただった。欧米に対する最も無謀な敵対者は揺さぶられた。スウェーデンとフィンランドの加盟で、NATOは遙かに強力になった。ドイツはロシア・エネルギー依存から脱却し多くの点で価値観を再発見した。NATO内の争いは見出しになるが、全体としては同盟にとって勝利の夏だった。」
帝国管理者連中は、この戦争で彼らが望む全てを手に入れている。公の場で、彼らは悲嘆し、空涙を流し、それをひどい犯罪的残虐行為だと呼ぶが、時々カメラを向いて、フリーバッグ風の笑顔をちらりと見せる。
連中はこの戦争を引き起こした時、自分たちが何をしているのか正確に知っており、連中はそれを継続して、連中が何をしているのか正確に知っている。
そして、連中はその全てを存分楽しんでいる。
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Ania K・Scott Ritter対談 題名通りの内容で一時間半。
SCOTT RITTER LIVE: WHAT WILL THE END OF WAR IN UKRAINE LOOK LIKE? 1:32:15
耕助のブログ Jeffery D Sachs記事翻訳
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
論評紹介:ほとんどの動物では、運動と食事が老化速度に主な影響を与える。一部の動物では、食物摂取量を減らす(「食事制限」)と、より健康になり、多くの場合寿命が長くなる。体は運動中に多くのエネルギーを消費し、その結果、オートファジーが活性化される。
「消滅の危機に直面しているIWJですが、必ずやサバイバルします! どうか、IWJのサバイバル戦をご支援ください!」
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