全てを説明する一つの図
2022年11月3日
マイク・ホィットニー
Unz Review
上の図をご覧願いたい。この図が全てを説明している。
なぜワシントンが中国の爆発的成長についてそれほど心配しているのかを説明している。なぜアメリカが台湾と南シナ海の問題に関して中国に怒鳴りつけ続けるかを説明している。なぜワシントンが北京の明示的要請を無視して下院議員派遣団を台湾に送ったかを説明している。なぜ国防総省がアメリカ軍艦を台湾海峡を航行させ、台北に極めて大量の致命的兵器を送り続けているかを説明している。なぜバイデン政権が中国企業に厄介な経済制裁を課し、いるかを説明している「電子製品から輸送から設計から生産まで現代社会のほとんどあらゆる部門の商品に不可欠な」極めて重要なハイテク半導体を禁止して中国に対する貿易戦争を強化しているのかを説明している。なぜアメリカ国家安全保障戦略(NSS)「国際秩序を作り直す能力と意志の両方を持った唯一の競争相手」として中国が名指しされたかを説明している。なぜ今ワシントンが中国を孤立させ、悪者にし、打倒しなければならない最大で最も手ごわい戦略敵と見なしているかを説明している。
上の図は中国の信用を失墜させ恥をかかせるよう意図される敵対的な外交挑発だけでなく、ロシアも狙った公然の闘争的政策も全て説明している。人々はこれを理解する必要がある。様々な出来事を適切な地政学的文脈で見られるよう一体何が起きているか理解する必要がある。
それは一体どんな「文脈」か?
第三次世界大戦という文脈。徹底的に計画され、起こされ、今やワシントンとワシントンの代理人によって実行されている戦争だ。それが本当に起きていることだ。我々がウクライナやアジアで突然生じるのを目にしている益々猛烈な大火は「ロシア侵略」や「邪悪なプーチン」の結果ではない。違う。それらは中国の流星のような躍進を潰し、世界秩序におけるアメリカの最有力な立場を維持するための邪悪な地政学戦略の実現だ。それについて疑問があり得るだろうか?
いや。ない。
これがお互いに戦うブロックへという世界の再編成を我々が経験している理由だ。これがグローバリゼーションの30年の後退と大規模サプライチェーン崩壊を目にしている理由だ。これがヨーロッパが凍てつく暗闇と強制的産業空洞化に頭から突入させられた理由だ。これら全ての自殺的政策は世界におけるアメリカの高貴な地位を維持するというたった一つの目的で仕組まれたのだ。それが全人類が現在第三次世界大戦に巻き込まれている理由だ。中国が世界最大の経済になるのを阻止するよう意図された戦争だ。アメリカのグローバル優位を維持するよう意図された戦争だ。世界社会主義者ウェブサイトの記事の抜粋を調べてみよう。
10月19日の「中国封じこめはバイデンの明示的な目標だ」という題のエドワード・ルースによるファイナンシャル・タイムズ記事が下記警報を鳴らした。超大国が大国に対する戦争を宣言したが誰も気付かなかったと想像願いたい。ジョー・バイデンは今月中国に対しその勃興を止めるとアメリカが誓約する全面的経済戦争を開始したが大半のアメリカ人は反応しなかった。
「確かに、ウクライナ対するロシア戦争と国内のインフレが人々の注目を集めている。だが歴史は、バイデンのこの動きをアメリカ-中国ライバル関係が隠れた状態から表面に出た瞬間と記録する可能性が高い。」
さらに先週バイデン政府高官がアメリカが重要なハイテク分野で中国に対し新たな禁止令を準備していることを示した。新アメリカ安全保障センターで講演してアラン・エステベス米商務次官(産業安全保障担当)が、アメリカが量子情報科学、バイオ工学、人工知能ソフトウェアや先進的アルゴリズムへの中国によるアクセスすることを禁止するのかどうか尋ねられた。エステベスはこれが既に積極的に論じられていることを認めた。「我々はそれらの分野で何かすることになるだろうか? もし私が賭け事をする人だったら私はそこにお金をかけない」と彼は述べた。
上に引用したファイナンシャル・タイムズ記事を「バイデンのギャンブルはうまく行くだろうか? 私はそれを確認する可能性を楽しむ気になれない。良かれ悪しかれ世界は華々しくではなく、めそめそと変化したところだ。それがそのまま留まるよう願おう。」ルースはそう宣言して結論した。(「バイデンの対中国ハイテク戦争」WSWS(世界社会主義)ウェブサイト)
もう一度図をご覧願いたい。図はあなたに何を語っているだろう?
図があなたに語る最初のことは、ウクライナ(そして最終的には台湾)で我々が見る戦争は世界経済の基本的変化に起源をたどれるということだ。中国は益々強くなりつつある。10年以内にアメリカ経済を追い越す途上にある。成長には特定の恩恵がある。世界最大の経済とし中国は当然アジア地域の覇者になるだろう。そしてアジア地域の覇者として中国は「自身に有利に地域紛争を解決し、この地域や世界的なアメリカの指導力を非合法化することが」できるだろう。
あなたはここで問題を理解できるだろうか?
ほぼ20年間アメリカは「アジアへの旋回」と呼ばれる「「リバランス」戦略を巡る外交政策を進めている。要するにアメリカは世界で最も人口ちゅう密で繁栄している地域アジアで主要当事者になるつもりなのだ。中国の勃興がワシントンの将来計画をどのように脱線させるか皆様はおわかりだろうか?
アメリカは戦わずに、そういうことにさせるまい。ワシントンは自分が支配しようと計画している市場から中国が力で追い出すのを許すまい。そういうことにはなるまい。もし皆様がそうなるとお思いなら再考されたほうが良い。アメリカは中国の「脇役」を演じるシナリオを避けるため戦争するだろう。実際、既に外交政策支配層はアメリカはまさにその目的のため中国を軍事的に引き込むと決定している。
だから我々の命題は単純だ。第三次世界大戦は既に始まっていると思う。我々全員そう言っている。我々がウクライナで見ている騒動は既に未曾有のエネルギー危機、世界的な大規模食料不足、世界的なサプライチェーンの大惨事的崩壊、広範な制御できないインフレ、極端な愛国心の着実な再出現や、お互い戦うブロックへの世界の再分割を引き起こした第三次世界大戦最初の攻撃に過ぎない。皆様はこれ以上どんな証拠が必要だろう?
しかも全て経済問題だ。この紛争の起源は全て中国の勃興や不可避なアメリカの下落という世界経済の劇的変化にたどれる。ある帝国が他の帝国に取って代わる事件だ。これだけの規模の移行は当然世界的権力の配分に地殻変動的変化を生みだすだろう。そして、そうした変化とともに更に多くの発火点、更に多くの破壊や迫り来る核戦争の可能性があるだろう。そしてまさに事態はそのように展開している。
それで、ウクライナで起きていることをこの図はどう説明するのだろう?
ウクライナでのワシントン代理戦争は実際にはロシアではなく中国を狙っている。ロシアは対等な競合相手ではなく、ロシアは世界秩序でアメリカに取って代わる必要な手段を持っていない。だがノルドストリームは、EUと特にヨーロッパの工業中核ドイツとモスクワの経済関係を大いに強化することで、アメリカにとって重大な危険となった。大陸を世界最大の自由貿易地帯に近づけるだろう更なる経済統合を防ぐため相互に有益でドイツ繁栄の鍵だったモスクワ-ベルリン同盟は破壊しなければならなかった。ヨーロッパに対する経済支配を維持し、世界準備通貨としてのドルを守るためワシントンはそれを止めなければならなかった。たとえそうであれアメリカが史上最大の産業テロ行為と思われる行為でパイプラインを爆破するとは誰も予想しなかった。それは本当に衝撃的だった。
本質的に、ワシントンはロシアを、中国を包囲し孤立させ弱める「ピボット」計画の障害と見ている。だがロシアはアメリカの世界優位に対する最大の脅威ではない。それに近いものでさえない。その資格は中国のものだ。
第三次世界大戦は、ロシアではなく中国を封じ込めるために行われている。ウクライナでの戦争が示唆するのは、外交政策エリートの間には北京への道はモスクワ経由だという一般的合意があるのだ。それは大多数の見解と思われる。換言すればアメリカ政界の黒幕連中がアジア中に米軍基地を広めるためロシア弱体化を望んでいるのだ。究極的に軍は新しいアジア属国諸国にワシントンの経済規則を適用するよう要求するだろう。もしその日が来たら。
ワシントンの意欲的計画が成功する可能性は極めて低いと我々は思うが、それでもそれが実行されることに疑いは持っていない。一瞬の「一極の瞬間」と同様に短命な「アメリカの世紀」に時計を後戻りさせる必死の試みで何千万人もの人々が死ぬ可能性が高い。それは理解を超える悲劇だ。
記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/the-one-chart-that-explains-everything/
----------
Chris Hedges氏最新記事The Politicians Who Destroyed Our Democracy Want Us to Vote for Them to Save Itの冒頭
The bipartisan project of dismantling our democracy, which took place over the last few decades on behalf of corporations and the rich, has left only the outward shell of democracy.
西谷文和 路上のラジオ
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国に対ウクライナ支援疲れ。共和党中間選挙に勝てば援助削減を表明。ロシアは軍事的に壊滅事態になれば核兵器使用を真剣に考慮。これもあって米国はウクライナに対し、ロシアとの交渉に向かうよう密かに要請。日本政府は知らないでしょうね。
「ネット上に統一教会・文鮮明氏の御言選集が流出! 安倍元総理の父親・安倍晋太郎元外相が清話会時代に、文氏自ら清和会への政界工作を指示」
« 果てしなく自分をなめ続けるアメリカ軍国主義軍靴 | トップページ | 客観的ジャーナリストなどというものは存在しない:言説のマトリックスの端からのメモ »
「アメリカ」カテゴリの記事
- いや、そんなプロパガンダ妄想では戦争に勝てない(2023.06.08)
- 誤った名の「キーウ」における大物会談が不快な人種差別中傷を生みだした(2023.06.06)
- 益々孤立する欧米(2023.06.05)
- バイデンのF-16の動きは絶望を意味する空想飛行(2023.06.04)
- 2023年選挙におけるエルドアン成功の秘訣(2023.06.03)
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- いや、そんなプロパガンダ妄想では戦争に勝てない(2023.06.08)
- 誤った名の「キーウ」における大物会談が不快な人種差別中傷を生みだした(2023.06.06)
- バイデンのF-16の動きは絶望を意味する空想飛行(2023.06.04)
「NATO」カテゴリの記事
- いや、そんなプロパガンダ妄想では戦争に勝てない(2023.06.08)
- 益々孤立する欧米(2023.06.05)
- モスクワでのドローン攻撃-ウクライナでのミサイル攻撃(2023.06.02)
- トルコ大統領選挙結果でロシアは何を期待できるのか?(2023.06.01)
- アジア太平洋地域にしっかり照準を合わせているNATO軍産複合体(2023.05.29)
「ロシア」カテゴリの記事
- いや、そんなプロパガンダ妄想では戦争に勝てない(2023.06.08)
- ノヴァ・カホフカ・ダム破壊-更新(12:15 UTC)(2023.06.08)
- ウクライナ反攻開始(2023.06.07)
- 誤った名の「キーウ」における大物会談が不快な人種差別中傷を生みだした(2023.06.06)
- バイデンのF-16の動きは絶望を意味する空想飛行(2023.06.04)
「中国」カテゴリの記事
- アジア太平洋地域にしっかり照準を合わせているNATO軍産複合体(2023.05.29)
- 日本と韓国を中国と戦争させたいと望んでいるアメリカ(2023.05.26)
- 広島原爆の記憶を冒涜するG7戦争挑発サミット(2023.05.21)
- 欧米の極めて複雑な中国分析の世界を理解する(2023.05.19)
「Mike Whitney」カテゴリの記事
- 中国の番(2023.03.08)
- ウクライナの天王山(2023.03.05)
- NATO分裂を予兆するアメリカ主導「有志連合」(2023.02.24)
- ロシア分割計画(2023.01.12)
- メルクーリス:「何か大きなことが進行中」(2023.01.05)
「ウクライナ」カテゴリの記事
- いや、そんなプロパガンダ妄想では戦争に勝てない(2023.06.08)
- ノヴァ・カホフカ・ダム破壊-更新(12:15 UTC)(2023.06.08)
- ウクライナ反攻開始(2023.06.07)
- 誤った名の「キーウ」における大物会談が不快な人種差別中傷を生みだした(2023.06.06)
- 益々孤立する欧米(2023.06.05)
コメント
« 果てしなく自分をなめ続けるアメリカ軍国主義軍靴 | トップページ | 客観的ジャーナリストなどというものは存在しない:言説のマトリックスの端からのメモ »
米中貿易戦争とMH370機行方不明事件との関連について
テレ東BIZで映像「【豊島晋作】セカイ経済“半導体”セレクション(米中半導体戦争/日の丸半導体/半導体不足の展望)」を拝聴した。半導体を”semiconductor”と綴るぐらいしか知らなかったが,この内容は素人の小生にでもわかる内容であった。特に元日立製作所にいらして日立の仲間とNECの仲間とが合体して作られた会社でお働きになったが社風の違いからその新会社を退社された湯之上隆氏のお話は面白かった。世界の製造業界を揺るがすと言われる『中国製造2025』について小生は不勉強であったが湯之上氏のお話によって認識を新たにした次第。2015年5月に習近平主席が提唱した その将来的なロ-ドマップおよび現状と、その核心にある「中国内の半導体自給率を2025年までに70%に引き上げる計画」がいかに大変かが理解できたのである。
湯之上氏は国会でも半導体の今後について持論を展開されたようで,氏のお話から米中貿易戦争の始まりがオバマ時代にあったということが分かる。もちろん湯ノ上氏が中国悪者論を展開しているかどうかについて小生は分からない。しかし米国が中国に貿易戦争を仕掛けた原因が,オバマ時代の報告書"REPORT TO THE PRESIDENT Ensuring Long-Term U.S. Leadership in Semiconductors" にある(2017年1月6日)という。端を折って紹介すれば,『中国人は政府から命令があればスパイをしなければならない』という中国の法律があるそうだ。本当かどうか,ここでは論じることはできない。しかしこんな法律ができれば米国や他の国が反発するのも無理はない。
ところで米国内で多くの中国人が働いているが,半導体など通信分野で「中国人は,中国政府の要請で必要な情報を提供しなければならない」という。いわゆるスパイをしなければ罰せられる。そんな法律を中国政府は本当に作ったのであろうか。対抗手段は貿易戦争や経済制裁や領事館閉鎖しかなかったのであろうか。それは分からないが前者は経済戦争,後者は政治的戦争である。オバマ大統領最後の1月に報告書が提出された。以後,トランプ時代を通ってバイデンになるまで米国による中国への政治・経済制裁は続いている。誤ったコロナ武漢発生説はこの報告書とは直接には関係ないだろうが,ファウェイの猛晩舟CEO拘禁に至ってはあまりにも政治的すぎる。最近の11月ではフェアウェイなど5社の製品販売禁止がある。ファウェイの製品を持っていた人物に接触しただけで関連工場・人物なども制裁・逮捕の対象となるという。これも酷い法律だろう。
詳しいことはYouTubeで番組テレ東BIZを見て頂きたいがこの番組の前・後編を拝聴して私が思い出したのはマレ-シア航空旅客機370の行方不明事件(2014年3月8日)である。240人近くが乗っていたがマレ-シア人に関係者が多く,今でもこの話が出ると話が尽きないらしい。しかし今日まで飛行機のドアの一部が漂着したと報じられているだけで服も荷物も遺体も何もかも海面に上がってこない。スリランカで機体に新たな塗装が為され別な場所に運ばれた説もあった。インドの南西のディエゴ・ガルシア島の米軍基地に連れていかれた説もある。乗客乗員全員がMH17機に乗せられてウクライナ上空で撃墜されたという説もある。なぜ各国のレ-ダから突然消えたのであろうか。
謎だらけだが,気になっていたのはクアラルンプ-ル空港から北京空港へ向かう乗客の中には米国帰りのコンピュ-タ技術者約80人が乗っていたという報道である。この技術者たちの中には半導体の特許を持っていた方もいたという。もしこれらの研究技術者たちが行方不明になれば誰が得をするのであろうか。特許の半分は研究者,残り半分は米国の会社がもっていたという。彼らの行方不明でQui bono?誰が得をするのか。
MH370のコンピュ-タ技術者数十名がもっていた特許の行方が気になる。しかし2014年に米中の特許取得戦争,半導体製造戦争がすでに起きていたとすれば,2017年の上記報告書の言うスパイ行為ではなくて,コンピュ-タ技術者の行方不明事件が米中制裁合戦の原因であったような気がしてならない。
追記:スパイ行為は悪いが,どこの国の情報収集・諜報機関もスパイ組織である。つまり,スパイ行為は当たり前である。一方,日本はスパイ天国であるとも言われている。しかし外国人スパイが捕まることは滅多にない。捕まるのは国内企業の企業秘密を盗んだとか盗まなかったとかである。また談合は常識になっており東京五輪のように白昼堂々と談合が為されている。密かに対立企業の落札額をスパイするといった行為は影を潜めたようである。
投稿: 箒川 兵庫助 | 2022年11月28日 (月) 23時32分