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2022年12月21日 (水)

イエメン虐殺を終わらせる上院決議を潰したバイデン

2022年12月14日
ケイトリン・ジョンストン

この記事を英語音声で聞く。

 大統領に拒否権を行使するようホワイトハウス側近連中が勧めているとされバイデン政権が決議を潰そうとしているという報道の後、サウジアラビアの対イエメン戦争へのアメリカ支援を終了する法案をバーニー・サンダースが撤回した。

 Antiwarのデイブ・デキャンプは次のように報じている


 火曜夜バーニー・サンダース上院議員(無所属 バーモント州選出)は法案に対するホワイトハウスの反対を理由に、サウジアラビア主導の戦争とイエメン封鎖に対するアメリカの支援を終わらせるはずのイエメン戦争権限法に投票する要求を撤回した。

 予定されている投票前に、法案に対しバイデン大統領が決議に拒否権を行使するという政権の反対を知らされたとサンダースは上院議場で述べた。インターセプトは当日早い段階で、ホワイトハウスが上院議員に法案に反対票を投じるよう圧力をかけていると報じ、火曜日の早い段階で民主党はアレックス・パディラ上院議員(民主党-カリフォルニア州選出)を含めサンダースの決議に反対した。

 投票を行わない理由として、イエメンでの戦争を終わらせるため政権が議会と協力すると主張したとサンダースは正当化した。ホワイトハウスは「相互が受け入れられる文章を作成するため私たちと協力したがっている」と彼は述べ、そうならなければ決議を通じて戦争を終わらせる努力を再開すると主張した。

 しかしホワイトハウスが本当にこの問題で議会と関わりたいと思っているとしても、あるいはサンダースが決議を再提出することにした場合でも、計画にはイエメン人にはその余裕がない時間がかかる。イエメンでは暴力が止まり、3月以降サウジアラビア空爆はなかったが、最近地上での戦闘が増加している。

 

 バイデンはイエメンに平和をもたらし、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子を「のけ者」にするという公約で選挙運動し、その後、両政府の継続的な親密さを調整する会議に先立ち、友好的グータッチで皇太子と挨拶し、この政権がこの戦争を終わらせる意図について首尾一貫してウソをついていることもおそらく注目に値する。

 「本日イエメンでの戦争を終わらせるため私の事務所と協力し続けることにバイデン政権が同意した後、アメリカ上院による戦争権限決議の検討を私は撤回する」とサンダースはツイッターで述べた。「はっきりさせておきたい。合意に至らなければ同僚とともに、この決議を近い将来の投票に再提出し、この恐ろしい紛争を終わらせるため可能な限りのことをする。」

 「その時共和党支配下の下院はあなたの努力を阻止するだろう」と元下院議員ジャスティン・アマッシュは答えた。「だがあなたは既ににそれを知っている。バイデン政権と同様に。それが彼の党が現在支配しているため大統領にあらゆる圧力がかかっている今、この共同決議を提出してほしくない理由なのだ。」

 「私が認めるのは、共和党、民主党政府のいずれも戦争中毒であることだ」とアマッシュは付け加えた。「彼らはゲームをしているのだ。トランプが大統領だった時は全員が彼がイエメン共同決議に署名しないと知っていたのでそれは議会を通過した。バイデンはそれに署名するふりをしなければならないので、それを阻止するため議会が必要なのだ。」

 実際、イエメンの戦争は、結果を立法府に委ねるには余りに重要だという決定がなされたようだ。アメリカと同盟諸国がサウジアラビア軍の攻撃支援をやめれば戦争で荒廃した国での大規模残虐行為は終わらせることを余儀なくされ、バイデンは大統領就任初日にそうできたはずだと専門家は
長い間認めてきたが、Voxのアレックス・ワードが昨年述べた通り「そうすれば主要地域パートナーとしてのリヤドを失うリスクがある」。サウジアラビアはアメリカの化石燃料権益とイランとの戦いの両方で重要な役割を果たしており、明らかにワシントンが放棄したくない地政学的資産なのだ。

 だから今私たちは(A)地球上最悪の大規模残虐行為が、サンダースの法案が可決された場合より遙かに長期間続くか(B)決議の骨抜き版を得られるかという最良シナリオを見ているのだ。そしてもちろん、これのどちらも起こらずに、全く衰えることなく虐殺が予見可能な将来まで続く他のシナリオがある。

 

 投票に先立ちインターセプトのダニエル・ボガスロウとライアン・グリムは決議を弱体化させるホワイトハウスのペテンについて報じた。法案に関する彼らの更新記事には現在次のように書いてある。


 決議をめぐる戦いに関与した情報筋によると、ホワイトハウスは上院議員に決議に反対票を投じるよう促している。ホワイトハウスは停戦失効にもかかわらず、重大な敵対行為がまだ再開されておらず、投票が外交を複雑にするため賛成票は不要だと主張している。また彼らはバイデンが暴力を減らし港や空港を再開する上で大きな進歩を遂げたので彼の判断は尊重され、決議は拒否されるべきだと主張している。最後に、ホワイトハウスは行われている議論の一部はロシアとの戦争でウクライナを支援する努力を複雑にする可能性があると警告した。コメント要請にホワイトハウス報道官はすぐには応じなかった。

 だからイエメンでの戦争を終わらせる取り組みは対ロシア・アメリカ代理戦争を複雑にするかもしれないので妨害する必要があったのだろうか? それは、えー興味深い論理だ。

 法案で「複雑になる」ようなバイデン政権外交などなかったと2015年までイエメン特使を務めた元国連事務次長ジャマル・ベノマールはインターセプトのケン・クリッペンスタインに語っていた。

 「外交上の進展は皆無だった」と彼はインターセプトに語った。「政治プロセスも交渉も、その可能性さえもなかった。したがって全面戦争はいつでも再開しかねない。」

 「悪」以外にこれら全てを説明する言葉を考えるのは困難だ。子どもの継続的大量飢餓や民間人の大量軍事虐殺を確実にする介入が悪でなければ、あらゆることが悪ではなくなる。実際、これ以上邪悪なものを考えることは困難だ。

 

 これは三党派の犯罪と呼ぶことが可能で、民主党、共和党、無所属のサンダース全員がイエメンでの戦争を確実に継続させる役割を果たしている。戦争におけるアメリカの役割の最も強力な批判者の一人であるリバタリアンのスコット・ホートンは、反介入主義とされる共和党が、この面でたいしたことをしないことに厳しい言葉を述べている。

 「私はランド・ポールを非難する」とホートンはTwitterで書いた。「彼は上院の若いロンであり、もっと騒ぐべきだ。彼はずっとこの決議を支持していた可能性がある。彼が戦争について知っていることを私たちは知っている。彼こそが私たちがバーニー・サンダースと彼の友人に頼らなければならなかった理由だ。マイク・リーも。上院には共和党員の共同提案者は一人もいなかった。一人も。」

 果てしない暴力とその脅威でまとまっている帝国のハブとして機能する国では、どの政党であれ一定程度権力を握った人は誰であれ、一定程度大量軍事虐殺のしもべでなければならないと言って過言ではない。だからこそイエメンを救う取り組みは妨害され続け、戦争を終わらせるというバイデンの約束はウソとわかり、アメリカ戦争機械が拡大し続ける理由で、ロシアと中国に対する攻撃が激化し続けている理由で、人類が恐竜の道を進んだ理由になるかも知れないのだ。

 全てが間もなく変わるよう願うばかりだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2022/12/14/biden-kills-senate-resolution-to-end-yemen-genocide/

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  中村敦夫著『狙われた羊』 を読了。統一協会が話題。最初の刊行は30年前。今の状況にあわせて再刊。読み始めたら止まらなかった。

 ウクライナのロシア攻撃、標的情報NATO、アメリカ衛星から提供されるのだろう。ミサイルや砲弾はアメリカ製?
 日本もそうなるだろう。そしてはりネズミに。
 霊感商法協会は時間系列で、七代の先祖を使う恫喝、壺などで大金をまきあげる。
 宗主国軍産複合体は地理的に隣国と不仲にさせておいて、ポンコツミサイルを押しつける。
 巻き上げる金額も年数も協会とは桁違いなのに国民大半が宗主教徒。喜んで献金。

 東京新聞朝刊 三面

「特定の国 念頭にない」
防衛相 使用ミサイル明かさず

安保政策大転換
私はこう考える

共産党政策委員長
田村智子氏

不安あおり軍拡 戦前と同じ

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

新型コロナは一部の感染者は「PASC」と呼ばれる長期にわたる後遺症に悩まされる。感染後に脳組織で増殖し最大230日間も体内に残り続けるという研究結果が発表される、Nature掲載論評の紹介。

 日刊IWJガイド

「アベノミクスの異次元金融緩和が終わりに!? 日銀が長期金利0.5%利上げ! しかし日銀黒田総裁は『利上げではない』と強調!!」

はじめに~アベノミクスの異次元金融緩和がついに終わりに!? 日銀黒田東彦総裁、金融政策決定会合後の会見で長期金利の変動許容幅拡大について「金融緩和措置は維持」「政策金利は現在の水準またはそれを下回ることを想定」「利上げではない」と繰り返し強調!! アベノミクスの終わりなのか、継続なのか、どちらが本当なのか!? 混乱を招く黒田総裁発言をエコノミスト・田代秀敏氏が読み解く!

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