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2023年3月 5日 (日)

ウクライナの天王山

衰退しつつある優位を維持するため戦争に頼る苦境のアメリカ
マイク・ホイットニー
2023年2月26日
Unz Review

 人類の未来はウクライナの戦場で決定される。これは誇張ではない。アメリカとロシアの対立は、進化する多極システムの中で世界経済統合が拡大するのか、それとも「ルールに基づく秩序」が欧中心モデルに反対する敵を粉砕するのに成功するかを決定する。これがウクライナで起きていることであり、実際、最近政府が作成した国家安全保障関連文書は全てロシアと中国をアメリカ覇権に対する最大の脅威と特定している。たとえば2021年の議会調査局報告書「新たな大国競争:防衛への影響—議会の問題」という題名のこの短い抜粋をご覧願いたい。

 ユーラシアにおける地域覇権国の出現を阻止するアメリカの目標は...(1)ユーラシアの人口、資源、経済活動を考えると、ユーラシアの地域覇権は極めて重要なアメリカ権益を脅かすに十分な大きさの権力集中になるという2つの判断を反映した政策選択だ。

 大戦略と地政学に関するアメリカの視点からすると、世界の人口、資源、経済活動のほとんどが西半球でなく他の半球、特にユーラシアに位置していることがわかる。世界地理学のこの基本的特徴に対応し過去数十年間アメリカ政策立案者はアメリカ国家戦略の重要要素としてユーラシアにおける地域覇権の出現を阻止するという目標を追求すると選択した。」(「新たな大国間競争:防衛問題への影響—議会にとっての問題」アメリカ議会)

 それは一言で言えばアメリカの外交政策の要約だ。「地域覇権の出現阻止」は絶対だ。次に2022年アメリカ国防戦略のアンドレ・デイモンによる要約を世界社会主義ウェブサイトで確認頂きたい。

 アメリカ・マスコミでは本格的に議論されなかったこれら文書は、今年の大規模アメリカ軍備蓄が"ロシア侵略"への対応だというのが根本的なウソなのを明らかにしている。実際はホワイトハウスとペンタゴンの戦争計画者の考えでは軍事費の大幅増加と中国との戦争計画は「地政学や技術や経済や我々の環境の劇的変化」によって引き起こされている。

 これら文書は、アメリカが中国の経済的台頭を実存的な脅威と見なし軍事力威嚇で対応することを明確にしている。アメリカはロシア征服を中国との紛争への重要な足がかりと見なしている。」(「ペンタゴン国家戦略文書は中国を標的にしている」アンドレ・デイモン、世界社会主義ウェブサイト)

 これら2つの抜粋は決してアメリカ外交政策目標の包括的要約ではないが、かなり効果的なサムネイルスケッチだ。結論:ウクライナでの戦争はウクライナが狙いではない。極めて明確にされたアメリカの戦略目標は次の通りだ。ロシアを弱体化させ、指導者を打倒し、膨大な天然資源を支配し、中国封じ込めに移行する。簡単に言えばウクライナでのワシントンのエスカレートする侵略は、世界秩序の上で衰退しつつある地位を維持するため、新興経済力の中枢を封じ込めることを狙った一か八かの最後の試みだ。

 これは「ロシアのいわれのない侵略に対する戦争」という隠れ蓑の背後で行われている地政学的チェス試合だ。このばかげた欺瞞に人々は惑わされるべきではない。この戦争はアメリカが徐々に消えつつある世界覇権を維持するための必死の試みとしてでっち上げたのだ。それがウクライナの真実の全てだ。これはアメリカ・マスコミと政治支配層を絞め殺しつつある戦争挑発屋欧米オリガルヒと"高速"インフラと協調的発展を通じて資源や工業製品を世界中の国々と結びつけるために市場システムを利用している新興経済国との衝突なのだ。

 だから誰もが自問しなければならない質問はこれだ。皆様は更なる経済統合、より安い価格、共有されるより多くの繁栄とより少ない戦争、あるいは更なる80年の厄介で恣意的な制裁、カラー革命、政権転覆作戦、大量虐殺介入、生物兵器戦争(Covid-19)を見たいのか? どちらをお望みだろう?

 おそらく皆様は中国はアメリカの敵だと信じている何百万人ものアメリカ人の一人だ。おそらく皆様は現代中国の創造の上でアメリカが果たした役割にも気づいていない。アメリカと欧米の企業はアメリカの生産経費の高さから逃れるため一斉に中国に事業を移したのか?

 答え–そう、彼らはそうした。

 そして、彼らは公正な賃金が彼らの過度な利益創出を阻止するのを望まなかったのでアメリカ労働者を裏切ったのだろうか?

 答え–そうだ。

 そして、食卓に食べ物を置けるまともな賃金を稼ぐ機会をアメリカ労働者から奪いながら、彼らは自身を勝者にするため事業を海外移転し、製品製造を外注し、できる限りのあらゆることをしたのだろうか?

 答え–彼らは確かにそうした。

 では、中国の台頭は実際誰の責任なのだろう。

 答え–欧米企業の責任だ。アメリカ人が誰か非難したいのなら連中を非難しろ!

 しかし今や企業官僚や他のエリートは中国がアメリカで持っているように彼らの市場、金融システム、通貨を支配するのを許さないので中国に不満を持っている。それで今これら同じ冷酷至極な企業は彼らが作り出した怪物との戦争を我々に望んでいるのだろうか?

 おわかりだろうか? 中国に対する執拗な挑発はアメリカの国家安全保障やアメリカの利益と何の関係もないことがおわかりだろうか。彼らの壮大な略奪作戦の次の標的に中国に定めた貪欲な欧米オリガルヒ幹部のため戦って死ぬよう我々はいいように操られているのだ。

 しかし過去を少し忘れ未来に焦点を当てよう。結局それが本当に重要なことだろう?

 では将来に対しより「前向きな展望」を持っている国は中国、アメリカどちらだろう。

 中国外交政策の中心である数兆ドル規模の大規模インフラ計画である中国の一帯一路構想について聞いたことがおありだろうか? これは史上最大のインフラ計画で既に150か国以上がこの計画に投資している。これは高速鉄道、航路と港、高層ビル、鉄道、道路、橋、空港、ダム、発電所、鉄道トンネルを介した接続性を高めることを目的とした開発指向プロジェクトだ。移動速度を上げることで中国製品と商品はより早く市場に投入され、中国自身と関係する他の国々にとってより大きな繁栄を生み出すだろう。BRIは参加者が北京に指示された特定経済モデルに従うことを必要としない高速システムで世界中の国々を結ぶことに留意願いたい。言い換えれば一帯一路構想は政治のない自由市場経済だ。それは誰にとっても「ウィンウィン」で政治的操作、強制、搾取のない相互繁栄の保証だ。

 アメリカを動かしている卑劣なオリガルヒ連中は、この規模や可能性のプロジェクトを想像することさえできない。実際彼らはアメリカの鉄道上で列車を維持するのに十分なお金を決済することさえできない。これら億万長者寄生虫が彼らの活動から引き出す利益は、常に株式の買い戻し、脱税や、誰にも利益をもたらさず、国富の多くを自身の膨らんだ銀行口座に移すだけの様々な巧妙な借金を積み上げるポンジ詐欺から来るのだ。もちろん、国から略奪するのは十分悪いことだが、今この同じ階級の悪党が全ての人の自由を大幅に制限する抑圧的警察国家措置を課せるよう、政治力を増幅する手段として公衆衛生を利用することにしたのだ。要するに連中は絶対的な社会統制を望んでおり、それを手に入れるまで諦めるつもりはないのだ。

 この行動で「前向きな展望」はどこにあるだろう?

 ない。アメリカはかつてアイデア、理想、展望の国だった。現在アメリカはオリガルヒが運営する全ての将来の希望を一握りの傭兵億万長者が容赦なく消す収容所だ。

 少なくとも中国の場合、相互接続され、誰もがより利用しやすく、より良く、より繁栄した世界を想像できる。しかしアメリカはどうか? 東ヨーロッパで戦争をすることで我々の生活が改善されると我々は信じるべきだろうか? 「我々がトップにとどまれる」唯一の方法は、他の全員を押し下げることだと信じるべきだろうか? 間違った大統領候補に投票したり、我々の都市を燃やし略奪するテロリストを支持しなかったり、キーウのナチス突撃隊員よりも東パレスチナの人々こそ我々の支援に値すると信じたりしたことで我々の政府が8000万人を悪魔化しながら、我々は中国とロシアを憎むよう期待されているのだろうか?

 事実は我々のリーダーはBRIのような巨大な相互接続されたインフラス・プロジェクトに公的資源をさくことを想像できない。それで彼らはノルドストリームを破壊したのと同じようにそれを破壊すると決めたのだ。この画期的プロジェクトに関する報道論評をお読み願いたい。欧米ジャーナリストは、それについて言うべき「良い言葉」を見つけられないのだ。アメリカ中央部の広大な地域は、塩化ビニル、アクリル酸ブチル、イソブチレンで激しく攻撃されたが、欧米マスコミは彼らのお雇い主に責任を負わせるより中国の野心的BRIプロジェクトを批判したがるのだ。信じられない。

 同じ規則がロシアにも適用される。バイデン・チームと裕福な同盟諸国は、より緊密な関係は両国にとってより多くの繁栄を意味するためドイツとロシアのより緊密な関係を望んでいない、ワシントンはそれを許せず、それがドイツの安い燃料の生命線だったパイプラインを連中が爆破した理由だ。それがワシントンが問題を解決した方法だ。それでドイツとロシアを下落させアメリカが首位にとどまれるようにした。これがわからない人がいるだろうか?

 対照的に、一帯一路構想は世界の大多数が支持する考えである未来への前向きな展望を提供する。それは人々が生活水準を高め、地域社会に有意義な貢献をし、制裁や投獄や爆撃されて死ぬのを恐れることなく自分たちの文化や伝統を享受楽できる相互接続された世界への道に我々を置いてくれる。下記は中国の環球時報からの抜粋だ。

 中国が提案した一帯一路構想(BRI)は既に好評を博している国際公共財で国際協力の重要プラットフォームとなっている...

 「BRIは地政学的ゲームの時代遅れの考え方を超越し、国際協力の新しいモデルを生み出した。それは他の参加者を排除する排他的集団ではなくオープンで包括的な協力の場だ。それは中国単独の努力だけでなく、全参加国が演奏する交響曲だ。

 2013年に一帯一路構想(BRI)が提案されて以来、この構想は常に開発指向で、高水準で持続可能で人間中心であることを保証するため一貫した努力がなされてきた。

 8月までに中国のBRI参加国との商品貿易は約12兆ドルに達し、これらの国々に対する中国の非財務的直接投資は1,400億ドルを超えた。...2021年末までに中国企業はBRI諸国の経済貿易協力区建設に430億ドル投資し、34万人以上の地元雇用を創出したと公式データが示している...

 中国は他国や地域のBRI参加を受け入れており、より質の高い公共財を世界に提供するため他国が提案するインフラ構想との連携を検討している。中国は高品質の開発を進めるため全てのパートナーと手を組みたいと望んでいる...中国は断片化ではなくグローバルなつながり、ドアを閉じるのではなく相互開放、ゼロサムゲームではなく相互統合を目指していると強調した。 (「BRIは全ての人々にオープンで包括的で、地政学ゲームという時代遅れの考え方を超越している」環球時報)

 一帯一路構想に匹敵するアメリカ主導のプロジェクトは何だろう?

 一つとしてない。アメリカは致死兵器と戦争遂行に年間1兆ドル以上を割り当て、ウォール街の銀行家を救済するため更に数兆ドル割り当て、国民に有毒な泥濘を注入したい億万長者エリート独裁に従うことを余儀なくされた全国の全ての企業を閉鎖するため更に数兆ドル割り当てている。しかし商業やレクリエーションを通じて世界の人々を平和的に近づけるグローバル・インフラ・プロジェクトにはゼロだ。

 中国が完璧だとは誰も言っておらず、少なくとも私はそうではない。また私は中国に住みたくない。違う。私はアメリカ人で、ここで死ぬつもりだ。


 しかし私は目が見えないわけではない。このロシアとの戦争が「いわれのない侵略」と何の関係もないことは容易に理解できる。これはアメリカの世界覇権を維持するという本当の目的を隠すため利用されている煙幕にすぎない。我々が今しなければならないのは「何が起きているのか」正確に分析することだ。「なぜそれが起きているのか」を理解しようとし、次に、アメリカが勝った場合の結果がどうなるかご理解願いたい。言い換えれば我々はロシアを粉砕し、中国を封じ込め、ヨーロッパに必要なエネルギーを飢えさせ、一帯一路インフラ計画を妨害し、アフガニスタン、リビア、シリア、イラクにもたらしたと同じ失敗した政策を強化するオリガルヒ支配体制を永続させたいのだろうか?

 我々はそれを望んでいるのだろうか? 皆様はそれを望んでいるのだろうか?

 アメリカ国民はより豊かで平和な世界を創造するため政府が他の国々と協力するのを望んでいる。彼らは新しい世界秩序を望んでおらず確実に第三次世界大戦は望んでいない。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/showdown-in-ukraine-hobbled-us-turns-to-war-to-preserve-its-waning-primacy/

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 Dialogue for Peopleが広島忖度教育委員会による教材からの『はだしのゲン』と『福竜丸被爆』記事削除問題を扱っている。

高橋博子さん「『はだしのゲン』削除から考える記憶の継承」Radio Dialogue 099(2023/3/1) 1:03:58

 数日前『ペリクリーズ』を観劇。クリス・ヘッジズが最近シェークスピア演劇の話題で、この芝居についても語っているのに気がついた。俳優と演出家との鼎談。

Shakespeare and the politics of the 21st Century | The Chris Hedges Report 30:45

 中国国営放送CGTN地女性記者が訪中前のルカシェンコ大統領を現地でインタビュー

Belarusian president's exclusive: We do not want war, West blocking peace talks 28:32

 ヨーロッパ指導部は傀儡でも、悪影響を受ける国民は違う。ウクライナの戦争支援反対デモが起きている。

‘Europe is Waking Up’: Protests in Europe Call For Peace in Ukraine

 植草一秀の『知られざる真実』も小西参議院議員が公表した「内部文書」の話題。

G7最悪マスメディア偏向の原因

 日刊IWJガイド

「シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!」

<IWJ取材報告 2>「ロシアの核の威嚇は許せないというが核を使用したらどうするのか? 西側の報復核攻撃ならば、岸田政権は容認するのか? 核攻撃へのエスカレーションリスクを高めるウクライナへの武器支援よりも、停戦に向けての働きかけがより重要ではないか?」IWJ記者の質問に「仮定の質問にコメントは差し控える」と浜田大臣! 核戦争となった時の想定を岸田政権と日本政府は何もしていない!? 無責任では!? ~23.3.3浜田靖一防衛大臣定例記者会見

<IWJ取材報告 4>日本の自由主義と民主主義の根幹である「放送法」の解釈変更。法規範の破壊はどのように行われたのか? 総務省の職員から立憲民主・小西参議院議員に託された「内部文書」に記された内容とは?~ 3.2立憲民主党 小西洋之参院議員 記者会見

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コメント

                 -停戦は実現しない-

  ロシヤ軍がウクライナに進入する前からウクライナに注意を払っていなかったリベラル勢力は,2014年のマイダン革命以後初めて,突如として「武力をもって他国に侵略を開始するのは良くない。国際法違反」だと騒ぎ出した。そして今日に至るが,映画『オデッサの悲劇』を知らない。しかしウクライナの一部の人たちはロシヤ領にすでに避難・疎開していた。その数およそ100万人。しかしながらロシヤ政府は黙って彼ら・彼女らを受け入れていた。義を見て成さざるは勇なきなり。
  ところで2014年7月,マレ-シア航空機MH370がウクライナ東上空で撃墜された。撃墜したのはウクライナ空軍機である(ブーク・ミサイルで撃墜したという説もあるが機体の機銃の跡を見れば空軍機の機銃の跡がたくさんある)。当該空軍兵士が「自分がやった」と告白していた。他方,ウクライナ管制官は飛行機運転手(パイロット)との交信記録をオランダ中心の事故調査委員会に提出しない。しかしウクライナ軍は,ロシヤ製のミサイルでMH17は撃ち落とされたとして証拠写真を提出した。プーチン氏の乗る大統領機とマレーシア旅客機の塗装の色が似ているから間違って撃墜されたという情報があった。確信を持てなかったが,ウクライナ軍によるブチャの大虐殺擦り付け事件(ウクライナ軍でなくロシヤ軍がやったというあべこべ物語)を観るにつけ,ウクライナ軍がMH17機を撃ち墜とした,と私は確信した。ネオ・ナチやアゾフ大隊によるマリウポル製鉄所の「人間の盾」事件。これはシリアでISISが女性たちを盾にして政府軍の攻撃を避けた事例を連想させるが,どちらもISISが絡んでいる。西側メディアはこれを報道しない(このときのBBCはまともで「女性たちが檻に入れられて運ばれる映像」を流した)。すなわち,ネオ・ナチにしてもISISにしてもやり方は変わらないから中国で買った水晶玉は「構造」が似ていることを小生に知らせた。構造が同じときのみこの水晶玉は反応する。なのでネオ・ナチとISISとは先祖が同じ。ただ外れることもあるので水晶玉の映像を常には信じない。
  さてそこで思い出したのがやはり英国BBCの映像。「米国のアパッチヘリがISISの車列を護衛している」映像を流した。テロ対策にシリアに駐留している米軍はその目的を忘れ,米国務省が提供したハイラックスで移動するISISの車列を見守っていた。ハイラックスは100台を越えていたと思う。これで小生の目が覚めた。国家の表と裏。純真な小生の物の見方はBBCのお陰で「大人」になった。

 閑話休題。ウクライナ軍不利であることがだんだん明らかになってきた(西側メディアは隠しきれなくなってきた)。ロシヤ悪魔論者の皆さんはこのままウクライナを見捨てるのかどうか。あるいは「停戦」を声高に叫んで停戦に持ち込むのを助けるのかどうか。それともウクライナ軍が盛り返すことに賭けるのかどうか。元CIA長官の顧問は「ウクライナ軍は負ける」と断言した。ウクライナナチが駆除されるまでロシヤのプ-チン大統領は停戦に合意しないと思うが,中国が仲介に入れば停戦ありと見ている。しかし中国の12停戦提案はとりあえず一呼吸おいて双方に目を覚まさせるための仲介案に過ぎず,ネオ・ナチが納得するものでもないし,プ-チン大統領を納得させるものではない。なぜなら特別軍事作戦の目的は❶ウクライナの非軍事化であり,❷脱ネオナチ化であるから,この両方を達成できないならプーチン氏は中国停戦案に同意しないだろう。
  しかし万が一,同意した場合どうなるだろうか。フランス・ドイツ及び国連が署名した国際条約ミンスクⅠ・Ⅱが破られているのだから,今後結ばれる国際的な合意や条約は簡単に破られるだろう。すなわち合意がなされても元の木阿弥。このような相手にプ-チン大統領は停戦に応じるだろうか。

  もう一つはロシヤ国内の反応がある。欧州委員会委員長のフォン・デラ・ライエンが漏らしたように,ロシヤ側の戦死者は約10万人(一説には16万人)以上。だとすれば,おそらく一人でも1.6万人でも戦死したロシヤ兵の親や親戚兄弟は嘆き悲しむであろう。そしてプ-チンを絶対許さないだろう。それとも許すのか。むしろここで停戦に合意すれば16万人の怨霊がプ-チンを呪う確率の方が高いのではないだろうか。

停戦合意の方法:
 停戦合意は難しい。なぜなら第一にゼレンスキ-側は死ぬまで戦えと言って,戦列を離れようとしている兵士を殺しているからである。第二にロシヤ側の事情がある。これは先に述べた通りである。
 中国政府はさらに停戦合意の策をもっと具体化することが予想させる。そのために王偉外相はプ-チン大統領に会うために先日ロシアを訪れた。そのときの会談内容は何であったのであろうか。漏れてくるはずはないので予想するほかはない。予測してみる:ウクライナを三分する!!!

  一つはウクライナ西。
  二つは緩衝地帯。そして
  三つめはウクライナ東と南(オデッサを含む)。

  ウクライナ西は非武装地帯とする。但しウクライナ西に攻め込む勢力があればロシヤ軍がこれを守る。国連軍も加わることができる。そして警察機能を西の政府に任せる。緩衝地帯は非武装地帯で無人地帯とする。但し境界線はキエフの東80kmの南北線とする(ハイマースの飛距離以内)。そしてウクライナ東・南(オデッサ住民を含む)。
なお,ウクライナ西の中にはハンガリ-系の民族のようにウクライナから独立したい住民もいる。少数派の住民投票を認め帰属先を決めさせる。戦時中の国際法違反はG20以外の国21ヶ国の審判団に任せる。
 またドンバス2州の住民はウクライナ政府軍やネオ・ナチによって大きな被害を受けた。しかし復讐は許されない。
以上。       
この停戦案はなかなか良くできているが,それらにかかわらずに停戦はないだろう。それは米国務省やネオコン(Neo Conservative)が後ろで糸を引いているからである。つまり,最終戦争なのである。

追記: 米誌「ナショナル・レビュー」の評論員ノア・ロットマン氏は,「米国とその同盟国は、ウクライナ紛争を、平和的な交渉を通じて、ウクライナ領土を二分することで終結に導こうとしている」と指摘している(スプ-トニク日本 2023.3.6)。
 もちろんその終結を否定しないが,イラクで子どもが50万人殺されても「その価値はある。バグダッド政府を封じ込めることができ、正当化される」と言ったオルブライト元米国務長官。ウクライナ西の住民がみんな死んでも戦争を止めないだろう。難民となって国外に出たウクライナ人が生き残っているから西の住民が全員死んでも平気なのかもしれない。

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