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2022年11月 1日 (火)

ウウルスラフォン・デア・ライエンは辞任を強いられるだろうか 彼女の行為は調査されるだろうか?

2022年10月28日
ウラジーミル・ダニーロフ
New Eastern Outlook

 ヨーロッパはここ数週間大規模抗議で動揺し、EUの多くの政治家や報道機関がこれを欧州委員会、特に委員長ウルスラフォン・デア・ライエンの政策に対する大衆の不満の反映と見ている。主な懸念は生活費上昇、エネルギーと食品価格の急速な値上げ、欧州委員会の反ロシア方針で、これはヨーロッパのみならずヨーロッパと親密な関係を持つと決めている多くの他の国々に影響を与えるエネルギーと経済の危機を引き起こした。

 欧州政治共同体第一回サミットでの演説で、常にワシントンとロンドンに対する揺るがぬ支持を示すのに熱心なウルスラフォン・デア・ライエン以外は誰も前英国首相の政策を成功と思っていないにもかかわらず欧州委員会委員長はリズ・トラスに対する温かい歓迎を表明した。デイリー・エクスプレスが報じている通り、演説は気まずい沈黙で迎えられた。

 「必要な限り」キーウ体制を支援し、何十億ユーロも資金提供するというウルスラフォン・デア・ライエンの最近の約束をEUインターネットユーザが批判した。彼女の声明はソーシャルメディアでEU市民の利益や願望を無視していると非難され、ユーザーは彼女の辞任を要求した。

 フランス人政治家フロリアン・フィリッポはウクライナへの助成という彼女の主張をTwitterに書いて非難した。「ウルスラは完全に頭がおかしい!彼女を閉じ込めろ!」

 Le Journal du dimancheのインタビューで前フランス大統領ニコラ・サルコジは武器購入を決定する権限はないと言って欧州委員会を非難した。彼が説明したように欧州委員会は行政機関で、一体何を根拠にウルスラフォン・デア・ライエンが外交政策に関連する問題や兵器購入に関して発言する権限があると考えているのか不明確だ。ウクライナでのロシアの特別作戦が始まって僅か数日後、欧州委員会委員長は、EUはウクライナへの「武器や他の軍装備品の購入と送付」の資金調達をすると発表した。ヨーロッパ人は兵器を買うためEUの格間から何十億ユーロもキーウ政権に提供する必要を絶えず聞かされており、彼らはウルスラフォン・デア・ライエンを非難している。ウクライナに対するEU政策は余りに「エスカレーション、いらだちと無分別な行動」の傾向があるとニコラ・サルコジは主張している。

 イスラエルのテレビ局i24newsと社会主義者の元フランス大統領候補(2007年選挙)セゴレーヌ・ロワイヤルも最近ウルスラフォン・デア・ライエンの姿勢を批判した。欧州委員会委員長はロシアが戦争を止めるのを支援するのではなく、アメリカのウクライナ政策のためロビー活動をし、事実上NATOと国防総省報道官になったとセゴレーヌ・ロワイヤルは主張している。

 彼女の政策に対する批判以外にも、ウルスラフォン・デア・ライエンはここ数ヶ月汚職事件の中心になっている。特に欧州検察庁がEUによるCOVID-19ワクチン購入調査を開始して以来。スキャンダルに関する衆目は欧州委員会委員長が果たした役割に集中しており、ロシア連邦安全保障会議副議長ドミトリー・メドベージェフさえ10月20日にこう指摘した。「惜しみなく46億(!)回分のCOVID-19ワクチンを710億(!)ユーロの費用でファイザーから購入した。」「EU国民全員に10回分のワクチンだ」と彼が付け加えた。

 雑誌ポリティコによれば、ウルスラフォン・デア・ライエンは、EUのワクチン購入契約交渉中に、ファイザーCEOアルバート・ブーラとメールをやりとりしたことを認めた。既に欧州連合の二つの監督機関が、この問題調査を更に進めるのに必要な書類提供を委員会が拒否したことを批判し、彼女を購入に関する不正行為のかどで非難した。

 だがウルスラフォン・デア・ライエンが関与した問題ではファイザー購入は初めてのスキャンダルではない。三年前にもう一つのスキャンダルがあった、当時「EU指導体制を選ぶ過程を一層民主的にする」とEUエリートが主張した直後、2019年初めに種々の異なる政治集団メンバーが主要EU組織の長が「夜陰に乗じて」非公開会議で選ばれていると不平を言った。義務を果たしたことに満足したドナルド・トゥスクが二週間のEUサミットの終わりに記者団に述べた通り欧州委員会委員長職は2019年5月選挙で最多得票のグループ・リーダーには行かず、代わりにウルスラフォン・デア・ライエンに「受け継がれた」。

 EUが「民主的改革」を進めていたとされた時に、この地位は明らかにウルスラフォン・デア・ライエンのために確保されていてこの政治的裏取引が行われたのだ。2014年以来いわゆる最有力候補手続きは、欧州委員会の新委員長を選ぶ目的で実施されている。この手順は、欧州委員会委員長を選ぶ際、他の必要条件に加えて、欧州会議選挙で最多得票で勝ったヨーロッパの党の候補者が優先されるべきことを要求している。

 当時のドイツ国防大臣ウルスラフォン・デア・ライエンのためのこの地位予約は政治家の間でも専門家社会の中でも、祖国ドイツでさえも当時大いに論争の的だった。例えば、当時キリスト教社会同盟 (CSU)党首マルクス・ゼーダーはドイツ通信社DPAに次のように彼の見解を説明した。「マンフレッド・ウェーバーは欧州委員会の正統な会長だったはずで、彼の選挙は民主的だったはずだ。民主主義が失敗し、舞台裏の取り引きで勝者が選ばれたのは残念なことだ。」当時政権にあったドイツ社会民主党(SPD)に率いられた連合政権の長もEUで最高職位への彼女の指名に反対した。「国防大臣を欧州委員会委員長にするという決定はヨーロッパの民主主義を強化し、市民の利益を考慮し、欧州会議の役割を支持するあらゆる努力を無にする」とドイツ社会民主党党首は声明で主張した。

 重要なのは、当時ウルスラフォン・デア・ライエンは選挙運動に参加しさえせず、ヨーロッパ選挙の候補者として立候補せず、おそらく彼女の反ロシア姿勢とワシントンに対する絶対的支持で良く知られていた。欧州委員会の委員長としての彼女の指名をもたらす上で重要な役割を果たしたのはその支持だった可能性が極めて高い。

 だから彼女が今占めている地位を与えられる名誉を得るためウルスラフォン・デア・ライエンは一体何をしたのかと人々は問うかも知れない。彼女はキリスト教民主主義同盟(CDU)高位の政治家アーネスト・アルブレヒトの娘で、1988年から1992年まで彼女はハノーバー医科大学の婦人科で医師助手として働いた。だが2016年ハノーバー医科大学が盗作がないか彼女の博士論文をチェックして「明白な欠点」に気付いた。

 七人子供を育てた彼女はしばしば非公式に母国で「ドイツの母親」と呼ばれる。彼女の政治経歴はアンゲラ・メルケルのCDUに加入した1990年に始まり、2005年に彼女はメルケル政権で最初の閣僚ポスト、家族・高齢者・女性・青少年相に任命された。2009年彼女は労働・社会大臣に任命され、2013年には国防大臣となり、6年、その地位を維持したが、その間、よくあるスキャンダルに関係し、論争の的となる決定にも責任があった。ドイツの三大政党(緑の党、左翼党と社会民主党)の声明によれば、2014年以降(軍隊とITシステム再建に関し)彼女がドイツ軍を「運営」している間に締結した3,800の契約の多くが親類や友人を含め「適切な人々」に与えられたように思われ、一部の契約には何らかの贈収賄さえあったかもしれない。2017年の昔ドイツ新聞ビルトは連邦監査室による報告を引用し、一隻のドイツ潜水艦も使用可能ではなく、フリゲート艦と戦車の半分以下と軍用ヘリコプターの三分の一しか正常に機能していなかったことが明らかにされた時、国防大臣としての彼女は衝撃的なほど無能だったとウルスラフォン・デア・ライエンを非難した。

 このような「成功」実績から、ウルスラフォン・デア・ライエンは既に軍やCDUには重荷と見られていた。選挙が近づく状態で、適当空いた閣僚席がなかった時に、彼女はドイツにとって好都合な決定である欧州委員会の委員長職に「指名された」。

 だが時間がたつにつれ、彼女を任命したことでEUが多くの恩恵を得ると期待できないのが明らかになった。

 だがEUがアメリカから自立した自身の路線を推進する強力な政治家に率いられることに興味皆無なワシントンにとっては、2019年のウルスラフォン・デア・ライエンを欧州委員会委員長にする決定は思うつぼだった。その結果、今や彼女はヨーロッパ市民ではなく、ワシントンの権益のみを推進して、ファイザーがCOVID-19ワクチンを売ることで莫大な利益を生むべくアメリカ製薬企業を支援し、キーウ体制を支援するための武器注文でヨーロッパ納税者が支払う何百万ユーロもアメリカ軍産複合体に提供している。

 現在の状況でウルスラフォン・デア・ライエンの「経歴」がどのように終わるか見るのは興味深い。彼女は明らかに関与していた汚職スキャンダル捜査の結果、あるいは彼女の行動に益々批判的になっているヨーロッパ大衆による辞職要求のによって後に調査結果によって引きずり下ろされるのか。

 ウラジーミル・ダニーロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/10/28/will-ursula-von-der-leyen-be-forced-to-resign-and-will-her-deeds-be-investigated/

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 New Eastern Outlookに下記記事がある。アメリカのアフリカ新戦略。

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「西アフリカで頻発するクーデターの指導者は、みな米国で軍事訓練を受けていた!」2022.11.1号~

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