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2023年4月23日 (日)

NATO拡大 対 OPEC+オイル・ショック

2023年4月19日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 フィンランドが加盟したことによる当然の拡大で、北大西洋条約機構(NATO)は民主主義と人権の保護を目指すロシアとの戦いで、おそらく西洋に大いに喜びをもたらしている。この戦いの本当の目的は我々が既に知っている通り、西洋の護持だ。1990年代初期のソ連崩壊後、一方的なアメリカ覇権という形でアメリカが率い支配した第二次世界大戦後の世界秩序だ。ロシアと中国が、アメリカのこの一方的覇権に、これまでで最も明確な衝撃を与えており、アメリカは、非常に手ごわい脅威に対して立場を強化すべく益々多くの同盟国を獲得するため、できる限りのことをしている。NATO拡大は西洋、またしても主にアメリカが、世界秩序を維持するために最近行った多くの措置処置の一つだ。だが進行中のロシア-ウクライナ(NATO)軍事衝突は多くの重要な形で世界を変えた。一つはNATO拡大にもかかわらず、アメリカはロシアを世界規模で成功裏に「孤立させる」ことがどうしてでもできていない。中国に対しては、アメリカは大きな代償を払わずに中国との関係を「断絶」することはできないし、地政学的影響なしにそうすることもできない。

 他の何よりも、生産量を削減するというOPEC+諸国の最近の決定、従って石油価格上昇は、世界で最も強力な石油生産諸国がロシアと協力し続けていることを示している。この全員一致の決定は単なる経済問題では済まない。実際、OPEC諸国がアメリカの圧力を拒絶して、自立的行動をしロシアを支持する能力は、これら諸国がアメリカをなだめるため自身の国益を危険な状況に陥れずに、国々やブロックで、どのように実際多極世界というロシアと中国の構想に習って行動できるかを示している。アメリカ覇権にとって多極世界のこの抵抗できない流れは、未来に対しNATO拡大より遙かに不利だ。NATO拡大は、この組織が今ヨーロッパ内の大きな軍事力がないもう一つの国を加盟国にすることを意味するが、ヨーロッパ/NATO外の代替反覇権勢力の団結は、アメリカと同盟諸国が自分に有利な外交政策結果を世界の他の国々に強制する領域が縮小しつつあることを意味する。

 今石油生産削減の決定が、既に経済危機と生活費危機に直面しているアメリカとヨーロッパ同盟諸国に打撃を与えつつあるが、この決定は、地政学的にも国内的にも直接バイデン政権をどう傷つけるか全く気にしていないことを示している。

 これを考慮願いたい。ロシア-ウクライナ(NATO)紛争開始以来、アメリカは高価な石油をヨーロッパに売っている。3月、ヨーロッパへのアメリカ石油販売は史上最高に達した。だがこの拡大した供給は、価格の約50パーセントの高騰をもたらした。今やOPECが生産を削減して石油価格を引き上げると決め、ワシントンのヨーロッパ同盟諸国と実際アメリカ自身の消費者は今や既に直面している生活費危機を促進しかねない一層高価な石油とガスを買っている。

 そのため国内的に、ヨーロッパにロシア石油購入削減を強いて、そして/あるいは価格上限を設定して、ロシアに対する経済戦争を始めるバイデン政権の決定は益々微妙になるだろう。 政治的に言って、石油価格を細かく管理して、アメリカ消費者のために価格を異常に低くしておく試みで、定期的にアメリカの戦略石油備蓄から石油を放出するバイデン政権の政策は今後数週で実行が益々困難になるだろう。

 (NATO拡大を巡って歓喜に満ちている)バイデン政権にとって、石油価格を永久に微細に管理する能力の減少は、多くの人々がドナルド・トランプの積極的な大統領選挙運動と見ているものの開始と同時に起きている。

 こうして二つの衝撃が起きている。ロシアがOPECを味方にしている事実はアメリカとNATOがこれまでに、どんな有意義な意味でもロシアを打倒し損ねていることを意味する。ジョー・バイデンは来年予定の再選のためのロシアに対する勝利を獲得できない。他方OPECに影響を与えるワシントンの能力のなさは、ロシアの成功を示唆し、外国政策の徹底的失敗を意味する。地政学な意味で、OPEC+の動きは3月16日、リヤドでの石油市場協力に焦点を合わせたロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相とサウジアラビア・エネルギー大臣アブドゥルアズィーズ・ビン・サルマン・アール=サウードとの会議後におきた。そのため、それは広くロシア・サウジアラビア間のきずなの深化として見られている。

 生活費危機管理の失敗とバイデン政権がサウジアラビアのような同盟国を失った事実は相まって、有罪判決し、最終的に逮捕するというバイデン政権の「陰謀」という観点で既に彼の復帰に対する障害として描きだしている自信に満ちたドナルド・トランプにとって、非常に重要な結節点になるだろう。

 このオイル・ショックはヨーロッパの国内政治や外交政策を益々複雑にするだろう。最近のフランスでの年金制度改革反対大規模抗議行動や、より高い賃金を要求するイギリスでの広範囲のストライキが一層再発するだろう。ヨーロッパ中でのこのような抗議の反響はヨーロッパ諸国の多くにロシア(と中国)に対するアメリカの戦争に対する彼らの支持の度合いを再考するよう強いかねない。

 従ってロシアとサウジアラビアによってもたらされたオイル・ショックはウクライナ現地に影響することがありそうになく、ロシアは対処する他の手段を持っており、NATO拡大でアメリカがロシアに与える予定だったショックより大きい。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/04/19/nato-expansion-versus-opec-oil-shock/

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「EUとG7がまっぷたつ? ? EUは『対露制裁は終わった』、今度は『対ウクライナ禁輸措置』へ!? G7は『対露全面制裁』に意気軒昂!」

はじめに~対米自立・独立外交を堅持するとのマクロン大統領発言に、米紙は「気にするな」と米国と欧州の一体性を強調! 帝国からの独立を求める属国の声を「気にするな」とは、どういう神経か!? 米仏大統領による電話会談で、米国が割愛した「ウクライナ紛争の終結に向けて中国との関係を維持することの重要性」を、フランス大統領府は掲出! 米国とEUの間に「隙間風」が吹く中、EUが「対ウクライナ禁輸措置」へ!? 英紙に対しEU高官は「ロシアに対する新たな制裁は終わった」とコメント! それでもG7は「対露全面制裁」にEUを参加させると意気軒昂!

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