ウクライナ状況報告:漏洩した要旨説明、道路確保、分割訓練
2023年4月10日
Moon of Alabama
どうやら、米軍統合参謀本部のウクライナでの戦争に関するいくつかの要旨説明文書がインターネットで漏洩したようだ。私はこれまでのところ5ページしか見ていない。総数は53ページまたは56ページと想定されている。どなたか私がまともなコピーを見つけられる場所をご存じであれば、コメント欄でお知らせ願いたい。
最初の発表がアメリカ主要メディアで論じられた際、私は慎重だった。最初のものは、アメリカがロシアを首尾よくスパイしているのを示すため使用された。だから発表全体が偽情報キャンペーンの可能性があると思ったのだ。しかし過去数日メディアで議論されたファイルの第2回分は異なる構図を示している。
Naked Capitalismのイヴ・スミスは、それらについて上手くまとめている。
繰り返すが、ニューヨーク・タイムズは、ウクライナの準備に焦点を当てたペンタゴン・スライドの(これまでのところ)二種類の最初のものがロシアのTelegramアカウントに現れたことが判明したことに関し論じた最初の主要メディアであったことを想起願いたい。最初のものはアメリカかロシアの心理作戦だと主張するむきもあったが、専門用語の信憑性と不愉快な情報の量はそれとは相反していた。第2弾はウクライナを超えて拡大し、アメリカの利益を損なうと考えられている。
だが多くの戦争観察者が指摘している通り、これら暴露は広く予想されているウクライナ反攻に大きな影響を与える可能性は低そうだ。詳細は魅力的だが、ウクライナの防空システムが枯渇し、悪化するだけだなどという所見はオープンソースで明らかだった。だがロシア軍の97%がウクライナに投入されているなど、いくつかの主張は奇妙だ。イギリスのベン・ウォレス国防長官が2月にそう述べ、当時ウクライナ・プロパガンダを受け売りしているように見えたことを想起願いたい。ウォレスはこれら文書からその事実を入手したのだろうか?
それにもかかわらず、この暴露は予想される反撃開始にはさほど役に立たないがアメリカは機密情報の流布をきつく取り締まるようになるだろう。
...
この2番目のグループの少なくとも一つのスライドには配布先がアメリカ国民に限定されることを意味する「Secret/NoForn」というラベルが付けられていた。それは最初のバッチ(ウクライナを含むアメリカ同盟諸国に広く配布される)に基づいて、戦争の行われ方に不満を持っているウクライナ人が漏洩の背後にいた可能性があるという我々の考えを排除するように思われる。この印は、これら文書が請負業者を含む国防総省情報源からの可能性があることを示唆している。
下記のページは、9つの新旅団の訓練と装備日程を示している。
(私がツイッターで見つけた他のページはここと、ここ、ここと、ここにある。
これら旅団は最新の戦車や砲兵が少なすぎ実際効果的ではない。砲兵榴弾砲用の122mm弾薬も不足している。
ウクライナ反攻が行われたとしても一部の人々が期待しているような強烈な打撃になる可能性はほとんどない。ウクライナは、その攻撃に備えるため他の部隊を保留していた。しかし、それら部隊のいくつかは既に使用されている。バフムートに関する記事の中で、ニューヨーク・タイムズは次のように書いている。
だがバフムート郊外の農地や村でT504高速道路と506として知られるルートの二つの主要道路におけるキーウ軍の戦いでロシア軍は本質的に停止しているとウクライナ軍当局者は言う。
バフムート郊外の補給線を強化し道路を保護するウクライナ作戦開始から六週間後、ウクライナ軍当局者は、少なくとも今のところ、これらの道路を切断し都市を包囲するロシアの取り組みを阻止していると言う。
T504高速道路はM-32としても知られている。ここ数日ロシア軍はバフムートの南から移動し今や物理的にそれを封鎖している。T-506(下の地図のO0506)は依然開いているが絶え間ない砲撃を受けている。
最近公開されたドローン映像は通過が困難なことを示している。
MilitaryLand.net @Militarylandnet - 2023年4月8日 8:34 UTC
📷HMMWV、BTR-4、M113、T-72戦車を含むウクライナ車両がクロムーブ集落を経由して#Bakhmutとチャシブヤールを結ぶ道路で破壊/損傷した。
#UkraineRussiaWar
埋め込みビデオ
そのビデオで長さ200メートルの道路で16台の破壊された車両を私は数えた。
しかし、ウクライナはそれをどうにか開いたままにするため予備軍を使用している。
国防総省と統合参謀本部が作成し今月ソーシャルメディアで漏洩された機密作戦概要らしきものの評価によると、2月下旬ウクライナはバフムートの戦いで負けそうになっていた。[...]
当時、都市の北西と南西へのロシアによる二つの側面攻撃はバフムート包囲に近かった。唯一のアクセス道路である506は、ウクライナ軍とまだ市内にいる少数の民間人のため開いたままだったがロシア砲撃を受けていた。ウクライナの東部司令官オレクサンドル・シルスキー将軍は、このルートを「最後の呼吸管」と呼んだ。
漏洩文書によると、ウクライナ司令官は撤退ではなく道路の防御を強化すると決定した。ウクライナ軍は今後数週間または数か月以内に予想される反撃に備え保持したいと望んでいた多くの兵士をバフムートの戦いに配備し、軍隊は大きな犠牲者を出した。
バフムートは肉挽き器となり、その仕事は継続している。
そのため、ウクライナ軍は益々多くの男性を徴兵している。
軍服を着た男性は、いつでもどこでも現れかねない。
彼らは民間人のドアをノックし、街角で無作為に彼らを止め、生活をひっくり返す可能性がある召集令状を渡す。
ウクライナはより多くの兵士を必要としている。それも早急に。キーウはロシア占領軍への差し迫った攻撃準備をしており、ウクライナは自軍の死傷者数を開示していないが、現場の司令官は大きな損失を説明している。
...
以前当局は徴兵命令書を人々の家に届けることしかできず、正式に登録されている場所と異なる住所に滞在することで通知を回避する人もいた。しかし新しい規則は、男性を止めて徴兵資格に関し質問できる場所の範囲を広げた。
...
キーウ採用事務所の外で並んで待っている洗濯機修理工オレクシー・クルチュコフ(46歳)は、警察が彼が加わっていた路上の喧嘩を解散させた後、出頭するよう命じられたと語った。彼には有効な軍事免除はなく、事件により彼は即訓練に送られ、次に前線に送られると予想していると述べた。昨年キーウ周辺にロシア軍に対する障壁設置を支援した道路修理工オレクサンドル・コスティウク(52歳)は、最近職場の人事部を通じて通知を受け取った。彼は必要に応じて前線に行くのをいとわないが身の安全を恐れている。「今私たちは何が起きているのか理解しているので、私は非常に緊張しています」と彼は言った。
哀れな人々。どの道に失われる土地を守るために酷使されるのだ。
だが、これは懸念される。
2月初旬以来、ウクライナ国家警備隊に組み込まれた物議を醸す元右翼民兵でアゾフ大隊として以前知られていたものへの参加を5,000人以上が申請した。昨年戦闘で強化されたこの集団は南東部の都市マリウポリの数ヶ月にわたる包囲に耐えたことで英雄的だと歓迎された。
その後、2月に、ウクライナ内務省はアゾフが新たな攻撃警備隊の一部として攻撃部隊に拡大されると発表した。
その規則の下では、アゾフは徴兵ではなく自発的に入隊した人だけを受け入れ、最もやる気のある兵士を選べると言い、適切と思われない人々を拒否する権利を留保する。アゾフは旅団としての新しい立場のため大規模採用キャンペーンを開始し、昨年マリウポリで捕らえられ最終的に解放された男性の多くが現在新兵を訓練している。
独自の新兵を選ぶことで「物議を醸す右翼民兵」が「物議を醸す元右翼民兵」に変わるのだろうか? 疑問だ。今一体誰がそれらナチスを訓練しているのか推測願いたい。
一方キーウ地域の訓練キャンプでは、新しいアゾフ新兵が射撃場に並び、C7A1ライフルの使い方を学んでいる。教官の一人で、アゾフに加わり、コールサイン、フロドというロシア語を話す元アメリカ海兵隊員は「一ヶ月前この人々の大多数は民間人だった」と言った。一人は壁にもたれて座り、翻訳された米軍ハンドブックを研究していた。
彼らが自ら入隊する十分な動機を持っていたということは彼らは「兵士より戦士」のように振る舞うことを意味するとフロドは言った。
この訓練は、約3か月の米海兵隊基礎訓練をわずか4週間に凝縮していると彼は述べた。その間、軍隊は射撃や地図作成から無線や工学までの全てを学ぶ。その後ほぼ即座に国の最も激しい最前線に配備される可能性がある。
通常の徴募兵が受ける基本的訓練は、同じように効果的ではないようだ。
最近午後ウクライナ東部のライマン郊外で、ベテランの入隊したリーダーが、新しく到着した軍隊の初期訓練の質について吐き出し、部隊に到着した時に教えなければならない現場で必要な基本を大部分が無視していると説明した。
指導者は記者と話す権限がなかったため匿名を条件に語り、基本的訓練で「歌を歌い、行進するよう教えられる」と述べた。
配備されると兵士は最も古い慣行、つまり塹壕堀についてさえ指導が必要だと指導者は言った。彼らはシャベルの持ち方や塹壕や陣地の強化方法を知らない。練習のため、新兵集団が塹壕線近くでシャベルで穴を掘った。
普通のウクライナ男性が適切な訓練や装備やなしで前線に送られる。これはイデオローグが独自の特別訓練を受け、カナダ製のコルトM16A3相当品を貰うようなものだ。この社会的分裂によるウクライナに対する長期的な影響は恐ろしいものになろう。
漏洩された説明要旨スライドには、そのような懸念はほとんどないようだ。イヴは、彼らに関する報道記事で次のように述べている。
良い諜報情報も、古い考え方のフィルターをかけられれば、さほど役に立たない。上記で見たように、アメリカは、ロシアが何よりもまず、ウクライナ(と今はNATO)の戦争能力を破壊しようとしているのではなく、領土を獲得しようとしているという考えを乗り越えられない。これらの文章には、ロシアの戦争のやり方に関する軽蔑的なことが含まれている。これは単なるメディア・メッセージというだけでなく、アメリカやNATOの意思決定者に十分内面化されているように感じられる。この種の過小評価はロシアにとって非常に好都合に機能する。そしてベルトウェイに非常にしっかり構築された反響室は、それが継続する可能性が高いことを意味している。
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ウクライナの状況について様々な本を見かけるが立ち読みも購入もしない。しかし最近一冊購入。『ウクライナ戦争をどう見るか』塩原俊彦著。納得して読める希有な書籍。
Alex Christoforou プーチンを逮捕するというICCの本拠ハーグで講演し散々やじられたマクロン ウクライナ首相シュミハリは武器要求行脚でカナダ訪問。彼が乗っていた航空機には「戦闘機」と「祈り」の絵文字。Photoshopで誰かが加工したのか、本物か?
Macron heckled at The Hague. Summer offensive. Trudeau meets Ukraine PM. pipeline hack. U/1 30:40
デモクラシータイムス
<主権者はどこ?>【山田厚史の週ナカ生ニュース】 1:40:35
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はじめに~<インタビュー報告>「特殊詐欺の背景と経緯、それを盤石とさせている者の言説が浮かび上がった」!「背後に『暴力団』が関与し凶悪化する『特殊詐欺』を『高齢者差別』が後押し! ルフィ事件と、高齢者に「集団自決」を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題! 岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク 田崎基氏インタビュー第4回」をフルオープンで配信しました。
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