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2023年9月22日 (金)

エスカレーション、緊張の段階的緩和と「抑止」

 通常、緊張状況は、話し合うだけで緊張を段階的に緩和できる。

ケイトリン・ジョンストン
2023年9月19日

 この英語記事の朗読を聞く(Tim Foleyによる朗読)。


 日曜日、非常に混乱して苦しんでいる若い男性が我が家に迷い込み、おかしな行動を始めた。彼は明らかに重度の精神疾患、おそらく統合失調症に苦しんでおり、素敵な服を着ながら、だらしない様子から、どこかに家があるが、数日間街頭にいたように思えた。

 夫のティムは彼と話し、彼を助ける方法を見つけようとしたが、ティムが彼と一緒に外を歩こうとした際、男はドアを閉め「新兵徴募係」を絶賛し始め、ティムは小児性愛者だと言った。

 男は混乱しすぎてドアに鍵をかける方法がわからなかったので、ティムを締め出すためドアにもたれかかっていた。ティムは大柄で熟練の武道家で、無理やり戻って男を圧倒することもできたが、精神科施設で何年も働いており、それでは、おそらく平和的に緊張緩和できる状況を不必要にエスカレートさせると理解していた。

 私が男に出会った裏口にティムは回り、予期せぬ客を動揺させないよう穏やかで友好的な形で状況を私に説明した。私の家族は少し彼と話をし、彼は少しくつろぎ、それから大騒ぎせずに去った。

 それは、個々の警察と一般市民とのやりとりから世界大国間の大規模紛争まで、世界中でさまざまな方法で行われているエスカレーションと緊張の段階的緩和の動きについての興味深い洞察だった。脅威を無力化するという名目で警官は相手に武力を行使し、相手の人はこのエスカレーションに興奮し、反撃を始め、警官に殺される。超大国は、ライバルが攻撃的に行動するのを阻止するという名目で、地政学的ライバルの国境近くに戦争機械を集積し始め、ライバルはその脅威に積極的に対応する。

 精神衛生のレベルとは関係なく、武器が向けられたり暴力が向けられたりすれば誰でも脅威を感じるはずだ。武器を向けたり暴力を振るったりする人は自己防衛しているだけだと心から思っているかもしれないが、相手も同じように感じ、戦うか死ぬかの状況に置かれたと感じるため、エスカレーションに対して攻撃的に反応する可能性がある。

 それがウクライナで起きているのを我々は知っている。台北のアメリカとの軍事的親密さの高まりに対応して、中国が台湾周辺で空軍の存在感を強化しているニュースを聞いて、それが台湾で再び起きているのを我々は知っている。「抑止力」の名の下に強力な国を戦争機械で包囲する戦略が実際は非常にエスカレートし、戦争につながることにもはや議論の余地はない。

 事実は揃い、一件落着だ。強力な国の国境付近に脅威を集積するのは、緊張の段階的緩和ではなくエスカレーション効果をもたらす。これはロシアと中国にも当てはまり、歴史はそれがアメリカにも当てはまることを示している。前回、確かな軍事的脅威がアメリカ国境付近に置かれた際に、アメリカが非常に攻撃的に対応したため、世界はすんでの所で終わる所だった。全ての証拠が揃った後、現時点で、この誤った「抑止」戦略を依然支持しているなら、あなたは戦争を望んでいるただの戦争屋だ。

 紛争が起きる時と場所はあるが、その線は、ほとんどの人がそれを引く傾向がある場所から非常に遠く離れている。武力と、その脅威は常に最後の手段で、自衛にのみ使用されるべきだが、少しおかしな動きをする人を警官が銃撃するのを我々は目にしており、これまで存在した中で最も強力な帝国は絶え間ない侵略戦争を繰り広げ、上位二つの地政学的敵国の国境に益々多くの戦争機械を集積している。

 これは起きるべきことではない。起きるべきことは、外交、緊張緩和、デタントで、究極の目標は、各政府が全ての人の利益のために協力する世界だ。これが実現し得ない正当な理由などない。

 通常、緊張した状況は話し合うだけで段階的に緩和できる。それは世界的大国間でも起きる可能性があり、警官とのやりとりで起きる可能性があり、精神障害者が偶然あなたの家に迷い込んだ場合にも起きる可能性がある。

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画像はAdbe stock photoから。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2023/09/19/on-escalation-de-escalation-and-deterrence/

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 Alex Christoforou ポーランド首相、ウクライナにはもう兵器を送らない

Poland; No more weapons, Ukraine drowning man. Elensky refuses freeze. Assad in China. 34:20

 耕助のブログ

No. 1921 日本政府と福島原発事故 歴史は繰り返すのか?

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

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「コロナ便乗『ワクチン』ファシズムにより、薬物療法の鉄則『リスクは、便益より重んじられなければならない』原則が忘れ去られている!」

【本日のニュースの連撃! 5連弾!】

【第1弾! 再掲! 欧州連合(EU)は2022年3月1日に、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関する「偽情報」を用いた「プロパガンダを防ぐ」という「名目」で、ロシアの国営テレビ『RT』の欧州各国向け計5チャンネルと、国営ラジオ・ニュースサイト『スプートニク』のEU域内での提供を全面禁止する法律を制定!】検閲の徹底で着々と進むグローバル・ファシズム! 欧州では『1984』の世界が現実に!(『日刊IWJガイド』、2023年7月21日)

【第2弾! ポーランドのモラウィエツキ首相が「わが国はウクライナにこれ以上武器を供与しない」と表明!】同国のドゥダ大統領は、国連総会での記者会見で、

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              忘れられたソマリアの核汚染・有害物質

 今朝,”Radioactive Waste: A Nuclear Nightmare/Endera Documentary"と "Julian Assange: Exposing USA's Dark Secrets | Wikileaks Scandal(Youtube)" を観た。そうして偶然にも耕助のブログ『No. 1921 日本政府と福島原発事故 歴史は繰り返すのか?』を本ブログで拝読した。今,J.Assange氏の動画をわきに置くが,残り二つとも核汚染水についての内容である。
  日本では装置アルプスによる処理が不十分であることが言われている。処理後残っている核物質が危険であることが論じられたり論じられなかったりで一般の日本人に戸惑っている方も多いのではないだろうか。しかし自然界に存在しない核物質が存在する以上,遺伝子が損傷することは明らかであるので危険であることに間違いはないだろう。詳しくは論じないが2011年3月以来,論じられてきたフクシマの危険性が減ったわけではない。むしろ増加したのではないだろうか。
  問題はNo.1921の海洋投棄による汚染(水)とフクシマのデブリを洗った汚染水とは危険度が異なるということである。デブリを洗った,その周りを流れた汚染水は原子炉を冷やしたときの汚染水とでは雲泥の差があることである。なぜなら前者デブリ汚染水はどんな放射性物質[A]が含まれているか分からない。しかし原子炉周辺から出る放射性物質は何か[B]解明されている。原子炉をもつ各国から出る汚染水は[B]であって爆発した原子炉(デブリ)から出る汚染水は[A]である。したがって両者とも海洋に投棄されてはならないが,特に[A]は未知の核物質を含むから海洋投棄はもっての外である。
  さてそこで1993年に政変があったソマリアの問題を考えてみると,加藤によれば,1993年に国連の「平和維持活動」はカンボジャで成功し,ソマリアで失敗した。前者では国連の派遣した軍隊が発砲せず,後者ではアイディド将軍征伐のために発砲してソマリア人民の多数を敵にまわした(加藤周一『夕陽妄語Ⅳ』)。もちろん発砲したのはアメリカ軍である。今年も米軍はソマリアに2,000名ほど派遣したのでいずれ戦いが起こるであろう。しかし問題はアメリカが撤退せざるを得なくなりヤケクソになって海洋投棄をし始めたことである。続いて仏英中加や世界の主だった国々が海洋投棄を始めた。何を投棄したか。核汚染物質を始め毒物や有害な物質などである。そのためにソマリアの漁民は漁ができなくなった。フクシマの風評被害どころではない。そこで海賊行為に及んで生活費を稼がざるを得なくなった。かくして自衛隊がジブチに基地を設ける理由が生じた。中国も日本に追随したようだ。小生の記憶は曖昧で10年も前の知識でしかないから疑問があれば各自ご自身で調べられることをお勧めする。しかしすなわちソマリア漁民が初めから海賊であったわけではない。二つの動画を見て以上のような感想を抱いた次第。

追記:加藤周一は次のような文章を残している(1994年):・・・冷戦の蓋を開けてみると,中から「希望」ではなく各種の「災い」が出てきた。冷戦の世界は,パンドラの箱である。「災い」の主なものは,第一に環境破壊,殊にたとえば蓄積された核兵器と原子力発電。第二に狂信的な民族主義と地域紛争,第三に権力の構造的腐敗であり,そのいずれも冷戦の時期に発達したか,それより早くから内在し,冷戦の体制によって抑えられ,制御され,かくされていたものである。・・・
  核兵器保有国が増え,北のミサイルがワシントンまで届くようになった。故に今月,米韓日の首脳はキャンプ・デービッドに集まって対策を話し合った(デモクラシ-タイムスの田岡元帥のお話)。
  狂信的な民族主義はウクライナのアゾフ連隊に代表されるように,キエフ政権中枢に入り込みウクライナ中西部を乗っ取ってしまった。もちろん米英の後押しがあるが,一昔前のドイツでは考えられないネオ・ナチの復活である。三つ目の権力の構造的腐敗は,財務省による文書改竄に代表されるが,逮捕状が出ているにもかかわらず突然それが取り消しになったり,政府の御用聴き最高裁判所が現れたりした。
  改めて加藤の政治情勢の分析に感心しないわけにはいかない。9月は彼の誕生月である。                 

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