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2023年5月15日 (月)

ウクライナ状況報告:反攻の遅れ、ロシア防衛線、武器の効率

2023年5月11日
Moon of Alabama

 二週間前、発表されているウクライナ「反攻」が余り進展していないことをバイデン政権が認めた

 作戦はまだ開始されておらず、ゼレンスキーは開始を更に先延ばしにしている

 NATO諸国に訓練された戦闘旅団は「準備ができている」が、軍は「数回にわけて到着する」装甲車両を含む「いくつかのもの」を依然必要としているとゼレンスキー大統領はキエフ司令本部で述べた。

 「[我々が既に持っているもの]で我々は前進可能で成功すると思う」と彼はBBCなどユーロビジョンニュース・メンバーの公共放送局インタビューで述べた。「しかし我々は多くの人々を失うだろう。それは受け入れられない。だから我々は待つ必要がある。まだもう少し時間が必要だ。」

 時間は、反攻が高い死傷者率になるのを阻止するわけではない。実際より長時間待つことは現在の陣地にいる軍隊へのより多くの攻撃を意味する。発見された部隊や物資の集積地は既にロシア長距離ミサイル攻撃を受けている。

 反攻は失敗する運命にあり、バイデン政権は目標を変えるべく動いている。フォーリン・アフェアーズで軍産複合体プロパガンダ屋の二人、マイケル・コフマンとロブ・リーが、遙かに長い戦争に備えるよう主張している。

 しかし、その後何が起きるか、ウクライナが次の段階に向けて適切な立場にあるかどうか十分考慮することなく、政策立案者たちは次の攻撃に過度に重点を置いている。最良のシナリオでさえ次の攻撃が紛争を終わらせる可能性が低いため、ウクライナの欧米パートナーは長期的なウクライナ勝利理論を作り出すことが極めて重要だ。確かに、この作戦に続くものは次の不確定な戦闘と消耗期間になる可能性があるが、ウクライナへの弾薬送付は減少する。これは既に長い戦争だが長引く可能性が高い。歴史は完全な参考にはならないが、一年以上続く戦争は、少なくとも更に数年続く可能性が高く、終わらせるのは非常に困難なことを示唆している。したがって欧米の成功理論は、戦争が長引き、欧米諸国がウクライナに決定的優位をもたらせない状況を防ぐ必要がある。

 その評価では妄想がひどい。「勝利の理論」または「成功」はまさにそうだ。理論だ。ウクライナには、より長い戦争を維持する人員がいない。また「欧米」には、ウクライナに「決定的優位」をもたらす可能性がある予備の兵器がない。

 それでもウクライナのドミトロ・クレーバ外相発言は手がかりになる(機械翻訳)。

 ウクライナが侵略国ロシアに対する反攻に成功しなかった場合、ウクライナは次の攻撃に備える。

 5月10日に公開されたビルト・インタビューでドミトロ・クレーバ外相はこう述べた。

 「この反攻を最後の反攻と見なさないよう」彼は促した「それから先、何が起きるかわからない」。

 ウクライナが領土解放で対ロシア反攻に成功した場合「最終的に「そう、それが最後だった」と言うだろうが、そうでない場合次の反攻に備える必要がある」とクレーバは述べた。

 現在発表されているものが失敗した後に開始される次の「反攻」のための武器を既にクレーバは要求している。

 ザポロージャ戦線でのウクライナ「反攻」のための「戦闘計画」とされるものをドレイジンが発表した。

(1)ネステリアンカ-ノボショロフカ線(それぞれオレホフの南東6kmと19km)に沿ってロシアの前方防衛を突破し、ポロジスク-オレホフ・セクターの警備大隊防御深度に突入し、最初の段階で、第47および第65独立機械化旅団、第9軍団(合計2両の戦車と7つの歩兵大隊-最大8300両の戦車を備えた60人の兵士、最大200輌の他の装甲戦闘車両、最大110基のフィールドピースと迫撃砲、12台のMLRS、最大100台のモーターいかだ。コンタクトラインの突破口は、既にライン上にある65番目、次に47番目の順になる。第128独立山岳突撃旅団を含む近隣部隊は、主軸のロシア軍増援を防ぐため、近隣のロシア部隊をハリーする任務を遂行する。

(2)続いて、主力部隊を動員する。主な攻撃は、オレホフ付近からトクマク方向、最終的にはメリトポリに向かうことだ。...

 戦略的価値の観点から、選択された標的は正しい。しかしロシア軍は最強の防衛線を準備している。


出典: @Inkvisiit, Scribblemaps - 拡大する

 軍事教科書では、これは「梯状防衛」として知られており、互いに10km離れた3列のよく準備された陣地だ。各防衛線は、戦車障害物、地雷地帯、突破の試みを監視し対抗するため準備された対戦車陣地と、次の防衛線の背後の十分準備された砲火支援で構成されている。


拡大する

 上空援護や大規模砲撃の優位なしに、そのような相手を破壊するのはほぼ不可能だ。

 だからこそ、ザポロージャ地域は反攻の本当の標的ではないかもしれないと私は思う。それに関する全ての話は陽動作戦かもしれない。最も準備が薄い前線はヘルソンの南地域だ。


出典: @Inkvisiit, Scribblemaps - 拡大する

 しかし、そこにたどり着くには困難で供給線も制限するドニエプル川渡河が必要だ。これはある程度の陣地を確保する可能性があるがリスクの高い試みだ。しかし、なにを勝ちとったにせよ渡河地点は持続的な砲撃を受けるため、再びすぐ失う。

 発表された「反攻」を開始するには他の障害もあるかもしれない。ウクライナ軍司令官ヴァレリー・ザルジヌイはドニプロでの最近のロシアのミサイル攻撃中、負傷または殺害されたと噂されている。それ以来彼は見られておらず、彼の参加が発表された最近のNATO会議に参加していない。

 ところでNATOだ。

NEXTA @nexta_tv -2023年5月11日 7:29 UTC
アメリカ欧州・アフリカ軍報道官マーティン・オドネルは、#Ukraine反攻のため約600種類の武器を受け取ったと述べた。

 全ての必要な訓練や保守や保守部品や弾薬供給の問題を伴う600の異なる兵器システムを一体どんな軍隊が対処できるだろう? 誰もできない。だが互換性のない武器のごたまぜの提供をオドネルは誇りに思っている。

 イギリスのL118軽機関銃、フランスのAMX 10偵察戦車、ドイツのレオパルト1戦車、アメリカ/リトアニアのM101軽榴弾砲の砲弾は全て公称直径105mmだ。しかし、それらは全て互換性がない。ウクライナ最前線の軍隊が追加の105mm弾薬供給を要求する際、必然的に起こる兵站の大失敗を想像願いたい。

 ストーム・シャドウ巡航ミサイルの輸出版をイギリスがウクライナに送った。これは射程約250キロでポーランドがウクライナに送った「欧米化版」戦闘機Su-24から発射可能だ。

 これは、より多くの武器を送付できない言い訳、新たなNATO主張の要点の一部のようだ。

 水曜日、ウクライナでの戦争は、時代遅れの装備で訓練不十分な多数のロシア兵と、より優れた欧米兵器と、しっかり訓練した小規模なウクライナ兵間の戦いになるとNATO最高軍事当局は述べた。

 NATO軍事委員会委員長ロブ・バウアー提督は、現在ロシアは第二次世界大戦後の間に設計された古いモデルの、かなりの数のT-54戦車を配備していると述べた。

 「しかし問題は彼らが依然多数T-54を持っていることだ。だから数と量の面で問題だ」とブリュッセルNATO本部での同盟諸国国防長官会議後バウアーは記者団に語った。

 T-54は自由に動く主力戦車としてでなく、防衛線に埋める固定対戦車砲としてロシアは使用している。ロシアには新しいT-72やT-90モデルが多数あり、それらで置き換える必要はない。

 ロシア軍が阻止する方法を見つける日まで、ストーム・シャドウは一定の成功を収めるかもしれない。以前発表された全ての魔法の兵器同様それも期待を裏切るだろう。

 大いに喧伝されたHIMARSミサイルをご覧願いたい。漏洩ペンタゴン文書によるとウクライナ軍は一日あたり平均約13発のHIMARSミサイルを発射した。過去二か月、ロシアの攻撃成果報告は、ロシア防空システムに排除された、一日あたり平均六発のHIMARSミサイルを記録している。残りのミサイルは電子戦措置でかわされた。

 ここ数ヶ月、ロシアの集中的阻止により、システムの有効性が益々低下していると、5つのアメリカ、イギリス、ウクライナ情報筋がCNNに語り、アメリカとウクライナの当局は、進化するロシアの妨害措置に対抗するためHIMARSソフトウェアを微調整する方法を見つけることを余儀なくされている。

 国防総省当局は電波妨害への対策を見つけ、その後、ロシアがその対策に対抗するという「絶え間ないいたちごっこだ」と述べた。しかも、そのゲームが長期的にどれほど維持可能か明らかではない。

 それでHIMARSシステムは事実上役に立たないと判明した。そのような「素晴らしい」兵器が、ロシアの同様に「素晴らしい」兵器の、より多い「量」を打ち負かせるという考えはたわごとに過ぎない。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2023/05/ukraine-sitrep-delayed-counteroffensive-russian-defense-lines-weapon-efficiency.html#more

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 早速ウクライナはストーム・シャドウ巡航ミサイルを活用。戦闘機から発射するので、発射した戦闘機は撃墜された。

 Alex Christoforou ゼレンスキー、イタリアで教皇と首相と会談。教皇が示した和平案を拒否。メローニ首相は必要な限り支援を約束。

Elensky visits Pope & Meloni. WaPo, invade Russia & blow up Hungary pipeline. Turkey elections. 15:45

 マグレガー氏のyoutube良く拝聴するが、今日の日刊IWJガイド記事にある番組、聞いたことがなかった。

Robert F. Kennedy Jr. Podcast | Colonel Douglas MacGregor on Ukraine 33:50

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

中露を敵とする「新冷戦」の中、バイデン政権は安倍元首相と岸田首相をどう評価したか。ウクライナ戦争、中国包囲網、日韓関係を強化し、日米韓の対中包囲網。各々の項目で、安倍元首相と岸田首相はどう受け止められてきたか。意外な結果。

日刊IWJガイド

「統一教会が多摩市に推定10億円、6300平方メートルの土地を購入! 隣は国士舘大、向かいは都立高校!」

はじめに~統一教会が多摩市に推定10億円、6300平方メートルの土地を購入! 資金は信者からの献金!? 隣は国士舘大、向かいは都立高校! 統一教会は5月に韓国で大規模な合同結婚式を開催、日本人が多数参加!! 岸田政権は5回目の質問権行使を行うも、いまだ「分析中」!? 統一地方選では教団と接点のある現職の90.6%が当選!! 噂される衆院解散まで、鎮静化した統一教会問題にはフタをして「寝た子を起こさぬ」状態の岸田政権! それでいいのか!?

■米国大統領選挙の民主党候補の一人であるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が自らのポッドキャストで、保守派の論客・米陸軍の退役軍人であるダグラス・アボット・マクレガー元大佐とのウクライナ紛争に関する議論を公開!(その1)マクレガー氏は「米国には明確な戦略がないが、ロシア側はウクライナで何が起ころうと、自分たちの存亡に関わる問題だと考えている」、「今戦闘が起きている地域の、ウクライナの一部に住んでいるロシア人は二級市民として扱われ、ウクライナ人になれと言われ、棄てられ、1万4000人がその地域で殺されたと報告されている」と重要な指摘!

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