アメリカが標的に定めた国に関して報道する際、記者の責任は消失する
2022年11月17日
ケイトリン・ジョンストン
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いい加減な情報源確認とジャーナリズム不正行為のため最近二つの偽ニュース報道が一気に広まった。いつものようにアメリカが標的に定めた国に関するもので、この場合ロシアとイランに関するウソの主張だ。
「軽率な情報源のAP記事はすんでのところで第三次世界大戦を引き起こしそう」という題のResponsible Statecraft記事が、ミサイルはおそらくウクライナから来たというその時既に明らかだった証拠にもかかわらず、プロパガンダを増幅する通信社がロシアがNATO加盟国ポーランドに致命的ミサイル攻撃を開始したと主張するたった一つの情報源で一言記事をどのように発表したかについて詳述している。これは同盟加盟国の一国に対するロシア攻撃に対する報復としてNATO・ロシア間の戦争を意味するNATO第5条集団的自衛権行使要求を引き起こした。
ポーランドが「ロシア製」ミサイルで攻撃されたという言説を主流ニュース報道が広めたが、それは最善でも、不慮の攻撃が依然旧ソ連国家のウクライナが使っているソ連時代の地対空ミサイル・システムから来たという事実の大いに紛らわしい表現だ。ニューヨーク・タイムズやCNNやNBCなど最も影響力を持ったアメリカ最大の主要ニュース全てがAP自身のポーランドがロシアに攻撃されたという虚偽報道訂正と同様紛らわしい「ロシア製」という表現を繰り返した。
A lot of people spent yesterday calling for war between the world’s two largest nuclear powers. I dug into how one poorly sourced story made that happen in my latest for @RStatecraft https://t.co/yH5nRwuVnS
— Connor Echols (@connor_echols) November 16, 2022
現在のあらゆる証拠が、ウクライナがロシア・ミサイル攻撃を防衛し、ポーランドが偶然それらミサイルの一機に攻撃されたことを示している。バイデン大統領はポーランド人二人を殺害したミサイルがロシアから来た可能性は「ありそうもない」と言った、他方ポーランドのアンドレ・ドゥダ大統領とイェンス・ストルテンベルグNATO事務局長は共にウクライナ航空防衛の偶然の攻撃だったように見えると言った。ロシアはポーランドの国境から35キロ以内ではミサイル攻撃はしていないと言う。
依然攻撃がロシアから来たと強く主張している唯一の当事者はウクライナで、NATO加盟国のいら立った外交官が匿名で「ファイナンシャル・タイムズ」にこう話すよう仕向けた。これは理不尽だ。ウクライナは彼らに対する我々の信頼を破壊している。誰もウクライナを非難していないのに彼らは公然とウソをついている。これはミサイルより一層破壊的だ。」
APが彼らにこのような巨大な重要性や深刻な結果になりかねないウソを言ったアメリカ当局者の匿名を守り続けるのは非常に不真面目だ。我々が説明と説明責任を要求できるよう彼らは誰がそのウソを始めたのかを世界に言うべきだ。
極めて一気に広まったもう一つの虚偽言説はニューズウィークが広範に修正するよう強いられたものだ。それは当初「イランは抗議行動参加者を死刑にすると票決し、反抗者には「厳しい教訓」が必要だと言う」という題だったが、今は「抗議行動を罰する要求でイラン議会は「扇動者に死を」と唱えている」という題だ。最近の訂正はこうなっている「本記事と見出しはイラン議会が死刑宣告に賛成投票することへの言及を削除するため更新された。議会の大多数は抗議行動参加者の死刑を含む厳罰を要求する司法部への書簡を支持した。」
ニューズウィーク記事がどのようにしてソーシャルメディア中に無数の政治家や評論家や有名人が広めたイラン政府が15,000人の抗議行動参加者に死刑宣告したというエセ主張ののきっかけになったかMoon of Alabamaが説明している。この主張は「15,000人の抗議行動参加者が死刑宣告された証拠がないと説明するNBCニュースなどの主流メディアに暴露された。国営通信社によれば、彼らは控訴可能だが、2人の抗議行動参加者が火曜時点で死刑宣告されている。」
This claim was mindlessly shared by more mainstream commentators, political leaders (including @JustinTrudeau and @tedlieu), "journalists" and activists than one could count. It went mega-viral.
— Glenn Greenwald (@ggreenwald) November 15, 2022
Just basic skepticism would've revealed it had no credible sourcing from the start: https://t.co/Es1ODHQhWh
「ファクト・チェック、イランは「15,000人の抗議行動参加者に死刑宣告していない」という題のThe Cradle記事は、イラン議会は実際テヘランに反対してデモをした抗議行動参加者に更に厳しい刑を課すよう促すイラン司法部への手紙に署名したと説明している。それら判決は上記通り死刑も含むが、現時点までは5年から10年の実刑判決が多い。
唯一の情報源が全米民主主義基金に資金供給されるアメリカ政府組織なので「15,000人」という数さえ疑わしいとThe Cradleは指摘している。
さらに事態を混乱させるのはイラン当局に拘留された15,000人の抗議行動参加者というのは人権擁護活動家通信社(HRANA)が出所なのだ。
アメリカを本拠とするHRANAは、何十年も世界中で政権転覆の取り組みに資金供給す全米民主主義基金(NED)、CIAソフト・パワーのフロント組織から資金を得ている組織イラン人権擁護活動家(HRAI)のメディア部門だ。
実際NEDがアメリカ政府に直接資金供給され、共同創設者によれば明らかにこれまでCIAが密かにしていたことを公然と実行するため設立されたものなのは周知の事実だ。15,000人という数字が多かれ少なかれ正確な可能性はあり、更に非常に多くのイラン抗議行動参加者が彼らの行動のため死刑宣告される可能もあるが、現在確定した事実かのように報じるのは明らかにジャーナリズム不正行為だ.
How it started How it's going pic.twitter.com/mT3FSd2I7O
— Caitlin Johnstone (@caitoz) June 1, 2022
今年4月ニューズウィークは「ロシア人が11歳の少年を強姦し、母親に見守るよう強いた。ウクライナ当局。」という題の記事を掲載した。今年5月ニューズウィークは「ロシアの性的暴行主張の扱いに関してウクライナ当局者を解雇した」という題の記事を発表した。それは同じ当局者だった。ニューズウィークは性的暴行記事の情報提供者が性的暴行について証拠のない主張を広めたかどで解雇された事実に言及しなかった。今日に至るまでこの4月記事は更新も訂正もされていない。
このジャーナリズム責任の完全な怠慢を、シリア政府による化学兵器攻撃とされることに関するアメリカ政府発言を混乱させた化学兵器禁止機関スキャンダルについて記者の一人が報じようとした際の「ニューズウィーク」の細心の注意と比較願いたい。NEDに資金供給されるベーリングキャットが漏えいに異議を唱えており、他の立派なメディアがそれらについて報じていないことを根拠に上司から、化学兵器禁止機関によるドゥーマ調査の不正を暴露する多くの漏えいについて書くのをタレク・ハッダード記者は禁じられた。
I wrote about the North Korea Law of Journalism, which states that media editorial standards about a country are directly proportional to how well the US govt thinks of them. https://t.co/xcPD3OqOzt pic.twitter.com/aYcW2B0f4u
— Alan MacLeod (@AlanRMacLeod) June 11, 2019
Fairness and Accuracy in Reportingはアダム・ジョンソンが「ジャーナリズムの北朝鮮法」と呼ぶものを説明する多数の記事を公表している。「編集基準はその国の敵としての地位に反比例する」。言い換えれば、外国政府がアメリカ帝国に嫌われるほど、それだけ彼らに関する主張を報じる編集基準が下がるのだ。なぜならロシアもイランも共にワシントンの敵と見なされるので、しばしば情報源や証拠にかかわらず事実として彼らに関するどんな主張を発表するのも欧米ニュース・メディアが心地よく感じるためだ。
ロシアゲート狂気の間、次から次と主流報道機関が、証拠のない陰謀のくだらない話を発表する現場を捕えられ、後に(常にではないが)しばしば撤回を強いられるのを我々は目にした。ロシアにまつわる何らかの話では報道の証拠となる基準がアメリカに是認される政府にまつわるものよりずっと低いため、これが可能だったのだ。
欧米主流メディアはアメリカに中央集権化した帝国のプロジェクト・サービス機関なので、これは事実だ。彼らは人々に真実を語るために存在しておらず、帝国の公式の敵を憎むため、さもなければ同意しない外国政策の狙いに同意するよう大衆を操るため存在しているのだ。
帝国プロパガン屋が公式の敵について報じる際、彼らの編集水準を下げるのは仕事が下手だからではなく、そういう仕事が非常に得意だからだ。彼らの仕事は我々が聞かされていることではないのだ。
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