技術保護主義の危険性を実証するファーウェイ・チップ
2023年8月31日
Moon of Alabama
ほんの数ヶ月前、アメリカが推進している新たな経済保護主義は反撃されると私は主張した。
先週、ジャネット・L・イエレン財務長官が米中経済関係に関して演説した。私はそれを宣戦布告と呼んだ。
昨日、ジェイク・サリバン国家安全保障問題担当補佐官がイエレン長官演説と同じ話題のいくつかに触れる「アメリカの経済指導力の復活」に関する演説をした。
市場開放と自由化から、対象を絞った保護主義と特定分野への補助金へとアメリカは方針を変えなければならないとサリバンは主張している。主な狙いは「国家安全保障」だが、本当の狙いは他国からの競争の抑制に思われる。
...
サリバン演説全体は自由市場と保護主義に反対し、特定部門補助金を支持する議論だ。第二次世界大戦終結後、アメリカが構築した経済的枠組みの廃止だ。これは、その枠組みを、アメリカに有利で、合意「パートナー」には不利益をもたらし、中国や他の「敵対的」経済を排除する二国間協定や経済圏規模の協定に置き換えることになっている。いわゆる中国からの「デカップリング」や「リスク回避」は実際は中国を孤立させる試みだ。それは中国における輸入品代替の動きを生み出す。
これにより、アメリカと同盟諸国から中国への輸出が減少する。これにより、この構図全体が最終的に中国に有利に働くだろう。
5年前、アメリカは国内外の企業がファーウェイへの5Gチップ提供を禁止した。そこで、ファーウェイが中国製チップを搭載した新しい5G電話を発表し、輸入品代替の画期的出来事が昨日明らかになった。
ファーウェイ Mate 60 Proが中国で静かに発売された。昨年のファーウェイ Mate 50 Proの後継機は、衛星通信機能やLTPO AMOLEDディスプレイなど、いくつか主要な改良がされている。携帯電話は、6.82Hz〜1Hzの範囲の適応リフレッシュ・レートと120Hzのタッチ・サンプリング・レートの300インチAMOLEDディスプレイを備えている。
アメリカはファーウェイへの5Gチップ供給停止を推進した。それは中国の代替品開発作戦を招いた。ファーウェイは高性能コンピューティングとAI開発に使用されるNvidiaのA100 GPUと同じくらい高速なグラフィックプロセッサも開発した。電話が使う新しい5Gチップは、本物だと確認されている。
中国が国内代替品を迅速に開発し、中国の3000億ドルのチップ輸入は縮小している。
同日、ロシアは、以前は外国サプライヤーから得ていたが、現在国内生産されているシステムへの置き換えに基づく新しいSJ-100スーパージェット初飛行で自律性を高めた。
ユナイテッド・エアクラフト・コーポレーションのユーリー・スリュサール最高経営責任者(CEO)も、このプロジェクトのより広範な影響を強調し「ロシアの技術的自給自足の証しだ」と宣言した。スリュサールは「我々の主目的は、飛行機の完全なロシア認証を取得し、航空会社への定期的出荷を開始することだ」と付け加えた。
この飛行機とファーウェイ新電話機の発表は、アメリカ商務長官ジーナ・ライモンドが中国訪問を終えたと同じ日に行われた。それは確実に勘所として意図されていた。
今日の環球時報社説は、それを、あえて繰り返している。
中国企業は必然的に封鎖を突破して前進する。これは中国の全体的発展と世界の利益との緊密な統合の結果だ。このグローバリゼーション時代において、中国企業を産業チェーンから追い出すという考えは、開発の法則に反するため、抵抗が増すだけだ。三年間の強制的な沈黙後のファーウェイ・スマートフォン復活は、アメリカの極端な抑圧が失敗したことを証明するのに十分だ。これはまた米中技術戦争の縮図でもあり、プロセス全体を反映し、最終的結果を予見する。最近、一部のアメリカ・メディアは、ファーウェイが「秘密」チップ工場を建設しているようなことを誇大宣伝するのに熱心だ。結局、これらは全て一般的傾向を見損なったり、信じるのを拒否したりしたことによるもので、中国企業の技術は全て「盗んだもの」という時代遅れの考えにしがみついている。本質的に、それはワシントンの技術的傲慢さで、アメリカは確実に、この傲慢さの代償を払うだろう。
中国はアメリカと欧州を合わせたより多くの技術者と研究者を教育しているため最終的に多くの分野で技術的に先行だろう。他の国々は、より専門化するか、中国からの輸入に市場を閉鎖する必要がある。
後者の場合、長期的に、より高い代償を伴い、比較的短期間しか持続できない競争の少ない環境を引き起こす。
----------
ゼレンスキーを大統領の座に押し上げたオリガルヒ、コロモイスキーが逮捕された。国防大臣レズニコフが解任された。
アメリカの漫画『シンプソンズ』に岸田首相が魚を食べる予言編がある?!
原発の社長が原発付近で釣られた三ツ目の魚を食べようとするお話。
The Simpsons predicted that the Japanese PM would eat a radioactive fish
汚染水放出で古い重要な国会質疑を思い出す。
2006年3月1日、2010年5月26日、2011年4月6日、13日の質問のダイジェスト。
吉井議員は2006年12月13日「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」を提出し、原発の安全対策について安倍内閣に見解をただした。これに対し首相安倍晋三は「そのような事態は起き得ないから対策の必要はない」と答弁した。吉井議員は京都大学工学部原子核工学科卒業。
巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書
答弁本文衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
どちらが正しかったか今や明らか。この質問・答弁自体知られていない。
彼は汚染水放出問題も、12年前に既に問題にしていた。
2011年4月13日 吉井議員の質問 衆院内閣委員会
原発汚染水 海洋排出は条約違反 32:18
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ウクライナ国防相を交代。後任のウメロフ氏はタタール系、元投資銀行家。ロシアとの穀物交渉に従事。戦争の真最中、非軍人の国防相就任は通常は不可思議。主要理由は汚職関連。米国で対ウ軍事援助制限の動き。その論拠がウ軍汚職、米国先週汚職撲滅に向けウ高官3人と会談。
「【IWJ号外】ミアシャイマー教授の最新論文『負けるべくして負ける~2023年のウクライナの反攻』全文仮訳(第1回)を出しました!」
« 帝国を異常化する | トップページ | クリミアとクリミア・タタール人を再び「思い出す」エルドアン »
「アメリカ」カテゴリの記事
- 就任さえしていないのに既に全面戦争を誓うトランプ(2025.01.15)
- グリーンランド併合の恫喝でデンマークの玄関マットを踏みにじるトランプ大統領(2025.01.14)
- マイクロチップ、海、戦争(2025.01.13)
- ウクライナで起きていることに関する欧米主流議論の消滅(2025.01.11)
「中国」カテゴリの記事
- 就任さえしていないのに既に全面戦争を誓うトランプ(2025.01.15)
- マイクロチップ、海、戦争(2025.01.13)
- エリート主義的暴政が暴露され、崩壊しつつある「欧米民主主義」(2024.12.13)
- トランプ大統領の対中国「貿易戦争2.0」は過酷なものになるだろう(2024.12.06)
- ウクライナ紛争や国内政治崩壊の損失によりドイツは崩壊しつつある(2024.11.23)
「Moon of Alabama」カテゴリの記事
- ワシントンポスト編集部 - 戦争を終わらせるのは負けるより悪い(2025.01.12)
- 2025年 - 敗北の危機に瀕しているウクライナ(2025.01.09)
- ガザに関する新たな報告(2024.12.22)
- ロシア - 挑発に応じるか、それともチャーリー・ブラウンのようにルーシーのサッカー・ボールで騙されるのか?(2024.12.21)
コメント