アメリカ監視国家 ビッグブラザーはいつ倒れるのか?
2023年8月3日
Phil Butler
New Eastern Outlook
定義:「impunity 免責、名詞、罰の免除、または行動の不利な結果からの自由。」
2013年、米国家安全保障局(NSA)によって、個人、企業、政府に対し世界規模で大規模な監視が行われているという情報をエドワード・スノーデンは漏らした。スノーデンは、何百万もの文書をメディアに公開し、米国政府機関、特にNSAが免責で活動し、機関の視野にいる相手をスパイしているという彼の主張を証明するために不可欠なファイルを保管した。エドワード・スノーデンの内部告発は、NSAがファイブアイズ四カ国パートナーの三つ、オーストラリアのASD、イギリスのGCHQ、カナダのCSECと緊密に協力して行っている凶悪な作戦を明らかにしたにもかかわらず、誰も首を切られなかった。
NSA米国家情報長官で退役米空軍軍人ジェームズ・クラッパー中将はNSAの盗聴やその他の戦略についても議会にウソをついたが軽い叱責さえ受けなかった。その後、オバマ大統領は「諜報機関でのクラッパー長官の指導力を完全に信頼している」というメモを書いた。クラッパーは、バラク・オバマが大統領を辞任した日に辞任した。彼は現在、CNNの評論家だ。
個人や権力機関による想像を絶する不正行為の代償をエドワード・スノーデンだけが支払った。狩られたのは彼一人だ。そして更に悪いことに事件全体は専制政治に抵抗する一般大衆の意志のテストだった。当時のバラク・オバマ大統領や膨大な数の政治家や大企業の欧米指導者連中が、個人や企業、更には慈善団体に対する法的権限のない徹底監視について知っていたのは今や明らかと思われる。ある例では、NSA、CIA、GCHQは、Second Life、Xbox Live、World of Warcraftのユーザーをスパイし、これらサイトから情報提供者を募集しようさえとした。これら全てとそれ以上のことが、ガーディアン紙ジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドが明らかにした。
NSAが行っていたことの重大さを理解するため、グリーンウォルドの著書No Place to Hideで、NSAが表明していた狙いは「全てを収集し」「全てを処理し」「全てを利用し」、「全員と提携し」「全てを嗅ぎ分ける」「全てを知る」だと述べていた。バラク・オバマはNSAや他の諜報機関を擁護し、世界中の人々に、基本的にアメリカの自衛方法が気に入らなければ「邪魔するな」と言った。そしてスパイ活動は続いている。
真実の語り手としてエドワード・スノーデン一人が窮状にあっているわけではない。ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジは、オーウェルが想像しただけだった本物のビッグブラザーに対する究極の偶像破壊者だ。十年以上にわたりアメリカ安全保障国家から逃がれたが、今や単に真実を公表しただけで、イギリス最悪の刑務所で苦しんでいる。最初ウィキリークスはチェルシー・マニングの恐ろしい発見を発表し、米軍がアフガニスタンとイラクで犯した戦争犯罪を明らかにしたのだ。具体的に、マニングの証拠は、ほとんどが子供の民間人147人が殺されたアフガニスタンでのB1グラナイ空爆の恐怖を世界に示した。
ウィキリークスを通じて、マニングは、アメリカのAH64アパッチ・ヘリコプターが二人のロイター従軍記者と民間人を射殺した2007年のバグダッド空爆も明らかにした。国防総省は決して公式に調査を開始していないが、ロイター特派員が「報道」章を着けていなかったため、ロイター特派員が亡くなったのは自業自得だという声明を発表した。この件では、チェルシー・マニング以外誰も侮辱や怪我を受けていない。
WikiLeaksは、2016年の大統領選挙でドナルド・トランプに対抗する指名で民主党の競争相手バーニー・サンダースをヒラリー・クリントンがだました方法など大ヒット話題作を次々公開した。この場合、DNC議長のデビー・ワッサーマン・シュルツが辞任し、DNCはサンダースに謝罪した。ワッサーマン・シュルツは、フロリダ州第25議会地区の米国下院議員で、2004年に就任した。アメリカ指導部は選挙過程で国民をだましたのに、誰も首頭を切られなかった。それから連中は大統領の座を失ったことでロシアを非難した。今も我々が連中にそうさせているので連中はほとんど全てをロシアのせいにしている。
ケーブルゲートは、アラブの春がどのように世界に解き放たれたかを明らかにした。それから、グアンタナモ湾ファイル、シリア・ファイル、キッシンジャー電報、サウジアラビアの暴露があった。ところが、ジョン・ポデスタとヒラリー・クリントン間の電子メール公開で、ウィキリークスは、ワシントン・エリートの全くの傲慢さと不謹慎さを明らかにした。その後、DNC民主党全国委員会漏洩の情報源であるセス・リッチは、ワシントンの基準でさえ、あっという間に殺された。そしてグアンタナモでも、ベンガジの大失態でも、特にアメリカがISISを創設して何百万人もの難民をヨーロッパに送った時も、誰の首も飛ばなかった。我々は絶対的免責について話をしている。他の生徒からだけでなく教師や校長からも校庭のいじめっ子が逃げるのを我々は目を大きく見開いて見ている。
最近漏洩されたDiscordファイルに早送りすると、アメリカの闇の国家は依然ウクライナ(ゼレンスキー事務所を盗聴して)、ドイツを含むNATO同盟諸国、アントニオ・グテーレス国連事務総長などの外交官や、2016年の出来事に関連して最近FBIにFacebookデータが押収された筆者などの一般市民をスパイしている。ごく最近、ロシア-アフリカ首脳会談の前夜、赤道ギニアの大臣が盗聴されて、アメリカの友人や敵に対するスパイ活動が減速さえしていないことを示している。アメリカ安全保障国家は、あらゆる人に耳を傾け、記録を作成する。アメリカの支配エリートは新しいマフィアになり、みかじめ料を取り立て、賄賂や殺害を活用し、恐喝情報を収集し、アメリカ憲法が個人の権利について述べていることを全て破棄した。それでも誰も首を切られない。橋やパイプラインへのドローン攻撃から、ウクライナで戦っているロシア人将軍の衛星による標的追跡にいたるまで、アメリカはとうの昔に正義の味方の白いカウボーイハットを脱ぎ捨てたのだ。
戦争地帯で活動しているアメリカや他のNATO諸国特殊部隊の存在を証明するDiscordファイルで終わりたいと思う。ウクライナ紛争が中東に波及していることに気づいているアメリカ人はごくわずかだ。マサチューセッツ空軍州兵で21歳の空軍兵ジャック・テイシェイラによるとされるDiscordチャット漏洩は、上級の軍や諜報機関指導者を対象とした機密情報を明らかにする数十の高度に機密化された文書だ。いくつかのファイルはロシア軍事計画へのアメリカの侵入、ロシアだけでなくアメリカ同盟諸国や国連事務総長に対するアメリカのスパイ活動を示している。
アメリカ合州国の支配層エリートはスパイ活動を行い、国内外での完全免責で二枚舌を使っている。多くの専門家はアメリカ監視国家について話すが、情報が収集された後、アメリカが取る行動について語る人はほとんどいない。ここではノルドストリーム・パイプラインやムアンマル・カダフィのような指導者の打倒、そしてアメリカが支援する政権転の影響は語らない。私はこの記事を、究極の損害、人命、可能性、そしてアメリカ人が大切にすべき自由の喪失で終わりたいと思う。
フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者で東ヨーロッパ専門家で「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」という最近のベストセラーや他の本の著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/08/03/the-american-surveillance-state-when-will-big-brother-fall/
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Larry Johnson、政府のNATO団結強化のでたらめ説明を論破
The Russian Forces Have Broken Through In Great Strength 54:18
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「トランプ米大統領、3件目の起訴! 容疑は1870年施行の『KKK法』違反!? トランプ氏側は『次期大統領選挙への介入』だと反発!!」
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