念のためのお知らせ:かつてメディアは、今アメリカが唾を吐きかけている「一つの中国政策」に違反したかどで、トランプをバッシングしていた
2023年4月29日
ケイトリン・ジョンストン
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アメリカが台湾を外交関係や同盟関係を形成できる主権国家のように扱うようになり、何十年にもわたり平和を維持してきた長年の「一つの中国」政策に違反している。そして最近これらの動きを容認している欧米メディアが、ほんの数年前、遙かに少ない程度で同じことをしたかどで、ドナルド・トランプに憤慨したのは注目に値する。
2016年の総統選挙で勝利した後、就任前に台湾政府の主権を認めるのを拒否するというワシントンの長年の政策に違反して、トランプは台湾の蔡英文総統からの電話を受けた。この立場は中国の真の政府は台湾だと主張するかつてのグアイド・クーデター風政策を逆転させ、前回の冷戦中モスクワから引き離すため北京との関係を正常化するワシントンの取り組みの中、70年代から奉じられてきた。
マスメディアは即時に敵対的に反応した。「ドナルド・トランプは台湾との電話で中国を侮辱した」とCNBC見出しは書いた。「トランプと台湾総統との電話は中国を激怒させる危険を冒す」とガーディアン紙は警告した。「これがトランプの台湾との電話が本当に奇妙な理由だ」とバニティフェアは言った。「トランプは何十年にもわたる米中関係をまさに混乱に陥れたのかもしれない」とVoxは叫んだ。「トランプと台湾の電話はアメリカの政策的姿勢を破壊する」とBBCは述べた。
トランプの電話ニュースが暴露された後「我々には中国政府は一つしかないと認識する、いわゆる「一つの中国」政策がある」とMSNBCのレイチェル・マドーは聴衆に語った。「そこにたどり着くまでに長い時間がかかった。今では合理的に聞こえるが、そこにたどり着くには長い時間がかかった。そこにたどり着くのに数十年かかった。それが我々が今いる場所だ。ドナルド・トランプはどうやら今日銀器の引き出しを食器棚から取り出し、頭の上で逆さまにして何が起きるか見るため銀器を振り始めた。我々が中国と話す基盤を開発するには数十年かかったのに、今日ドナルド・トランプはそれを引き裂いた。」
Trump's Taiwan call: "We don't know if he did it on purpose... this, conceivably, is the way wars start" @maddow pic.twitter.com/uWukClkhiy
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それなのに今ワシントンの「一つの中国」政策は、マスメディアが瞬きすることもなく、次期大統領が電話に出るより劇的に積極的に侵食されている。下院議長が二人、立て続けに、蔡英文と直接会っている。ナンシー・ペロシは昨年8月台湾を訪問し、ケビン・マッカーシーは数週間前ワシントンで蔡と会談した。バイデン大統領は中国による攻撃から台湾を守るためアメリカは中国と戦争するつもりだと明確に述べ、国家情報長官はこれは確かにアメリカ政府の新しい立場であると後に確認した。
現在台湾を巻き込んむエスカレーションはほぼ毎日進んでいる。「台湾は今やファイブアイズと「リアルタイム」諜報情報共有リンクを持っている」という題の新記事でアンチウォーのデイブ・デキャンプは台湾がアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのファイブ・アイズ諜報同盟に統合される可能性について論じている。台湾が、この同盟の事実上の六番目となれば、台湾を反政府勢力州と見なしている中国に重大な挑発と見なされるのは確実だ。ここで注意すべきはロシアがウクライナを侵略したのはウクライナが徐々にNATO同盟の事実上のメンバーになりつつあると見なしたためだ。
「下院中国委員会が台湾を迅速に武装させるための提案を準備」という題の別の最近記事で、デキャンプはウクライナでの戦争に至るまでの動きを反映して台湾に送られる軍事兵器の大洪水を増すための最新の取り組みを報じている。アメリカ帝国が我々に信じるように求めている最も愚かなことの一つは敵国境に大規模兵器を蓄積する行為は自明の侵略の極端な扇動的挑発ではなく、防御的行動と見なされるべきだと言っていることだ。
ロイター通信は「アメリカ防衛産業フォーラムに台湾が「オオカミ」を招待していると中国は言っている」という題の別の最近記事で、来週台北で開催されるアメリカ軍産複合体フォーラムについて北京は「非常に懸念している」と報じている。
これはほんの数日のことだ。これらエスカレーションに関する報道は常にされている。それなのにマスメディアはこれについて、ほとんどか、全く批判的ではない。
すると2016年後半から一体何が変わったのだろう。一つはトランプはもはや在職しておらず、帝国の信頼できない管理人と見なして彼を憎んだ帝国言説支配者連中には、現職アメリカ大統領への不信感をまき散らす同じ義務はないのだ。
さらに重要なのは、アメリカ帝国の狙いが変わったことだ。当時中国に対する攻撃を強化することは後回しの問題で、世界最強力な二国間の軍事的対立という考えはありえないように思われた。現在アメリカは中国の軍事包囲を急速に強化し、台湾に武器を注ぎ込んでいるが、それは中国がアメリカ帝国が阻止する永続的政策を持っている、まさにその種のライバル超大国になり始めているためだ。
帝国の思惑が変わるにつれ帝国メディアの立場も変わった。現在、メディアでは反中国ヒステリー促進が益々見られ「一つの中国」政策の継続的な侵食は、せいぜい見過ごされ、最悪の場合、公然と支持される。台湾へのアメリカの関与を、容認できない脅威と見なす理由が益々中国に与えられているのに、主流マスコミは、これからいつでも噴出しかねない可能性のある結果に対し適切な精査をするのをほとんど拒否している。
昨年11月、ワシントンの干渉について、台湾を失ったことで歴史に残る中国指導者になるつもりはなく、強いられた場合は戦争になると言って習近平国家主席がバイデンを直接恫喝したと今や報じられている。
したがって、この軌道を進み続けた場合に起こりうる最悪の事態は、皆様が想像できるものとほぼ同じくらい悪い。この面でのマスメディアの怠慢は恐ろしいほどだ。
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ホワイトハウス記者クラブ晩餐会に招かれて講演。
President Biden complete remarks at 2022 White House Correspondents' Dinner (C-SPAN) 13:55
ジュリアン・アサンジをイギリス刑務所に幽閉しながら「我々は記者を守る。」「自由な報道は自由な社会の柱であり敵ではない」良く言う。
属国大本営広報部の呆導見出し
バイデン大統領、ホワイトハウス記者主催の晩餐会に出席 トランプ氏をからかうジョークで会場を沸かす
長周新聞に先日読んだ本の書評がある。
Chris Hedges氏最新記事 アサンジ即時釈放を訴えるニューヨーク集会での演説
The detention and persecution of Julian Assange eviscerates all pretense of the rule of law and the rights of a free press. The illegalities, embraced by the Ecuadorian, British, Swedish and U.S. governments are ominous.
スコット・リッター・シリーズ イルクーツクからライブ
Scott Ritter Extra Ep. 66: Ask the Inspector (Live from Irkutsk) 1:03:39
耕助のブログ タッカー・カールソン解雇に関するケネディ発言翻訳
植草一秀の『知られざる真実』
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読売「安倍氏銃撃「真犯人は別にいる」…ネットでいまだくすぶる陰謀論、背景を探る。「搬送先病院で医師が記者会見し、首の銃創位置に言及。司法解剖の実施前で、正確な状況が確認されていない段階」担当医の見解を実質否定。担当医は記者会見で幾度も位置に言及。
「広島G7サミットは、ウクライナの主要支援国であり、米国の国債の大量保有国である米国債債権国という2重の性格をもった国家群の会合!」
はじめに~5月19日(金)、20日(土)、21日(日)の広島G7サミットは、ウクライナの主要支援国であり、米国債の大量保有国である債権国という2重の性格をもった国家群の会合! 日本の新聞・テレビを筆頭に、G7各国の主要メディアは、米国の軍事的・政治的・経済的・文化的な支配から自由になれず、ウクライナ紛争も米国のデフォルト危機も米国発の金融システム危機も、その本質を伝えることができない! 危機認識そのものが危機に瀕している!
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アメリカ合衆国の軍需産業の利益のために、日本の一般市民が犠牲になるのは、全く、ろくでもないことです。
紛争は、受益者のたくさんいる、北米大陸でやってください。
日本は、非常に多くの生活物資を、輸入に頼っています。
紛争でそれらが途絶えれば、物価は簡単に数十倍に跳ね上がります。
たかだか数パーセントの物価上昇で騒いでいる人々が、数十倍のインフレに耐えられるとは到底思えません。
投稿: まだ ない | 2023年5月 4日 (木) 18時21分