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2023年9月14日 (木)

ブリンケン:アメリカが供給したミサイルによるウクライナのロシア領内攻撃にアメリカは反対しない

 核戦争に我々がどんどん近づいている事実は日々見出しを独占すべきで、地球の大災害を回避する方法という主題こそ、絶えず主流政治言説の焦点になるべきだ。

ケイトリン・ジョンストン
2023年9月11日

 この英語記事の朗読を聞く(Tim Foleyによる朗読)。

 ABCのThis Week with Jonathan Karlに出演した際、アメリカが供給する長距離ミサイルを使ってロシア領奥深く攻撃すれば、アメリカはこの紛争の直接当事者になる「超えてはならない一線」の行動だと以前ロシアが呼んだことにアメリカは反対しないとトニー・ブリンケン国務長官は明言した。

 「長い間ウクライナが要求してきた長距離ミサイルの送付をアメリカが検討していると理解しています」とインタビューでカールは言った。「射程320キロの長距離ミサイルです。ウクライナがそのミサイルでロシア領の奥深く攻撃するのを可能にして大丈夫ですか?」

 「標的決定は彼らの決定で我々の決定ではありません」とブリンケンは自慢げに答えた。

 「ウクライナ無人機によるロシア領攻撃の数が増えており、ほんの数日前モスクワ、ロストフナドヌでも攻撃がありました。あなたの提案ですか?」とカールは尋ねた。

 「いいえ」とブリンケンは言った。

 「そうでしょうか。大丈夫ですか。つまり明らかに彼らの決定ですが、戦争は今ロシア国内にエスカレートしているのでしょうか?」とカールは尋ねた。

 「ジョン、ウクライナ領外での武器使用を我々は奨励しておらず許可もしていません」とブリンケンは言った。「とは言え一歩離れてみましょう。事実上毎日ロシアはウクライナ全土を無差別攻撃しています。私がそこにいた48時間、キーウを含む民間標的に更に多くのミサイルが発射されました。市場への恐ろしい攻撃、食料を買いに行っただけの人々、民間人は戦争と何の関係もありません。17人殺されました。これがウクライナ人の日常生活です。これに彼らは毎日直面しているのです。従って彼らは領土をどう守るか、奪われたものを奪還するため、どう働くか基本決定を下さなければなりません。我々の役割、彼らを支援する世界の何十もの国々の役割は彼らがそうするのを支援することです。究極的に我々全員が望んでいるのは、このロシア侵略の終焉、再度の永続的侵略終焉です。それを他の誰よりもウクライナ人が望んでいます。それが我々が目指していることです。」

 その後、それ以上カールの追求なしでインタビューは終わった。ウクライナにどんな権利があるかに関し、くどくどと話すのをうまく切り上げ、アメリカ自身がしている本当の問題の議論をブリンケンは避けた。ウクライナがロシア領を攻撃する権利を持っていることに異議を唱える人は誰もいない。ロシアがウクライナ領を攻撃しているので、もちろんウクライナには報復する権利がある。それはどこでも真剣に議論されていない。議論されているのは核戦争につながる可能性があるので、これら攻撃をアメリカが支持すべきかどうかだ。

 一年前、HIMARSの約四倍射程の戦術ミサイル(ATACMS)をアメリカが送る要求をウクライナが最初に始めた際、ロシア領でそれを使用すれば、アメリカは紛争の直接参加者となり、ロシアはそれに応じて対応するとロシア外務省報道官マリア・ザハロワが即座に反論した

 「より長距離のミサイルをキーウに供給するとワシントンが決定した場合、超えてはならない一線を越え、紛争の直接当事者になる」とザハロワは言い、ロシアは「領土を守る権利を留保する」と付け加えた。

 マイケル・トレーシーがTwitterで指摘した通り「ロシア領内の標的に対し」アメリカが供給する他の兵器システムを使用しないとウクライナはアメリカに保証したとブリンケンは昨年言っていた。今のブリンケン発言と、ウクライナによるロシア連邦内への我々が目にしている攻撃からして、この合意はもはや実施されていないようだ。アメリカ供給兵器をウクライナがクリミアに対する使用支持をブリンケンは以前表明しており、今やアメリカが供給する武器がロシア領土で使用されても問題ないと彼は言う。

 つまり核超大国間に更なる大規模エスカレーションがあったように見えるのだが、またしても欧米マスコミは驚くほど過小報道だ。

 今年7月Anti Warに掲載された「ATACMS:この頭字語を大いに恐れよ」という題の記事で、このミサイル・システムは「アメリカとNATOをロシアとの全面戦争に引き込む可能性がある」とWest Suburban Peace Coalitionのウォルト・ズロトウ理事長が書いた。

 ATACMSは最大300キロ攻撃できるアメリカ長距離ミサイルだ。おそらくバイデン大統領を含めアメリカ高官は、クリミアを含むロシアの全ての利益を取り戻すウクライナの戦いで、ウクライナへのATACMS供与を真剣に検討している。ATACMSはクリミアとロシア本土両方に到達可能だ。

 それをウクライナがロシア攻撃に使用した場合、ロシアがウクライナで戦術核兵器を使用する可能性を極端に高めるミサイルとなる可能性がある。ロシアとロシア敗北を狙うアメリカ/NATO同盟間の核紛争への更なるエスカレーションの可能性が高まる。

 戦争に引き込まれて核戦争を引き起こすのを恐れて、以前供給を拒否していた攻撃兵器をアメリカと同盟諸国は益々ウクライナに提供し続けている。既に戦争初期から傾向として確立されているので、以前はエスカレートしすぎと見なされた戦車やF-16、ATACMSをアメリカは供給することになるとウクライナ国防相オレクシー・レズニコフは昨年正確に予想していた。

 昨年「侵略前、11月にワシントンD.C.でスティンガーを要求した際、彼らはそれは不可能だと言った」とレズニコフはニューヨーカーに語った。「今やそれは可能だ。16ミリ砲を頼んだ時、答えはノーだった。HIMARSはノー。HARMもノー。今やそれは全てイエスだ。」「従って明日は戦車とATACMSとF-16が送られると確信している」と彼は補足した。

 今年早々Responsible Statecraftの記事「ミッション・クリープ(終わりの見えない展開)?ウクライナにおけるアメリカの役割がいかにゆっくりエスカレートしたか」で、ブランコ・マルセティックが書いたように「この継続的エスカレーションのパターンは、実際には、警告や超えてはならない一線が無視されないよう、ロシアが欧米諸国に対し攻撃的行動を取り始める動機を与えている。

 「ウクライナ軍支援をエスカレートして、超えてはならない一線の本気度を示すため、モスクワが抜本的で積極的な措置を講じる動機をアメリカとNATOは作った」とマルセティックは書いている。「これは最良の状態でさえ危険だが、ロシア当局が戦争をウクライナだけでなくNATO全体に対するものと益々 見なして、NATOの武器供与エスカレーションに対し、核による反撃という恫喝を明らかにしている場合はなおさらだ。」

 「武器供与のエスカレーションは容認できず、より広範な戦争を意味する可能性があるとモスクワは言い続けている。モスクワがこれら脅威に対処しないので、自由にエスカレートできるとアメリカ当局は述べている。これに対し真剣に対処するのを示すためエスカレートしなければならないとロシアは事実上言われているのだ」とマルセティックはTwitterで付け加えた

 だから、これが全員が常に話す主題でないのは実に奇妙だ。我々がどんどん核戦争に近づいている事実こそ日々見出しを占めるべきで、地球の大災厄を回避する方法という主題こそ主流政治的言説の絶え間ない焦点であるべきだ。そういう行為こそがロシアや中国のような不従順な国々を弱体化させ、一極世界支配を確保すべく働いている地球を支配する帝国の壮大なチェス盤操作を邪魔するのだから。

 世界の終わりについて考えるのは困難だ。それを理解するのは更に困難で、ましてそれが何か、何を意味するかに関する深い熟考という厳しい白色光を見つめるのは遙かに困難だ。多くの認知的不協和や不快感が生じるので、大統領選挙のように咀嚼が容易なものに注意を移す方が容易だ。

 だが、これこそ緊急に検討する必要がある。今世界の舵取りをしている連中は先が見えないまま運転しているように見えるためだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2023/09/11/blinken-us-does-not-oppose-ukrainian-attacks-inside-russia-with-us-supplied-missiles/

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 IWJ岩上安身氏、総理会見から排除。つまり会見出席を許されている皆様全員記者。

 日刊IWJガイド

「昨日、岩上安身を、総理会見から官邸はついに排除! トラブルは何も起こしていないのに!?」

【IWJ_YouTube Live】16:00~「岩上安身による 元外務省国際情報局長孫崎享氏インタビュー」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

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