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2023年7月22日 (土)

NATOはウクライナを守っていない。まさにウクライナの背中を刺している。

アメリカとその同盟諸国は、まさにキーウにNATO加盟資格を失わせる戦争を続けているのだ

ジョナサン・クック
2023年7月16日
Middle East Eye

 今週リトアニアで開催されたNATOサミットは、ロシアを「弱体化」させ、ウラジミール・プーチン大統領を追放するため、ウクライナで代理戦争を推進している欧米指導者連中の全くの偽善を強調するのにしか役に立たなかった 。

 サミット前に、アメリカとドイツは、ロシアとの戦争の真っ只中にあるウクライナのNATO加盟を阻止することを明らかにしていた。火曜日に、このメッセージはNATO事務総長イェンス・ストルテンベルグが正式に発表した。

 NATOが「ばかげた」決定に達し「弱さ」を示したとウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は怒った。「感謝」の意思が欠如しているとイギリス国防大臣ベン・ウォレスは彼を早速叱責した。

 懸念は、キーウがこの段階で、この軍事同盟参加した場合、NATO加盟諸国はウクライナ防衛へと飛躍する必要があり、ロシアと直接戦うことだ。ウクライナ人の血だけで代償を支払う現在の代理戦争ではなく、核武装したロシアとの直接対決する考え方にほとんどの欧米諸国は反対だ。

 しかし曖昧にされている重複している隠された意味がある。現在ウクライナが軍事同盟に加盟する資格を失わせている根拠として引用している戦争の継続にはNATOに責任がある事実だ。NATOは現在血まみれの混乱にあるキーウを加盟させても助ける逃げ道がない。

 結局、いつの日か、ロシアの戸口で軍事力を振るえるという露骨な願望で、2008年以来、最終的には加盟させると約束し、ウクライナとあからさまに火遊びをするのを選んだのはNATOなのだ。

 おそらくキーウとモスクワ間交渉、ロシアがウクライナ東部の領土を占領し始める前に戦争を初期段階で終わらせることができたかもしれない交渉を台無しにしろというワシントンの命令で、2022年2月ロシアによる侵攻の数週間後に介入したのはイギリスだった。

 当時の合意は、現時点での合意より遙かに容易だったはずだ。それにはキーウがNATOへの秘密統合を追求するのではなく、中立を約束することが必要だった可能性が高い。ウクライナ政府による東部のロシア語話者圏に対する政治的、法的、軍事的攻撃の停止もモスクワは要求しただろう。

 今、合意への主な障害は、NATOがキーウがとの交渉にも再参加することを決して許可しないと想定し、クレムリンに欧米を信頼し、ロシアにウクライナ東部の併合を戻すよう説得することだ。

 そして最後は、NATO加盟諸国、特に広大なウクライナでの戦争を引き延ばし、双方の死者数を増やし続けている膨大な軍用品出荷をしているアメリカだ。

 目論見ちがい

 要するに、まさに、現在NATOは、ウクライナの同盟加盟を止める口実として、煽るためできる限りのことをして、この戦争を利用しているのだ。

 別の見方をすると、NATOがモスクワに送っているメッセージは、プーチンが常に主張している通りに、狙いが、キーウが常に中立であるよう保証することであれば、ロシアがまさに正しいことをしたことだ。つまり侵略決定だ

 ウクライナが完全に欧米軍事同盟に包摂されるのを阻止しているの、まさにこの戦争だ 。ウクライナの欧米がモスクワまで数分の核弾頭ミサイル配備できるNATO前方基地への転換を阻止したのは、この戦争だ。

 ロシアが侵略していなければキーウは既に密かに行っていたことを自由に加速できたはずだ。NATOへの統合。すると、ウクライナを交渉と中立ではなく、進行中の戦争に熱心に取り組んだ後、NATOから排除されて、ゼレンスキーは一体どんな結論を出すだろう。

 これまでのところ、大いに喧伝されたウクライナ「春の反攻」は、欧米メディアが「遅い前進」と歪曲しているにもかかわらず目論見ちがいに終わった」。モスクワは併合したウクライナ領土をしっかり確保している。

 キーウが「戦争に勝つ」ことができない限り-そしてそれはNATOがロシアと直接戦って核紛争の危険を冒す意思がない限り、それはできないだろう。ウクライナは軍事同盟から排除される。Catch-22の板挟み状態だ。

 NATOの報道発表を反すうし、欧米軍事産業のより大きな利益を応援する以外他に何もできない欧米の支配体制メディアがこの難問を強調するなど期待しても無駄だ。

 戦争犯罪

 もう一つの難問はウクライナにクラスター爆弾を供給するという先週のバイデン政権の決定だ。搭載された小爆弾は爆発し損ねた場合、ミニ地雷のように見えずにおかれて、何十年もの間、民間人を殺害したり不具にしたりする。場合によって、3分の1も 「不発」で、数週間、数ヶ月、または数年後に爆発する。

 ワシントンの動きは最近の戦闘中も戦争後も放射性の埃で周辺地域汚染するウクライナへのイギリスによる劣化ウラン弾供給に続くものだ。アメリカとイギリスが大量にこの砲弾を発砲したイラクなどの地域の証拠が、放射性降下物による癌と先天性欠損症の数十年にわたる急増の可能性があることを示唆している。

 昨年それらを使用したと非難されたのがロシアだった時、ホワイトハウスは戦争犯罪としてのクラスター爆弾の使用を非難する準備ができていた。キーウが全く同じ戦争犯罪を行うのを可能にしているのは今やワシントンだ。

 もちろんアメリカ以外の110以上の国がクラスター爆弾を禁止する2008年の国際条約を批准している。多くの国々がNATO加盟国だ。

 アメリカ・クラスター爆弾の高い「不発」率を考えると、ジョー・バイデン大統領は ウクライナへの在庫品出荷の上で、アメリカ法律に違反しているように見える。ホワイトハウスは、そのような兵器輸出が「アメリカの重要な安全保障権益」を満たす場合にのみ免除を発動できる。どうやら、バイデンはロシアを「弱体化」させ、今後数十年ウクライナの一部を民間人にとっての死の地帯に変えると信じているのだ。まさにそのような重要な権益として相応しい。

 絶望的な一時しのぎ

 公式説明では、アメリカによるこの最新のエスカレーションの動きは、戦争でキーウが「勝つ」のを助ける」が、真実はかなり異なっている。ロシアと戦うためにウクライナとNATOが通常兵器を使い果たしていことを認めるのをバイデンは避けていない。これは必死の応急措置なのだ。

 ほとんどのNATO加盟国はクラスター爆弾禁止に関する条約の署名国かもしれないが、彼らはワシントンの決定を見て見ない振りをするのをいとわないように見える。今週、ドイツ外務大臣としての以前の役割での条約署名者フランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領は、そうすれば「ウクライナを終わらせるので、アメリカの出荷をベルリンは阻止すべきではない」と述べた。

 言い換えれば、クラスター爆弾採用は、それが、 モスクワではなく、戦争によって軍事的に弱体化したNATOのパートナーであることを認めているのだ。

 もう一度、欧米による「人道戦争」とされるアフガニスタンやイラクやリビアやシリアは逆のものになっているのを想起願いたい。これまでウクライナに送られた全ての武器同様、クラスター爆弾は避けられないこと、つまりキーウが戦争を終わらせるためモスクワとの会談に参加する必要性を先延ばしにするため供給されているのだ。

 そして日々そのような会談は遅れており、ウクライナはより多くの戦闘員や更に多くの領土を失う可能性がある。

 クラスター爆弾の恐怖

 ワシントンや他のNATO諸国がクラスター爆弾を使用する影響を認識していないわけではない。半世紀以上前にアメリカは「秘密戦争」の間に、ラオスに2億7000万発投下したと推定されている。そのうち8000万は爆発しなかった。

 1973年に爆撃が終わって以来、少なくとも25,000人(うち40%が子ども) がラオス領土全体に散らばっているこれら小地雷によって死亡または負傷したと報告されている。

 最近ではアフガニスタンとイラク侵攻でアメリカはクラスター爆弾を使用した。

 ベトナム戦争中ラオスと一緒にアメリカに爆撃されたカンボジアのフン・セン首相は、今週差し迫る恐怖を世界に思い出させた。彼は、半世紀経った今も、カンボジアは依然、全ての爆発物を破壊する方法を見いだしていない。「本当の犠牲者はウクライナ人になるだろう」と彼は言った。

 しかし、その警告はウクライナでは無視される可能性が高い。欧米マスコミに列福されたゼレンスキーはクラスター爆弾使用と無縁ではない。ジャーナリストは、ロシアによる使用についてのみ言及するのを好むが、2014年以来、キーウによるウクライナ東部の自国民へのクラスター爆弾発射を人権団体は記録している。

  ウクライナ政府とウクライナ軍の超民族主義者からウクライナ東部のロシア語話者共同体を保護する必要性は、侵略開始に対してモスクワが主張した主な理由の一つだ。昨年キーウが国の東部の小さなウクライナの村でクラスター爆弾を使用したとニューヨークタイムズは報した 。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査によると、昨年ウクライナ軍もウクライナの町イジウムでクラスター爆弾を発射し、少なくとも民間人を8人殺し、15人負傷させた。

 この歴史を考えると、ワシントンがゼレンスキー政府に供給するクラスター爆弾はロシア軍にのみ発射するというゼレンスキー政府の保証を額面通り受け取るのは愚かだ。全ての証拠は砲弾がウクライナ東部の民間地域で使用される可能性が高いことを示している。

 二重基準

 公式には、ヨーロッパ指導者たちはキーウへのクラスター爆弾提供の例外的正当化を暗示することにより連中の良心を救おうとしている。ウクライナがロシア侵略と領土占領に対して防衛すため、この爆弾は不可欠だとされるのだ。

 しかし、それが本当にNATO基準なら、そのような弾薬の必要性があるもう一つの例外的な抑圧された国があるのだ。パレスチナだ。

 ウクライナ同様、パレスチナ人は執拗な敵に彼らの領土を占領されている。そしてウクライナ同様、パレスチナ人は占領軍による継続的軍事攻撃に直面している。

 ロシアがしているように、占領軍は常に戦争犯罪を行うことになる。 国際連合レイプや殺害や拷問や民間インフラに対する攻撃かどではロシア軍を非難している。

 アメリカとイギリスがイラクやアフガニスタンで証明したように、他国民の独立領土を侵略し、地元住民を鎮圧する作業に戦争犯罪は固有のものだ。

 イスラエル、ロシアの行動いずれも、確実に計り知れない苦しみを引き起こしている。しかし、そこには違いがあり、イスラエルの行動はロシア以上の悪を反映している。

 イスラエル占領はロシアより長く、何十年も続いており、その間の年月、パレスチナの土地で何百もの違法なユダヤ人専用武装入植地設立を含む戦争犯罪を行い続けている。

 更にロシア侵略前には、 14,000人以上のウクライナ人を殺したウクライナ内戦があった。少なくとも介入当初、ウクライナ人、主に東部の民族的ロシア人はモスクワを歓迎した。イスラエルや彼らの土地を占領している入植者を望むパレスチナ人を見つけるのは困難だ。

 自身を守るためパレスチナ人へのクラスター爆弾供給をNATOの誰が検討しているだろう。イスラエル軍事基地やヨルダン川西岸で占領下の軍事化された集落にクラスター爆弾を発射するパレスチナ人をNATOは支持するのだろうか?

 ロシアに対して発射しないというウクライナの保証を受け入れたと同様に、そのような弾薬はイスラエルに発砲しなというパレスチナ人の保証をNATOは受け入れるだろうか?

 これらの質問は自答する。パレスチナ人の場合、欧米諸国は二重基準を適用するだけではない。パレスチナのイスラエル軍への通常攻撃を非難するイスラエルの言い分をオウム返しにするのだ。

 危険な妄想

 しかし偽善はそれに留まらない。ドイツのタカ派外務大臣アナレナ・ベアボックは先週ガーディアンに次のように書いている。彼女が「小切手帳外交」と呼ぶ政策追求でドイツは間違いを犯したと。

 欧米との政治的、経済的相互作用が「ロシア政権を民主主義の方向に傾けるはずだ」とベルリンは素朴に信じていたと彼女は付け加えた。ところが逆に「プーチンのロシアは平和への脅威であり続け、我々はプーチンのロシアと一緒ではなく、ロシアに対し、我々の大陸の安全と我々の安全保障を組織しなければならない」と彼女は結論した。

 ヨーロッパ前進の道は、ベアボックが示唆しているように、ロシアとの永遠戦争かクレムリンに政権交代を課すかの、いずれかに限定される。これは全て危険なたわ言だ。この種の利己的で妄想的分析が欧米メディアに実に無批判にオウム返しされる事実は、その評判を傷つけるはずだ。

 ベアボックは、モスクワが「ロシアとの安全保障構造を構築するための我々の努力を拒絶した 」と暗に示唆している。しかしソビエト連邦崩壊後、ヨーロッパ安全保障の傘の中で、ロシアが意ある場所を提供されたことは皆無だ 。

 これは第二次世界大戦後の西ドイツへの処置と実に対照的だ。ナチス政権が去るや否や、ドイツは経済とインフラ再建のためのマーシャルプランを介した大規模アメリカ援助を受け、ソビエト連邦に対する防波堤として即座にNATOに受け入れられた。

 1991年のソビエト連邦崩壊は全く異なる方法で処理された。それはロシアを仲間として迎え入れる機会とは見なされなかった。

 それどころか、アメリカと西欧同盟諸国はロシアへの適切な援助計画やソビエト時代の債務の帳消しを拒否した。欧米はロシア経済を新しいオリガルヒ階級による資産剥奪を受けやすくする「ショック療法」民営化に邁進するよう主張し、弱い大統領ボリス・エリツィンを支えるのを好んだ。

 極悪非道な野望

 ロシアが経済的に空洞化する中、この歴史的ライバルを、NATOを利用して軍事的に孤立化させ、旧ソ連諸国をアメリカの「勢力圏」に置こうとワシントンは急いだ。どのアメリカ政権も、主要超大国ライバルのロシアと中国に対する「全面的世界支配」として知られている傲慢な外交政策を開発し、熱心に追求した。

 しばしば修辞的に、ロシア国境へのNATO拡大を阻止する強力な指導者のポーズをとるにつれ ロシア人の間でのプーチンの人気は益々高まった。

 ベアボックの提案に反し、モスクワはNATOの「小切手帳」に言い寄られなかった。徐々に体系的に追い詰められたのだ。次第にのけ者へと変えられた。

 これは単に「プーチン擁護者」の評価ではない。NATO戦略は理解され、アメリカ冷戦政策の父であるジョージ・ケナンから現CIA長官ウィリアム・バーンズまで、アメリカ外交政策立案における一部の大立て者連がリアルタイムで警告した。

 2007年、モスクワ駐箚アメリカ大使として、バーンズは後にウィキリークスで暴露された外交公電を書いた。「NATO拡大やヨーロッパへのアメリカ・ミサイル防衛配備はロシアが恐れる典型的包囲だ」。数か月後、ウクライナにNATO加盟を申し出れば、モスクワを「考えられない」窮地に置くとバーンズは警告した。

 ヨーロッパの平和と安定を維持することが目標ではないため、自身の役人の絶えざる警告をワシントンはあっさり無視した。ロシアの恒久隔離と「弱体化」こそが目標だ。

 バイデン政権は自分が火遊びしているのを自覚している。昨年、おそらく台本がない発言で、ウクライナでの実存的敗北に直面して核「ハルマゲドン」を解き放つロシアの危険性を大統領自身が引き合いに出した。

 悲劇的なことに、NATOの悪意、欺瞞、裏切りは、ハルマゲドンに対する唯一の代替案ははウクライナ没落の可能性を意味している。そして、それと同時の、極悪非道な「全面的世界支配」を推進するワシントンの野心粉砕だ。

 ジョナサン・クックはイスラエルとパレスチナの紛争に関する3冊の本の著者、マーサ・ゲルホーン・ジャーナリズム特別賞を受賞。彼のウェブサイトとブログはwww.jonathan-cook.netにある。

 記事原文のurl:https://www.middleeasteye.net/opinion/nato-ukraine-not-defending-stabbing-back

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