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2023年2月 3日 (金)

ロシアを反撃する気にさせつつある欧米

2023年1月26日
ケイトリン・ジョンストン

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 ウクライナへの戦車供与に関する議論で核兵器による皆殺し戦争屋連中が勝ったので、今やF-16供与に賛成し始める頃合いだ。

 「戦車供給を確保した後ウクライナは戦闘機に照準を合わせている」という題の記事でロイターは下記のように報じている。


 水曜日「主力戦車供給を確保した後、ウクライナは今アメリカのF-16のような欧米の第4世代戦闘機を要求するとウクライナ防衛大臣顧問が述べた。

 水曜日この問題に関する何週間もの外交的行き詰まりを終わらせてドイツがキーウに重戦車を提供する計画を発表し、ウクライナは軍の本格的強化を手に入れた。アメリカも同様発表をする用意ができている。

 この良いニュースに合わせ、ウクライナへの輸出が必要ならこの巨大武器製造企業はF-16生産を増やす準備万端だとロッキード・マーティンが発表した。

 「ロッキード・マーティンはアメリカと同盟諸国がウクライナに出荷すると決めれば、F-16戦闘機への要求を満たす用意ができていると述べた」とAntiwarのデイブ・デキャンプが報じている。「これまでのところアメリカと同盟諸国はそれらがロシア領域に標的を定めるため使われるかねないという懸念のため戦闘機をウクライナに送るのをためらっていた。だがアメリカとドイツが今主力戦車を送ると誓約した以上、欧米列強はエスカレーションに対する懸念を益々弱めているように思われる。」

 

 ニューヨーク・タイムズが「バイデンが、いかにいやいやながら戦車をウクライナに送るのに同意したか」という題、副題「この決定はヨーロッパからの重火器の流れの扉を開けアメリカとNATO同盟諸国をロシアとの直接対立に一層近く徐々に動かした」という新記事を掲載した。デイビッド・E・サンジャー、エリック・シュミットとエレーヌ・クーパーが著者だ。


 水曜日のM1 エイブラムス戦車をウクライナに送るというバイデン大統領発表はヨーロッパの重火器の流れの扉を開く唯一の方法はアメリカが戦車を送ることだと強く主張したドイツ首相や他のヨーロッパ指導者との何週間もの緊迫した裏ルート交渉の結果だ。

 どんなに気が進まないものであろうと彼の決定は今やドイツ製レオパルト2戦車をいくつかのヨーロッパ諸国が提供し2ヶ月か3ヶ月でウクライナに送付する道を開いた。今ウォロディミル・ゼレンスキー大統領がロシアに占領された領域の奪還を計画している春の攻勢で決定的相違をもたらすかどうかは不明だが、これは一連の緩やかなエスカレーションの最新のもので、アメリカとNATO同盟諸国をロシアとの直接対立に一層近く動かした。

 ニューヨーク・タイムズの帝国近視あほうさえ欧米勢力が侵略を非常に危険な方向に拡大させていると認めている今、人々はおそらく正座して注意を払うべきだ。

 Responsible Statecraftの最近の「ミッション・クリープ? ウクライナにおけるアメリカの役割はいかに徐々にエスカレートしたか」という題の記事で、アメリカ帝国が戦争タカ派とウクライナ当局者の余りに規模拡大的で核保有超大国間の熱い戦争を招くのを恐れて以前は供給を思いとどまっていた兵器までの要請に繰り返し何度も屈して「武器移転に関し自身が課した限界を連続的に吹き飛ばした」方法をブランコ・マーセティックが概説している。ロシア・インフラ破壊工作作戦を実行するNATO諜報機関のような以前は考えられない侵略が今や受け入れられ、前の作戦が実行されるや否や更に多くのエスカレーションが要求されることをマーセティックは書いている。

 

 記事の終りにより多くの注目が必要な非常に重要な点をマーセティックは強調している。欧米同盟は前回のエスカレーションにロシアが強力に反撃しない場合には絶えず拡大する政策を確立したのはロシアを積極的に反撃する気にさせていることを意味するのだ。

 「ウクライナ軍への支援を拡大させることで、アメリカとNATOはモスクワが超えてはならない一線の重大性を示すべく劇的に攻撃的な措置をとる誘因を作っている」とマーセティックは書いている。「これは最善の場合でも危険だが、ロシア当局が益々戦争を単にウクライナだけでなくNATO全体に対するものと益々 見なすと明らかにしており、連合の兵器送付エスカレーションに核反撃で恫喝しているのだから時に危険だ。」

 モスクワは拡大する武器移転は受け入れられず、より広範な戦争を意味しかねないと言い続けている。アメリカ当局者はモスクワがそれらの脅威に対し行動しなかったから彼らは自由にエスカレートできると言う。ロシアは超えてはならない一線に本気なのを示すため拡大しなければならない」と事実上言われているのだとマーセティックはTwitterで補足した

 この動的関係の最近の好例はバイデン政権がウクライナによるクリミア半島攻撃の支持を考えているという最近の「ニューヨーク・タイムズ」報道で、それはこの紛争を最も核戦争に至らせかねない方法の一つだと多くの専門家が同意している。バイデン政権はロシアは規模を拡大した攻勢で反撃することはありそうもないと評価しているが、その評価の基盤はロシアはまだそれほど反撃していないという事実以外何ものでもない。

 「クリミア半島はクレムリンの大規模エスカレーションなしで既に何度も攻撃された」とタイムズはシンクタンクのランド社研究員がバイデン政権の考えに関する説明でクリミア半島攻撃を支持してもお咎め無しで済むと言ったのを引用している。だがデイブ・デキャンプが当時説明した通り、それは本当ではない。ロシアはそれまでしていなかった形でウクライナの重要インフラに標的を定め始め、クリミア半島攻撃に応えて攻勢を大規模拡大した。

 だからロシアは実際クリミア半島攻撃に応えて攻勢を強化しているのだ。NATO勢に対して攻撃を拡大していなかっただけなのだ。ウクライナ人だけ傷つける形でロシアがエスカレートする限り、アメリカに中央集権化した権力構造は、それを本物のエスカレーションと見なさない。モスクワにとって極めて重要なメッセージは彼らがNATO自身を攻撃するまで、彼らは益々激しく締め付けられるということだ。

 もちろんそれで事態を段階的に緩和することもあるまい。それは最大限利用され、プーチンがまったくいわれなく自由世界を攻撃している無謀な狂人で、たとえそれが核アルマゲドンの危険を冒すことを意味するにせよ、どんな犠牲を払っても止めなければならない証拠として歪曲されるだろう。ロシアはもちろんこの明白な現実を知っているはずで、ロシアがワナにかかる唯一の方法は、反撃しない痛みが反撃する痛みより大きいと見なされるまで至るか否かだ。だが行動で判断する限りそこまでロシアを押しやる帝国の決意は固いように思える。

 ロシアに対する段階的縮小や緊張緩和が公的論議からすっかり消えているのは実に不気味だ。人々がそれが選択肢だと知っているようには全く思えない。唯一の選択肢は核による瀬戸際外交を絶えず拡大させることで、他の何であれ宥和策だと彼らは本気で考えている。帝国プロパガンダ機関に吹き込まれるメッセージなので人々はそう考えており、実際それは帝国の本当の立場なのだ

 政治評論に公的に関わって以来増大する核アルマゲドンのリスクを長年警告してきたが声を限りに叫んできた方向に年々益々近づく中、人々は終始私をヒステリックなばか者やらプーチンの傀儡と呼んでいる。今やリスクは我々に直接せまっている。手遅れになる前に人々が事態を変えるよう私は大いに願っている。

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 画像はアメリカアメリカ国立公文書記録管理局より。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2023/01/26/the-west-is-incentivizing-russia-to-hit-back/

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