プーチンと習を分断するためのバイデン・バーンズ掛け合い漫才
Finian Cunningham
2022年11月15日
Strategic Culture Foundation
バイデンとバーンズの奇妙な掛け合い漫才には北京とモスクワの誰も感銘しない可能性が高い。
今週彼が中国の習近平主席にワシントンは北京との「新冷戦を求めて」いないと約束した際アメリカのジョー・バイデン大統領は中国との緊張を緩和しようと努めているようだった。
インドネシアでのG20サミットの際に2人の指導者が会合した。バイデンが2021年1月に就任して以来、彼ら初の直接会談だった。握手写真撮影の機会にバイデンは満面笑みをたたえていたが、習は山のようなたわごとを聞かされることに身構えるかのように極めてかたくなに見えた。
三時間以上の非公開議論の後、ロシアがウクライナで核兵器を使う脅威とされていることの非難で双方が同意したかのようにアメリカと西洋メディアは歪曲して報じようとした。これはアメリカの十八番だ。会談に関するホワイトハウス公式声明によれば、習はロシアを特定しなかった。両指導者は核戦争を非難し、決してそういう戦争をするべきではないと述べたが、これは他の誰とも同じようにアメリカにもあてはまる非難なのだ。ところが欧米メディアは、それをロシアに対する共同非難として歪曲しようとした。
中国側は会議で話されたことに関し全く違う解釈をしている。彼が最初バイデンを歓迎した際に、習がよそよそしく見えたのは少しも不思議ではない。
習主席はバイデンにこう話したとされている。「政治家は自国をどう導くかを考え理解しているべきだ。他の国々やより広範な世界と仲良くする方法についても考え、知るべきだ。言うことと違うこと実行するのではなく、アメリカはその誓約を具体的行動で遵守する必要がある。」
これは、アメリカ大統領のことを、言うことを信頼できるわけがない図々しいウソつきだと中国国家主席が非難するのにかなり近い。
結局、バイデンは中国の島の省である台湾を大規模に武装させる政策を続けている。それは、台湾海峡150キロの対岸への国家安全保障に対する脅威となるのに加え、北京主権と中国の領土保全に対する直接攻撃だ。
このアメリカ大統領は、この島を北京の全面的管理下におくため中国が権利を行使すれば、アメリカは台湾を軍事的に守ると公式に四回言った。バイデンによるそうした発言は国際法やアメリカ国内法下で認められている法的拘束力がある「一つの中国」原則に反する。今週G20サミットで、以前のはなはだしい声明にもかかわらず、バイデンは台湾に対するアメリカ政策に変化はないと言った。
中国挑発を目指すAUKUSとして知られるイギリスが関与するアジア太平洋の新軍事同盟の一環としてキャンベラに原子力潜水艦を供給するのに加え、核搭載B-52爆撃機のオーストラリア配備をバイデン政権は計画している。
中国産業にとって極めて重要なハイテク半導体輸出禁止令でもワシントンは対中国経済戦争を強化した。
3年中断した後、ここ数週間朝鮮半島周囲でのアメリカ軍事演習再開は北朝鮮と韓国間の緊張を急激にエスカレートさせ、隣接する中国の国家安全保障を不安定化させるリスクがある。
だから経験的事象やアメリカの行動を前に中国との「新冷戦を求めない」というバイデンの話は侮辱的だ。
それで疑問が生じる。習に穏やかに話してバイデンは一体何を狙っているのだろう?
アメリカ大統領は実際中国をロシアから切り離そうと努めているように思われる。
中国との冷戦はないとバイデンは言った。だがロシアはどうだろう? アメリカは徹底的にモスクワをいら立たせるのに懸命に思える。超大国とされるものは、一国とでなく、もう一つの国とも冷戦可能なのだろうか? 二国を相手にするとは考えられない。すると何が起きているのだろう?
今週プーチンがG20サミットに出席しなかったのは重要だ。この催しでのロシア最高位役をセルゲイ・ラブロフ外務大臣が勤めた。なぜプーチンがサミットに行かなかったのかは明らかでない。
同じく重要なのは同時にトルコで開催されたアメリカとロシアの諜報機関長官の会談だ。
CIA長官ウィリアム・バーンズはアンカラでロシア対外情報庁長官セルゲイ・ナルイシキンと会った。この会談はこうした裏ルート会談にしては異様なほど欧米メディアで広く報じられた。バイデン政権がこの会議が目立って広く報道されるのを望んだ印象を受ける。バーンズが「ウクライナでの核兵器使用に対しロシアに警告を発した」と欧米は従順に報じた。
ホワイトハウスの国家安全保障会議はバーンズがウクライナでの紛争を終わらせる協議に関与したわけではないと強調した。
「ロシアの核兵器使用に対し警告する」という大量に報じられる言説は、ロシアは核兵器を使うと脅す「のけ者国家」だというでっちあげの考えを促進するものだが、アメリカとNATO加盟諸国がウクライナで煽っている戦争は手に負えない大惨事戦争に陥りかねないと繰り返し警告しているのはモスクワなのだ。
ロシアは核兵器を使う恫喝しておらず、言葉にさえせず、アメリカとNATOがかき立てている無謀な危険を警告したのだ。暗黙のうちに核戦争の危険を脅かしているのは、むしろアメリカとパートナー諸国だ。9月にロシアの実存的安全がNATOに脅かされたらモスクワは「あらゆる防衛手段を使う権利」を保留するとウラジーミル・プーチン大統領は警告した。その合理的警告がロシアが核兵器を使用する恫喝のように見えるよう身勝手に歪曲されているのだ。
バーンズ旅行は世界の安全に対する核の脅威としてロシアを更に悪者にするのを目指していたように思われる。一方バイデンは北京とモスクワ間、特に習とプーチンの指導力下で発展した強い友情に悪影響を及ぼす方法として習に気に取り入ろうとしたのだ。
冷戦をする意図はないと言って習をなだめるバイデンの試みは確実に中国が簡単に見破れる露骨なウソだ。バイデンとバーンズの奇妙な掛け合い漫才には北京とモスクワの誰も感銘しない可能性が高い。
記事原文のurl:https://strategic-culture.org/news/2022/11/15/biden-and-burns-in-double-act-to-split-putin-and-xi/
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東京新聞朝刊三面記事
森元首相、ゼレンスキー氏批判 「ウクライナ人苦しめている」
昨日見たThe REDACTED、ミサイル落下現場から40kmのところに500km見られる強力なレーダーがあると解説していた。芸人傀儡による戦争挑発をアメリカもNATOも知っている。ゼレンスキーは知りながら真っ赤なウソをついていたのだ。NATO加盟諸国が攻撃された場合、NATO加盟国の1つに対する攻撃はNATO全体の攻撃とするという条約第5条の原則で第三次世界大戦を起こすことを狙ったのだ。謝罪どころか辞任もの。
G20会議に参加しながら、ヘラヘラとゼレンスキーに呼びかけたカナダのトルドー、イギリスのスナク首相も同罪。長い番組だが必見。
This just keeps getting worse and worse the more we look | Redacted with Clayton Morris (rumble.com)
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ポーランドにミサイルが着弾。ゼレンスキーはG20の席上ビデオメッセージでロシアの行動とし、ロシアをテロ国家と糾弾。だがポーランド大統領、NATO事務総長、バイデンはウクライナが発射としている。ゼレンスキーは世界に向け謝罪すべきだ。
「大谷翔平らが経営破綻したFTX社の広告塔として訴えられた! このニュースの裏側にはマスメディアが報じない大スキャンダルが!?」
はじめに~<スクープ!?>大谷翔平と大坂なおみが破綻した暗号通貨取引業者・FTX社の「広告塔」として訴えられた! このFTX社が経営破綻したニュースの裏側には日本の記者クラブメディアが報じない大スキャンダルが!? FTX社とウクライナとバイデン政権は暗号通貨でつながっていた!? ウクライナは米国からの支援金をFTX経由で中間選挙資金として還流!? 共和党はブリンケン国務大臣に情報公開を請求!
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習-バイデン会談の意味
G20で習主席とバイデン大統領が三時間半ほど会談したという。台湾問題や新疆ウィグル人権問題あるいは「ロシヤを応援するな」という米国の要請などたくさんの会談内容があることが大方の予想屋の考えであるが正確なところは良く分からない。また,G20の前に11時間かけてドイツのショルツ首相が習主席に会いに来たのはなぜかという疑問も解けていない。会議,会議そして会議で時は流れる。しかしバイデン-習会談の最後に,TVに映ったバイデンは「こういう機会を得ることができて大変ありがとう」と中国側に言った。会談の場所は中国の所有する大きな建物で行われたが,これは外交辞令であろうか。
そうして翌日18日,ウクライナのミサイルがポ-ランドを攻撃した。この攻撃はNATO第5条を誘発する可能性を持つ危険な行為であることは周知の事実である。しかし早速,ポ-ランドの大統領はミサイルが「ロシヤ領から発射されたという情報はない」としてロシヤ発射説を否定した。と同時にバイデンも証拠不十分としてロシヤ犯人説を打ち消した。ゼレンスキ-はウクライナ軍が発射したという情報に反発して「徹底した検証が必要だ」としてウ軍発射説を認めなかった。NATOの事務総長は「ウクライナ領に攻め込んだロシヤが原因でこの事件が起きた」と論点をずらした。彼の発言はウクライナ軍が撃ったことを認めたことになる。これらの一連の発言を眺めるとき,ゼレンスキ-の孤立は明らかである。
習-バイデン会談の会場に私はいなかったので何が話し合われたか知るところではないが,話し合いの内容を想像することはできる。その想像はトンでも発奮かもしれないが,次のようなことだろうと思う。すなわち,ゼレンスキ-政権の交代である。ゼレンスキ-の退陣である。まだ米国や西側のウクライナへの支援は続くが細って来るとしてもゼレンスキ-退陣にむけて風向きを強くすることが話し合われたのであろう。
このように考えたとき,G20前にシュルツ首相が習主席と会った理由が分かる。シュルツはバイデンから与えられた,ゼレンスキ-退陣の約束を伝えるために北京に飛んだのである。ウクライナのその後の処理,ウクライナ分割なども話題に出たに違いない。ウクライナの今後をどうするか細かいところまでは煮詰まっていないが,さらに煮詰めたのがバイデン-習会談である。
シュルツ首相が北京に飛んだ訳は米民主党下院が共和党に握られ,ウクライナへの援助も含めて予算の使われ方がバイデン民主党の思うようにならなくなったことも理由の一つであろう。すなわち米欧のウクライナ支援という風向きは逆転した。ゆえにポ-ランド大統領の反応も素早く,ゼレンスキ-の味方をしなくなったのである。しかしそれだけではない。
ウクライナ代理戦争の後始末をどうするか。戦後処理をどうするか。プ-チン大統領による特別軍事作戦の目的は,⓵(ウクライナの)非武装化,⓶脱ネオ・ナチの2つである。これらが実現しない限り,プ-チンは満足しないだろうし,ロシヤ軍は停戦に応じないだろう。そこでどうするか。バイデン-習会談の意味は中国に仲裁をお願いすると,この会談を通してバイデンが頼んだことにある。
エルドガンやマクロンやサルマン王子も停戦仲介の労を取ろうとしているが,政治的にも知的にもプ-チン大統領と五分に交渉できるのは習主席以外にいない。バイデンは,ロシヤ料理を造ってお互いに食べ合った仲の二人に停戦を任せたのである。それがバイデン-習会談の意味であろう。
追記: アゾフ製鉄所を巡る戦いでネオナチの大部分がやられたようだが,幹部級がまだ残っている彼ら・彼女らをどうするか。またロクに教育を受けず成長したネオ・ナチの予備軍をどうするのか。若い女性たちが嬉々としてモロトフ爆弾(火炎瓶)を造っていた映像があった。それがオデッサの労働会館で使われ,虐殺が行われたことは記憶に新しい。脱ネオ・ナチ化の道のりは長いだろう。
投稿: 箒川 兵庫助 | 2022年11月20日 (日) 00時20分