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2023年6月16日 (金)

シリアの政治的解決に取り組むサウジ皇太子

スティーブン・サヒオニー
2023年6月14日
Strategic Culture Foundation

 戦争を引き起こしテロリストを支援したアメリカと同盟諸国はシリア国民の復興過程への参加を拒否している。

 シリアのファイサル・メクダッド外相は、6月11日と12日に開催される会議のためサウジアラビアを訪問しており、過去三か月で三度目の王国訪問となる。彼は4月に初訪問し、5月19日のアラブ連盟理事会サミット出席のためアサド大統領に同行してジッダを訪れた。

 MbSとして知られるサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は5月のアラブ連盟サミット主催者としての立場を通じてシリアの援助と復興を推進した。MbSはシリアをアラブ諸国の兄弟連盟に戻すアラブ諸国の判断を求めたがアメリカは、その計画を非難した。

 「これは『我々は、あなた方抜きで我々の関係を再形成し再び描く』というアメリカへの強力な合図だ」とガルフ・リサーチ・センター会長アブドゥルアジズ・アル・セイガーは述べた。

 MbSは世界最大の石油輸出国の舵取りで指導的役割を果たし、国益を最優先し、MbSについて語る際、非外交的とは言えない言葉で、サウジアラビアに対して公然と恫喝するアメリカ、バイデン政権の圧力に屈していない。

 2011年に始めた政権転覆のためのオバマ-バイデンによる対シリア戦争に参加するようアメリカはサウジアラビアに要求した。アメリカの計画はカタールとサウジアラビアから資金提供を受けながら、シリア全土で性的暴行をし、不具にし、殺害したテロリストを利用していた。このプロジェクトは失敗し、シリア国民はムスリム同胞団と過激イスラム教に反撃し、中東唯一の世俗国家であり続けている。

 4月、メクダッドとサウジアラビアのファルハン外相は、シリア危機の包括的な政治的解決とアラブ世界におけるシリアの役割の回復について話し合った。

 シリア・サウジアラビア空港間の直行便再開にサウジアラビアが合意し、6月末開始予定だとシリアは発表した。5月28日サウジアラビア技術チームがダマスカスのサウジアラビア大使館再開準備のためシリアに到着した。

 アメリカサウジ関係

 昨年7月にバイデン大統領がMbSを訪問した際、彼はアメリカの石油価格を下げるために石油生産の増加を要求したが、彼は手ぶらで去った。6月8日、ブリンケン国務長官はMbSと会談し、この訪問中にMbSは7月に石油生産を削減し、アメリカ消費者へのガソリン価格を引き上げると発表した。

 ブリンケン国務長官はシリアのアラブ連盟復帰を許したことに対するアメリカの非難を表明しており、アメリカはシリア国民の家やインフラや生活の再建に、あえて参加するサウジ王国や他のアラブ諸国への復讐を積極的に計画している。

 アメリカが仕組んだシリア紛争の平和的解決を模索する代わりに、アメリカの「優先事項」であるアブラハム合意を通じて、イスラエルとサウジアラビアとの正常化を強要することだけにブリンケンは焦点を当てている。

 ファイサル・ビン・ファルハン外相はブリンケンの要請には動じず、「パレスチナ人にとっての平和の道を見つける」ことなしには、イスラエルとの正常化は「限定された利益」しかないと述べた。

 MbSは、ヨルダン川西岸、東エルサレム、ガザにパレスチナ国家を創設し、既存の国連決議を満たすよう繰り返し求めている。しかし、現在のベンヤミン・ネタニヤフのユダヤ過激派政権下のイスラエルで、そのような動きは不可能だ。

 MbSは、中東の平和と繁栄を求めるビジョン2023の真っ只中にいる。ブリンケンは中東に対する構想を持っておらず、彼の優先事項は、600万人を残忍な軍事独裁政権下に置いて、パレスチナの現状を維持することだ。ブリンケンは、シリア国民とその隣人パレスチナ人の苦しみには無関心だ。

 ブリンケン国務長官のリヤド訪問中、彼はイスラム国(IS)と戦う世界連合の外相会議を共催し、シリアとイラクでの取り組みに約150億80万ドルを約束した。連合には80か国以上が参加しており、このプログラムへの新たな資金は600億ドルを超えている。この資金はシリアのアメリカのパートナー、北東部のクルド共産党政権を通じて流れる。

 新たな道を開くムハンマド・ビン・サルマーン

 彼が支配者となる時代より前のシリア破壊はMbSの責任ではない。彼のビジョン2030は、シリアを含む地域の平和と繁栄のための計画だ。彼はワシントンに束縛されないグローバル・プレーヤーとして浮上しつつある。彼は、観光、スポーツ、娯楽、教育、商業、投資にまたがる大規模な経済的、社会的改革を開始した。

 近隣諸国のイエメン、カタール、イラン、シリアとの関係修復は彼の外交努力の基礎だ。ワシントンの批判に関係なく、MbSはシリアでのアラブ主導の政治的解決に向けて取り組むことを主張し、国連決議2254をロードマップとして使用しようとしている。

 水曜日MbSはロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、ブリンケンの到着前にベネズエラのマドゥロ大統領がMbSを訪問した。皇太子はサウジアラビアの国益を追求しながら様々な指導者との協力と外交を求め、アメリカ大統領執務室の指示には拘束されない。

 アメリカ制裁、制裁、更なる制裁

 アメリカが支援するテロリストが破壊、損傷した家、学校、病院、インフラをシリア国民が再建するのを阻止する更なるシリアに対する制裁をアメリカ議会は検討している。

 新法案は2023年シリア反正常化法と呼ばれ、既に麻痺している2020年のシーザー法への追加だ。新法案はシリア国民の再建と回復をあえて支援する国に重い罰金を科そうとしている。シリアとの関係を正常化するアラブ諸国は再建支援を阻止されるのだ。

 制裁はシリア国民を傷つけ、彼らの回復を遅らせ、仕事や生計の回復を妨げるだけである事実を専門家は指摘している。法律は、国が最大の領土を保持し、ダマスカス、アレッポ、ホムス、ハマ、ラタキアのすべての主要都市を含め、ダマスカス政権が支配するシリアの部分に50,000ドルを超える価値の投資、助成金、契約または寄付を行った場合、いつでも金銭的罰則を科すと規定している。アメリカはイドリブと北東部の共産党支配地域のテロリストを保護しているが、これら地域のどれにも大都市がない。シリア民間人の最大集団は、ダマスカスにある中央政府の管理下で暮らしているのだ。

 オクラホマ大学のシリア専門家ジョシュア・ランディスは、ダマスカスに対する制裁はシリア国民に正義をもたらすのでなく、彼らを更に貧しくすると考えている。アメリカ制裁により交換部品注文が阻止されているため医療機器は病院で休眠状態になっている。外国の製造業者がダマスカスへの製品輸出に対する罰則に直面するのを恐れているため、シリアでは時折化学療法薬品が入手できないことがある。シリアで家を建築するには木枠から始まるが、シリアには広葉樹林がないため木材を輸入する必要がある。カナダ、スウェーデン、ノルウェーなどの国は罰則を恐れシリアの商人に木材を販売しない。

 EU首脳会議

 「シリア及び地域の将来の支援に関する会合」が7月14日と15日ブリュッセルで開催される。この会議は中央政府下で暮らす1500万人のシリア人の必要性に対処したり検討したりするのではなく、イドリブでテロリストに人質にされている民間人と、トルコ、ヨルダン、レバノンなどシリア難民を受け入れている諸国の必要性にのみ資源を投入する。

 この会議はダマスカス政権下で暮らしていないシリア人に寄付するための2023年の主要な催しだ。しかし大多数のシリア人は、この会議により暮らしを助けられたり改善されたりすることは決してない。これはイドリブで300万人を拘束しているテロリスト指導者を支援し、トルコ、ヨルダン、レバノンでのテント暮らしのシリア難民は飢餓から守るが、彼等のシリア帰国を阻止する駒としてしっかり確保する欧米民主主義の優先事項を示している。

 アメリカと欧州連合の同盟諸国はシリアで暮らす1500万人の暮らしは考慮していない。彼らは戦争を起こし、国を破壊し、分割したテロリストを支援したが、シリア国民の復興過程に参加するのを拒否しているのだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.org/news/2023/06/14/saudi-crown-prince-is-working-towards-a-political-solution-for-syria/

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 東京新聞朝刊国際面に驚いた。

 オラフ・ショルツ正気だろうか? 初の安保戦略策定で「ロシアは最大の脅威」明記。
 ドイツ産業の大動脈ノルドストリームを爆破した宗主国は最大の脅威ではないのだ。

 マグレガー氏最新youtube ロシアを見くびっている欧米指導部の錯覚・誤解を批判。

War events - Conflicts between America and Russia 22:02

 耕助のブログ

No. 1826 不当な影響力、21世紀型

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

講演での反応:私の講演を聞かれる人は、多くの場合方向性が一致している。従って肯定的になるのは自然である。しかし、私の論特にウクライナ関係は今日の日本では左右両グループにとり異端である。この中どういう反応があるか、一会場の例をみてみたい。

 日刊IWJガイド

「改悪入管法が9日に可決、成立! 本日午後3時から、岩上安身による社民党党首・福島みずほ参議院議員インタビューをフルオープンで生配信!」

はじめに~<本日の岩上安身によるインタビュー>難民を「死刑」が待つ地へと送り返す改悪入管法が9日に可決、成立! どうやって難民の命を守っていくのか!? 改悪入管法の廃止法案提出や政権交代が必要! 本日午後3時から、岩上安身による社会民主党党首 福島みずほ参議院議員インタビュー

【IWJ_YouTube Live】15:00~
難民を「死刑」が待つ地へと送り出す入管法改悪法が9日に可決! どうやって難民の命を守っていくのか? 入管法改悪法の廃止法案提出や、政権交代が必要! 岩上安身による社会民主党党首 福島みずほ参議院議員インタビュー
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

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