中国との戦争のための軍事予算をオーストラリアに倍増させるマードック・プロパガンダ
ケイトリン・ジョンストン
❖
中国との戦争への同意をオーストラリアででっちあげる益々強力なキャンペーンの最近のエスカレーションでマードックが所有するスカイニュース・オーストラリアはオーストラリア軍事費の劇的増加を提唱する驚異的なプロパガンダ的な1時間の特別番組を放映した。
欧米世界でわが国はメディア所有が最も集中しており、数十年以上アメリカ政府機関とのつながりがしっかり文書化されているルパート・マードックがその大部分を占めているため、オーストラリア人はプロパガンダに対して非常に脆弱だ。オーストラリアでは対中国プロパガンダ・キャンペーンが近年非常に攻撃的になっており、最初に会話してから数分以内に、全く見知らぬ人がさりげない会話で、全く突然、中国の脅威について私と口論を吹きかけ始めるのを繰り返し経験している。
スカイニュース・スペシャルは私がこれまでニュースメディアで見た中で最も露骨なプロパガンダの一つで、冒頭数分、銃剣を振るう中国軍の行進映像を映し、行進の音に不気味な映画的悪人風音楽が大音量で重ねられる。特別番組の宣伝映像でスカイニュース・オーストラリアは、中国に関する全ての映像を赤く染め、彼らがどれほど危険な共産主義者か示した。これらは国民に情報提供することを意図してされた決定ではなく、戦争プロパガンダを実行する意図でされた決定だ。
Tonight. 730 on @SkyNewsAust pic.twitter.com/lURxnjs5Zu
— Peter Stefanovic (@peterstefanovic) February 14, 2023
スカイニュースで中国の脅威について視聴者に伝える最初の専門家は、レイセオン、ボーイング、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマンなどの軍産複合体から資金提供を受け、また、オーストラリアや台湾など、アメリカ政府や属国からも直接資金提供を受けている戦略国際問題研究所の非常勤研究員ミック・ライアンだ。スカイニュースはもちろん、軍事費増加への同意をでっち上げる一方、ライアンを単に「元少将」と呼んで、この巨大な利益相反は言及しない。これは、フライド チキンの健康上の利点に関するサンダース大佐の記事を掲載し、彼を「元フライ料理人、ハーランド・デビッド・サンダース」と呼ぶのと同じレベルのジャーナリズムの不正行為だ。
スカイニュースが我々に提示する次の専門家は先月惜しくも亡くなったオーストラリア元少将ジム「ファルージャの屠殺屋」モランだ。私が以前モランについて書いたのは、オーストラリア・マスコミが反中国プロパガンダ・キャンペーンで彼を引用するのが大好きだからで、前回は中国はオーストラリア侵略を開始する準備ができているというばかげた主張を彼が推進した時だった。
スカイニュースが登場させる他の専門家は元CIA長官で国防長官のレオン・パネッタ、台湾の呉釗燮外相、台湾の中国問題局長ライ・チョン博士、駐オーストラリア日本大使山上慎吾、オーストラリアの影の国防相アンドリュー・ヘイスティ、そしてこれもアメリカと同盟する政府と軍産複合体の戦争受益者に資金提供される悪質なプロパガンダ企業オーストラリア戦略政策研究所のジョン・コインだ。
つまり予想通りバランスが取れた公平な顔ぶれだ。
特別番組の8:15にスカイニュースは昨年の第20回共産党大会で中国の胡錦濤前国家主席が政治的に粛清されたという証拠のないプロパガンダ主張を繰り返す。
19:15、ジム・モランは愛国的チェロ音楽が背景に流れる中、我が同盟国であるアメリカ人と戦い、死ぬ必要性について語る。
21:30、中国国旗と共にオーストラリアが爆撃される画像が表示される(実に微妙だ)。
24:25、スカイニュースは、中国を包囲する全てのアメリカ戦争機械の図解を使って「彼らが我々の軍事基地にどれだけ近づいているご覧ください」ミームをうっかり実行する。アメリカはそのように中国軍に包囲されることを決して許さず、中国が試みた場合、即座に戦争を仕掛けるだろう。アメリカこそこの紛争の侵略者で、中国が防御的に対応しているのは明らかだ。
中国を包囲する軍事駐留を示す図解が画面に映ると「アメリカはインド太平洋で主要な戦略的役割を演じている」とスカイニュース・アンカー、ピーター・ステファノビッチは語る。「375,000人の兵員を擁しハワイからインドに至る広大な作戦ネットワークがあります。」
In its attempts to propagandize Australians into consenting to war with China, Sky News Australia accidentally does the "look how close they put their country to our military bases" meme.pic.twitter.com/1lf2b4p7pH
— Caitlin Johnstone (@caitoz) February 16, 2023
26:30、宇宙の中国衛星システムのデジタル表現が表示され中国衛星は赤く着色され、彼らがどれほど邪悪な共産主義者かを理解するのに役立つ。
27:45、オーストラリア総人口が両国のごくわずかでしかない事実を無視して、わが国の戦争機械の規模を拡大することがいかに重要か理解するのに役立つオーストラリア軍が中国やアメリカ軍より遙かに小さいことを示す図が示される。
32:45、AUKUS協定は「オーストラリア北部におけるアメリカの軍事的プレゼンスを強化する」と言い「アメリカは長年オーストラリアを重要な戦略的前哨基地として使用してきた」と言い、パインギャップやこの大陸に点在するアメリカ戦争機械の他の部分の画像を示す。「更に多くのものがあります」とステファノビッチは言い、ロイド・オースティン米国防長官がオーストラリアで予想される米軍駐留の急増を説明した。
34:10、オーストラリア戦略政策研究所の担当者はアメリカが中国との対決計画でオーストラリアを利用するのに極めて熱心な理由を説明し、オーストラリア大陸の地理が中国に十分近い意味のある距離にあるが、中国の戦争機械が簡単に攻撃できないほど十分に離れている丁度良い「ゴルディロックスの位置」にあると述べた。
35:15 でステファノビッチはオーストラリアは輸入に大きく依存しているため、北部の戦争で航路が遮断された場合「我々の国は文字通り屈服する可能性がある」と警告する。これは中国と平和的関係を維持することの重要性に関する議論だと人々は思うかもしれないが、そうではなく、中国恐怖を助長し、戦争で中国を打ち負かせる必要性を主張するために利用されているのだ。
I've only just started watching this Sky News Australia special about the urgent need to prepare for war with China and it's already jaw-droppingly propagandistic. Watch this clip featuring bayonet-wielding Chinese troops marching to ominous music like Star Wars stormtroopers. pic.twitter.com/0p3wghiEY8
— Caitlin Johnstone (@caitoz) February 15, 2023
そして45:50、我々はついにこのスカイニュース特別番組の本当の狙いに到達する。オーストラリアの軍事予算を「劇的に増やす」必要性と、その増加に対する同意をでっちあげる必要性だ。オーストラリアの軍事予算は現在487億ドルで、GDPの2%弱だ。故ファルージャの屠殺屋はスカイニュースに「少なくとも国防費を2倍の4%にする必要がある」と語り、特別番組の専門家は、言説支配を利用してオーストラリア人にこれを受け入れるよう説得する必要性を公然と主張する。
「オーストラリア政府は直面する脅威に関してオーストラリア国民と話し合う必要がある」とミック・ライアンは言う。「オーストラリア国民に防衛にもっと金をかける必要があると納得させるには、より説得力のある物語が必要です。」
「オーストラリアの人々と、我々が非常に長い期間そうだったよりずっと脆弱な世界に住んでいるのを明らかにする会話をすることは重要だと思う。」とオーストラリアのリチャード・マールズ国防相はスカイニュースで語った。「それに必要なのは防衛体制と防衛力であり、実際過去より多くの費用がかかる。国防費を増やす必要がある」
はっきりさせておこう。これは単に軍事費を増やすための呼びかけではなくオーストラリア人により多い軍事費に同意するよう洗脳するための呼びかけだ。正面切ってプロパガンダをしておいて、なぜプロパガンダをするのか人々に説明することはめったにない。
Australian War Propaganda Keeps Getting Crazier@60Mins has churned out yet another fearmongering war propaganda piece on China, this one so ham-fisted that it goes so far as to run a brazen advertisement for an actual Australian weapons manufacturer.https://t.co/UDXso2f4MV
— Caitlin Johnstone (@caitoz) November 16, 2021
オーストラリアで暮らしているのに私が常にアメリカ戦争機械に焦点を合わせすぎると不平を言う人々の声をきくが、注意を払っている人なら誰でもアメリカ戦争機械の振る舞いがアメリカ人と同じくらいオーストラリア人に関連しているのを知っている。彼らは一極主義として知られる闇の神を喜ばせるため計り知れない恐怖の将来戦争の陣太鼓を叩いており、それは我々全員を破壊する恐れがあるのだ。
今こそ抵抗を始める時だ。
_________________________
私の記事は全て読者のご支援によるものなので、本記事を良いと思われたら共有し、Facebook、Twitter、Soundcloudあるいは、YouTubeをフォローするか、Ko-fiやPatreonやPaypalのチップ入れにいくらか投げ銭していただきたい。更に多く読みたいとご希望なら、私の本を購入可能だ。私が発表する記事を読めるようにする最善の方法は、私のウェブサイトか、Substackでメーリングリストを購読することで、そうすれば私が掲載する全てのものについて電子メールで通知が行く。人種差別サイト以外、どなたでも無料で、お好きなあらゆる方法で、この記事のどの部分でも(あるいは私が書いた他のあらゆる記事でも)再配布、使用、翻訳されるのを私は無条件に許可している。私が一体誰で、私がどういう立場で、この場で何をしようとしているのかなどについて、より詳細をお知りになりたい場合には、ここをクリック願いたい。全ての記事はアメリカ人の夫ティム・フォーリーとの共同執筆。
ビットコイン寄付:1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2
気に入っていただけただろうか? Patreonで、ケイトリン・ジョンストン支援のために、1秒時間をかけて頂きたい!
----------
国名の「オーストラリア」を「日本」に、局名「スカイニュース」を「日本の大本営広報大政翼賛会TV」に置き換えればそのまま。小生がお金を払って著書を購入している方々は決して大本営広報大政翼賛会番組には呼ばれない。徹底的報道管制。提灯持ちなら出演させる。彼女のように。
マイク・ホイットニー氏、彼の過去記事『ハーシュの拙いところ』に対する訂正記事を書いている。耕助のブログが翻訳されている。
耕助のブログ
20日のクリス・ヘッジズ氏Substack記事は日曜、19日ワシントンDCにおけるRage Against The War Machine rallyでの彼の演説文章。
"USEFUL IDIOT"でクリス・ヘッジズ氏が集会の狙いを語っている。20:03から
Chris Hedges Rallies for a Left-Right Coalition Against War 52:09
引退する三代目の四代目ボンボンの愚劣なブログ騒動で、またもや『フィガロの結婚』下記の一節を思い出した。世襲政治家の低劣さはお決まりだから全く驚かない。驚くのは連中に投票する庶民がいる不思議。失礼とは思うが「屠殺業者に群がる豚」を連想。そういうおさななじみがいる。なぜか、しつこく飲み会に誘われるが「屠殺希望者の集い」に参加する意思は皆無。
貴方は豪勢な殿様というところから、御自分では偉い人間だと思っていらっしゃる!貴族、財産、勲章、位階、それやこれで鼻高々と!だが、それほどの宝を獲られるにつけて、貴方はそもそも何をなされた?生まれるだけの手間をかけた、ただそれだけじゃありませんか。
ボオマルシェ著・辰野隆訳『フィガロの結婚』(岩波文庫)193ページ。
そして植草一秀氏のご指摘通り「ゆ党」連中、予定通り?絶滅の道を着実に進んでいる。自民党に吸収されるのが夢なのだろうか。
IWJ、大本営広報部は決して触れない下記の高野孟氏講演を報じている。記事と1:22:17の全編映像
高野孟氏「『台湾有事は日本有事だから防衛費倍増』という『嘘の連鎖』を断ち切ることが必要。岸田は安倍の背後霊に後ろから抱きつかれ、この路線から逃れられない」~2.16「台湾有事切迫」論の嘘に惑わされるな 2.16院内集会 ―講演:高野孟氏 2023.2.16
今朝の孫崎享氏メルマガ記事題名
ブリンケン国務長官、ミュンヘンで王毅と会談、ここで中国がロシアに対しウクライナ戦争で使用しうる武器援助に対し、米国の警告。通常かかる警告は秘密裡。だが長官はこれをCBS記者に説明し記事に。中国は「米国は命令する資格ない」と激しく反発。
「ベネット元イスラエル首相が爆弾発言!! プーチンは『武装解除を放棄』? ゼレンスキーは『NATO加盟を諦めた』!?」
はじめに~ナフタリ・ベネット元イスラエル首相が爆弾発言!(その5)「プーチンは最初の要求から大きな譲歩を2つしました。プーチンは武装解除を放棄しました。そして、非ナチ化もです。私は、ワオ、これは大きな変化だと思いました」「私は大変楽観的な気持ちでモスクワを離れました。というのは、ゼレンスキーはロシア侵攻の理由になったNATO加盟を諦めたからです」「(英国首相の)ボリス・ジョンソンは、攻撃的な布陣を採用しました。マクロンとショルツは、もっと現実的でした。バイデンは両方です」
« 特殊作戦プロパガンダ屋連中をウクライナに戻そうと望んでいる国防総省 | トップページ | 戦争で敗北したのを認め出口を模索する「欧米」 »
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている(2024.12.03)
- 対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国(2024.12.02)
- ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由(2024.12.04)
「中国」カテゴリの記事
- トランプ大統領の対中国「貿易戦争2.0」は過酷なものになるだろう(2024.12.06)
- ウクライナ紛争や国内政治崩壊の損失によりドイツは崩壊しつつある(2024.11.23)
- トランプ政権:「戦争タカ派なし」から「全員戦争タカ派」へ(2024.11.20)
- ドイツはロシア燃料を使用していたがゆえにヨーロッパの原動力だった(2024.10.24)
「Caitlin Johnstone」カテゴリの記事
- ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている(2024.12.03)
- 本物のイスラエル(2024.11.22)
- 既に戦争狂で一杯のトランプ政権(2024.11.16)
- ドナルド・トランプはあなたの友人ではない(2024.11.17)
- 大量虐殺の「多すぎる証拠」(2024.11.06)
「オセアニア・クアッド」カテゴリの記事
- カート・キャンベルの日本・モンゴル訪問:アメリカ外交政策にとって何を意味するのか(2024.04.11)
- オーストラリアを中国からアメリカが守っていると信じるのは愚か者だけ(2023.09.02)
- アジア太平洋地域にしっかり照準を合わせているNATO軍産複合体(2023.05.29)
- 戦争への助言のためワシントンの沼地怪物に謝礼を払うオーストラリア(2023.04.30)
「イギリス」カテゴリの記事
- 対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国(2024.12.02)
- ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由(2024.12.04)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- ドイツを消滅させたいと願うEU精神病院院長(2024.12.01)
« 特殊作戦プロパガンダ屋連中をウクライナに戻そうと望んでいる国防総省 | トップページ | 戦争で敗北したのを認め出口を模索する「欧米」 »
コメント