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2023年2月 9日 (木)

今回は違う 我々も同盟諸国も地域的にも世界的にもロシアと全面戦争を戦う準備はできていない

ダグラス・マグレガー
American Conservative
2023年1月26日12:01

 ウクライナでの実存的な軍事的脅威でモスクワと対峙すると決定するまで、アメリカにとって余裕ある戦争、サイゴンからバグダッドに至るまで発展途上諸国の弱く、アメリカ軍やアメリカ領土にとって実存的脅威ではない敵との戦争にワシントンはアメリカ軍事力の使用を限定していた。今回のロシアとの代理戦争は違う。

 当初のアメリカ政府の希望と期待に反しロシアは内部崩壊することもモスクワでの政権交代に対する欧米集団の要求に屈服することもなかった。ロシアの社会的結束や潜在的軍事能力 や欧米経済制裁に対する相対的な耐性ワシントンは過小評価していたのだ。

 その結果、ワシントンの対ロシア代理戦争は失敗しつつある。1月20日ドイツのラムシュタイン空軍基地で同盟諸国に「さほど長期間ではないが」「今から春までの間に機会の窓がある」と語った際、ウクライナ状況についてロイド・オースティン国防長官はlいつになく率直だった

 最近解任されたゼレンスキー大統領顧問で非公式「メディア担当者」アレクセイ・アレストビッチは、より直接的だった。彼はウクライナがロシアとの戦争に勝てることに疑問を表明し、今やウクライナが戦争から生き残れるかどうかさえ疑問視している。(行方不明者35,000人を含む少なくとも150,000人の死者と推定死亡者)というウクライナの損失は、ウクライナ軍を致命的に弱体化させ、ウクライナの脆弱な防衛体制をもたらし、今後数週間ロシア軍による攻撃の圧倒的な重みの下、粉々になる可能性が高い。

 ウクライナの物的損失も同様に深刻だ。これらには何千輌もの戦車や装甲歩兵戦闘車、火砲、防空システムや、あらゆる口径の武器が含まれる。これら合計にはジャベリン・ミサイル生産7年分に相当するものが含まれる。ロシアの火砲にはロケット、ミサイル、ドローン、徹甲弾など、あらゆる種類の約60,000発を発射可能で、ウクライナ軍はこうしたロシア一斉射撃に毎日6,000発の砲弾で反撃し苦境に立たされている。ウクライナ向け新方針や弾薬パッケージは、ワシントン界隈を儲けさせるかもしれないが、こうした条件を変えることはできない。

 予想通りウクライナ敗北の流れを食い止められなかった西欧集団に対するワシントンの欲求不満が高まっている。実際欲求不満は急速に絶望に取って代わられつつある。

 元ブッシュが任命した中東とアフガニスタンでのアメリカ恒久紛争の熱心な支持者マイケル・ルービンは、1945記事で欲求不満を発散し「世界がロシアが統一国家であり続けることを許し、プーチン主義でプーチンの生き残りを許すなら、NATOに加盟しようとするまいとウクライナは独自の核抑止力を保持することを認められるべきだ。」一見この提案は無謀だが、この声明はウクライナの敗北は避けられないというワシントン界隈の不安を正確に反映している。

 ロシアを致命的に弱体化させるワシントン十字軍の背後でNATO加盟諸国は決して強固に団結していない。ロシアとの戦争に対する広範なヨーロッパ国民の反対と、ウクライナの予見可能な敗北を先送りしたいというワシントンの願望に対する支持の欠如をハンガリーとクロアチア政府は素直に認めている。

 ウクライナ国民には同情的ながら、ウクライナのためのロシアとの全面戦争をベルリンは支持しなかった。現在ドイツ人はドイツ軍の壊滅的状況にも不安を感じている。

 NATO軍事委員会の元委員長である退役ドイツ空軍大将(四つ星相当)ハラルド・クジャットはワシントンがドイツをロシアとの紛争に陥れるのを許したとベルリンを厳しく批判し、数十年にわたるドイツ政治指導者が積極的にドイツを武装解除し、ヨーロッパにおける権威や信頼性をベルリンから奪ったと指摘した。ドイツ政府やメディアは大いに抑圧しているが、彼の発言はドイツ有権者の共感を呼んでいる。

  ありていに言えば、ロシアとの代理戦争で勝利を確実にする取り組みでワシントンは歴史的現実を無視している。13世紀以降、ウクライナはリトアニア、ポーランド、スウェーデン、オーストリア、ロシアなど、より大きく強力な大国支配されてきた地域だ。

 第一次世界大戦直後に独立したウクライナ国家というポーランドの失敗に終わった企てはボルシェビキ・ロシアを弱体化させるために考え出されたのだ。今日ロシアは共産主義ではなく、モスクワはトロツキー、レーニン、スターリンや彼らの追随者が1920年にしたようにポーランド国家の破壊を求めてはいない。

 するとロシアに対する代理戦争でワシントンは一体何を目指しているのだろう? この疑問は回答に値する。

 1941年12月7日日曜日、日本が真珠湾の米海軍基地を攻撃したニュースをBBCが放送した際、アヴェレル・ハリマン米国大使はウィンストン・チャーチル首相とチャーチル家で夕食をとっていた。ハリマンは傍目でもわかるほど動揺した。「日本人が真珠湾を襲撃した」という言葉を彼はひたすら繰り返した。

 ハリマンは驚く必要はなかった。ルーズベルト政権は、1941年夏ワシントンの石油禁輸で最高潮に達する一連の敵対的政策決定で、東京に太平洋の米軍を攻撃するよう仕向けるため事実上ありとあらゆることをしていたのだ。

 第二次世界大戦ではタイミングと同盟諸国の両方でワシントンは幸運だった。今回は違う。ロシアに対する全面戦争、ロシア連邦の荒廃と崩壊、ロシアとウクライナでの何百万人もの命の破壊をワシントンとNATO同盟諸国は提唱している。

 ワシントンは感情的になっている。ワシントンは考えておらず経験主義や真実に対して余にも敵対的だ。我々も同盟諸国も地域的にも世界的にもロシアとの全面戦争を戦う準備ができていない。重要なのはロシアとアメリカ合州国間で戦争が勃発したとしても、アメリカ人は驚くべきではないことだ。バイデン政権とワシントンの超党派支持で、それを実現するためにできる限りあらゆることをしているのだ。

著者について

ダグラス・マクレガー大佐(退役)は、American Conservativeの上級研究員、トランプ政権国防長官の元顧問、勲章を授与された]退役軍人で、5冊の本の著者。

記事原文のurl:https://www.theamericanconservative.com/this-time-its-different/

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 Brian Berletic of the New Atlas and Carl Zha of the Silk and Steel Podcast weigh in on the threat of war between the U.S. and China and what it would mean for all sides.

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