アメリカ政府非難は「陰謀論」に過ぎない
2022年10月4日
ケイトリン・ジョンストン
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これまでその言葉は使わずに、ロシアに対しまさに同じ非難をしながら、先月のノルド・ストリームのガスパイプラインの破壊工作はアメリカによる可能性が高いという全ての主張を欧米の政治/メディア支配層は「陰謀論」として切り捨てた。それは、おそらくこのレッテルが長年使われている手口について多くを物語っている。
金曜日、国連安全保障理事会会議で、アメリカのリチャード・ミルズ国連次席大使は「ロシアの同僚は安全保障理事会会議を陰謀論と偽情報を広める手段として利用すると決めた」と繰り返し述べ、ノルド・ストリームで、アメリカを非難し「陰謀論」を促進したとロシアを非難した。
「アメリカは、この事件へのいかなる関与も断固否定する」「ロシア代表団がこの会議で陰謀論と大量の偽情報を提起する」ことは決して正当化できないと言った後、「我々は陰謀論を推進するためにこの会議を利用せずに、国連憲章に対するロシアの明白な違反とウクライナでの犯罪に注目を集中することが重要だ」とミルズは主張した。
更にミルズは実際攻撃をしたのはロシアだとほのめかすために発言の残りを滑稽なほど費やし、ウクライナでパイプラインに類似する重要な民間インフラ攻撃実績があると証明するため主張で少なくとも9回「インフラ」という単語に言及した。
「重要インフラ破壊工作は我々全員にとって懸念だ」とミルズは述べた。「ウクライナへのロシア侵略という環境で、我々は多数のロシア攻撃が民間インフラに損害を与えているのを見た。我々はロシアがヨーロッパで核災害の危険を無謀に冒して、ヨーロッパ最大の原子力発電所を支配するのを目撃した。我々は無数の攻撃が民間電力インフラを破壊しているのを見ている。」
「今日我々が聞いた真実から我々の目をそらし、より多くの偽情報と少々奇抜な理論を広める努力にもかかわらず、ウクライナ現地の事実が多くをもの語っている」とミルズは結論した。
The sabotage of gas pipelines were a 'warning shot' from Putin to the West, and should brace for more subterfuge, Russia experts warn https://t.co/IvH6YmFh4b
— Military and Defense Insider (@MilDefInsider) October 3, 2022
ビジネス・インサイダーには「ガスパイプライン破壊工作はプーチンから欧米への「警告弾」で、更に多くの言い逃れに備えるべきだとロシア専門家たちは警告している。」という題の新記事がある。件の「専門家」というのは下記の通りだ。
- アメリカ議員たちをスパイし、上院のCIA拷問慣行調査の際それについてウソをつくのがばれた前CIA長官ジョン・ブレナン。
- 経験豊富なアメリカ諜報専門家で、現在は首位寄贈者が国防総省と武器製造企業ノースロップグラマンである新アメリカ安全保障センターという戦争挑発シンクタンクの特別研究員アンドレア・ケンダル-テイラー。
- ホーリークロス大学歴史教授シンシア・フーパー。
それが全員だ。全て専門家だ。ウソをつく二人の戦争屋と一人の歴史教授。
ビジネス・インサイダー記事で「陰謀」や「理論」という言葉はどこにも現れない。これを「ロシアはパイプライン爆発を我々のせいにして根拠がない理論を推進している」という題の最近のAP通信記事と比較願いたい。後者は、アメリカによるノルド・ストリーム破壊工作非難を、QAnonカルト信者しか信じないものだと決めつけるような、ばかげた陰謀論と歪曲するのに半狂乱だ。
「アメリカが損傷を与えたという示唆はアメリカの保守派や世界の出来事を支配している悪魔のような児童売買セクトに対しトランプが戦争をしていると主張する陰謀論運動QAnon信奉者に人気が高いオンラインフォーラムで広まっている」とAPが書いた。
Still laughing at how frantically over the top AP went with its "blaming the US for sabotaging Russian pipelines is a baseless conspiracy theory" article. pic.twitter.com/avXgXYM5yP
— Caitlin Johnstone (@caitoz) October 1, 2022
まさに同じ告発であるにもかかわらず、もう一方の国ではなく、ある国に対する告発に、軽べつ的な「陰謀論」が適用されるのを我々は繰り返し何度も目にする。それらは定義上、いずれも陰謀論だ。それらはロシア・パイプライン破壊陰謀とされるものに関する理論だ。だが欧米の政治/メディア支配層は首尾一貫してそのラベルを一方だけに適用し、決してもう一方には適用しない。
アメリカによるノルド・ストリーム破壊工作非難に「陰謀論」レッテルを貼っている別のビジネス・インサイダー記事へのリンクがここにある。ここに同じことを書いているインディペンデント記事がある。ここにワシントン・ポスト記事がある。ここにニューズウィーク記事がある。ここにVox記事がある。ここに大西洋協議会シンクタンク記事がある。ここにブルッキングス協会シンクタンク記事がある。ここにアメリカ進歩センター(CAP)・シンクタンクが資金提供するMedia Matters for America記事がある。
皆様は連中が言いたいことがおわかりだろうか? 皆様ははっきりおわかりだろうか? ノルド・ストリームパイプラインを破壊したとアメリカを非難しろ、そうすればそれは陰謀論と呼ばれる。まさに同じことをしたとロシアを非難しろ、そうすればそれはニュースと呼ばれる。
そして、もちろんこの漫画的二重基準を指摘することで、両方の理論とも同様にしっかり証拠があると言うつもりはない。どちらかが自分のエネルギー・インフラ破壊したという争いに双方が競争しているとは誰も期待しない。
According to @SecBlinken, the Nord Stream pipeline bombing "offers tremendous strategic opportunity for the years to come." Too bad that this tremendous opportunity for DC bureaucrats will come at the expense of everyone else, especially this coming winter. pic.twitter.com/T2eacQUuBF
— Aaron Maté (@aaronjmate) October 1, 2022
例えばドイツにロシア・ガスを送付しているパイプライン破壊工作がロシア・エネルギーに対するヨーロッパ依存を終わらせる「大変な好機」になるとアントニー・ブリンケン国務長官がはっきり言った事実がある。同じく明示的に、いかにしてロシアを能力以上に手を広げさせて、弱体化させるべきかに関し国防総省に依頼された2019年のランド社による研究が、ノルドストリーム2を止めることでアメリカが恩恵を受けるとはっきり述べた事実がある。バイデン大統領とビクトリア・ヌーランド(政治担当)国務次官の二人が、もしロシアがウクライナを侵略したらノルドストリーム2を終わらせると明言した事実、アメリカがノルド・ストリーム2を建設した人々を制裁した事実、ヨーロッパがロシアのパイプラインより北米エネルギー依存するよう望むとコンドリーザ・ライス前国務長官が公式に言った事実、アメリカ率いる対ロシア制裁の終わりとノルド・ストリームガス再開をドイツ人がまさに怒って要求していた事実、パイプラインが攻撃された場所で、最近アメリカ海軍が水中ドローン演習を行っていた事実、ロシアのパイプライン付近で過去水中ドローンが爆発物を運んでいるのが見られた事実、ポーランドが、まさにノルウェーからデンマークを通してバルト海経由でガス輸送するガスパイプラインを文字通り開通した事実、爆発の少し前に爆発地点とノルドストリーム2パイプラインに沿って米軍ヘリコプターの飛行が記録された事実、CIAにはロシア・ガスパイプラインを爆破した周知の実績がある事実。
だがもちろん、もし皆様がアメリカがこの攻撃に何らかの責任があると思われるなら、あなたは頭がおかしい陰謀論者で、小児愛者サタン崇拝者が世界を支配していると思っているQAnonersと同じなのだ。
オーケー、帝国。言いたいことはわかった。だが、あなた方が私に無視するように言った他のいくつかの「陰謀論」について私の疑問を誘うのだ。
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画像はデンマーク国防省による。
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玉川徹排除はテレビが大本営広報部である証明。そもそも洗脳箱なぞ見てはいけないのだ。
LITERA
Brian Berletic氏のyoutube番組があることに気がついた。
The New Atlas 最新番組は下記。
Nord Stream Attacks, New Russia, Mobilization - Russian Ops in Ukraine (Oct. 1, 2022) 35:49
THE DIVE IN WITH RATTANという番組もある。
七月中旬、バイデン大統領は石油増産を依頼すると明言し、カショギ氏殺害のかどで非難していたサウジアラビアに出掛けたが、期待通りにはならなかった。カリーン・ジャン=ピエール報道官は、そもそも地域の安定を期待する訪問だったと釈明した。そして石油備蓄も放出して必死な中間選挙前に、OPECは石油減産を発表している。
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
NYT[水曜日のOPECによる石油減産の動きは、中間選挙に先立ってガス価格の上昇を回避しようとするバイデン大統領の努力を大幅に弱体化させ、ロシアがウクライナでの戦争の支払いに使用している石油収入を抑制しようとする彼の圧力を後退させた.]
「本日午後3時半より『統一教会が「国家復帰」計画の野望を企てる!』岩上安身によるジャーナリスト・鈴木エイト氏インタビューを生配信!」
日刊IWJガイド・非会員版「本日午後3時半より『統一教会が「国家復帰」計画の野望を企てる!』岩上安身によるジャーナリスト・鈴木エイト氏インタビューを生配信!」
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