バイデン、F-16とクリミアを攻撃するアメリカ兵器のウクライナ供与を承認
2023年5月22日
ケイトリン・ジョンストン
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バイデン政権はウクライナ向けF-16供与と、アメリカ製兵器を使用したクリミア攻撃の両方を承認した。これらの動きは両方とも、核武装したロシアの厳しい警告を引き出しており、どちらも一年前には考えられなかったものだ。
広島でのG7サミットからのCNNジェイク・タッパーとの日曜インタビューで、バイデン国家安全保障顧問ジェイク・サリバンは、クリミアを奪還するための攻撃でワシントンはアメリカ製兵器使用を承認すると明らかにした。この紛争が核戦争にいたる恐ろしい 可能性が高いと多数の専門家が警告している。サリバンはタッパーに、ロシア攻撃のためのアメリカ兵器使用をアメリカは禁じているが、クリミアはロシアではなく、ウクライナの一部だとアメリカは見なしていると語った。
二人のやりとりのCNN書き起こしは以下のとおり。
タッパー:2月のこの番組では、ウクライナによるクリミア奪還の取り組みをアメリカが支援するかどうかは、あなたは言おうとされませんでした。これは、ウクライナがクリミアのロシア標的を攻撃する能力が与えられるかどうかに関して表明されている関心の一つです。クリミアはウクライナの一部だと思われますか?
サリバン:もちろん。
タッパー:すると、与えることに対する異議は一体何でしょう...
サリバン:クリミアはウクライナです。
タッパー:そうです。
サリバン:つまり、実に単純明快です。
タッパー:ええ、そうですね、あなたはそれを直接答えました。つまり、明らかに、ロシアはそうは思わない。しかしウクライナはクリミアのロシア標的を攻撃できる武器を持つべきだと思いますか?
サリバン:はい。我々は、ウクライナが国際的に認められた国境内でその領土を攻撃できることに制限を課していません。我々が言っているのは、アメリカ製システムで、欧米製システムでウクライナがロシアを攻撃するのを可能にはしないということです。そして、クリミアはウクライナだと我々は考えています。
タッパー:わかります。
Also refreshing clarity from NSA Jake Sullivan "We have not placed limitations on UKR being able to strike within its international recognised territories… we will not enable UKR with US systems Western systems to attack Russia and we believe Crimea is Ukraine" pic.twitter.com/ffVYGilCr8
— Rym Momtaz ريم ممتاز (@RymMomtaz) May 21, 2023
2014年の併合以来、モスクワはクリミアをロシア連邦の一部と見なしており、クリミアを奪還するための取り組みは、少なくとも理論的には、ロシアの他地域への侵略と同じように扱われることを意味する。クリミアがソビエト連邦崩壊後にウクライナの一部になったのは恣意的な官僚制の不測の事態で、ロシア連邦の一部になるのクリミア住民の圧倒的多数が望んでいる。実にささいなことを巡って我々が核の第三次世界大戦の樽を見つめている可能性はなんとも暗い不条理だ。
同じインタビューで、タッパーはサリバンに、ウクライナへのF-16戦闘機供与を承認するというバイデン政権の方針転換について質問し、もっと早く戦闘機が承認されなかった理由を知りたいと要求した。
「アメリカはF-16戦闘機を飛ばすためウクライナ人パイロットを訓練する共同の取り組みを支援するとバイデン大統領はG7首脳連中に語った」とタッパーは述べた。「ご存知のように、ほんの数ヶ月前、大統領はウクライナに戦闘機を与える根拠はなく、ウクライナはそれを全く必要としていないと言っていました。何が変わったのですか? それに、これらジェット機は、ウクライナが訓練されて、来る反撃に間に合うようになっていれば、より効果的ではなかったでしょうか?」
これらマスメディア・プロパガンダ屋が、アメリカ政府の戦争挑発に異議を申し立てるのは、アメリカ政府をより好戦的になるよう促し、なぜもっと戦争挑発しないかという答えを求めている時だけだというのは実に不愉快だ。これは勇敢な反政府ジャーナリズムの幻想を作り出すが、実際これら帝国の取り巻き連中は、アメリカがしたい侵略の強化に対する同意をでっち上げているだけだ。
CNN’s @jaketapper asks National Security Adviser Jake Sullivan why President Biden changed his stance on providing Ukraine F-16 jets. Watch his response below. #CNNSOTU @CNNSotu pic.twitter.com/fl4vJXXTSw
— State of the Union (@CNNSotu) May 21, 2023
これらエスカレーションはモスクワから厳しい警告を引き出したが、デザートのゼリーを拒否するようにバイデンはさりげなく手を振ったに過ぎない。「ロシアは欧米がウクライナにF-16を提供するのは「とんでもないリスクだ」と言っている」という題の記事で「アンチ・ウォー」のデイブ・デキャンプは次のように書いている。
土曜日、アメリカが戦闘機を納入するとヨーロッパ諸国に正式に発表した後、アメリカ製F-16戦闘機をウクライナに供与する欧米の計画は「巨大なリスク」をもたらすとロシア当局は述べた。
TASSによると「西側諸国は依然エスカレーション・シナリオに固執していることがわかる。それは彼ら自身に巨大なリスクを伴う」とロシアのアレクサンドル・グルシコ外務副大臣は述べた。
「いずれにせよ、これは我々の全ての計画で考慮され、我々が設定した目標を達成するために必要な全ての手段がある」とグルシコは付け加えた。
広島で開催されたG7サミット最終日ロシアがF-16計画を「巨大なリスク」と呼んでいることについてバイデン大統領は質問された。彼は「連中にとってだ」と答えた。
Deciding to bring the world one step closer to nuclear war while in Hiroshima, how appropriate https://t.co/zuUOuTTpdM
— Dave DeCamp (@DecampDave) May 20, 2023
タッパーが指摘した通り、F-16供与決定とクリミア攻撃許可決定の両方が、わずか数か月でのバイデン政権による急激な政策転換を示している。この代理戦争は益々エスカレートし続けており、核攻撃の応酬を引き起こす可能性があるために、かつては考えられなかった攻勢が今や当たり前になっている。かつては考えられなかった新たなエスカレーションが実施されるたびに、タカ派は既に次のエスカレーションを推進している。
以前議論した通り、ウクライナで核の瀬戸際政策を継続的にエスカレートさせるこのパターンには、NATOに対しロシアが独自攻撃を強化する誘因を組み込まれている。欧米が瀬戸際政策を強化しても、モスクワが直接軍事紛争で対応しないと、かつてタブーだった越えてはならない一線を越えるたびに、西側はこれを再びエスカレーションを強化できる兆候と見なす。これは、何らかの形でロシアがNATO諸国に激しく非難し、それだけの価値がないことを示さない限り、事態はロシア連邦に対する益々直接的な欧米が支援する攻撃に向かう軌道に乗る。これは想像できる限り実に危険な出来事だ。
我々の支配者が、我々の命でこのようなゲームをするのは好ましいことではない。アメリカ一極覇権を確保する名目で、連中が核エスカレーションに関して益々頻繁にサイコロを振り続けるのは許されない。この連中は、この権力の座に正気と冷静さがないのを十分明らかにしている。地球上の全員声を限りに、はっきり「ノー」と叫ぶべきだ。
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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2023/05/22/biden-okays-f-16s-for-ukraine-us-weapons-to-attack-crimea/
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久しぶりにミアシャイマー教授講演を拝聴 講演後の質問で、ワシントンに行ったことはあるかと問われて、どちらの政党からも質問されたことはないと。
John Mearsheimer Ukraine Salon 1:33:46
Alex Christoforou EUの外務担当ボレル、ベルゴロドとベオグラード(ベルグラード)を混同
US weapons in Russia, fuzzy pics. Orban, no victory for Ukraine. Borrell, Belgorod or Belgrade. 38:11
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
砂川事件、1957年の事件、近年田中最高裁長官と駐日米大使等が最高裁での裁判中に「全員一致判決にする」等の密談が発覚し、2019年土屋氏等が、憲法が保障する「公平な裁判を受ける権利」侵害として損害賠償等請求訴訟を東京地裁に起こし、現在訴訟が東京地裁に係属中。
「ロシアの極超音速ミサイル『キンジャール』を撃墜!? ウクライナ・米国側とロシア側で主張が真っ向から対立!」
はじめに~ロシアの極超音速ミサイル「キンジャール」を撃墜!? ウクライナ・米国側とロシア側で主張が真っ向から対立! 真相を検証!
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