戦車に関する真実:ウクライナでの大災厄への道でNATOはいかにウソをついたのか
Scott Ritter
2023年1月28日
Sputnik
戦車戦は進化している。第二次世界大戦の大半やアラブ・イスラエル紛争特徴であった大規模部隊同士の武装戦闘は、NATOとソ連両方の作戦ドクトリンの基礎として機能し(1991年の砂漠の嵐作戦中、アメリカが全面的に実施した)自然な経過をたどった。
大半の軍事技術革新と同様、現代の主力戦車を生存可能にする能力は、そのような防御を克服するよう設計された防御システムに凌駕されている。現代の軍隊が対戦車ミサイルで武装した装備の整った同等レベルの敵に対し大規模な戦車を主力とする攻撃を開始しようとした場合、その結果、攻撃側は燃え尽きた戦車の残骸から煙が立ち上る決定的敗北を喫するだろう。
誤解せぬよう願いたい。戦車には現代の戦場で果たすべき重要な役割を依然として持っている。移動式掩蔽壕としての彼らの地位は大規模地上戦闘の現在の段階を定義するようになった一種の肉挽き器消耗戦争において非常に貴重だ。速度と装甲は依然と生存に貢献しており、戦車の主砲は現代の戦場で最も致命的な武器の一つだ。
しかし、現代の戦車は、(乗車および非乗車)歩兵と大量の支援兵器(大砲および近接航空支援)に支えられた諸兵科連合チームの一部として最高の性能を発揮する。そのようなチームの一員として、特に近接戦闘の技術についてよく訓練されたチームの一員として、戦車は依然戦争の重要な武器だ。ただし単独で活動する場合は戦車はただの高価な移動式棺桶だ。
欧米の主力戦車をウクライナに提供するというNATOと同盟諸国による最近の決定には様々なことが言われている。この決定の政治はそれ自身別の話題だ。本記事では、この決定の作戦上の実用性、つまり、これら新しい兵器システムの提供を通じてウクライナの軍事能力が強化されるかどうかについて説明する。
この疑問に答えるには、訓練、兵站の持続可能性および作戦上の使用という三つの基本問題を検討する必要がある。
訓練
基本的にアメリカM1エイブラムス乗員を訓練するには22週間かかる。訓練は兵士に活動できるための極めて基本的能力を与えるだけだ。実際の運用上の専門知識は戦車自体だけでなく、同様に訓練された諸兵科連合チームの一員として戦車を運用するための数年ではないにせよ数か月の追加訓練によってのみ得られる。簡単に言えばソ連時代のT-72またはT-64戦車の運用経験があるウクライナ戦車乗員でさえ即座に欧米主力戦車に移行できない。
赤の広場での第72親衛戦車連隊T-3B1M主力戦車、28.01.2023
©スプートニク/エフゲニー・オディノコフ
何よりまずソ連時代の戦車乗員は三人で、ソ連戦車が自動装填機構を使用している現実を反映している。欧米戦車では主砲装填が手作業で行われるため乗員は四人だ。これらのダイナミクスに適応するには時間がかかり広範な訓練が必要だ。
訓練には費用がかかる。NATOは現在ウクライナにイギリスのチャレンジャー2、ドイツのレオパルト2、アメリカのM1A2という三種類の欧米主力戦車を提供している。統一訓練コースはなく、各戦車に他の戦車では直接流用できない独自の訓練が必要だ。
このような多様な方法で作成された分散型の訓練過程は非効率性を増し、結果的に矛盾を生じる。他の全ての条件が同じ場合、予測可能な結果を促進するため部隊が交換可能であるべき戦闘で、ある乗員が別の乗員と違うというのは通常は致命的だ。
さらに、これら問題は迅速な結果に重点を置くことで一層激化する。現実には戦車を提供する国々に開発され提供される訓練プログラムは、その任務に不十分で訓練も不十分な乗員は、この極めて複雑な兵器システムを、まさにこれら戦車を潰すべく設計され装備されたロシア戦車の威力という世界で最も危険な環境に持ち込むのだ。
兵站の持続可能性
戦車は現代の戦場で最も技術的に困難な兵器の一つだ。特に適切に保守されていない場合、戦車は絶えず故障する。M1エイブラムスの場合、戦車が現場で一時間稼働するたびに、三時間の保守が必要だ。この問題は戦闘で一層拡大する。
通常装甲部隊には高度に専門化した有機的保守要員が配備されており戦車に戦列離脱を強いる可能性のある小さな問題をほとんど修理できる。このレベルの高技能の整備士を作るための訓練要件を考えるとウクライナにこの種の保守支援が提供される可能性は低い。
2022年11月23日、ウクライナ軍がウクライナ東部最前線のロシア陣地に向けM777榴弾砲を発射した後、空の155MM砲弾管を投棄するウクライナ砲兵。© AFP 2023 / ANATOLII STEPANOV
これは、ウクライナに提供される戦車は単純な使用または実際の戦闘で損傷した機器の大規模修理のためNATO諸国に返送する必要があることを意味する。要するにウクライナ手中の欧米主力戦車はウクライナによる作戦中のどこかの時点で故障する可能性が極めて高く、ウクライナが利用できる戦車の総数は提供された戦車の数より遙かに少なくなる。
作戦での使用
先月ウクライナ軍最高司令官ヴァレリー・ザルジヌイ将軍はロシアを打倒する可能性を得るには戦車300両、歩兵戦闘車500輌、大砲500基が必要だとエコノミストに語った。
1月20日のラムスタイン・コンタクト・グループ会議とその後の戦車提供に関する議論に続いて、NATOと同盟諸国は要求された戦車数の50%未満、要求された歩兵戦闘車数の50%未満、そして要求された大砲数の20%未満を提供することに合意した。
さらに、この兵器の納入予定は何ヶ月先、場合によっては来年まで、一貫性なしにずれにずれている。これはウクライナにとって既に不利な訓練と兵站の持続可能性の問題を複雑にするだけでなく、この兵器をまとまった作戦上での使用に統合する有意義な取り組みをほとんど不可能にする。要するにウクライナは提供された兵器、特に戦車を少しずつ戦闘に投入するのを余儀なくされるだろう。
戦車についての真実は、その運用が過度に複雑で、保守が極端に困難で、広範な諸兵科連合パートナーに支援される説得力ある方法で使用されない限り生存不可能な兵器を提供することによりNATOと同盟諸国は、ウクライナをより強くでなく、より弱くしている。
ウクライナに欧米主力戦車を提供する決定は文字通り自殺協定で、ウクライナにとって最善の利益を探していると主張する人々は手遅れになる前に検討する必要がある。
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耕助のブログ Finian Cunningham記事翻訳
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
対米関係の悪い露とイランは潜在的に緊密な関係を持つ可能性。ウクライナ戦争で、露はイランから大量の無人機を購入。今イランの協力を得てロシア国内に無人機製造工場建設構想が進行中。将来的にはイラン国内でのミサイル、核兵器分野で協力の可能性を持つ
<IWJ取材報告 1>山田正彦元農水相が表明!「憲法で保障された安全な食糧への権利について、戦後初めて裁判所が判断する、大きな裁判だと思っている」~2.3 種子法廃止等に関する違憲確認訴訟 判決言い渡し前の記者会見
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