パキスタンはなぜ、どのようにウクライナを支援しているのか?
2023年2月27日
ワレリー・クリコフ
New Eastern Outlook
以前自身をロシア支持者として描こうと試みていたパキスタンが、最近キーウのネオファシスト政権に対しモスクワが開始した特別作戦を背景に、ウクライナに武器を含め支援提供を始めたという報道がウクライナとインド・メディア以外で益々発表されている。
イスラマバードの「政治転換」は以前も見られた。パキスタンが経済危機にあった1970年代初期、それから脱出するため、当時の首相ズルフィカール・アリー・ブットーがイスラム社会主義を構築する路線を発表し、社会主義陣営への「関心」示して、支援を求めてモスクワに頼ったことを想起願いたい。1974年彼のソ連公式訪問中に、ブットは財政援助を求め、モスクワは冶金プラント建設やエネルギー部門や農業開発近代化の資金をパキスタンに与えた。だが受けられた融資を返済する時期になると、クーデター後に国を率いた将軍ムハンマド・ジア=ウル=ハクが前任者がソビエト社会主義共和国連邦締結した全ての協定は「不正だ」と宣言し、モスクワとの以前の協定を尊重するのをパキスタンは拒否した。
更にワシントンに影響されて、ジア=ウル=ハクはアフガニスタンでソビエト社会主義共和国連邦との軍事行動に従事し、アフガンのムジャーヒドに軍事援助を提供した。その過程で、パキスタン兵はソビエト部隊と直接武力衝突し、ソ連軍捕虜収容所がパキスタン領に建設され、そこで捕虜は極悪な拷問を受けた。
アメリカ融資を返済する時期になると、イスラマバードは再びモスクワを思い出した。テロ攻撃の結果、ジア=ウル=ハクは殺され、パキスタンはロシアと中国との「和睦」希望を発表した。その結果が2017年パキスタンの上海協力機構加盟だった。中華人民共和国はパキスタンの最大投資家となり、パキスタンは中国の一帯一路プロジェクト主要参加国の一つだ。
ロシアがウクライナで特別作戦を始動した後、イスラマバードではもう一つのクーデターがおき(今回は議会で)その結果この国の新政権は欧米との和睦政策を発表し、ワシントンの要請で、ネオファシスト・キーウに武器と弾薬を供給して協力し始めた。
だがパキスタンとウクライナ間の緊密な軍事協力は、今ではなく、1991年から両国の武器契約の枠組みで始まっている。これら契約の下、パキスタンはウクライナの支援を得て、320輌以上のT-80戦車戦隊を修理した。
2022年5月、パキスタン国民の実業家モハマド・ザフールと結婚したウクライナ人歌手カマリヤ・ザフールが、キーウ政権に対するモスクワ特別作戦開始最初の三カ月にパキスタンはウクライナに2機以上の戦闘機を引き渡したとウクライナ・メディアに発表した。
2022年、パキスタンはイギリス兵器のウクライナ向け輸送で重要なリンクになった。2022年8月、パキスタン、ラワルピンディのヌル・カーン空軍基地から、軍用機がイランとアフガニスタンの領空を迂回し地中海のイギリス空軍基地経由でルーマニアに兵器を送ったことが知られるようになった。イギリス空軍C-17A グローブマスターIIIは8月6日と14日の間に少なくとも5便飛行した。C-17の積載能力を考慮すると、ウクライナ軍に必要な約400トンのパキスタン弾薬が輸送可能だった。輸送された貨物の性質に関してイギリスやパキスタンによる公式発表はないが、パキスタン軍産複合体が製造した砲弾を開梱するウクライナ砲兵隊員の映像がソーシャルネットワークで広まっている。
空路以外にも、パキスタンからウクライナまで武器を輸送するためコンテナ輸送が使われたとメディアは報じている。それでパキスタン運送会社のプロジェクト・シッピングはパキスタンの大砲工場から146の容器をカラチから送った。これはポーランドのグダンスク港を通って輸送された50,000の砲弾も含む。パキスタン兵器の輸送には、最近ウクライナ軍に補充するため東ヨーロッパで軍需企業と緊密に働いているイスラマバードに本拠があるDMIアソシエイツも関与している。
エコノミック・タイムズによれば、今年2月11日、グラート多連装ロケットシステムで使用する10,000発以上のロケットが、欧米に引き起こされたロシアとの武力紛争でのウクライナ軍による使用のためカラチ港からドイツの港町エムデンまで送られた。
未確認情報によれば、キーウ体制に前にキーウからロシアに対処すべくウクライナ軍に戦車を補充する計画の一環として以前キーウから購入したウクライナのT-80戦車の一部を再輸出するようワシントンとロンドンは執拗に現在のパキスタン当局を説得している。
前イスラマバード政権下では、パキスタン-ウクライナ関係はロシアとの対立を避け、アメリカを批判した前パキスタン首相イムラン・カーンの政策で管理されていたことは指摘されるべきだ。だが公然と彼を嫌悪し、彼の排除で役割を演じたパキスタン軍は彼のアメリカ政策批判やロシアとの建設的協力という願望を共有していない。さらに軍の背景を持ったイスラマバードの現在と前の駐ウクライナ大使はキーウとの軍事協力発展と強化に重要な影響与えている。
この点、イムラン・カーン大統領任期中は、ウクライナのパキスタン政策は露骨な反ロシアではなかった。だがモスクワがウクライナで特別作戦を開始し、シャバズ・シャリフ首相就任後、言動のみならずイスラマバードの政策も劇的に変化した。財政、経済問題を解決し、国の軍産複合体を支援するため、パキスタンは最近その方向に向かっているアメリカとイギリスとは対照的な秘密な形でウクライナ軍の要請への支援を強調している。
ウクライナ軍に対する支援を公表せず、秘密でこのような行動をしたいというイスラマバードの願望は明らかに、もし公式にこのような行動を認めれば、最近パキスタンと論じたエネルギー分野での相互協力へのロシア参加計画をモスクワが大きく変更をするかもしれない事実に帰せられる。更にウクライナでの作戦に対するイスラマバードと非常に異なる北京の姿勢を考えると、パキスタン経済にとって非常に重要な中国-パキスタン関係も修正されるかもしれない。
中国とロシアとの経済協力を拡大し深化させる一般パキスタン人の明白な関心という条件のもと、ワシントンとロンドンをなだめるためウクライナ紛争に関与するシャリフ政権の決定は、パキスタンにおける立場を強化する可能性はなさそうだ。
ワレリー・クリコフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/02/27/how-and-why-is-pakistan-assisting-ukraine/
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日本の軍事評論家怪説全く見ていない。というか呆導番組を見ない。
もっぱらYoutubeでマグレガー氏とリッター氏他の解説を拝聴。例えば下記。
『戦争と平和』ならぬ『平和より戦争』の国。
林外務大臣 日米豪印外相会合は出席へ G20外相会合は国会審議優先で欠席
広島市教育委員会は、今後は広島市教育破壊委員会と呼ぶべき。いやアメリカ教育委員会広島支部。
植草一秀の『知られざる真実』 部外者は拝聴できないのだろうか?
東京新聞朝刊の外報面記事に驚いた。支離滅裂な支配者連中。二酸化炭素で人類は滅亡しない。放射能は遙かに危険だ。
EU11カ国「原発活用」脱炭素名目で共同声明
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
英国、10 年間追跡調査、「1週間150分、または1日22分の有酸素運動行った者は、活動的でない者と比較→あらゆる原因で死亡リスク31%低く、心血管疾患で死亡リスク29%低く、ガン死亡リスクが15%低。毎日11分間の運動でも効果あり。
「2023年度予算案が衆院予算委を通過! メインストリーム・メディアは、過去最大の予算規模と防衛費増額を喜ぶ『大政翼賛会』的報道に終始!」
■はじめに~総額114兆3812億円の2023年度予算案が衆院予算委を通過! メインストリーム・メディアは、過去最大の予算規模と防衛費増額を喜ぶ「大政翼賛」的報道に終始! 日本社会全体を破綻させる財政危機には、まったく触れず!
■危機的な日本の経済の現実を直視すれば、日本が軍拡し、戦争に参戦したら、たちまち日本経済も国民の家計も破綻するということが誰にでもわかる!~2月発行の「岩上安身のIWJ特報!」は、2022年10月10日収録の「岩上安身によるエコノミスト・田代秀敏氏連続緊急インタビュー」から抜粋し、詳細な注釈をつけて発行しました!「岩上安身のIWJ特報!」は、まぐまぐ大賞2022のジャーナリズム部門で1位になりました! ぜひ「まぐまぐ」からご登録ください!! バックナンバーの単独購入も可能です! サポート会員になればバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員に登録を!!
■IWJは最大の経済的危機です! 2月のご寄付額が確定しました! 173件241万6500円、目標達成率62%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました!「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、3月も緊急のご支援のほど、どうぞよろしくお願いします!
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