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2023年4月19日 (水)

イラクに対するイギリスの火遊びは罰を免れている

2023年4月17日
ヴィクトル・ミーヒン
New Eastern Outlook

 2003年3月20日、イギリスは不意にイラクに侵攻した。

 20年2003月20日、アメリカ、イギリスおよび従順な「有志連合」は、民主主義を確立し、国を発展させ、抑圧的独裁政権を打倒するという目標を掲げて、凶悪なイラク侵略を行った。だまされた多くのイラク人は自分の国が豊かで前向きな国に発展するのを見たかったため、民主的価値観に基づいて設立されたとされる新政府を支持し、旧政権が打倒されるのを目にする機会を受け入れた。しかしイラクの政治と安全保障の複雑さから、イラク人と国際的同盟諸国の両方がわずか20年でこれらの目標を実現するのは不可能なことが明らかになった。

 ロンドンが積極的に参加した勇敢な行動は、イラクの国家、軍事、経済、社会的基盤をひどく破壊し、イラク何年にもわたる内部紛争と政治をめぐる意見不一致に陥らせ、今日まで、そこから回復できていない。更に侵略は合法的なサダム・フセイン大統領政権転覆とその後の殺害、国の重要インフラの荒廃、医療制度の大幅悪化、犯罪の増加をもたらした。特にイラクで大量破壊兵器(WMD)は発見されていない。イラク軍事介入に関与したイギリス指導者連中は彼らの犯罪行為の正当化に「諜報情報の不正確さ」を利用した。

 約46,000人のイギリス兵がイラク侵攻に参加し、その後アメリカ軍派遣団に次ぐ最大のイギリス軍派遣団がイラクに残されたのを覚えておく必要がある。イラクは2003年9月に四つの占領地域に分割され、南部の四州がイギリス占領地域に割り当てられた。

 イラクでのイギリス軍事作戦であるTELEC作戦は2009年4月30日に終了したが、「イラク軍を訓練するため」400人の兵士が残った。2011年5月22日に、1800人のイラク兵士と指揮官の訓練を完了した後、彼らはイラクでのNATO訓練任務の一環として「訓練」を続け、そこに駐留するイギリス兵の数を44人に減らした。

 作戦開始から、2009年7月31日までにイラクのイギリス兵は死者179人と負傷者3709人の(537人の負傷者を含む)を被った。その後も死者は続いた。独立系ウェブサイト iCasualties.org によると、2017年1月1日から2020年3月11日までの間に、イラクで更に三人のイギリス兵が殺害された。

 トニー・ブレア首相率いるイギリス政府は、2003年にイラク侵攻を開始した時に間違いを犯した。参戦するという決定は、国連安全保障理事会メンバーの大多数の同意なしに、誤った情報と判断に基づいて行われ、今感じられている悲惨な結果をもたらした。これらの調査結果は、アメリカとイギリスのイラク侵攻に備えたイギリス内閣の行動の調査報告書に記載されている。

 ジョン・チルコット卿が監督し、完了するまで7年かかったこの調査は、事実上内閣が国連の権威を弱体化させ、国際社会に脅威を与えない国の政府を違法に追放したと非難した。チルコット調査はイギリス政府が侵略に備えて不正確な情報と見積もりを提供し、作戦を開始する決定は「不当な確実性」に基づいていたと述べた。作戦開始8か月前、ブレアは侵略を支援すると約束し、アメリカのジョージW.ブッシュ大統領に「私はあなた共にある」と約束したとされる。「イラクの大量破壊兵器(WMD)によってもたらされる脅威の深刻さに関する判断は正当化できない確実性で提示された」と歴史的偉業を成し遂げたたチルコット調査は述べている。また「明示的警告にもかかわらず侵略の結果は過小評価されていた」と述べた。ブレアに対する最も深刻な批判は、この規模の軍事行動には安全保障理事会の全会一致承認が必要な事実にかかわらず彼が国連基準を無視したことだった。

 イラクは戦争当時、世界に脅威を与えることはなく、国連査察官はイラク企業を査察し、不拡散体制の監視に成功していた。軍は、これら制裁は成功し、イラクが核兵器や長距離ミサイルを開発するのを阻止したと述べた。

 調査はまた、イギリスのイラク侵攻が十分な法的正当性を欠いていることを明らかにした。チルコットは「3月20日の侵略前に法的根拠の扱われかたは十分からはほど遠かった」と述べた。イギリス政府は、このように行動しながら、イラク問題の外交的解決の可能性を考慮しなかった。

 2003年のイラク侵攻前に誤った情報に依存したことを元イギリス首相トニー・ブレアは、いやいやながら「謝罪」した。当時イラクは45分で活性化できる化学兵器を所有していると彼は主張した。ブレアはテロ組織ISIS(ロシアでは違法)の台頭とイラクでの紛争との強い関係も認めた。同時に元首相はサダム・フセインの独裁政権を打倒し、国際裁判官や国連安全保障理事会の役割を採用したことには謝罪しないと述べた。

 これはロンドンとワシントンがウクライナで始めた戦争の原因だという犯罪的立場をロンドンが、ぬけぬけと奉じている現在の状況を反映している。様々な数字によると最大100万人のイラク人の死をもたらした対イラク侵略の責任、特に物的責任を受け入れることなく、イギリスは世界中で紛争と戦争を始める同じ政策を続けている。

 首相を辞任し、(国連、アメリカ、欧州連合、ロシアで構成される)中東カルテットの特使に任命された後も、トニー・ブレアはイラクへの違法侵略に何の責任も負わなかった。さらに、ブレアは「イギリスへの特別な貢献」のかどで、最も高貴なガーター勲章を受け、それにより彼は「サー」と呼ばれることになった。これら全てが現在のイギリス支配層には犯罪的価値だけが認められている証拠だ。それがおそらく、ブレアの名誉称号の剥奪に対する多くの王国臣民の怒りと、ブレアの名誉称号剥奪を求めて何百万人もの英国人から支持を得た退役英国軍人アンガス・スコットによる嘆願書が未だにロンドンで検討されない理由である可能性が高い。「彼は戦争犯罪の責任を問われるべきだ」と請願書は主張する。「トニー・ブレアは、いかなる公的名誉にもふさわしくない人物だ」

 労働党の元党首ジェレミー・コービンによれば、2003年のイラク侵攻は失敗で、中東でのテロ拡大に貢献した。彼は発表された報告書の結果について発言した。彼は戦争を誤った大義の下に開始された「軍事侵略行為」と呼んでいる。国内外で安全を実現する代わりに、戦争が勃発し、テロ活動を作り出して(中東編)地域全体に広げた。庶民院で「侵略は政治家への信頼の根本的な喪失をもたらした災害だった」とコービンは語った。彼は侵略前の2003年2月、イギリスで150万人が大規模反戦行進に参加したことを想起させた。労働党党首によると、この戦争は地域全体を不安定にし、リビア侵攻のように、テロの脅威をエスカレートさせただけだ。

 スコットランド国民党のジョージ・ケレヴァン議員によるとブレアとジョージ・W・ブッシュが始めた暴力の波は依然命を奪い続けている。2003年のアメリカとイギリスによる侵略は中東を不安定にし、それ以来状況は不安定で、現在も戦争が続いている。侵略の結果は行動、すなわち、この恐ろしい戦争で亡くなった全ての人々、つまりイギリス人とイラク人両方のための正義に転換されなければならないとケレバンはRTインタビューで語った。

 報告書の結論は驚くべきものからほど遠い。アメリカとイギリスのイラク作戦初日から、この作戦はワシントンとロンドンの地政学的権益のためで、サダム・フセインが大量破壊兵器を持っていたという「議論の余地のない証拠」は介入のもっともらしい口実にすぎないことは誰にとっても明らかだった。これはロシア指導部だけでなく、アメリカに最も近い同盟諸国によっても公然と宣言されている。

 ロンドンがイラクの大量破壊兵器に関する情報を持っていると公に主張した時、ロシアを含むさまざまな国が外務省や諜報機関を介してイギリス当局に接近した。そのような情報をロシアや関連する国連委員会に提出するよう要請した。残念ながら、この要求は「情報源を開示しない」という良くある口実で拒否された。独立調査が7年間行われ、当時のイギリス指導部について厳しい結論を出した報告書が公表された事実は称賛に値する進展だ。真実の確立は歴史家だけでなく、この規模の過ちには消滅時効がなく、遅かれ早かれ責任を問われなければならないことを理解すべき現在および将来の政治家にとっても重要だ。

 ビクトル・ミーヒンは、ロシア自然科学アカデミー客員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/04/17/britains-escapade-against-iraq-goes-unpunished/

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コメント

 イラク戦争のための米英の屁理屈、大量破壊兵器の存在は、全くの大嘘とでっち上げでした。
 軍需産業の利益のためと、石油の強奪のため、勝手に始めた侵略戦争にすぎません。
 しかも、戦争後の統治は、大失敗しています。
 そんなことをするアメリカ合衆国に、いまだに金魚のフンみたいに、くっついているのが日本。
 現在のアメリカ合衆国の策略は、まるで日本を滅ぼすかのようなものなのに、マヌケにも程がある。

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