アメリカ・NATOによる攻撃と破壊を生き延びたイラクとシリア
Steven Sahiounie
2023年3月24日
Strategic Culture Foundation
2003年3月と2011年3月には大いに共通点があるが、それは物語の始まりではないとSteven Sahiounieは言う。
政権転覆のためのアメリカによる対イラク攻撃20周年記念日は政権転覆のためのアメリカによる対シリア攻撃の12周年記念日と重なる。2003年3月と2011年3月には大いに共通点があるが、それは物語の始まりではない。
中東で隣接する二国の破壊は1996年に「イラク戦争の設計者」として知られる男が書いた「A Clean Break 決別」と呼ばれる戦略論文から始まった。
ニューヨーク出身のアメリカ・ユダヤ人リチャード・T・パールが「A Clean Break 決別」の一部を書いている。この話題で、ユダヤ人として生まれたことは最重要ではないが、イスラエル工作員であることは重要だ。機微で極秘のアメリカ計画で働く場合には試験があり、本人の忠誠心が世界のどこかの他国ではなく、アメリカに対するものだという宣誓だ。パールはアメリカ人だったが彼の忠誠心は別の国にある。
パールはちょうどイスラエル首相に選出されたベンヤミン・ネタニヤフにこの論文を送った。この論文はアメリカがイラクとシリアを攻撃し破壊する理由を提示している。ビル・クリントン大統領の就任後、この論文を実行するよう彼に渡されたが彼は拒否した。だが2001年9/11、ニューヨークWTC爆撃の頃には、この論文の埃を払う機が熟し、パールと仲間はジョージ・W・ブッシュ大統領が熱心な協力者であることに気がついた。
パールはアメリカが他の国々を攻撃する理由を作り上げる責任を負う防衛政策協議会委員長だった。国防総省は方針は決めず、計画された攻撃が成功裏に実行できるかどうか報告するよう依頼されるだけだ。こういう格言がある「軍人の仕事はなぜか疑わないことだ。軍人の仕事は戦うか死ぬかだ」。アメリカによる戦争や攻撃でペンタゴンを非難するべきではなく、大統領執務室や国務省やCIAや防衛政策協議会をこそ非難するべきだ。
9/11攻撃はアメリカに何百人もの信奉者がいるムスリム同胞団と同じイデオロギー、過激イスラム政治イデオロギーを奉じるテロ集団アルカイダ指導者であるアフガニスタンに暮らすサウジアラビア国民オサマ・ビンラディンの命令で実行された。
ブッシュ政権がいかにしてアルカイダをイラク指導者サダム・フセインと結びつけられるかが「ごまかし」だった。CIA長官ジョージ・テネットはブッシュに繰り返し、つながりはないと言った。
ブッシュ政権の二番目の戦略はサダム・フセインが「大量破壊兵器(WMD)」を持っていることを理由にイラク侵略を正当化することだった。CIAは、いかなる事実にも基づかず、フセインがWMDを持っているかもしれないという考えに基づいてその前提を支持することが可能だった。大量破壊兵器について尋ねられて、テネットは「我々がそこに行けば、それを見つけるだろう。」と答えた。WMDが今までイラクのありとあらゆる場所を捜索した何千人もの大いに熟練した武装アメリカ兵が発見できなかったので、長年の夢想だと判明した。
するとアメリカ国民や議会は一体どうしてブッシュ政権のウソを信じるようになったのだろう? アメリカの主流メディアが実現したのだ。ブッシュ政権は最も評判が良い放送局の主要ジャーナリストに誤情報を手取り足取り教えたのだ。ジャーナリスト連中は自分ではWMDに関する情報を実証できず、アメリカ政府高官という連中の情報源を開示するのを拒否した。メディアの共犯がなければイラク戦争正当化は決して信じられなかったはずだ。
バグダッドへの最初の爆撃の日に至る出来事は実に急速に進展したため、疑念の「警告」が見過ごされた。ブッシュが世界にテレビで彼が24時間で爆撃開始を命令すると発表したとき、ハンス・ブリックスはバグダッドのホテルに戻っていた。ブリックスは、ホテル入り口で、顔にマイクを突きつけられて盲点を突かれた。最初彼はブッシュの命令を信じず、フセインはWMDを持っておらず、兵器は既に破壊されたとイラクの多数の場所への訪問結果を繰り返した。
だがそれは爆撃が時間通りに始まるのを決して阻止しなかった。爆弾がバグダッドじゅうに投下されていた時には、ブリックスはNYCに戻って、ブッシュ攻撃はウソに基づいているという彼の詳細なレポートを国連事務総長潘基文に送っていた。この全てはメディアで報道されたが、戦争機構を止めるには遅すぎた。
アメリカは孤独ではなかった。イギリスや多くのNATO同盟諸国がブッシュのイラク戦争に参戦した。彼ら全員に何百万人もの命を犠牲にした正当と認められない戦争参戦に責任がある。アメリカ同盟諸国は、参戦決定は彼らがアメリカ諜報情報を信じ、ウソを信じた事実のせいにしている。アメリカの指揮に従うというもう一つの決定要因はアメリカが唯一の「超大国」だという事実だった。国際社会が新しい多極世界を認めるにつれ、それらの日々は終わっている。
1996年にパールがイスラエル指導者のために「A Clean Break 決別」を書いた時「一つ買えば、もう一つおまけ」という類いの発想で対シリア攻撃も含まれていた。同時にイラクとシリア両方を破壊しろ、そうすればイスラエルはより安全な場所になる。ドナルド・ラムズフェルドが2003年の対イラク攻撃計画に関与した際、彼はシリアを含めないよう勧めた。二国の破壊は達成するにはあまりに大きな目標と分かっていたことに基づいて彼の決定をしたのだ。彼はイラクにのみ破壊の焦点をあてると決めたのだ。
シリアは攻撃されず、隣国での戦争は国境外にあふれ出なかった。シリアは200万人のイラク難民を受け入れ、2009年にアンジェリナ・ジョリーとブラッド・ピットは彼のイラク難民に対する門戸開放政策のためにダマスカスを訪問し、アサド大統領と会った。
シリア破壊計画は1996年のパール論文で始まり、2011年3月までに既にオバマ大統領政権が「新中東」を作る計画を始動し、オバマはリビア攻撃、侵略と占領を支援するためNATOを利用した。リビアに対するアメリカ・NATO攻撃は違法とされるムスリム同胞団のシリア人支持者を使い、後にアルカイダ、最終的にISISのような過激イスラムを奉じる国際テロリストに置き換えられた対シリア攻撃の前兆だった。
現在イラクは破壊されたままだ。一度も再建されたことがない。広い地域に依然水道や電気や医療がない。イラクのインフラは壊れている。イラク憲法は侵略者に立案され、派閥、民族の割当制の議会を設置した。アメリカで宗教や民族に基盤に議員を決めることなど考えられないが、アメリカ侵略者が、人の両親が誰か、どこに住んでいるかに基づく実行不可能な制度で国を腐敗に縛りつけるイラク憲法を起草したのだ。アメリカはイラクの政府形態は議会制だと主張したが、これはアメリカの大統領制と異なり物事を実行できる中核となる指導者がいないため国を混乱に陥れたままにしている。
シリアはアメリカ・NATO攻撃に抵抗し、国民も抗戦した。12年後の今、シリア国民の未来には、明るい日々の可能性と再建の希望が存在している。イラクでも、一般人に残虐行為を犯した残忍な侵略者の手にかかって彼らが耐えた苦しみも歴史のページのかなたに消え、安全と繁栄の新しい章が始まる希望がある。
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Democracy Now 未曾有の大規模全国的抗議行動を報じている。さすがのネタニヤフも司法制度改悪を延期。
孫崎享氏講演 IWJによる中継! 参加者の方々とのやりとりもかみ合っている。
ライブ配信 【3/28. 19時~】たんぽぽ舎・新ちょぼゼミシリーズ「オルタナティブな日本を目指して」~台湾有事と日米軍事同盟」―登壇:孫崎享氏(元外務省国際情報局長) 2:12:22
「本日午後3時半から、岩上安身による経済産業研究所コンサルティングフェロー・藤和彦氏インタビューをフルオープンで生配信します!」
はじめに~<本日の岩上安身によるインタビュー>ノルドストリーム爆破事件の教訓、米国は誠実な同盟国と言えるのか?「自国の国益のためには同盟国の利益をも犠牲にする」国際政治の厳しい現実に日本も目を向けよ!~本日午後3時半から岩上安身による経済産業研究所コンサルティングフェロー・藤和彦氏インタビューをフルオープンで生配信します!
本日【IWJ号外】を発行します! シーモア・ハーシュ氏の続報の第2弾!「隠蔽」を仮訳! 副題は「ノルドストリーム・パイプライン破壊の責任を隠し続けるバイデン政権」! 情報操作が成功するのは、その受け手が、「望ましくない真実を矮小化したり、置き換えたりできるストーリーを必死に求めている場合だけ」! 捏造記事を書いた『ニューヨーク・タイムズ』の記者たちは見事にこの条件にあてはまった!
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