我々が彼らを最も必要とする時に、反戦英雄を失いつつある
2023年3月3日
ケイトリン・ジョンストン
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「その木陰に自分は決して座れないと知っている老人が木を植える時、社会は素晴らしくなる。」ギリシャの格言
英雄的内部告発者で平和活動家のダニエル・エルズバーグが死に瀕している。
二週間前、余命三から六ヶ月の手術不能な膵臓ガンだと知ったとエルズバーグが友人や支援者への公開書簡で発表した。この手紙は皆様がこれまで読んだものの中でも美しく励まされるが、間もなく去る世界にエルズバーグが極めて緊急な懸念を示しているのは何とも悲痛だ。
「私がこれを書いている今も核兵器「近代化」は保有する九カ国全てで(中でもアメリカ)で進行中だ」とエルズバーグは書いている。「ロシアはクリミア半島とドンバスの支配を維持するため核戦争を始めると恐ろしい恫喝をし、過去韓国や台湾や南ベトナムや(NATO全加盟国と共謀して)西ベルリンでの軍事駐留を維持するため違法先制使用する恫喝をアメリカ政府も何度もしてきた。ウクライナを巡る現在の核戦争リスクは世界がこれまで見たものの中で最大だ。」
I wrote this letter recently to my friends in the antiwar and anti-nuclear movements. I see it’s being circulated, so I’ve decided to share it here. For all of you working on these issues, thank you, and please keep going! pic.twitter.com/8BIerLHD2U
— Daniel Ellsberg (@DanielEllsberg) March 2, 2023
エルズバーグはアメリカとロシアの核戦争が地球上の大半の命を終わらせる核の冬をひき起こすという「科学的合意に近いもの」に触れ、世界主要核保有国の行動がこの理解を反映していない事実を悲嘆している。
「もちろん、ウクライナや核政策について言いたいことはいくらでもあり、私がこの世にいる限り皆様に語り続ける」と彼は書いている。
だがエルズバーグはそれほど長く、この世にいるまい。これは一人の人間の死を遙かに超える理由の極めて甚大な喪失だと私は個人的に思う。
91歳という年齢の時点で、ダニエル・エルズバーグの逝去に私が憤慨するのは全く理不尽だ。彼はひよっこではなく、我々のよう凡人を何千人も集めたより遙かに多くのことを成し遂げたのだ。それにも拘わらず私は自分が文句を言っているのに気づく。「なぜ今? いまいましい、なぜ今?」
エルズバーグが言う通り、核戦争の脅威がまさに「これまで世界が見た中で最大」の時に、ハルマゲドン兵器を備蓄し、我々全員を危険にさらす方法での互いに振り回す政府の狂気に反対することに献身した、おそらく最も有名で影響力のある声を我々は失うのだ。まさに今、人類史上のどの時点より強力な反戦運動が一層緊急に必要な時に、我々はこれまでで最も偉大な平和活動家の一人を失うのだ。
Stephen Cohen Has Died. Remember His Urgent Warnings Against The New Cold War.
— Caitlin Johnstone (@caitoz) September 19, 2020
"Cohen has for years been correctly predicting this chilling scenario which now threatens the life of every organism on earth, even while his own life was nearing its end."https://t.co/cNtf8AvNl4
エルズバーグは、我々が彼らを最も必要としているまさにその時に、この活動分野で失う最近の声に過ぎない。モスクワに対し欧米がしている危険なエスカレーションを警告して晩年を過ごした後、有名な学者でアメリカ-ロシア関係専門家スティーヴン・コーエンは2020年にがんで亡くなった。ロシアとの瀬戸際外交に世界を引き込む欧米の危険な行為を何年も警告した後、コンソーシアム・ニュース創設者ロバート・パリーもガンで、2018年に亡くなった。
(ところで、ガンの畜生め!)
彼らが亡くなるたびに私は同じ反発を感じる。「なぜ今? 畜生、なぜ今?」
そして、もちろん私が落ち着いて自分に正直になる時、私は現実に対する私の反発の源が、人には寿命があり、時々高齢男性がガンになる事実への不満ではないのを知っている。いや私が本当に自分に正直に話せば、私の不満の本当の源は、こうした損失によって私の責任が増すことを意味すると知っていることだ。帝国の核兵器による皆殺しに対する戦いで巨人を失うたび残った我々が一層激しく戦う必要があることを意味する。
究極的に私の主張は死やガンやダニエル・エルズバーグやスティーヴン・コーエンやボブ・パリーについてではない。私が本当に自身に正直に言えば、私の主張は、味方としての彼ら巨人なしでこの戦い続けることへの私自身の恐れなのだ。
だがそれが現実だ。それは残る我々全員が進み出て、極めて大きな仕事を引き継ぐことを意味するのだから、反戦英雄が亡くなることで我々には深い悲しみと敗北で崩壊している余裕はない。この世界からエルズバーグ家やコーエン家やパリー家の人々が亡くなるのは、更に多くのエルズバーグ家やコーエン家やパリー家の人々が必要なことを意味する。彼らの偉大な業績を引き継げるのは我々以外誰もいない。
ダニエル・エルズバーグ、貢献をありがとう。あなたは美しい勇敢な生活を送った美しい勇敢な人だ。あなたの残りの日々が、あなたの最高かつ最も素晴らしいものでありますように。我々が戦い続けると知った上で、安らかにお眠りください。
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東京新聞朝刊の特報面記事で思い出した。東京新聞、他に二ページ、空襲記事にあてている。今日は東京大空襲78周年。爆撃を指揮したカーチス・ルメイは戦後、自衛隊育成協力で勲一等旭日大綬章を授与された。「はだしのゲン」を教材から排除する広島教育破壊委員会を連想。
ネオコン、アップルバウムをウクライナ問題で質問攻めにした男性、会場からつまみだされた。追い出されるべきは彼女だろうが。
耕助のブログ 宗主国の身勝手な言い分を論破する記事翻訳。
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
国民の所得に占める税金や社会保険料等の負担割合をいう国民負担率は2022年度47.5%。1979年度に30%台、1994~2004年度34~36%台2013年度から40%台、2020年度 47%超え。年金で賄えないなら「自助」で増やせ?そんな余裕が若い世代にあるか。
「13日、岩上安身は『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞田崎基記者インタビュー第2弾と、JOGMEC原田大輔氏インタビュー第3弾を敢行!」
米独立系メディア『グレイゾーン』が、欧州における2月末の「反戦・反NATO」市民デモを総まとめ!(その1)ウクライナ外しパイプライン「トルコストリーム」からロシア産天然ガスの供給を受けるギリシャでは、ブリンケン米国務長官の2月21日のギリシャ訪問にあわせて、アテネで数千人が「アメリカ人は国民を殺す」と抗議活動!
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