民主党は今や戦争党
民主党は永久戦争の党になり、国を内部から空洞化して、核戦争に夢中になって巨額軍事費を煽っている。
クリス・ヘッジズ
2022年12月26日
民主党の暗い面-フィッシュ画
民主党は自分たちを美徳の党と位置付けており、ゴ・ディン・ジエム大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と同じくらいもてはやされた朝鮮やベトナムにまでさかのぼる戦争産業への支援を道徳的な言葉で覆い隠している。彼らが支援し資金提供する全ての戦争は「良い」戦争なのだ。彼らが戦う全ての敵、最新の相手はロシアのウラジーミル・プーチンと中国の習近平だが、悪の化身なのだ。議会で演説した際ゼレンスキーの背後で署名されたウクライナ戦闘旗を掲げるナンシー・ペロシ下院議長とカマラ・ハリス副大統領の写真は、戦争機構への民主党の卑劣な服従のもう一つの例だった。
民主党は特にビル・クリントン大統領以来アメリカ大企業だけでなく兵器製造業者やペンタゴンの宣伝担当になった。高すぎる兵器システムはない。戦争はいくら悲惨でも資金供給されないことはない。バイデン政権が要求したものを450億ドル上回り今年度割り当てられた8,580億ドルの軍事費を含め、多すぎる軍事予算はないのだ。
歴史家のアーノルド・トインビーは帝国の致命的病気として抑制されない軍国主義をあげ、最終的には自殺すると主張した。
かつては戦争産業に疑問を呈して立ち向かった民主党員たちがいた。上院議員J.ウィリアム・フルブライト、ジョージ・マクガヴァン、ジーン・マッカーシー、マイク・グラベル、ウィリアム・プロクスマイア、下院議員デニス・クシニッチ。しかし、その反対は反戦運動とともに蒸発した。最近党の革新議員団30人がバイデンにプーチンと交渉するよう呼びかけた際、彼らは党指導部と戦争挑発メディアに書簡撤回を余儀なくされた。アレクサンドリア・オカシオ・コルテスを除いてウクライナに送られた数十億ドルの兵器や肥大化した軍事予算に反対票を投じていない。ラシダ・トライブは賛成票を投じた。
ウクライナでの戦争への永続的資金提供に対する反対は、主に共和党、上院11人、下院57人と、マージョリー・テイラー・グリーンのような常軌を逸した陰謀論者のものだ。政府閉鎖を防ぐために必要な1.7兆ドルの支出法案、これは軍への8,470億ドルの承認を含む軍事委員会の管轄下にない資金を考慮に入れると、合計8,580億ドルに膨らむが、それ支持して民主党に加わった下院共和党員はわずか9人だった。上院では29人の共和党員が支出法案に反対した。下院議会革新議員団のほぼ100人のメンバー全員を含む民主党員は、終わりのない戦争を忠実に支持した。
戦争へのこの欲望は危険で、私たちをロシアとの戦争の可能性、おそらくその後、それぞれ核保有国である中国との戦争可能性に追いやっている。経済的にも破滅的だ。軍による資本独占はアメリカの債務を30兆ドル以上に押し上げ、アメリカGDP24兆ドルを6兆ドル上回っている。この債務返済には年間3,000億ドル費用がかかる。私たちは中国やロシアを含む続く9か国を合わせたより多くの軍事費を費やしている。議会はウクライナに再補給するため、既に拡大された年間予算を超えて国防総省に追加の217億ドルを与える予定だ。
「しかし、これら契約は大きな新しい防衛強化となりつつある氷山の一角にすぎない」とニューヨークタイムズは報じた。「来年の軍事費は、2008年から2011年までのイラク戦争とアフガニスタン戦争の費用のピーク以来、インフレ調整後のベースで最高レベルに達し、第二次世界大戦以来2番目に高いインフレ調整後ベースで最高レベルに達する予定だ。これは以下の10最大省庁予算を合計したレベルを超える。」
クリントン政権下で企業献金者に積極的に言い寄った民主党は軍需産業に挑戦する意思を放棄した。
「民主党が決定を下してすぐ、35年か40年前、彼らは企業献金を受け取るつもりだった可能性があり、それは両党間の違いを無くした」とデニス・クシニッチはリアル・ニュース・ネットワーク番組で彼にインタビューした際私に言った。「ワシントンでは金を出す者に決定権がある。それが起きたことだ。戦争に関しては両党にさほど大きな差はない。」
1970年の著書「ペンタゴン・プロパガンダ・マシン」でフルブライトはペンタゴンと武器産業が、広報キャンペーン、国防総省の映画、ハリウッド支配、商業メディア支配を通じて世論形成に何百万ドルも注ぎ込む様子を説明している。ケーブルニュースの軍事評論家は普遍的に元軍や諜報機関の役人で、防衛産業の役員になったり、コンサルタントとして働いたりするが、その事実を一般に公開することはめったにない。NBCニュースの元4つ星陸軍大将兼軍事評論家であるバリーR.マキャフリーは軍需販売およびプロジェクト管理企業であるディフェンス・ソリューションズの従業員でもあった。彼はこれら戦争宣伝屋の大半と同様、兵器システム販売とイラクとアフガニスタンでの戦争拡大で個人的利益を得た。
ペンタゴン予算に関するあらゆる議会投票の前夜、軍需産業に関連する企業ロビイストが議員やスタッフと会い、地区や州の雇用を保護する予算に投票するように促す。この圧力は戦争資金の浪費に反対するのは愛国心がないというメディアが増幅する呪文と相まって選出された議員を束縛し続けている。これら政治家は彼らの選挙運動に資金提供する武器メーカーからの贅沢な寄付に依存しているのだ。
シーモア・メルマンは著書「ペンタゴン資本主義」で、軍事化された社会が国内経済を破壊する様子を立証した。兵器システムの研究開発には数十億ドル費やされているが、再生可能エネルギー技術は衰退している。大学は軍事関連助成金で溢れかえっているが、環境研究や人文科学のための資金を見つけるのに苦労している。橋や道路、堤防、鉄道、港湾、電力網、下水処理場、飲料水インフラは構造的に不足しており老朽化している。学校は荒廃しており十分な教師や職員が不足している。コロナ流行を食い止められずに営利目的の医療業界は保険に加入している家庭を含め家庭を破産に追い込んでいる。国内製造業は特に中国、ベトナム、メキシコ、その他の国々への雇用海外移転により崩壊している。家庭は個人的借金に溺れており、アメリカ人の63%が給料でぎりぎりの生活をしている。貧しい人々、精神障害者、病人、失業者は見捨てられる。
「恒久戦争経済」という用語を作り出したメルマンは第二次世界大戦の終結以来、連邦政府は裁量予算の半分以上を過去、現在、将来の軍事作戦に費やしてきたと述べた。これは政府唯一最大の維持活動だ。軍産複合体は裕福な大企業福祉に過ぎない。軍事システムは生産前に販売される。軍需産業は莫大な経費超過を連邦政府に請求することが認められている。莫大な利益が保証されているのだ。例えば今年11月陸軍はウクライナに送られた兵器を拡張または補充するためのミサイルシステム提供で8月に契約した1億9000万ドル以上に加えレイセオン・テクノロジーズだけで20億ドル以上の契約をした。他の大半の事業市場が落ち込んでいるにもかかわらずロッキードとノースロップグラマンの株価は今年36%と50%以上上昇した。
警察やFBIに監視や顔認識ソフトウェアを提供しているアマゾンを含むハイテク巨人は、恒久戦争経済に吸収されている。アマゾン、グーグル、マイクロソフト、オラクルは、Joint Warfighting Cloud Capabilityの数十億ドル規模のクラウドコンピューティング契約を獲得し、2028年半ばまで「戦略レベルから戦術的なものまで全ての安全保障分野と分類レベルでグローバルに利用可能なクラウドサービス」を軍に提供するためペンタゴンの契約で90億ドル得る資格を与えられている。
1948年の建国以来1500億ドル以上の二国間援助を受けているイスラエルのような国や、1978年以来800億ドル以上を受け取っているエジプトなどの国々に対外援助が与えられている。この援助は、外国政府がアメリカから兵器を購入するために必要なものだ。こうしたアメリカ資金は、兵器の研究開発、製造や、外国政府向けの購入のためのものだ。そのような循環システムは自由市場経済という考えをばかにしている。これら兵器はすぐ時代遅れになり、通常更新され、より高価な兵器システムに置き換えられる。経済的な意味で行き詰まりだ。それは恒久的戦争経済を支えるだけだ。
「我々は貪欲、利益への欲望に駆り立てられた高度に軍事化された社会にいて、それを煽り続けるため戦争が生み出されているというのが真実だ」とクシニッチは私に言った。
2014年、ウクライでナネオナチを含むロシアに敵対的な政府を据えるクーデターをアメリカは支援した。クーデターでウクライナ東部のドンバスでロシア人が国から離脱しようとして内戦が起き、今年2月ロシア侵攻前、14,000人以上が殺され、150,000人近くが避難していた。スイス諜報機関でも働いていた元NATO安全保障顧問ジャック・ボーによれば、ロシアのウクライナ侵攻はドンバスに対するウクライナ戦争の激化によって引き起こされた。それは翌年のロシア侵略を回避した可能性がある2021年後半にクレムリンが送った提案をバイデン政権が拒否した後のことだ。
この侵略はアメリカとEUによるロシア制裁の広範な拡大をもたらしたが、それはヨーロッパに跳ね返った。ロシア石油とガスの出荷の急激な削減でインフレがヨーロッパを荒廃させる。特にドイツで産業が活動不能になった。ヨーロッパのほとんどが不足や価格高騰する悲惨な冬だ。
「この全てが西欧の面前で爆発している」とクシニッチは警告した。「ロシアにアジアやブラジル、インド、中国、南アフリカ、サウジアラビアに軸足を移すよう我々が強いたのだ。全く新しい世界が形成されつつある。きっかけはウクライナに関する誤った判断と、ほとんどの人が気づいていない2014年のウクライナを支配しようとする取り組みだった。」
戦争が主要業務の民主党に反対しないことでリベラル派はフョードル・ドストエフスキーの『地下生活者の手記』にある不毛で敗北した夢想家になっている。
元囚人のドストエフスキーは悪を恐れなかった。悪に立ち向かう道徳的な不屈の精神をもはや持たない社会を彼は恐れていた。そして戦争は、私の最新刊から引用するが最大の悪だ。
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記事原文のurl:https://chrishedges.substack.com/p/the-democrats-are-now-the-war-party
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