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2023年3月23日 (木)

ロシアを中央アジアから追い出そうとして失敗したイギリスとフランス

2023年3月18日
ウラジーミル・プラトフ
New Eastern Outlook


 1812年の最後の戦争と異なりフランス、ロシア、イギリスは公然と戦争することなかったが、この二つのヨーロッパの国とモスクワ間の地政学的対立の規模は長年存在し、絶えず増大している。特に、この両国の現在の指導者がホワイトハウスの反露政策に卑屈に服従しているのを背景に。そして利益衝突の最も危険な場所の一つが中央アジアだった。

 ロシアに対するイギリスの攻撃的態度は、イギリスがモスクワ王国を自分の経済的利益になるよう引き込み、それを通してインドの富への大陸回廊を得ようとした16世紀にはっきり現れた。だが、これはロンドンにとってうまくいかなかったので、彼らはインドへの海路を開発しなければならなかった。ロシアに先立ち中央アジアに定着したイギリスは特にインドや中国との貿易を通じてアメリカやヨーロッパ企業との輸出入に起因する赤字を埋めるため、これらアジア植民地から早々と豊富な利益を得始めた。

 ロンドンが始めた1826年から1828年のロシア・ペルシャ戦争はロシアの南への前進を遅らせる試みだったが、ペルシャの敗北は中東でのロシアの統合を助け、そこでのイギリスの地位を損なうだけだった。

 5000人以上の兵士と約2500万ポンドを失い大英帝国にとって不名誉に終わった最初のアフガニスタン戦争や1850年代から加速したロシアの中央アジア征服はモスクワによるコーカンド、ブハラ、ヒヴァ汗国の征服作戦成功を可能にしロンドンを大いに憤慨させた。

 20世紀初め、イギリスとロシアの利益は再び対立した。しかしイギリスは世界の主要大国としての地位をアメリカに譲り、ヨーロッパにおけるアメリカの第一総督となった後、ロシアとの対立を続けた。今ロンドンは200年前と同じ国ではなく、インドやアジアの国々に関与する公式理由もないが、それでもロンドンのアジア願望は衰えていない。

 今日イギリス諜報機関がトルコに本格的な影響力があり、アジアからロシアを追放しようとしていることは周知の事実で、第二次カラバフ戦争終結直後にMI6責任者のリチャード・ムーアがアンカラを訪問したことで証明された。ロンドンはロシアに対しトルコを挑発し、1853年から1856年にクリミア戦争と、更に、1877年から1878年の戦争に参加し、資金、武器、教官を与えてトルコを公然と支援したことに留意願いたい。

 現在のイギリス軍はイギリスが「海洋を支配し」「ロシアと戦う」余裕があった時のような状態でないため、イギリスが今日ロシアと公然と戦う可能性が低いのは明らかだ。それにもかかわらず、19世紀以来の、特に人の力を利用して「支配する」というロンドンの叶わぬ願望、中央アジアでの行動が近東の「大英帝国支配」諸国を脅かしているように見えるロシアは、長年文字通りイギリスの強迫観念になっていた。あらゆる機会に公式のロンドンは反ロシア措置をとり、メディアで敵対的ヒステリーやプロパガンダを扇動し、それを名目に中央アジアへの大規模介入を実行していた。特にロシアだけでなく中国の地域への影響力拡大を阻止し、伝統的市場への商品の流入を遮断し、カスピ海やアラル海地域経由での中近東諸国とのモスクワと北京の通過貿易を支配しようとした。

 イギリスにとって、中央アジアは、この地域の大量の鉱物埋蔵だけでなく、ヨーロッパと東南アジア間の架け橋としての地政学的位置のため長年戦略的に関心ある地域だった。2005年秋にキルギスタン南部地域への攻撃を画策する目的でアメリカとイギリスの諜報機関がクンドゥズ州に(ロシアで禁止されているIMU)ウズベキスタン・イスラム運動勢力を集めたが、行動は決して起きなかったことに留意する必要がある。

 リチャード・ムーアがイギリス諜報機関の長官になって以来、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンでイギリス諜報機関が顕著に活性化しており、汎チュルク組織や手先のイスラム集団が破壊作戦を実行している。更にロンドンはイギリスの利益のための道を切り開き、中央アジアからロシアを閉め出すため、この地域での作戦でトルコを破城槌として積極的に使用しようとしている。

 ロンドンは中央アジアでの反ロシア活動をアメリカやアメリカ諜報機関と調整し始めた。現時点でイギリスとアメリカ両国が中央アジアの地政学的不安定性の恩恵を受けているためロシアと中国をくぎ付けにできるというのが理由だ。

 しかし中央アジアにおけるイギリスとアメリカの「戦略的同盟」に加えて、フランスを「これら行動」に関与させたいロンドンの願望は最近益々明らかになっている。2月初旬フランス議会の支援を受け、パリで「欧米全体」だけでなく中央アジアにおけるロシアの影響力を弱めるためフランスの役割強化を議論し呼びかける円卓会議が開催された。例えば昨年11月、地域の二人の指導者シャフカット・ミルジヨエフとカシム・ジョマルト・トカエフという中央アジア共和国指導者を巡る「ダンス」が積極的にパリで行われ、公式訪問のためパリに招待された。彼らは、これら中央アジア諸国への数十億ドル投資を約束したフランス政財界メンバーと積極的交渉を行い多数の「覚書」が締結された。

 パリ交渉参加者の1人はウズベキスタンのウラン生産者ナヴォイユランと共同探査と鉱床開発を想定した戦略的提携協定を締結したフランス最大の原子力会社オラノだった。

 交渉のもう一人の積極的参加者がこれらの国々のプロジェクトに投資する関心を示したフランス開発庁(AFD)だったのは注目に値する。しかしこの事実は、AFDがアメリカのUSAIDに相当するもので、影響力の代理人の機能を演じて、アメリカ諜報機関の秘密任務を遂行する組織で「通常業務」を超えており、注目に値する。中央アジアにおけるパリの「特定の関心」は主に原子力発電所に必要なウラン鉱床で、結局フランスは原子力発電でヨーロッパのリーダーなのだ。一方カザフスタンは天然ウラン製造の世界的リーダーで、世界の既知ウラン資源の26%を保有し、低価格(1kgあたり約80ドル)で、世界輸出の40%以上を提供している。フランスとカザフスタンの合弁会社KATCOは既に国内採掘されたウランの15%を処理しているが、フランスは明らかに更に多くを望んでおり、欧米の反ロシア政策を追求する際、パリは最近何らかの形でロシアに害を及ぼす行動に一層積極的に参加している。したがってロシアを中央アジア、特にカザフスタンから追い出したいという願望は、2030年までにこの国との共同ウラン生産を倍増させモスクワの追い出しを計画しているパリで今や増大している。しかも、より多くのウランを入手するだけでなく、このロシアを重視する地域を含め、原子力発電所建設で金を稼ぐことによって。

 11月初旬、フランス電力の取締役がキルギスタンを訪れ、サディル・ジャパロフ大統領と会談し、キルギス水力発電部門への投資に対するパリの関心を明確に示した。

 ロシアの伝統的影響力がある地域、中央アジアでの存在感を強化しようとするパリによるこのあからさまな取り組みで、フランスの永遠の競争相手であるロスアトムをこの地域で圧迫し、現地のウランを入手したいという願望以上のものがはっきりとわかる。ここには重要な地政学的な要素がある。明らかにマクロンはロシアがフランスを追い出し、その過程でその地位を奪ったアフリカでの彼の失敗でロシアに仕返ししたいのだ。

 しかし中央アジアに関するフランスとイギリスの願望や、この地域からロシアを追放しようという彼らの試みに対しては、時間や金を無駄にするのではなく、キーウの犯罪政権支援のための信じられないほどの財政的、軍事的援助を含め、進行中の社会政策に対し大規模抗議行動が増大する、自国の多くの国内問題に対処しろと助言するしかない。

 ウラジーミル・プラートフは中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/03/18/britain-and-france-unsuccessfully-attempt-to-force-russia-out-of-central-asia/

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 傀儡スナク、ウクライナに劣化ウラン弾を送ると言い出した。(正確には言わされだした。)失われた領土を取り返せないなら、汚染してしまえというネオコンに命じられたのだろう。劣化ウラン弾は戦車の装甲を貫通し乗員を殺害するだけで終わらないのはイラクの実績が示している。劣化ウラン弾が大量に使用された地域では健康被害が報じられている。もちろんテロ国家は因果関係を認めない。

 ケイトリン・ジョンストンさんの言う通り。世界最強のテロ国家では精神病質者が出世する見本のバイデン広報官。

 The Jimmy Dore Show

Peace In Ukraine Is “Unacceptable” Says Biden Spokesman 6:42

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「ホワイトハウスに近い記者の習近平ロシア訪問の評価。米国懸念は最早露でなく中国。露にかかずらい、対中戦略の弱体化を懸念。中国の露への武器供与を懸念→中国はそこまで踏み切っていないと判断している模様」。「中露首脳会談。客ではあるが習近平が主導」

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