帝国を異常化する
ハリウッドと主流欧米マスコミの主な仕事は、絶えざる暴力と強要を使って世界を支配する世界をまたにかける異常な帝国を友好的な普通の顔に見せることだ。連中の仕事は異様な専制政治を絶えず当然化することだ。
ケイトリン・ジョンストン
2023年8月27日
ハリウッドと主流欧米マスコミの主な仕事は、絶えざる暴力と強要を使って世界を支配する世界をまたにかける異常な帝国を友好的な普通の顔に見せることだ。連中の仕事は異様な専制政治を絶えず、当然化することだ。
メディアを支配し、財力で政治を支配する連中が、それぞれの王国を築いた現状を維持するのに都合が良い事実は増幅しながら、不都合な事実は過小報告する話題設定の慣行を含め、連中は様々な方法でこれを実行する。欧米人が何を受け取るか指示するシリコンバレー・アルゴリズム操作という形での話題設定操作も我々は目にしている。
帝国の当然化工作は、ニューヨークやハリウッドでの主流文化でっち上げという形で、アメリカでの暮らしの完全な虚構や、兵士や警察やジャーナリストや政治家が果たす役割の完全な虚構を絶えず描きだす。アメリカの本当の顔である酷い貧困や残忍な戦争挑発や資本主義搾取や腐敗は、ほとんど語られない。
映画『ウェイキング・ライフ』の登場人物が言う通り「我々全員メディアの機能は世界の悪を排除することではなかったのを知っている。連中の仕事は、それらの悪を受け入れ、悪と一緒に暮らすのに慣れるよう我々を説得することだ。権力は我々が受動的な傍観者になるのを望んでいるのだ。」
この当然化は、革命の薪を永久に湿らせ続ける。帝国がどれほど恐ろしく虐待的かを誰も理解しなければ、あるいは世界を支配したい殺人的暴君の支配下で生きることがどれほど到底受け入れられないか理解しなければ、意味がある変化への強い要求は決して現れない。革命の必要性を人々が認識しない情報環境を作るだけで、精神革命が始まる前に常時鎮圧できるのだ。
こうした企みが成功するのは人間の知覚に限界があるためだ。世界の全ての情報を一度に取り込めれば、どの権力構造が世界で最も殺害、搾取、虐待、抑圧をしているかに関し混乱する人は誰もいない。もし我々が常に新鮮な目で物事を見られれば、アメリカに中央集権する帝国という世界的いじめっ子の虐待に慣れさせる取り組みはうまく行くまい。我々は常に我々が暮らす権力構造の恐ろしい堕落を鋭く認識している筈だ。
ちなみに、これはどれも新しいものではない。比較的新しいのは、それが起きる方法だけだ。なぜ人々は専制政治下で生きるべきか、なぜ一部の人がそんなに多くを持ち、他の人がそれほどわずかしか持たないのが問題ないのか、なぜ我々のような外見でなく、言葉も違う外国人は、虐待し奴隷にしても当然で、良いことなのか、歴史を通して、人をだますソーシャル・エンジニア連中がウソの口実を作り上げてきた。王の神権。「発見」ドクトリン。骨相学。心の貧しい人は幸いである。だが税金を払い、カエサルのものはカエサルに返すのを忘れぬよう。唯一の違いは、現代の帝国の「当然化」は君主や奴隷所有者や大祭司が推進する代わりに、主にマスメディアを通じて行われる。
そして連中の仕事が帝国を「当然化」することなら、我々の仕事はそれを異常化することだ。
帝国に反対する人は誰でも、あらゆる機会にその恐怖の異様さを強調することで、虐待的本質の広範な当然化と戦える。慣れさせるベールを突き破る機会を常に指さすのだ。「ほら? この怪物連中が何をしているか見てください! 見て下さい!本当に見て!」
'Russia is portrayed as a violent, relentless and merciless villain [whereas] headlines on Yemen fail to employ similarly condemnatory narratives toward the Saudi-led coalition in Yemen.'https://t.co/byFPTNG9Ww
— Media Lens (@medialens) August 8, 2023
核の瀬戸際政策。イエメン。イラク。民間人を故意に標的にする飢餓制裁。故意に貧困を課して国内外で人々を死に至らしめた。ネオナチ、暴力的ジハード主義者、右翼反革命家を外国紛争で武装させ、地政学的利益を促進する。警察の残虐行為。オンライン検閲の執拗な推進。我々の心を操作するプロパガンダの休みなしの弾幕。ロシアと中国との熱い戦争のための益々騒々しい陣太鼓。グローバル資本主義の環境破壊的本質。
これらは全て非常に恐ろしいものだが、人々はそれを見過ごすよう条件付けられているため、実際それが見えないのだ。
したがって我々の仕事は彼らに見てもらうことだ。本当に見て、本当に理解してもらうのだ。このようにして一度に一人ずつ、当然化されたものを積極的に異常化できる。
しばしば、それが私がこの場所でしている主なことだと私は感じる。人々に帝国の恐怖を新鮮な目で見てもらうために働いている。全ての情報が既にそこにあり、すぐ見られるため、時間とエネルギーを非常に効果的に使える。必要なのは、それを見て人々が「うそだろう! それはずっとそこにあったの?」と言うような形でそれを組み立てるための洞察と道徳的明快さだけだ。
平和こそ当然だ。正義は当然だ。健康や調和は当然だ。アメリカ帝国下の我々の状況は途方もなく異常で、それを偽って報じるのは許されるべきではない。
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コメント
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こういうことを言うと、左巻きのリベラル周辺が「陰謀論がぁ」「歴史修正主義がぁ」の大合唱
上手く出来てますよね
投稿: 牛若小太郎 | 2023年9月 5日 (火) 07時08分
素晴らしい記事だと思います。
全く、そのとおりです。
軍需産業を儲けさせるため、世界中で戦争を起こすのが、アメリカ帝国のビジネスです。
キエフのネオナチは、そのための道具として、うってつけでした。
日本のウヨクも、同様の、都合のいい過激派です。
投稿: !&? | 2023年9月 4日 (月) 17時06分