国務長官という肩書きを偽善長官に変えよう
昨年、パキスタンで人気があり民主的に選出されたイムラン・カーン首相を追放するようアメリカが圧力をかけたことが明らかになった。一週間後の水曜日、「自由で公正な選挙」に向けたパキスタンの準備を祝ってトニー・ブリンケン国務長官がツイートした。
ケイトリン・ジョンストン
2023年8月17日
この記事の英語朗読を聞く(Tim Foleyによる朗読)。
昨年、パキスタンで人気があり民主的に選出されたイムラン・カーン首相を追放するようアメリカが圧力をかけたことが明らかになった一週間後の水曜日、「自由で公正な選挙」に向けたパキスタンの準備を祝ってトニー・ブリンケン国務長官がツイートした。
「パキスタン新暫定首相@anwaar_kakarおめでとう」とブリンケン国務長官はツイートした。「パキスタンが憲法と言論や集会の自由の権利に従って、自由で公正な選挙の準備をする中、我々は経済的繁栄への共通の誓約を前進し続ける。」
先週インターセプトが発表した「秘密のパキスタン電報文書:イムラン・カーンを解任させるアメリカの圧力」という題名の記事は、ブリンケン率いる国務省が昨年3月にパキスタン政府にカーンを解任するよう圧力をかけた証拠を明らかにした。漏洩された文書は、国務省職員ドナルド・ルーがパキスタン大使に、カーンが追放されなければパキスタンにとって「先に進むのは難しい」が、もし彼が追放されれば「全て許される」と露骨な脅迫をし、ウクライナ戦争に関する、この首相の「積極的な中立的立場」をアメリカとヨーロッパ同盟諸国は好んでいなかったと報じている。
翌月、カーンは不信任投票で追放され、現在投獄されており、政治への関与を5年間公式に禁じられている。
Congratulations to new Pakistan Interim Prime Minister @anwaar_kakar. As Pakistan prepares for free and fair elections, in accordance with its constitution and the rights to freedom of speech and assembly, we will continue to advance our shared commitment to economic prosperity.
— Secretary Antony Blinken (@SecBlinken) August 16, 2023
文書の信憑性は、カーンに反対するパキスタン当局がしぶしぶ確認したが、インターセプトに公開される前、その内容で明らかにされたことを、アメリカ国務省は何度も否定していた。先月、国務省報道官マシュー・ミラーは「パキスタンや他の国の、特定政治家や政党や、それに反対する政治家、政党に特定の立場をアメリカは持たない」と明確に述べたが、これは文書の暴露と明らかに矛盾している。
明らかに、世界最強力で暴力的で破壊的政府の役人が、首相を権力から外さなければ「先に進むのは難しい」と言いながら、もし外せば「全て許される」と言うなら、それはその国の民主的過程への厚かましい干渉だ。それなのに、国務長官はパキスタンの素晴らしい「自由で公正な選挙」に関してペラペラ]しゃべっているのだ。
今月初め国務省はTwitter(または今どういう名であれ)で別のとんでもないことをして「人権を侵害する政府は、ほとんどの場合、他国への侵略、強制、脅迫、貿易規則違反など、その秩序の他の重要な部分を無視する政府と同じだ」と言うブリンケンを引用した。
もちろん、これら全てをアメリカ政府は始終している。
このような明白な偽善は、民主主義や人権などの概念を、連中が推進したい価値観としてではなく、敵に対して使う政治的棍棒としての継続的使用を伴うので、アメリカ国務長官にとって、ありふれたことだ。
これは、漏洩された2017年国務省メモで詳細に説明されており、当時のDCの悪の世界への新参者、当時の国務長官レックス・ティラーソンに、戦争屋の沼地の怪物ブライアン・フックが、アメリカ政府の「人権」見方を説明したことがあった。アメリカの敵国における人権侵害は強く批判されるべきで、ワシントンの命令に屈する国々では見過ごすべきだとフックはティラーソンに語っていた。
「現実的で成功する外交政策の有用な指針の一つは、同盟国は敵とは異なる、より良い扱いを受けるべきだ」とフックは書き、人権侵害で積極的に批判されるべき敵国の例として中国、ロシア、北朝鮮、イランを挙げ、アメリカと連携している人権侵害を見過ごべき国の例としてエジプト、サウジアラビア、フィリピンを挙げた。
メモには「慎重に扱うべきだが、機密扱いではない SENSITIVE BUT UNCLASSIFIED」というレッテルが貼られており、これはワシントンでは実際には秘密ではない情報の分類だが、それでも人々があまり注意を払わないことを連中が望んでいるのは確実だ。
.@SecBlinken: “Governments that violate human rights are almost always the same ones that flout other key parts of that order – such as invading, coercing, and threatening other countries, or breaking trade rules.” The U.S. will continue to take a stand for human rights for all. pic.twitter.com/9qh0gWdVnT
— Department of State (@StateDept) August 4, 2023
これはアメリカ国務省で確立されている通説だと我々は知っているので、国務長官が常に自国政府の行動に直接反する方法で話すのも不思議ではない。アメリカ帝国は民主主義や人権を気にせず、権力と支配を気にしているのだ。民主主義と人権への口先だけの支持は、連中が気にくわない政府を外交的に弱体化させながら、道徳的権威の幻想を作り出す手口の一つに過ぎない。
このため、国務省は偽善省、国務長官は偽善長官と呼んだ方がおそらく良いだろう。あるいは皆様が物事についてこだわりたければ、偽善的指振り長官が良いかも知れない。
国務省は本来陸軍省の相手役になるよう意図されていた。陸軍省(後に事態が露骨になりすぎないよう国防総省に改名)は戦争に注力することを意図しており、国務省は外交と平和に注力することを意図していた。
アメリカの権力構造が果てしない暴力と侵略に依存する世界規模帝国へと変貌するにつれ、結局国務省は、飢餓制裁、代理戦争、戦争連合に対する国際的支持を盛り上げるため、世界舞台での介入主義の物語のでっち上げに益々焦点を合わせるようになった。
したがって実際アメリカは、国防総省と国務省という二つの戦争省の国になってしまったのだ。だからこそ国務長官は益々好戦的愛国心の精神病質者になり、ある種の反社会性人格障害が、ほとんどその地位の職務要件になっているのだ。
だが、それはまさに歴史の現時点でのアメリカ帝国の実態だ。重度の人格障害を持つ世界を股にかける巨大ないじめっ子だ。アメリカ帝国は悪性ナルシストの人格特性を全て備えている。付き合う対象としてでなく搾取する資源として人々を見て、連携して理解するのではなく、操作し、制御するためにやりとりし、何より欲望を優先しない人は誰であれ敵になる。
その作業のために配置するにはアントニー・ジョン・ブリンケン以上に相応しい人物を求めることはできない。
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画像はアドビ・ストックから。
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2023/08/17/rename-the-secretary-of-state-the-secretary-of-hypocrisy/
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