史上最悪の取り引き-核の不安のためにアメリカに金を払うオーストラリア
Moon of Alabama
2023年3月15日
先週のレビューで、私はAUKUS協定に言及した。協定は2021年9月に最初に発表された。当時こう私は書いた。
昨日、アメリカ、イギリス、オーストラリアは、オーストラリアがアメリカの中国に対する支持を実行するため原子力潜水艦を購入すると発表した。
...
これは、イギリスにも負け組という代償で、オーストラリアにとっては主権と予算管理の戦略的喪失を伴い、アメリカにとっては巨大ながら短期的な勝利だ。これは、フランスと欧州連合の顔に対するアメリカの更なる平手打ちだ。この取り引きは、ニュージーランドやインドネシアや、もちろん中国を怒らせるだろう。それは国際的核不拡散体制を混乱させ、韓国や日本の核軍備につながる可能性がある。
オーストラリアには現在通常潜水艦が6隻ある。フランスに新潜水艦を注文したが、AUKUSのための契約を破棄した。
オーストラリアが支払わなければならない新潜水艦の価格は、フランス潜水艦より遙かに高い。既に約30億ドルがフランスの契約で消えた。フランスは当然キャンセルするための追加補償を要求する。アメリカまたはイギリスとの新契約はフランスの契約よりも費用がかかるが、12隻ではなく8隻しかない。一隻を海上に保つには三隻の潜水艦が必要なため(他の二隻は訓練か修理中)、オーストラリア海軍の実際の巡視能力は、海上で4隻から2-3隻の潜水艦を同時に航行させられる。
より複雑で、より少数の潜水艦の遙かに高い価格は、今後数十年にわたりオーストラリアの防衛予算を混乱させるだろう。
私は更に、恫喝がAUKUS取り引きに関与した可能性があると示唆した。
発表の数日後、新しい詳細が発表され、新潜水艦建造には何年もかかるため、オーストラリアはアメリカから原子力潜水艦をリースすることを示唆した。パース港を改良し、原子力艦船に対処できるようにするのだ。
これにより、パースは、アメリカ原子力潜水艦の恒久駐留に対応できる基地に改築される。これら潜水艦は核兵器を搭載している。
「リースされた」潜水艦、または少なくとも推進部には、もちろんアメリカまたはイギリスの乗組員が配備される。オーストラリアは既に潜水艦乗組員維持に問題を抱えている。「リースされた」潜水艦で利用できる少数の乗員は、それらを運用するのに十分ではない。確実にアメリカが指揮する潜水艦のゲストになる特権にオーストラリアは多くを支払うはずだ。
オーストラリアの全体的な立場は良くは思えない。
中国の台頭に支えられたオーストラリアの採掘ブームは終わりに近づいている。国は予算を削減しなければならず、新しい経済モデルを模索する必要がある。
しかし、なぜ私はこれをアメリカにとって「巨大だが短期的勝利」と呼んだのか。アメリカがオーストラリアで潜水艦基地を獲得し、それを使用することで報酬を得るという点では勝利だ。中国に対し冷戦を仕掛けるのが狙いなら、これは良く見える。これが必要な戦略かどうかは疑わしいし、成功するかどうかも同様疑わしい。もちろん、武器メーカーは依然それを喜ぶだろう。
しかし、アメリカが現在および将来のパートナーの多くを失うという意味では、これは短期的勝利にすぎない。QUADパートナーであるインドと日本を第2層の地位に格下げしたのだ。インドネシアやマレーシア、さらにはシンガポールさえ、彼らに対し最終的には悪質な計画に対して疑念を高めている。
2022年5月、オーストラリアは新議会を選出した。労働党が政府の自由党に取って代わった。新しい潜水艦と取り引き全体が非常に高価なことがわかった。それは契約を破棄する好機だった。
答えは明らかだ。AUKUSの取り引き全体を捨て、ドイツの潜水艦を購入するのだ。
取り引きの本当の理由は、中国に嫌がらせをするため独自の原子力潜水艦を送れる港と基地をオーストラリアにほしがっていたアメリカの願望だったかもしれない。
オーストラリアの原子力潜水艦購入申し出は、この大陸への原子力潜水艦(核兵器搭載)駐留に対するオーストラリア国民の抵抗を取り除くためにのみ行われた可能性がある。
オーストラリアはそういものがない方が良いはずだ。
しかし新首相アンソニー・アルバニージには取り引きを終了させる勇気がなかった。先週、関係する三か国は新しい詳細を発表した。
オーストラリアの原子力潜水艦計画は、今後30年間で最大3680億豪ドルかかり、連邦政府は少なくとも3隻のアメリカ製原子力潜水艦を購入し、アメリカ造船所に「重要な追加資源」を提供することが確認されている。
オーストラリア政府は、アメリカ議会の承認を待つ間、来年10年初頭に3隻の中古のバージニア級潜水艦を引き取る予定だ。
今朝サンディエゴで発表された画期的なAUKUS防衛安全保障協定の下で、更に二隻購入する選択肢もある。
その間イギリスが彼らのアスチュート級潜水艦を置き換えるため既に行っている作業を「活用」するSSN-AUKUSとして知られる新しい潜水艦の設計と開発作業は継続される。
AUKUSクラスの潜水艦は、最終的にはアメリカの戦闘システムを使用し、イギリスとオーストラリア両国に運用される。
2040年代初頭から2050年代後半まで2年ごとに一隻の潜水艦が建造され、2050年代半ばまでに五隻のSSN-AUKUS潜水艦がオーストラリア海軍に引き渡される。
最も奇妙なのは中古バージニア級潜水艦購入だ。リース契約の方が遙かに良かったはずだ。原子力潜水艦は廃棄が非常に高価だ。彼らの60%濃縮ウラン燃料は非常に長期間保管しなければならない。オーストラリアは核の経験がない。
オーストラリア元首相ポール・キーティングは、この合意を歴史上最悪の取り引きと呼んでいる。
ポール・キーティングは、3680億ドルのオーカス原子力潜水艦計画を、ビリー・ヒューズが徴兵制を導入しようとして以来の、労働党政府による「史上最悪の取り引き」で「最悪の国際的決定」だとレッテルを貼った。
水曜日にナショナルプレスクラブで、元労働党首相はアルバニー政権に対し並外れて痛烈な非難を開始し、野党にいて、そうする「権限がない」時にAUKUSに署名する決定を支持する労働党の「無能」を攻撃した。
...
わずか8隻の原子力潜水艦(バージニア級潜水艦と次世代SSN-Aukus潜水艦)を取得するために費やされた3680億ドルは、代わりに40-50隻の通常型潜水艦を購入できるので「史上最悪の取り引き」だと彼は述べた。またキーティングはAUKUSの支持で従来のアタック級潜水艦契約を失ったフランスが「最新のフランス原子力潜水艦」の「新しい取り引き」を申し出たことを明らかにした。
これらは「兵器級の95%ではなく5%の濃縮ウラン」だけが必要で「固定価格」で2034年の「確固たる納期」だと彼は述べた。フランスは「返事を得ていない」とキーティングは主張した。
核防衛政策専門家であるジェームズ・アクトンは、この取り引きについて次のようにコメントしている。
(((ジェームズアクトン))) @james_acton32 - 20:16 UTC 2023年3月13日
@POTUS、@RishiSunakと@AlboMPがAUKUS潜水艦計画を発表するにあたり、技術と拡散リスクの私の評価は次のとおりだ。
BLUF:彼らはこれらのリスクを軽減するため真剣な努力をしてきたが、残っているものは現実的で大きい。
動画発表へのリンク(1/n)
計画は次のとおりだ(簡単に):
1. 🇦🇺に🇬🇧 & 🇺🇸がSSNを配備する (2027年から)
2. 🇦🇺はdeploys 🇺🇸から購入したヴァージニア級SSNを配備する。(2032年から)
3. 🇦🇺が設計し製造したAUKUS SSNバージニア級SSNを購入し配備する(2040年代初頭から)
* SSN =原子力攻撃潜水艦
(2/n)
...
アクトンは取り引きのリスクを詳述している。彼らは巨大だ。財務、技術、タイミングのリスクに加え、核拡散問題もある。この協定は核不拡散条約に反しており、オーストラリアがIAEAから協定の例外を認められた場合、他の国々も同様要求をするだろう。
私はアクトンの2番目のツイートに応答した。
Moon of Alabama @MoonofA - 20:24 UTC 2023年3月13日
1.はアメリカがAUKUSで望んでいたものだ。
2.主にアメリカ乗組員で、名目でだけオーストラリア指揮下にある。
3.オーストラリアには高過ぎて、決して起きない。
オーストラリアは、西オーストラリア州の海軍基地HMASスターリングを強化するために数十億ドルを費やし、アメリカとイギリスがローテーション駐留に使用できるようにする。アメリカとイギリスの原子力造船所に更に数十億ドル「投資」する。主権がほとんどないバージニア級の潜水艦に数十億ドルを支払うことになる。
潜水艦設計は長い間複雑な計画だ。バージニア級潜水艦の最初のバッチを設計するのに3,500万労働時間かかり、最初の潜水艦を建造するのに900万労働時間かかった。新しいSSN-AUKUSにも同様の経費と問題がある。私は何も建造されないよう期待している。オーストラリアもイギリスもそのための金がない。
それでも、政治的影響はあらゆる側面にあるだろう。
この取り引きにより、オーストラリアは本質的に、オーストラリアの最大顧客である中国と対峙するためアメリカに法外な代償を払うことになる。近隣諸国は不幸だ。インドネシアはマレーシアと同様に拡散リスクについて騒いでいる。ヨーロッパはオーストラリアがフランスとの取り引きを破棄し、新しいフランスの申し出を拒否したことに不満を抱いている。この協定はオーストラリアの安全保障を向上させるものではない。
キーティング(ビデオ)のインタビューを見た労働党議員は、彼らの党首が間違った決定をしたことを理解するようになるだろう。
それを逆転させるには何が必要だろう?
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2023/03/the-worst-deal-ever-australia-to-pay-us-for-nuclear-insecurity.html#more
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インドのメディアがまさにこの話題を扱っていた。さすが独立国家のメディア。
Gravitas Live: Why the AUKUS deal will fail to protect Taiwan from China's invasion | WION
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