バイデンのF-16の動きは絶望を意味する空想飛行
フィニアン・カニンガム
2023年5月23日
Strategic Culture Foundation
バイデンは虚勢を張り、F-16を送るという最新の動きで、ロシアとの戦争を再び無謀にエスカレートさせている。
NATOが支援するキエフ政権がアルチョモフスク(バフムト)の戦略的戦いに敗れた週末、ジョー・バイデン大統領がF-16戦闘機をウクライナに送ると急旋回したのは偶然ではない。
ロシアに敵対したくないという懸念から、アメリカの戦闘機をウクライナに供給することにバイデンが断固ノーと言ったことを想起願いたい。
ドンバス地域のハブ都市をめぐる戦いは8か月間激しさを増していた。一部評論家は「肉挽き器」アルチョモフスクの重要な戦いをナチスドイツに対してソ連赤軍の最終的勝利を大きく決定した第二次世界大戦のスターリングラードになぞらえた。
キエフが否定し、欧米メディアが現実を認めるのに消極的なのにもかかわらず、5月20日、ロシア軍はついにアルチョモフスクを完全に支配したと主張した。実際、反抗的なウクライナがロシアに対して頑張っているという執拗な欧米言説も、このマスコミ(別名欧米プロパガンダ機関)の権威とされるもの同様、血まみれで担架に横たわる犠牲者だ。
週末キエフ政権にとっての大敗は、ワシントンとNATOの優れた武勇とされるものを完全に覆した。過去38か月間、バイデン政権は15億ドルの軍事援助でウォロディミル・ゼレンスキー大統領の軍隊に資金提供してきた。他のNATO加盟国、イギリvス、ドイツ、フランス、ポーランドも同様に、あらゆる種類の高度な兵器をウクライナに注ぎ込んでいる。
アルチョモフスクでのゼレンスキー軍敗北はアメリカ主導NATO同盟の敗北でもある。
この恥ずかしい敗北が今やバイデンがF-16戦闘機供与を承認するよう180度方針転換した理由の説明だ。この発表はニュース見出しを重大な軍事的敗北から逸らすのが目的だ。
一方アメリカ戦闘機がウクライナ上空を飛行する可能性は、ロシアを脅かす不吉な介入のように聞こえる。F-16は数十か国でアメリカ地上部隊を援護する戦闘行動をしてきた米空軍の主力兵器だ。核兵器搭載可能で最大攻撃範囲800キロだ。それはおおよそキエフからモスクワまでの距離だ。このアメリカ戦闘機はロシア首都空爆も開始しかねない。
発表する際、F-16はロシア連邦領土を攻撃しないと元コメディアンのゼレンスキーから「保証された」とバイデン大統領は述べた。ロシア国内のキエフ工作員による無数の妨害、無人機攻撃、暗殺未遂が示している通り、そのような保証は無価値だ。またチーム・バイデンはクリミアをロシア領と見なしていないことを既に明らかにしているためF-16が黒海半島で空爆する可能性は消えないが、モスクワはクリミアはロシアの不可欠な部分であると断固主張している。
他方、いずれにせよF-16の「画期的な動き」はロシアに有利な戦争の結果を変えない空での振る舞いと見なすことが可能だ。
そもそも戦闘機はアメリカ在庫から直接供給されるのでなく、他のNATO諸国から再輸出されるとワシントンは言っている。これまでのところ、NATO加盟国のポーランド、イタリア、ドイツはアメリカ製戦闘機の供給可能性を排除している。間違いなく、ヨーロッパ同盟国はモスクワへのそのような動きの挑発には二の足を踏んでいる。
アメリカ政府の惨めなポチ、イギリスは常に進んで挑発するがイギリスはF-16を持っていない。
もう一つの要因は兵站と訓練だ。ウクライナ人パイロットが戦闘能力を獲得するには、少なくとも16か月かかる。ウクライナ人パイロットはソビエト時代のMiGジェットで訓練されており、それらのほとんどはロシアに撃墜されている。またF-16の整備士と地上要員を準備するまで数か月かかり、アメリカ要員が標的になる。アメリカ、イギリス、その他のNATO諸国は、ウクライナにF-16訓練を提供している。しかし、これら戦闘機が戦闘出撃のため離陸可能になるのは今年の終わりだ。これは既に大幅に遅れ、誇大宣伝されているウクライナ反攻の更なる遅延を意味する。
ロシアの長距離防空システムは、先週ロシアの極超音速ミサイルにより活動停止したアメリカのパトリオット・システムを超え、世界最高と考えられている。ロシアの防空システムはF-16にとって困難な課題となるだろう。アメリカ戦闘機は、様々な国で防空能力が無視できる非国家過激派集団に対して、成功裏に運用されているように見える。これら戦場では、F-16は何のおとがめもなく空を支配できた。
ウクライナではそうは行かない。ロシアの多層防空システムは別の問題だ。S-400地対空ミサイルの射程は400キロだ。ロシア西部国境沿いのいくつかの場所は、キエフまでの距離をカバーできる。つまりF-16はロシアを攻撃する範囲に入るずっと前に空から吹き飛ばされる可能性がある。それはまた戦闘機が離陸する前でさえ破壊の標的にされる可能性があることを意味する。
バイデンのF-16虚勢は空想飛行だ。それは全て上っ面の力を誇示する空騒ぎだ。だが全て実にばかげて無駄でもある。ワシントンは無秩序な借金だらけの政府に金を払えずに、F-16やミサイルを紙吹雪のように投げつけるだけだ。
技術フェチの欧米軍国主義者がキエフのペット・ナチ政権を支えるためウクライナに送り込んだ他の全ての高度兵器とされるものと同様、ロシアは軍事的にこれに対処する。
バイデンや傲慢な欧米の手先が、道徳でなくとも、多少の良識を持っていれば、戦争に勝てず、地球を終わらせる核の大火へと制御不能になる可能性があると知って、ウクライナでの代理戦争全体を中止するはずだ。しかし、広島でのG7サミットで、ウクライナのためにより多くの武器を宣言しながら背中をたたく連中に一体何が期待できよう?
これら目が見えず独善的で傲慢な帝国主義者は、自分たちのためにも、私たちのためにも、いつ穴を掘るのをやめるべきか知らないのだ。欧米政権と召し使いのようなマスコミはロシアを打倒するという自己陶酔的で詐欺的でウソのイメージに余りに投資しているので降伏する方法を知らないのだ。だが連中は最終的には降伏する必要がある。
バイデンは虚勢を張り、F-16を送るという最新の動きで、ロシアとの戦争を再び無謀にエスカレートさせている。しかし、それは更に大負けしたと見なされる敗者による切羽詰まった時の乾坤一擲の勝負だ。
記事原文のurl:https://strategic-culture.org/news/2023/05/23/biden-f16-move-flight-fancy-signifying-desperation/
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