NATO拡大のせいでロシアがウクライナに侵攻したと公然と認めるNATO事務総長
公式に認められて言説を作り出す連中は、こうしたことを認めてもかまわないが、普通の人間が同じ事をすると、クレムリン偽情報になる。
ケイトリン・ジョンストン
2023年9月9日
木曜、EU議会外交委員会での演説で、NATOの拡張主義を恐れてプーチンがウクライナ侵略の決定を下したとイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は明確に繰り返し認めた。
ジャーナリストのトーマス・フラジが最初に報じた彼の発言は以下の通り。
背景は、2021年秋にプーチン大統領がこれ以上NATOを拡大しないと約束するよう宣言し実際その条約案をNATOに送ったことだ。それが彼が我々に送ったものだった。それがウクライナを侵略しないための前提条件だった。もちろん我々はそれに署名しなかった。
逆のことが起きた。NATOを拡大することは決してないという条約に我々が署名するのを彼は望んだ。1997年以来NATOに加盟した全ての同盟諸国、つまりNATOの半分、全ての中欧と東欧の軍事インフラを撤去するよう彼は望んだ。我々はそれを拒否した。
それで彼は彼の国境近くのNATO、更なるNATOを防ぐため戦争を始めたのだ。
Yesterday, speaking at the European Parliament’s Committee on Foreign Affairs, NATO’s Secretary General Jens Stoltenberg admitted that NATO is responsible for deliberately provoking the war in Ukraine:
— Thomas Fazi (@battleforeurope) September 8, 2023
“President Putin in the autumn of 2021 sent a draft treaty that they wanted…
NATO拡大を防ぐためプーチンがウクライナに侵攻した事実に関する嘲笑の一環としてストルテンベルグはこの発言をしたが、この侵略でスウェーデンとフィンランドが同盟加入を申請する結果となり「プーチン大統領がNATO拡大を防ぐためヨーロッパの国を侵略し、彼は正反対のことをしていることを示している」と彼は述べた。
ストルテンベルグ発言は、皆様や私のような人々がオンラインで言えば、金権政治家が資金提供する「偽情報専門家」や帝国の「ファクトチェッカー」によって「ロシア・プロパガンダ」に分類されたはずだが、ロシア大統領に対する長談義の一部としてNATO事務総長が言ったので、異議もんわれず済んでいる。
実際は、彼は確立した事実を述べているにすぎない。欧米の公式言説に反して、プーチンがウクライナを侵略したのは、彼が邪悪で自由を憎んでいるからではなく、アメリカ合州国を含む外国の軍事的脅威が国境に集積するのを、いかなる大国も許さないためだ。だからこそ非常に多くの欧米の専門家や当局者がNATOの行動は戦争を引き起こすと何年も警告していたのに、戦争が勃発すると、これは「いわれのない侵略」だと何度も繰り返すマスメディア・プロパガンダの津波に襲われたのだ。
この恐ろしい戦争を防ぐのは実に全く簡単だったはずだ。次々と出口策が出されたのに無視されて、この現状に至ったのだ。この無意味な死と悲惨さを全て回避する機会は、2014年以前にも、それ以降の毎年、両方で見逃された。アメリカに中央集権した権力構造が、この戦争を故意に選び、自らの利益を推進するためにそうしたのだ。もし人々が本当に深くこれを理解すれば、欧米帝国丸ごと崩壊するはずだ。
Standing with our allies against Russian aggression isn't charity. In fact – it's a direct investment in replenishing America’s arsenal with American weapons built by American workers. Expanding our defense industrial base puts America in a stronger position to out-compete China.
— Leader McConnell (@LeaderMcConnell) September 7, 2023
この戦争はNATOの拡張主義により引き起こされたとNATOが公然と言い、アメリカ当局がこの戦争はアメリカの利益に役立つと公然と言い続けている時でさえ、この戦争がNATOの拡張主義により引き起こされ、アメリカの利益に役立つと言うと、クレムリンの手先と呼ばれるのは実に驚くべきことだ。
後者の範疇の最新内容は、上院少数党院内総務ミッチ・マコーネルの木曜日のツイートの形で提供されたが「ロシア侵略に対し同盟諸国と共に立ちあがるのは慈善ではない。実際、それはアメリカ労働者が製造するアメリカ兵器でアメリカの兵器庫を補充するための直接投資だ。防衛産業基盤を拡大することで、中国に打ち勝つため、より強力な立場にアメリカは立てる」と彼は述べていた。
公式に認められた言説作成者がこれらを認めるのは、かまわないが、普通の人がそうすると、クレムリン偽情報になる。アメリカ帝国の情報権益を推進するため、つまり戦争に疲れたアメリカ人に、この戦争がアメリカにどのような利益をもたらすか説明したり、NATO拡大を止められなかったプーチンの失敗をあざけったりする権限を与えられた言説作成者が、そうしているのに対し、普通の人々がそうするのは何が真実で事実かをはっきれさせるためだからだ。
この全て、アメリカのオリガルヒ、ピエール・オミダイアが資金提供する集団とEUが支援する研究が、イーロン・マスク支配下のTwitterが「ロシア・プロパガンダ」検閲に十分なことをしていないのを発見したと、ワシントンポストなどのマスメディアに流布されている中でだ。これによって、マスクは、プラットフォームがそのような内容を制限するよう要求している欧州連合のデジタル・サービス法違反になる。
The Washington Post’s latest “disinformation study” – sponsored by the EU with an Omidyar-funded group that accuses Twitter of failing to censor "Russian propaganda" – is another in a long line of fraudulent attempts to justify censorship with pro-censorship demands.
— System Update (@SystemUpdate_) September 7, 2023
Looking at… pic.twitter.com/2B63fpnPwB
グレン・グリーンウォルドが指摘している通り、デジタル・サービス法は「ロシア・プロパガンダ」を非常に広く定義しているため、検閲が必要な資料の範疇に「ロシアとのイデオロギー的連携」が含まれており、「元々作成されたコンテンツを通じて、またはクレムリンと連携した物語をさまざまな対象の視聴者や言語に広めることで、クレムリンの言説をオウム返しにする」人々が含まれる。
オンラインでアメリカの対ロシア外交政策に反対する人は誰であれ、ロシア政府と関係があるか否かにかかわらず、ワシントン・ポストのような報道機関から信じるよう言われたことを愚かに受け売りする帝国擁護者によって、常に即座に「クレムリンの言説をオウム返ししている」と非難される。私自身ロシアと何の関係も交流もないが、アメリカ外交政策を批判しているだけで、毎日多くのこうした非難をオンラインで受けている。
もし私がNATO事務総長なら、NATO拡大を阻止するプーチンの努力がいかに失敗したかを公にあざ笑い、不必要な紛争を防ぐのを拒否し、NATO拡大がこの戦争を引き起こしたことを認めても問題ないのだ。ところが私は欧米帝国の情報権益を支援するどころか、彼らを傷つけているので、私はロシア・プロパガンダ屋になる。
これは「ロシア・プロパガンダ」の定義に欠陥があるからではなく、意図した通り機能しているためだ。「ロシア・プロパガンダ」を無視し排除する動きは、ロシアが出す実際の資料(欧米世界で意味ある存在は本質的にゼロだ)と戦うことと何の関係もない。この行動の狙いは常にアメリカ外交政策への反対を踏みにじることだ。
権力の振る舞いを検証すると、世界の他の多くのことと同様、最終的に全ては言説の支配が狙いだ。本当の権力は、起きることだけを支配するのではなく、起きることについて人々がどう思うかも支配するため、世界の出来事に関する支配的言説を支配する者が誰であれ、実際に世界を支配するのを権力者は理解している。それがアメリカに中央集権した帝国をまとめる本当の接着剤で、人々が平和を意識し始めるまで、世界が平和を知る機会は決してあるまい。
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画像は欧州議会から。
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