シリア人を溺死させつつあるアメリカ制裁
スティーブン・サヒオニー
2023年6月18日
Strategic Culture Foundation
アメリカがアラブ世界に命令し、中東の政権転覆のためアメリカが戦争を企てた時代は終わったとスティーブン・サヒオニーは書いている。
水曜日早々、ギリシャ沖の地中海でイタリアに向かうエジプト・トロール船が沈没した後、何百人ものシリア人男性、女性、子供が溺死した。地中海で最も大規模な移民船災害の一つと呼ばれている。750人もの人が船に詰め込まれ、女性と子供が甲板下にいたことが、104人の生存者が全員若い男性だった理由かもしれない。ギリシャのカラマタ沖75キロで78人の遺体が回収された。
ギリシャで9人のエジプト人身売買業者が逮捕され、Facebookで宣伝していた密輸ネットワークの一部だと非難されている。広告はヨーロッパでのより良い生活を約束し、一人当たり5,000ドルから6,000ドル請求していた。しかし船を監視してはいたが船を止め乗客を降ろす措置を講じなかったため、ギリシャの役割も非難されている。ギリシャは船と通信していたと言い、船はイタリアに向かって航海を続けるのを許可するよう要求した。エンジン停止後、乗客はパニックになり、突然の動きによって船は横転して沈没した。
アメリカとEUの対シリア経済制裁のせいだ。シリアには戦争はない。シリア全土で戦闘は長い間静かだが、アメリカとEUの制裁が再建や再建プロジェクトへの外国投資を阻止しているため、シリアでは復旧や再建は全く不可能だ。
インフラ、病院、住宅、学校、工場、企業は全て、政権転覆のためのアメリカ-NATOの対シリア攻撃から回復する長い過程を開始するため、海外から部品と物資を注文するため制裁が解除されるのを待っている。
シリアで暴力的な内戦が激化しており、人々は命への恐怖を恐れて去って行き、これが移民危機の原因だと欧米マスコミは欧米聴衆に繰り返し伝えてウソをついている。これは真実ではない。アレッポ、ダマスカス、ホムス、ラタキアから道路は無事で開いており、兵士や検問所はなく、宗教や史跡を訪れる観光客もいるのだ。欧米マスコミは、シリアに絶望をもたらすため仕組まれた欧米外交政策のせいではないと聴衆を説得しなければならないのだ。民主主義国に実施された欧米制裁は、シリア人を失業させ、福祉セーフティネットなしで人々は故郷の家族を養うため命を危険にさらすのを余儀なくされている。
北西部のオリーブ栽培地域、小さな州イドリブは、国連、アメリカ、EUおよび欧米の人道援助に支援されたアルカイダ・テロリスト集団タハリール・アル=シャーム支配下にあるが、そこには300万人しか民間人はいないが、国の他の地域には1,500万人いる。トルコやアメリカやEUがその人口を支援しているため、イドリブでは全てのニーズが満たされており、ビジネス・チャンスさえあるので、船でシリアを去った人々はイドリブ出身ではない。木曜日、トルコ、レバノン、ヨルダンのシリア難民のための寄付者会議をEUが開催した。2.1億ドルが約束されたが、イドリブのテロリスト飛び地に住むシリア人や近隣諸国のキャンプに暮らす人々だけが恩恵を受ける。EUは制裁に苦しみ溺死で終わる可能性がある旅を考えている1500万人のシリア人のためダマスカスに1ユーロさえ送ることはない。
ヨーロッパに向かう絶望的で危険な海の旅に出るシリア人は経済移民だ。彼らはアメリカとEUに課せられた貧困から逃れているのだ。なぜなら、トルコから入り、工場の機械を解体し、それをエルドアン大統領に近い代理人がトルコで工場を再建している場所に運び、トルコ労働者組合の限度をはるかに下回る賃金でシリア難民を雇用するテロリストによって彼らの以前の仕事が奪われたためだ。
シリア経済は崩壊し、通貨は切り下げられた。2011年には100シリア・リラ(SL)の費用だったものが、現在は10,000だ。以前1ドルは50SLに相当していたが、現在8,000から9,000SLの間で変動している。制裁のため、シリア商人は工場材料や建築製品など最も基本的商品さえ注文するのを阻止されている。ある時点では、アメリカの制裁を恐れる外国製造業者のため化学療法薬が注文できなかった。アメリカとEUの対シリア金融制裁で、商人はシリアから海外企業に支払いするのを禁じられている。ラタキア港は生活再建のための活動で賑わう代わりに、休業状態にある。
アスタナ和平交渉は、まもなく6月20〜21日にカザフスタンで開催される。シリア、イラン、ロシア、トルコの外務副大臣はトルコとシリア間の正常化計画とシリア危機の政治的解決のためのロードマップについて話し合う。しかしトルコが北の国境沿い地域を軍事的占領している間、正常化は不可能だとダマスカスは主張している。5月10日、四か国全ての国防相がモスクワで会合し、次の会議で議論するロードマップの作成を任された。
6月14日、アンカラ・ダマスカス関係を正常化するためのロードマップをアスタナで議論する準備ができているとロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣は述べた。
シリアのジュネーブ和平プロセスは何度も会合したが成功していない。ジュネーブ会議は、シリアをアメリカ経済制裁によって破壊し、復興させないことに熱心なワシントンの要求によって決定されている事実を専門家たちは指摘している。国連シリア特使ゲイル・ペデルセンは、アスタナ会談の楽観的な見方を表明したが、アスタナで決まったいかなる進展でも彼が実施するのをアメリカは妨げるかもしれない。ジョー・バイデン大統領は、オバマ大統領が設計した2011年アメリカの対シリア攻撃の一員で、副大統領だった。
2月6日にシリアとトルコが7.8の地震に見舞われた際、サウジアラビア王国はシリアで最も被害の大きかった二つの地域であるラタキアとアレッポの犠牲者のためダマスカスへの人道援助送付を急いだ。アメリカ、EU、その他の欧米の人道支援団体は、イドリブのテロリスト支配下にある300万人だけに援助を送ることを選択し、アメリカから一片のパンさえ受け取らない1500万人のシリア人を無視した。
3月10日、サウジアラビアとイランは中国が仲介する関係正常化協定に署名した。これは二つの仇敵が地域の平和と繁栄に向けて協力するという中東全体が感じた政治的地震だった。新たな協力を受けて、サウジアラビアはシリアに手を差し伸べ、シリア大統領がアラブ連盟に戻る会議が行われ、両国の大使館が再開された。
ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子には、地域の平和と安定を基盤とするビジョン2030プロジェクトがあり、外国の干渉や代理戦争扇動をやめるよう呼びかけている。サウジアラビアはシリア危機の平和的な政治解決策を見いだすためしっかり主導権を握っており、目標を達成するため中国、ロシア、イランと協力する用意がある。
アメリカがアラブ世界に命令し中東の政権転覆のためアメリカが戦争を仕組んだ時代は終わった。サウジアラビアは新航路を進んでおり穏やかな海で順風満帆を望んでいる。
記事原文のurl:https://strategic-culture.org/news/2023/06/18/us-sanctions-are-drowning-syrians/
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TVの御用評論家・学者ではなく、日々マグレガー氏youtubeを拝聴。
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