アメリカの漏洩スキャンダルと韓国
2023年4月14日
コンスタンチン・アスモロフ
New Eastern Outlook
ウクライナ危機に関連するいくつかの国防総省とCIA文書が4月初旬インターネット上に浮上した。明らかにされた文書の内容が正確なら、今我々はエドワード・スノーデンの2013年の暴露以来、アメリカの民間記録の最大漏洩を目にしているのだ。
しかし、多くの文書が、ワシントンが韓国を含む親しい同盟諸国を詮索するため傍受を利用する諜報活動(SIGINT)を使用しているように見えることが明らかになったため、我々は韓国に関する面に興味がある。
特別軍事作戦開始以来、アメリカとNATOはウクライナに武器を供給するよう韓国政府に絶え間ない圧力をかけてきたが、韓国は交戦国には致命的兵器を提供しない原則を支持していることに留意願いたい。
ニューヨークタイムズ紙によると、韓国がアメリカの備蓄補充を支援するため砲弾販売に同意したという報告が2022年後半に明らかになった後、ソウルは米軍が最終消費者であるべきで、武器を転売または譲渡すべきではないと強調した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の顧問はアメリカが兵器をウクライナに転用するのを依然懸念している。
ニューヨーク・タイムズ紙は李文熙(イ・ムンヒ)元大統領外交長官と金成漢(キム・ソンハン)元国家安全保障問題担当補佐官の会話を報じている。李氏は政権は戦争中の国に致死兵器を供給しないという韓国政策を無視して、バイデン大統領が状況に対処するために尹と直接電話で話すかもしれない恐れに悩まされていると主張した。さらに政府は韓国がアメリカの弾薬要求に応じた場合、アメリカが最終利用者ではない懸念に悩まされていた。
李によれば「韓国は、この問題について明確な立場を決めずに国家元首間で電話会談を行う準備ができておらず、韓国は致命的兵器支援供給に対する政策に違反できないので、公式な政策変更が唯一の選択肢だと付け加えた」と語った。韓国大統領のワシントン公式訪問の発表と重なった場合、韓国がウクライナに致命的兵器援助を送らない立場を覆す決定がアメリカへの贈り物として行われたと国民が信じるのではないかと金は懸念していた。文書によると金成漢は代わりに「ウクライナに弾薬を迅速に届けるのがアメリカの究極の目標であった」ため、ポーランドに33万発の155mm砲弾を供給する可能性を示唆した。李はポーランドが最終利用者と呼ばれるのを受け入れ、ウクライナに弾薬を送ることに同意したが、韓国は「ポーランドが何をするか検証する」必要がある。
峨山政策研究所の兵器専門家ヤン・ウク氏は「韓国の立場は、ロシアとは衝突せずに、アメリカと協力するというものだった。漏洩文書は韓国をより困難な立場にした。」顧問の会話は、アメリカの圧力の下、遅かれ早かれ、超えてはならない一線を越え、議論は、その後に起きることには見て見ぬふりをして、ポーランドに武器を供給すべく政策を公式に変更するかどうかかだという彼の主張を裏付けるので著者はこの発言に同意する。
また、この事実は大統領がそのような準備に気づいた時に辞任した可能性がある金聖翰(キム・ソンハン)国家安保室長の辞任理由に関する著者の以前の疑惑にも対応する。
さらに国防総省機密文書の中には韓国からの155mm砲弾の供給日程計画があり、10日に空路で、27日に船で33万発の出荷が行われた。輸送費は2600万ドル(344億ウォン)だ。弾薬の最終目的地は不明だが金成漢(キム・ソンハン)がポーランドに、まさに330,000発の155mm口径砲弾を届けると約束したことを考えると、ウクライナ軍が意図された受領者である可能性が最も高い。
例えば1970年代、アメリカ合州国が青瓦台をひどく盗聴したので、政府会議ではささやき、電灯は覆わなければならず、最も重要な議論は大統領がスタッフと一緒に歩きながら住居外または青瓦台の庭で行われたので、ワシントンによる同盟国諸国の盗聴に筆者は驚かない。青瓦台の会議を盗聴してアメリカが知った情報は1976年に起きたアメリカ史上最大のロビー活動と金で影響力を買うスキャンダル、コリアゲートにも関連していた。
2013年に漏洩されたアメリカ安全保障局記録(スノーデン暴露)は、アメリカがワシントンDCの韓国大使館や他の35の外交使節団を盗聴していたことを示した。当時、韓国政府はアメリカに説明を要求し、ワシントンから諜報活動を見直すと言われたと想定される。当時、舞台裏での理解要請を除いて、アメリカ側からの明確な遺憾の意の表明や説明さえなかったとコリア・タイムズは指摘している。
この漏洩は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領がワシントン公式訪問で出発する予定のわずか2週間前に起きたため、ソウルを気まずい状況に陥らせた。
4月9日、趙泰溶(チョ・テヨン)国家安全保障問題担当補佐官はニューヨーク・タイムズ記事にどう反応するかを考えるため大統領府会議を主宰した。同日、大統領府代表は、ウクライナへの援助に対するソウルの立場は変わっておらず、致命的兵器の提供は決定されていないと強調した。
一方、尹錫悦の同盟者たちさえ大統領はワシントンに正直に言い、盗聴があった場合、謝罪を求めるようにという国内圧力が高まっていると指摘した。更にそのような要求は「全員の人の楽しみを台無しにする」可能性があるため大統領は厳しい決定を強いられる。
明治大学のシン・ヨウル政治学教授は「ウクライナへの支援の問題は正しいか間違っているかではない。確かに道徳的には支持すべきだが、ロシアとの関係を考えると、それは困難な問題だ。」彼はまた盗聴の問題は別だと述べた。電話傍受は違法で、同盟の名の下で正当化はできない。アメリカが韓国を盗聴したのが本当なら韓国はアメリカから謝罪を受けるべきだ。
右派保守派の中央日報でさえ「同盟国によるスパイ行為に厳しい姿勢」という題の社説を掲載し、一種強く出た。「もし真実だと証明されれば、その疑惑は主権に対する厚かましい侵害だ。相互信頼に基づく数十年にわたる同盟が揺らぐ可能性がある。」政府は主要政府施設に疑わしい機器が設置されているかどうか再確認するとともに、4月26日の尹とジョー・バイデン米大統領の首脳会談に悪影響を及ぼさないよう注意する必要がある。
野党は大統領府に、彼らが盗聴しているかどうか関してワシントンに「明確な情報」を直ちに要求するよう促した。民進党の朴宏根(パク・ホングン)院内総務は「もし報道が本当なら、70年来の同盟国間で決して許されない行動で、二国間の信頼を正面から壊す主権侵害と外交的不正行為だ」と述べた。
さらに民主党は、盗聴があったのを進んで受け入れて、当局は安全保障規定を無視したと非難した。民主党によると全ての問題は大統領が青瓦台から新施設に移動したことに起因していた。例えば陸軍大将から議員に転身した金炳周議員は移転の過程で盗聴装置が接続された可能性があり「問題は大統領府のすぐ隣に米軍基地(というより韓国旧米軍本部の残滓)があることだ」と述べた。金はブラジルのジルマ・ルセフ大統領など他の指導者が以前、事件後に同じことをしたと述べ、4月26日の首脳会談再考さえ促した。
尹に反対する保守派も同じ意見だ。保守党の河 泰慶(ハ・テギョン)議員は、2021年の事件を引用し、アメリカに抗議を提出しなかったと政権を批判した。中道右派のコリア・タイムズもジルマ・ルセフを想起し「アメリカはこれまでも、これからもそうし続けるだろう。それでもソウルはワシントンが以前のようにそれから逃れるのを許すべきではない。この点、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の最初の対応は慎重で消極的すぎた」と語った。発覚した場合、アメリカのスパイ機関の盗聴は黙認すべきではなく「最新の事件は、安全保障対策を2倍、3倍にする必要があることを示している」。
したがって尹政権は「敵意を見せる」か、事件を我慢して受け入れ、何事もなかったかのようにアメリカ訪問を続けるかという厄介な選択肢を示された。しかし、ソウルとワシントンは事件後、「何も起きなかった、それは単なる偽物だ」と宣言した。
4月11日、金泰孝(キム・テヒョ)国家安全保障問題担当首席副補佐官は4月11日「公式訪問でアメリカ大統領と意見交換するため」アメリカを訪問し、ソーシャルメディアで広まっている情報のほとんどは捏造だと主張した。アメリカ司法省は事件を調査し、責任者を特定しようとしているが、暫定的に韓国の李正炙国防長官とアメリカのロイド・オースティンは電話で話し、漏洩文書情報の多くが偽物であることに同意した。
それに加えて金泰孝演説には「現在この事件の大部分第三者が関与しており、同盟国アメリカが私たちに対し何らかの悪意を持ってこれをしたという状況ではない」という奇妙な声明が含まれていた。この言葉は「はい、彼らは我々を盗聴していたが悪意はなかったので目をつぶるり」と言っているように見えて著者を混乱させる。金正恩の親米的見解は彼の以前の雇用主である金成漢の見解より遙かに右翼的なことに注意する必要がある。
大統領府が4月11日に発表した声明によると、ソウル龍山区の大統領官邸は青瓦台より強力な対盗聴システムを備えた軍事施設で、アメリカが韓国政府トップの会話を盗聴したというのは「ばかげた虚偽」だと主張している。ウクライナに武器提供する可能性に関する議論は管理棟内で行われなかったはずで、全く行われなかった可能性が最も高い。地下掩蔽壕で開かれた国家安全保障会議を盗聴するのは一層不可能だ。
4月12日、大統領政権はついに漏洩を見て見ないふりをした。アメリカ諜報機関による人員盗聴とされる問題は概ねに解決された。したがってソウル政府にはワシントンに謝罪を求めたり、外交政策の観点からこの主題を持ち出したりする計画はない。
最近、韓国日刊紙の東亜日報はソウルとワシントンが50万発の155mm砲弾をアメリカに販売ではなく「貸与」する合意に署名したと報じたが、韓国国防省はメディア報道を確認も否定もしなかった。
政権は共に民主党から「アメリカに対する従順な姿勢」を厳しく攻撃された。李在明(イ・ジェミョン)共に民主党代表は「ソウルの空に北朝鮮無人機が侵入し、大統領府が外国諜報機関の盗聴にさらされるような事件は二度と起きてはならない」という。
ここで、いくつか結論を導き出そう。著者の見解は、李文熙と金成漢の会話に関する情報は、盗聴によって、または保守派が正確に述べているように龍山邸の壁を越えての盗聴によって得られたのではない可能性がある。このような状況では、たとえば会話をCIAに報告した情報提供者を隠したり、電子メールやインスタントメッセージングを介して送信されたメッセージ傍受に関係しているのを示すため、ある情報源が別の情報源と偽って伝えられることがよくある。アメリカは同盟諸国の会話を盗聴するのが通例だが、ソウルは有効な謝罪要求を拒否した(一般的親米主義または真面目な訪問を邪魔したくないという願望など理由は何であれ)。それは大統領の評判に対する打撃だろうし、野党メディアが指摘した通り「尹がワシントンに出発する前にこの問題を解決できず、彼がそこにいる間、表向きの言い訳しか聞かないだろう。その場合、彼は国民の抵抗に直面するだろう。」共に民主党は、大統領の日本訪問の結果とともに、この失態を大統領の外交政策の失敗リストに当然含めるだろう。
しかし、それがデマだと考える場合や、まだ対処されていない「ロシア問題」が我々私の前にあると考える場合、その狙いの問題が生じる。筆者としては、この狙いには、首脳会談に向けてワシントンがソウルに圧力を強化していることや、ユン・チームが韓国の国益を犠牲にしてアメリカの指示に従うのを望まない個人を粛清する可能性が含まれる。
この訪問は一般的に多くの情報を提供するが最も悲惨な予測はワシントンからの圧力下、ソウルが正式な不干渉政策を放棄し、ウクライナに積極的に武器を送り始めることを余儀なくされることだ。
コンスタンチン・アスモロフは歴史学博士、ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センター主任研究員。オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/04/14/south-korea-and-the-us-leaks-scandal/
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大本営広報部、せめてREDACTEDのマグレガー氏発言を論破して欲しい。不可能だが。
Col. Douglas MacGregor: Ukraine Spells Doom for Western Hegemony 22:16
サマーズ、一見もっともらしいことを言っているようだが「われわれは歴史の正しい側にいる」という結論は賛成できない。
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
サマーズ元米財務長官、米国は国際的影響力を失いつつあると指摘-IMF・世銀会合で 「中国からは空港が得られる。米国から得られるのは講釈だ」先進国陣営が中国を含む戦略的競合相手から距離置く形を目指す中、世界経済の分断に対する警告が主テーマだった。
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