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2023年7月17日 (月)

現在の戦争プロパガンダ

2023年7月9日
ケイトリン・ジョンストン

この記事の英語朗読を聞く(ティム・フォーリーによる朗読)。




 ニューヨークタイムズに「アメリカがウクライナに送っているクラスター爆弾はしばしば爆発しそこねる」という見出しで、「国防総省声明は、ウクライナに送られるクラスター爆弾には、故障率が14%以上だと知られている古い弾丸が含まれていることを示している」という小見出しの新記事がある。

 大多数の人々のように見出しだけ読めば、報道されているニュース記事は、アメリカは時々欠陥ある兵器をウクライナに与えている印象を受けるはずだ。それ自体、報道価値がある話のように聞こえ、それが見出しで提供される唯一の情報だ。

 見出しに加えて小見出しを読んでも同じ印象のはずだ。最初の段落全体と第二段落最初の部分を読んでも、アメリカはウクライナに標準以下のクラスター爆弾を送っているという話を読んでいると思える。

 第二段落最後の文に到達するまで、ウクライナにこれら兵器を送ったことで世界がバイデン政権を批判している理由を説明する重要情報に至らない。


 「数年後あるいは数十年後に、爆弾はそれにつまずいた大人や子供を殺しかねない。」

 

 もちろん本当の話は、アメリカがウクライナにまともなクラスター爆弾を送り損ねていることではなく爆発しない爆弾が民間人を殺し戦闘が終わった後もずっと殺し続けるという話だ。

 この記事の正しい見出しは「アメリカがウクライナに送っているクラスター爆弾は今後何年にもわたり民間人を殺す」という類いのもののはずだ。ニューヨーク・タイムズはアメリカ・プロパガンダ機関なので、「おっと、小爆弾は時に爆発しないことがある!」という見出しが付けられるわけだ。

 土曜日、ウクライナのNATO加盟を主張する二つの別々の記事、ワシントン・ポストとガーディアンで、マスメディア戦争プロパガンダのもう一つの興味深い例を見た。

 "NATO加盟だけがウクライナの平和を保証できる"と題するワシントン・ポスト記事で、マーク・ティーセンとスティーブン・ビーガンは、戦争が終わったら、ウクライナは物議を醸している欧米軍事同盟に追加しなければならないと主張している。彼らは「NATO創設からほぼ75年後、実績は明らかだ。NATOは戦争を引き起こさない。NATOは平和を保証する」と述べ、リビアやアフガニスタンのような国々への悲惨なNATO軍事介入の生存者にとって確実に驚きだろう。

 「現在の戦闘が続いている間、ウクライナのNATO加盟を主張する真面目な人はいない」とティーセンとビーガンは書いている。「それはロシアとの宣戦布告に等しい。しかし停戦後、平和がNATO加盟諸国に保証されない限り、永続的平和が達成できないことも同様に真実だ。」

 ワシントン・ポスト紙の「現在の戦闘が続く間、ウクライナへのNATO加盟を擁護する真面目な人はいない」という立場は、現在の戦闘が続く間、ウクライナのNATO加盟を明確に主張する戦争宣伝屋サイモン・ティスダルによるガーディアン記事からわずか数時間後に公開された。

 ティスダルは次のように書いている。


 この議論に対する主な異議は、元アメリカのNATO大使イヴォ・ダールダーが要約した。「NATO諸国が直面している問題は、紛争が続く限り、ウクライナを同盟に入れるのは戦争への参戦に等しいことだ」と彼は警告した。しかし前例がある。西ドイツは1955年にNATO加盟を実現したが、ウクライナ同様、ソ連の傀儡である東ドイツが保有する占領下の主権領土をめぐって争っていた。同様に、NATO防衛の傘は、キーウが現在支配しているウクライナ領土の約85%をカバーするように合理的に拡張できる。

 ティスダルは、1955年に西ドイツは戦争をしていなかったという明白な矛盾に対処したり、現在戦争中の国の85%以上にNATOの「傘」をかけることが戦争に引き込まれるのを防ぐのかを説明したりしない。

 

 最後に最新のクラスター爆弾送付に対する熟達した戦争屋ジョン・ボルトンの熱狂的支援について「ボルトン、クラスター爆弾をウクライナに送るバイデンの決定を「素晴らしいアイデア」と称賛」という題のヒル記事がある。

 はっきり言っておくが、これはニュース記事ではない。ジョン・ボルトンはクラスター爆弾が好きだと報じるのは、スヌープ・ドッグがマリフアナが好きだとか、フレイヴァー・フラヴが時計ネックレスが好きだと報じるようなものだ。子供の朝食用シリアルの漫画キャラクターのスターチ・ブランドと同じくらい、軍の爆弾によって子供が殺される可能性に彼が熱心になるのは明らかだ。彼は戦争犯罪変人なのだ。

 以前議論したように、マスメディアにおけるジョン・ボルトンの存在は我々の文明全体が病んでいるの証明だ。我々は分析や専門的発言のために、そんな怪物を探すべきでなく、手に負えない連中を我々は全ての町から追い出すべきだ。軍事暴力でより多くの人間を殺す機会がある時は常に、彼の意見が有効で意味があるかのように言及される事実は、我々の中で最も狂った連中が運営する狂牛病の家に我々が閉じ込められていることを示している。

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 画像はAdobe Stockより。サイズに合わせて調整。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2023/07/09/today-in-war-propaganda/

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 Alex Christoforou 10:40のあたり、ウクライナの現状に関するリンゼー・グラム狂気Twitter。

NYT, 20% weapons destroyed. Graham, conflict good for USA. F16 delay. Modi-Macron peace deal. 39:40

 植草一秀の『知られざる真実』

木原誠二官房副長官の末路

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

世界の金融システムの脱ドル化は続く。新しい金融テクノロジーの開発で促進される。だがドルに代わるべきユーロ、人民元、金などは各々問題点内蔵。近い将来に世界の金融システムに根本的な変化が起こることは期待できない(ロシア人学者の見方)。

 日刊IWJガイド

「木原官房副長官の妻の『前夫殺害疑惑』は『警察組織から政権への「忖度」』で潰された!? 当時の栗生俊一・警察庁長官は現在官房副長官!!」

<インタビュー決定>7月18日(火)午後6時半から、フランス現代思想がご専門の哲学者である一橋大学名誉教授・鵜飼哲氏への、岩上安身によるインタビューが決定しました! 米国の正体は地上唯一の軍事超帝国! その支配の完結を求めてNATOの東方拡大によりロシアの弱体化を狙うも代理戦争は頓挫! その間に、グローバルアジアが覚醒! 植民地にされ、奴隷貿易によって搾取されてきた欧米列強の不正義を訴え始めています! 鵜飼哲先生に、この世界の変化を解説してもらいます。

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