アメリカの対ロシア・対中国政策が間違っている理由をうっかり説明したジョン・ボルトン
ケイトリン・ジョンストン
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熟練の精神病質者ジョン・ボルトンは「キューバでの中国軍事拡大をアメリカは許さない」という題の記事をヒルに書き、アメリカ帝国がアジアの大敵の国境に重武装代理軍を集め続けているやり方のどこが拙いのか、うっかり詳しく説明している。
先月のウォール・ストリート・ジャーナル報道を引用して匿名のアメリカ当局者が、キューバにおける将来の合同軍事訓練施設の可能性についてハバナが北京と交渉に入ったと主張し、政権転覆介入を含め、この施設建設を防ぐため必要なあらゆる攻撃をアメリカは使わなければならないとボルトンは主張している。
「本格的な中国施設がキューバに存在する可能性はアメリカにとって注意すべき脅威だ」とボルトンは書いており、そのような活動は「攻撃兵器、輸送システム、またはその他の脅威的能力を巧妙に隠蔽する可能性がある」と主張している。
「たとえば弾道ミサイルよりも既に検出、追跡、破壊が難しい極超音速巡航ミサイルは、キューバ配備の当然の候補で、中国潜水艦基地のような他の多くのリスクとともに容認できない可能性だ」と彼は補足している。
これら全て、身近な場所でアメリカが戦争機械によって彼等の安全保障上の利益を脅かしている方法に関しロシアと中国が一字一句主張できる、ほとんど注目に値する議論だ。
Do sovereign countries have the right to host foreign militaries on their soil without their neighbors complaining, or do they not?
— Glenn Greenwald (@ggreenwald) July 6, 2023
Bolton, always a maniac, suggests this is worse than the Cuban Missile Crisis. Imagine how aroused he got when writing this: https://t.co/gfDVCSlZE8
アメリカは「我々の武力行使を制限するいかなる誓約にも拘束されない」とボルトンは主張し「この報告された進展への即時対応として、キューバとの外交関係を取り消す。中国とキューバ両国に対する経済制裁を強化する。そして既存制裁の遙かに厳格な実施」と、キューバの不従順な行動に対する究極的解決策として政権転覆介入を主張している。
「アイゼンハワー大統領やケネディ大統領がカストロに対しより強力かつ効果的に行動していれば、キューバ国民抑圧は言うまでもなく、何十年にもわたる戦略的懸念を免れ、多くの危険な冷戦危機を回避できたかもしれない」とボルトンは書き「北京の脅威が高まっているため、この地理的に重要な島を、その国民の友好的な手に戻す方法を真剣に再考せずに今の瞬間を逃すべきではない」と付け加えた。
アメリカがハバナを倒すための利用を選択すべきあらゆる作戦に関し、グアンタナモ湾は「今も完全に利用可能だ」とボルトンは述べている。
これは2002年にキューバが、9/11後の戦争で、イラクに対しアメリカが極端な侵略を進めるのを助けたと同じ衝動で、生物兵器プログラムを持っていると偽ってキューバを非難した同じジョン・ボルトンだ。
The Single Dumbest Thing The Empire Asks Us To Believe
— Caitlin Johnstone (@caitoz) May 1, 2023
The dumbest thing the US-centralized empire asks us to believe is that the military encirclement of its top two geopolitical rivals is a defensive action, rather than an act of extreme aggression.https://t.co/LhZW6sQv9I
ワシントン界隈に外国勢力が軍事駐留を仕掛けているというかすかなささやきがあるたびに、タカ派は即座に陣太鼓を叩き始め、軍事同盟を結成し、地政学的ライバルの玄関口に代理軍を集結する権利に対するアメリカ帝国の偽善をさらし始める。帝国擁護者連中は、彼等の周囲へのアメリカ軍侵入は容認できない安全保障上のリスクだというロシアと中国の主張を常に一蹴し、敵の立ち入りを禁じる「勢力圏」の権利を持つ国はないと言うが、アメリカが自らの教義と行動で、自らの勢力圏に対する権利を保留していることははっきり見えている。
今年初め、ジョシュ・ホーリー上院議員が聴衆に不気味に尋ねた「中国軍艦がハワイ海域を哨戒し、中国潜水艦がカリフォルニア海岸を威張って航行する世界を想像願いたい。人民解放軍が中南米に軍事基地を持つ世界。中国軍がメキシコ湾と大西洋で自由に活動する世界を。」これはまさに米軍が中国に対して行っていることだ。
アメリカ中央集権帝国が我々に信じるよう求めている最も愚かなことは、地政学的ライバル上位二国に対する軍事包囲は極端な侵略行為ではなく、防衛行動だというものだ。米国がロシアと中国を軍事的に包囲しているのは侵略行為ではなく防衛行為だという考えは、目に見えて明らかに愚かで、これについて十分批判的に考える人なら誰でも、それは阿呆のたわ言だと即座にそれを却下するだろう。ところが、それを欧米世界の主流物語たるプロパガンダで何百万人もの人々がそれを真実として受け入れているのだ。
US presidential candidate Marianne Williamson when asked about reports of China helping train Cuban troops:
— Arnaud Bertrand (@RnaudBertrand) July 4, 2023
"Do you know how many military bases we have surrounding China? 313. Americans need to wake up."
I actually didn't know it was SO many. Insane...https://t.co/OLt6v34Q4K
偽善を強調する要点は、偽善者であること自体が特別な犯罪だということではなく、偽善者が彼らの動機と行動についてウソをついているのを示し、彼らの立場を擁護する連中の議論を解体することだ。もしキューバにおける中国軍駐留を扇動的挑発だとアメリカが解釈するなら、論理的にアメリカがロシアと中国の国境に蓄積した遥かに巨大な軍事駐留は、同じ推論により遥かに大きい挑発であり、アメリカはそれを知っている。根拠のない「我々がそうする場合は違う」という主張に依存する反対する議論など存在しない。
ロシアや中国が決して容認しないアメリカの行動を、ロシアと中国に容認するようアメリカが要求するのは、世界にアメリカ帝国に服従するよう要求しているのに過ぎない。ロシアはウクライナがNATOの手先になるのを容認すべきだとか、中国はアメリカ軍の包囲を受け入れるべきだと主張する連中は、自由と民主主義なるものによってで、全く競争相手なしに世界の隅々をアメリカが支配するのを許されるべきだと言っているに過ぎない。
もし皆様が本当に望んでおられることが、全く競争相手なしに、アメリカがこの世界の隅々まで支配することなら、皆様の本当の関心はウクライナや台湾あるいは他のどこかの人々にあるとは言わないで頂きたい。私の足に小便して雨が降っていると言わないで頂きたい。あなたが実際は何者で自分の立場が何なのか正直になって頂きたい。
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画像はGage Skidmoreより (CC BY-SA 2.0)
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「ウクライナの反撃」は極めてスローペースで侵攻。ウクライナ軍が出発地点からわずか数マイルのところで泥沼に。現在の進み具合では侵攻目的のクリミアへの補給線を遮断は困難。ロシア側が敷設の地雷が進行阻止。地雷は負傷の主な原因として大砲を上回っているという」。
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はじめに~<本日の岩上安身によるインタビュー>「戦争」や「勝利」の概念が変質し、「戦争の社会化」が起きた今日、ロシア・ウクライナの外の人々も「戦争の中にいる」!? 本日午後6時半から、岩上安身による哲学者・一橋大学名誉教授・鵜飼哲氏インタビューを冒頭のみオープンで、その後は会員限定で生配信します!
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アメリカのクラスター爆弾は善、中・ロのクラスター爆弾は悪。アメリカの兵器は善、中・ロの兵器は悪。アメリカの殺人は善、中・ロの殺人は悪。このような馬鹿げた暗黙の同意が、西側諸国で蔓延している。日本で言えば、その昔の「鬼畜米英」が、「鬼畜中ロ」と姿を変え、主要メディアにはそのような報道姿勢が溢れている。それに異論を唱えれば、プーチンの手先、習近平の手先と見なされる。まさに、狂気なのだが、それに多くの「専門家」も「知識人」も気づかない。
投稿: 夏原 想 | 2023年7月18日 (火) 13時54分