中国とドイツの関係はアメリカ戦略計画をどのように傷つけるか
2022年12月6日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook
11月初旬ドイツのオラフ・ショルツ首相が中国を訪問した際、大西洋横断同盟に衝撃波が走った。この訪問は中国は敵だとNATO宣言してからわずか数か月後に行われた。この訪問の重要性には、オラフがCOVID-19大流行が3年前に始まって以来中国を訪問したG7唯一の指導者である事実もある。今回の訪問で二国間関係を推進する両国の決意が再確認された。貿易以外で、共同声明は核兵器使用を避ける重要性も強調した。ウクライナで進行中のロシアの特別軍事作戦を背景にしたこの声明はオラフ訪問の主目的がヨーロッパでの紛争を管理し、受け入れ可能な解決策を見出す上でより積極的な役割を果たすよう中国を説得することだったことを示している。オラフは北京の外交的支援を得ることに確実に失敗していない。同時にオラフは台湾の地位の変化は平和的でなければならないことも中国と話し合えた。この共同声明をする上で中国は何も失わなかった。実際中国とヨーロッパ最大の経済との間の貿易の保証を保証した可能性がある。
訪問以来。ドイツ当局はドイツは中国との事業を継続すると強調している。中国への「過度の依存」に関するアメリカ・メディアの質問に答えて、ドイツのロベルト・ハーベック経済相は我々は「愚かではない」と述べた。彼らは愚かではないからアメリカの反対や警告にもかかわらずオラフが中国との貿易関係を拡大するためドイツの主要実業家を同行させたのだ。彼らが「愚かではない」ことは彼らがアメリカの政策にも満足していない理由だ。
言い換えれば、アメリカは将来台湾をめぐって中国と紛争を引き起こすことを計画しているが、ドイツの中国国内と中国への関心の高まりは、この計画を損なう傾向がある。なぜドイツがこれをしているのかというのが重要な疑問だ。NATO拡大というアメリカ政治に彼らがどのように代償を払ったかドイツ人は知っている。ドイツの経済成長は何十年もの間ロシアの安価なガスの円滑な供給に依存していた。ウクライナでの紛争は、その供給を停止する不可避の条件を作り出した。だが同じ紛争は、アメリカがドイツ(および他のヨーロッパ諸国)にガスを販売し、それから莫大な利益を得る条件も生み出した。ドイツ人は「愚かではない」。アメリカ・ガスとアメリカ政策支援のために支払っている代償を彼らは知っている。
失われたロシア・ガスによる穴を埋めるため、ドイツはアメリカからの高価なガス購入を余儀なくされている。アメリカが法外な価格を請求しているのをドイツ人は知っている。いくつかの報道が示している通りアメリカは国内価格の3-4倍の価格でヨーロッパに販売している。ドイツ・メディア報道が示す通り今年ドイツ人は昨年より173%以上高いガス料金を支払っている。「大西洋横断の団結」のおかげだ(それが何を意味するにせよ!)
高価なガスの結果ドイツ経済は復活していない。実際ドイツ当局は、ドイツ経済は2023年に0.2%縮小すると確認した。ロシアとウクライナの紛争の最初の衝撃のためインフレは増加したが、アメリカが供給開始した後もそれはまったく下がっていない。エネルギー価格高騰が続いているため経済成長に意味ある影響はなかった。ワシントンの慈悲深いエネルギーの罠のおかげでインフレ率は今後数年間約8%にとどまる可能性がある。
アメリカとの同盟はバイデンが大西洋横断団結で約束した恩恵をもたらしていないため、ドイツは経済を救い復活させる別の手段として中国との貿易関係を復活させ拡大することを決めた。ドイツ人は「愚かではない」。彼らは大西洋横断団結に関するアメリカ路線を無条件に踏襲しても決して報われないことを理解している。彼らはこれがドイツに対する罠であることを理解している。実際この団結という考えへの固執は、ドイツ人が知っている通り、「ソ連を締め出し、アメリカを入れ、ドイツを押さえつける」政治だと明快にNATO同盟最初の(イギリス人)事務総長イスメイ卿が言った意味のままなのだ。
だから中国との経済関係を発展させることはベルリンにとって道理にかなっているし、ドイツのトップ実業家を習近平に会わせることはアメリカとの「団結」の限界から抜け出そうと懸命に努めているオラフにとっても理にかなっている。したがって昨年2450億ユーロ以上に達した貿易関係を拡大するため、オラフは製薬会社のメルク、エンジニアリング大手のシーメンス、ヨーロッパ最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンのCEOを含むドイツ優良企業のCEOを中国に同行させたのだ。
一方アメリカは拡大するドイツの貿易関係がドイツを中国に「依存」させる可能性があると考えている。アメリカ自身「依存」の問題を決してとがめられず中国と多くの貿易を行っていることを考えると、これは奇妙な議論だ。アメリカは中国の最重要市場であり、2022年10月のアメリカ黒字は852億ドルだ。これと比較すると中国の対独貿易黒字はほぼ半分(2022年9月は410億ドル)だ。
これら数字はドイツ企業にとって理にかなっている。彼らの多くはドイツには「中国問題」がないと考えている。例えば化学企業BASFのCEOマーティン・ブルーダーミュラーは「中国バッシング」は止めなければならないと述べた。彼の言葉を引用すると「全体として我々は(中国への)関与を拡大することが有利だという結論に達した」。
彼の考えはオラフ自身に最も明確に示されているドイツの幅広い政治意見に支持されている。オラフはポリティコ論説で書きアメリカ聴衆に説明した通り世界は中国との新たな冷戦を必要としないと考えている。この考えは台湾周辺で遅かれ早かれ中国と対峙するというアメリカ計画を直接損なう。この考えは半導体マイクロチップ輸出禁止で中国の経済成長を危うくするアメリカ計画を直接弱体化させる。オラフは中国は益々多極化する世界における重要な中心だと述べた。だから中国を切り離すのは無意味だ。
オラフはこの中国訪問に関してヨーロッパや大西洋対岸のドイツの友人と調整したと述べたが、ドイツはいわゆる依存を減らし双方に有益な形で関係を最適化する方法で中国とバランスの取れた関係を発展させる計画を持っていることを論説で明らかにしている。しかしこの最適化は中国とヨーロッパ間にくさびを打ち、最重要な国としてアメリカに取って代わる世界的ライバルの能力を弱体化させるアメリカの関心には役に立たない。
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/12/06/how-china-germany-ties-hurt-us-strategic-plans/
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尊敬に値する自民党政治家もおられた。昔は。
東京新聞朝刊 総合面
岸田政権の敵基地攻撃能力保有
自民・古賀元幹事長に聞く
専守防衛を完全に逸脱
宗主国の走狗連中が怪説する属国大本営広報部のウクライナ関連洗脳呆導一切見ない。英語youtubeは見る。例えば
Dr Michael Vlahos interviews Col. Douglas Macgregor (MUST SEE!)
昨日のIWJ岩上氏の孫崎氏インタビュー興味深く拝聴した。孫崎氏は日本は今のウクライナのようになりかねないと指摘しておられる。
IWJの経済的苦境を聞くたびに2013年7月12日に公開した翻訳記事を思い出す。隠蔽エンジンであるGoogleやYahooでは見つからない。DuckDuckGoで検索すると翻訳記事そのものは見つからないがコピーされた方々のものをみつけることができる。該当部分を複写しておこう。
ロバート・マクチェズニー『資本主義がインターネットを民主主義の敵にする』について語る
この国は途方もない人数の有能な人があふれています。この国は有能な人に満ちています。ここで不足しているのは、彼らを支える資金です。素晴らしいメディアの仕事をしている沢山の人々がいる事実は嬉しいことですが、彼らがきちんと食べられるようになって欲しいと思います。家族を持てるようになって欲しいものです。彼らの頭上には屋根があって欲しいですし、昼間の別の仕事や家事の残り時間で、ジャナーリズム活動をするというようなことを無くしたいものです。子供達を寝かせ着けた後、家を掃除し、会社での仕事に行くべく目覚めるよう床につく前、夜11:00に作業する人々が、報道や文化を担っていては、自由な社会は築けません。資金の保障がなければいけません。我々に必要な良いもの、文化、ジャーナリズムを生み出すことが出来る人々が、まともな報酬を得られるようにすべきです。
非営利、商業目的でないメディアに流れる資金を大幅に増強する方法を考えるよう提案しています。国民に、いわばニュース・バウチャーとでも呼ぶものを配布し、国民は各自、その200ドルを、任意の非営利や商業目的でないメディアに払える制度です。連邦政府は資金を出しますが、誰がそれを得るかについては全く支配できなくするのです。そこで、国民は、そのお金をこの番組にくれるわけです。百万人の人々が、200ドルずつ出してくれたら、何か出来そうですね、
実際に、例えば、デンバーで、コミュニティー集団があって、ニュース報道をしたいと思っているとします。新聞による地元の報道には満足していないのです。近隣で、2,000人の人々が渡してくれるバウチャーを得られたらどうなるでしょう? すると突然、400,000ドル得られることになります。地元の事情をしっかり報道するための人を雇うことができるようになります。それを毎年やって行けば、次第に実績ができます。良い意味で、極めて健全な競争になるでしょう。商業的な競争ではないでしょうが、人々の信頼を勝ち取るためできうる最善の仕事をする競争になります。それがこの種の問題を解決する方法だろうと思います。
「ウクライナ紛争が勃発! 統一教会問題が再燃! 激動の2022年を振り返る! 岩上安身の元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビュー!」2022.12.16号
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