権力喪失を加速させる欧米の親イスラエル姿勢
2023年10月18日
Moon of Alabama
政治家連中のイスラエルとウクライナに対する揺るぎない支持が、彼らの国々の世界的地位をいかに低下させているか欧米マスコミは注目し始めている。
ガザ爆撃のバイデン外交政策に対する壊滅的政治的影響をNaked Capitalismで、イヴ・スミスが指摘している。
イスラエルがエスカレートしようとする中、中東でゼレンスキー扱いされるバイデン
アメリカは、自称指導力なるものをわめき続けており、威張りちらせば地政学的混乱から抜け出せたり、ソフトパワーを維持できたりすると考えているようだ。ところが今週、アメリカが売り込んでいるものを世界の重要な国々は、もはや真に受けていないのを示す驚くべき例がある。イスラエルによるアル・アハリ・アラブ病院砲撃に応えて、アブドゥアッラー2世国王とPLOのマフムード・アッバス長官、エジプト大統領アブデル・ファッタ・エル・シーシとのバイデン首脳会談をヨルダンがキャンセルしたため、アメリカ支配体制の現状や事実把握とアラブ世界との溝は途方もなく深まった。彼らは攻撃の責任をハマスになすりつける企み(我々はすぐ「ならず者による砲撃」を主張する)を拒否しているだけでなく、その背後にある芝居、アメリカがイスラエルの首輪を引っ張るのを望まないのではなく、首輪を付けられないふりさえ拒否している。
イスラエルがガザ北部からパレスチナ人を追い出そうとして、特に病院避難を命じようとした時、どういうわけかハマスが実行したふりをしているイスラエルとバイデン政権に、欧米メディアさえ、さほど乗っていない。これはイスラエルが国連に24時間以内にガザから避難するように命じ、それから倉庫を砲撃した後だ。
数千人が避難していたバプテスト・アル・アハリ・アラブ病院中庭を、イスラエルは、おそらくアメリカ製ヘルファイア・ミサイルで爆撃したのだ。直後の短い映像には、数百とは言わないまでも数十人の死者と負傷者が写っている。その後医師たちは死傷者の中に立って記者会見を開いた。
他の病院同様、アル・アハリ・アラブはイスラエルから避難するよう言われていたが、集中治療室の多くの病人を含め、病人や負傷者を治療できる場所が他にないため避難できなかったのだ。
3日前、同じ病院が他の病院同様、既に爆撃されていたと国連は述べている。
2023年10月14日:ガザ市と県で、アハリ・アラブ病院がイスラエル空爆に見舞われ、二つの階が部分的に損傷し、超音波と乳房X線撮影室が損傷した。四人が負傷した。出典:アルジャジーラVとパーソナル・コミュニケーション
バイデンのように「相手側」に攻撃責任があると主張するのは理解し難い。
また、英国王立防衛安全保障研究所RUSI研究員は遅すぎると述べている。
過去16時間で前週より状況が大きく動いたため、これを繰り返す。
プレートは根本的に移動した。イスラエル作戦成功の可能性は、あるにせよ、一ヶ月以上から、数日に短縮された。
それが我々が今いる現状の現実だ。
アメリカと少数のヨーロッパ諸国以外どの国も、そのような野蛮さを擁護することは決してない。彼らは「欧米」の言い分に耳を傾けるのをキッパリやめるだろう。
フィナンシャル・タイムズは、この世界的分裂に苦しむG7高官の言葉を引用している。
欧米のイスラエル支持殺到は発展途上国のウクライナ支援を損なう(アーカイブ)
イスラエルのガザ攻撃に対する欧米の支持は、ウクライナに対するロシアの戦争を非難する上での重要な発展途上国との合意構築の努力を損なうと当局や外交官は警告した。
イスラム過激派集団ハマスによる10月7日のイスラエル攻撃と、ガザに対して反撃するというイスラエルの誓約に対する反応は、モスクワを国際法違反の世界的「のけ者」として描く数ヶ月の取り組みを帳消しにし、アメリカやEUや同盟諸国が偽善の告発にさらされることになったと彼らは述べた。
緊急外交訪問、ビデオ会議、電話会談が急増する中、ハマス攻撃を非難し、イスラエルを支援すべく急いて、230万人のパレスチナ人の利益を擁護しなかったと欧米当局は非難されている。
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この反発は、イスラエルとパレスチナの紛争に関する発展途上国の断固たる立場を固めたと当局者は述べた。これはウクライナに対する将来の外交努力を狂わせる可能性があると彼らは警告した。「我々はグローバルサウスでの戦いに決定的に敗れた」と、あるG7の上級外交官は述べた。「我々が[ウクライナを巡り]グローバルサウスに行った全ての作業は失われた...ルールも世界秩序も忘れろ。彼らは二度と我々の言うことを聞くまい。」
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バイデン政権の対応、イスラエルに対する幅広い支援が、南北問題の多くをいかに遠ざけるかかを理解していないのを一部のアメリカ外交官は個人的に懸念している。
現在北京で開催されている約140カ国のBRI記念会議を見て、ニューヨーク・タイムズも同様の懸念を表明している。
バイデンがイスラエルを、プーチンが中国を訪問する中、見える新たなグローバル分裂
解放と民族自決を求めるパレスチナ人をロシアと中国は支持しているが、ワシントン自身は、ウクライナ人、チベット人、ウイグル人、さらには台湾人に対してさえ、同じ可能性を否定している。
しかし、ハマス非難をためらい、パレスチナの大義支持を表明する取り組みで、ロシア、中国両国は、いわゆるグローバルサウス、そしてヨーロッパの大部分でも、より広い感情に訴えている。ヨルダン川西岸の占領、パレスチナの土地へのユダヤ人入植者奨励や、平時でさえ自由に対する厳しい制限にさらされているガザの230万人の人々を孤立させて植民地主義政策を実行しているのは、彼らにとって、イスラエルなのだ。
発展途上諸国を意味する単語、グローバルサウスは、欧米と、中国とロシアの代替案との間の新たな競争の重要な領域だと、ジェームズ・マーティン不拡散研究センターのユーラシア・プログラム部長ハンナ・ノッテは述べている。
グローバル・サウスの多くの人々の視点から「ウクライナ占領者ロシアとアメリカは戦っているが、イスラエルに関しては、アメリカは占領者側で、ロシアはそれにつけこんでいる」と彼女は述べた。
ワシントンポスト編集委員会も、アメリカ政策の失敗を宣言している。
それでも、ガザの人々の窮状は、アメリカやより広範な国際社会によって、解決不可能な紛争における悲しいながら不変の事実として扱われてきた。これは、今にして見れば、地域大国間で永続性のある外交的解決を構築するイスラエル、アメリカ合衆国とアラブ諸国の努力を破壊し、不安定化を助長する道義的、戦略的な過ちだった。
世界的な亀裂が欧米の政策の変更をいかに必要としているかをカーネギー評議会は説明している。特に、いわゆる「価値観」や「ルールに基づく秩序」政策を放棄する必要があると考えている。
ルールに基づく秩序への鎮魂曲
国際関係における価値中立倫理の擁護最終的にどのように終わるかにかかわらず、ロシア・ウクライナ戦争は、世界情勢の深刻な変化を示すとてつもない出来事だ。一極時代は終わりに近づき、主要諸国は数十年前より文化的主権と戦略的自治に関心を持っており、かつて支配的だった欧米覇権が、より多様で多極的な体制に徐々に屈服しなければならないのは避けられないようだ。
第二次世界大戦後の期間には、民主主義や人権など欧米価値観の制度化を前提とした新しい国際秩序の建築家としてのアメリカと同盟諸国の優位を目の当たりにした。「ルールに基づく秩序」として知られるグローバル統治に対するこの欧米中心の手法は山積する課題に直面している。中国の台頭、ロシアの地政学的破壊力、そしてグローバル・サウス新興勢力の自己主張の高まりが欧米支配を侵食した。その結果、より多様な世界が生まれ、複数の権力中心が共存し、単一イデオロギーや一連の価値観に挑戦するようになった。
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欧米における我々の特定の道徳観が、我々が賢明で正しいことを追求するよう熱望するのを妨げるべきではない。多中心主義と多極化を特徴とする進化する国際秩序は、従来の欧米が支配する「ルールに基づく」秩序に挑戦している。ニーチェの価値観の視点から価値観は生得的、時代超越的、普遍的なものではなく、文脈に依存することが認められている。同様に、旧体制の衰退は国際倫理の終焉を意味するものではない。現在の移行が正しく理解されれば、世界大国間の相互関係を管理することを主な関心事とする、機能的、価値中立、状況的、外交的倫理に基づく新たな規範制度が誕生する可能性がある。(それがどれほど良いか、或いは真実だと思っていても)我々の価値観を他人に押し付けようとするのではなく、欧米の我々は、共通の利益と共通の目的に基づいて、他の大国との関与を優先する必要がある。...
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要するに、文化的リアリズムによって提供される知的枠組みの中で、1)マニ教的精神を世界に説教したり投影したりすることなく、パワーポリティックスや勢力圏の現実を受け入れ、2)相互の、平等の認識、政治的手腕、不干渉、謙虚さ、戦略的同情や開かれた対話を含め、多元論的な生き方を推進する信条に基礎を置くものに。
欧米は決して行動を変えないと言うむきもあるかも知れないが、私はそう思わない。
欧米は行動を変えなければならない。さもなければ歴史の墓場行きになる。「ルールに基づく秩序」は誰も真に受けない袋小路と証明されているため、もはや代替手段はない。
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イランを攻撃せよというリンジー・グラハムの妄言を粉砕する正論。思慮に欠けた攻撃は地域戦争以上のものになりかねい。
Col Douglas Macgregor & Tucker Carlson - "WW3 will start in Israel and end up Iran..." 27:34
Chris Hedges
Alex Christoforou 一日に500m前進せよと軍に命じるゼレンスキー。
Borrell, don't forget about Ukraine. Elensky, 500 meters a day. Orban, EU bad parody of USSR. 31:01
「プーチン大統領が『ウクライナ軍の反転攻勢は完全に失敗した』と表明! 英国防省は『反転攻勢』で『ロシア軍に多大な被害!』と発表!!」
はじめに~プーチン大統領が「ウクライナ軍の反転攻勢は完全に失敗した」と表明! しかし英国防省は、「反転攻勢」は進んでおり、ロシア軍に多大な被害が出ているとの分析を発表! 日本の大手メディアは軒並みこの英国側の情報だけを垂れ流してロシア軍の劣勢を印象操作する!! 一方、ドイツの『ntv』では、オーストリア軍の大佐が、英国防省の情報分析を「被害を限定的に見せようとしている」と批判!「反転攻勢」が難航するウクライナ軍にとっては「今年の冬が特に厳しい」と指摘!!
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