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2022年10月27日 (木)

アメリカとウクライナの戦争目的が対立する点

パトリック・ブキャナン

2022年10月18日

 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領とウクライナにとって、クリミアとドンバスはウラジーミル・プーチンのロシアの侵略軍を追放し奪回する総力戦を正当化する領土だ。

 だが誰がクリミア半島とドンバスを支配するかが、アメリカ-ロシア関係の歴史で、お互いの戦争を正当化する問題だったことなど一度もない。

 アメリカはキーウを誰が支配するかに対し一度も重大な関心を持ったことがない。

 19世紀と20世紀のほぼ全てを通して、ウクライナはロシア帝国かソビエト社会主義共和国連邦の一部でモスクワに支配されていた。そしてその状態は5,000マイル離れたアメリカにとって関心事項ではなかった。

 我々にとって、このウクライナ-ロシア戦争の重要な関心は一体誰がクリミア半島とドンバスを支配することになるかではなく、世界大戦や核戦争にエスカレートしかねないロシアとの戦争にアメリカが引きずり込まれないことだ。

 それがこの危機におけるアメリカ最大の関心だ。

 東ヨーロッパにおける何事もアメリカとロシアの全面戦争を正当化するまい。結局、東欧と中欧に対するモスクワ支配は1945年から1989年まで冷戦中存在した状況だった。

 そしてアメリカは第二次世界大戦のその結果に対し決して軍事的に挑戦しなかった。

 我々はそれを甘んじて受け入れた。1956年にハンガリー人が自由と独立のため立ち上がった時、アメリカは介入を拒否した。ドワイト・アイゼンハワー大統領によりロシアとの戦争の危険を冒すのではなく、ハンガリー愛国者は運命の手に委ねられた。

 21世紀、世界がどのように変化したのか。

 今日、ウクライナのためにアメリカが戦争をする義務はないが、我々はNATO条約の下、もしスロバキア、チェコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、ポーランド、リトアニア、ラトビアあるいはエストニアが攻撃されたら戦争をしなければならない。

 そして、キーウがNATO加盟国ではないが、アメリカはクリミア半島とドンバスを巡るロシアとの戦争で自身ウクライナへの資金供給者で主要な兵器供給者となっており、それには長崎以来初めての核使用を招きかねない。

 要するに、核武装したロシアとアメリカの戦争回避という我々の重大関心事は、まもなくウクライナの戦略上の戦争目的、つまりクリミア半島とドンバスの完全奪還と対立するかもしれない。

 もしプーチンがロシア領としてクリミア半島とドンバスを維持するため無限の戦争に本気なら、我々は一体どこまでウクライナがロシア人を追い払い、これらの土地を奪還するのを支援するのいとわないのだろう?

 このような状況が出現しているように思われる。

 アメリカ兵器がウクライナの占領されている地域からロシア兵士を追い出すのに役立つにつれ、ロシアとプーチンは追い詰められ選択肢は二つしかなくなる。敗北や屈辱や全ての結果を受け入れるか彼らが持っているものを保持するためのエスカレーションだ。

 ある時点で、敗北を防ぐためのエスカレーションは核使用の閾値を越えるよう要求しかねない。そしてプーチンと彼の従者も同じぐらい多くを言っている。

 結論:この紛争のある時点でウクライナの戦争目的を達成するにはモスクワにエスカレーションを考慮するか敗北を受け入れるよう強いなければならない。

 ロシアにとって、戦況が悪化すればするほど、プーチンが敗北を回避するため彼のスペードのエースを使うか、敗北や屈辱やモスクワから彼が排除される可能性を受け入れなくてはない日が近づくのだ。

 ロシアの核使用はアメリカを巻き込みかねない戦争へと至り、ドンバスとクリミア半島を含めロシアに奪われた全領土の奪還というキーウの重大関心事の容赦ない追求は最終的に重要なアメリカの権益を危うくするだろう。

 アメリカの兵器と支援でキーウが、クリミア半島とドンバスからロシア人を押し出せば、キーウはロシアとの戦争を益々核戦争に近づけるのだ。

 2014年以来ロシアに奪われた全ての領域を奪還しようとキーウが努め、敗北と国家的屈辱を避ける唯一の方法として戦術核兵器使用という考えに向けロシアを益々追いやるが、それはアメリカとの戦争に更に近づくことを意味する。

 プーチンのロシアにとって死傷者率がより高く、アメリカが兵器を与え武装したウクライナ人によってロシアに与えられる敗北がより酷ければ、敗北と屈辱を食い止め政権生き残りを保証するためロシアがスペードのエースつまり核兵器使用の可能性がより高まる。

 要するにプーチンが敗北に近づけば近づくほど、益々プーチンがロシアの敗北や恥や屈辱を阻止できる唯一の方法と思うから、我々は更に核戦争に近づくのだ。

 アメリカは流血を終わらせ、ウクライナの多くをキーウに戻せるがロシアにとって歴史的屈辱として見られないこの戦争結果は何かと考える始めるのが最善だ。

 一部のアメリカ人は、この戦争をプーチン政権とロシアに敗北と不名誉を与える機会と見ている。このような目標を求める人々は彼らが目標実現に近づけば近づくほど、それだけ益々ロシアの核使用に近づくことを認識するべきだ。

 想起願いたい。ジョン・F・ケネディ大統領はソ連独裁者とそれを引き起こした国にキューバ危機から面目を保てる出口を提供しようと努めたのだ。

 パトリック・J・ブキャナンは"Nixon's White House Wars: The Battles That Made and Broke a President and Divided America Forever"の著者。パトリック・ブキャナンについて更に知り、他の作者や漫画家による作品を見るには、www.creators.comでCreatorsウェブサイトを訪問願いたい。

記事原文のurl:https://www.creators.com/read/pat-buchanan

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 Jeffery Suchs教授がAthens Democracy Conferenceで「アメリカは世界最大の暴力国家だ」と発言してNYT忖度司会者に止められた。会議の名前が泣いている。

Jeffrey Sachs Highlights from Athens Democracy Forum 5:16あたり

 下院進歩派議員、バイデンへのウクライナ和平提案書簡を撤回。

 2022.10.24の講演で機械による音読でメッセージを送った浅野氏のIWJインタビューがある

咽頭がん手術で声帯を失う前にIWJで日本の記者クラブ問題を話したい!」岩上安身によるインタビュー 第989回 ゲストジャーナリスト浅野健一氏

 長いが見るべき講演会

2022.10.24 安倍「国葬」を検証する ―講演:「自民党と統一教会の闇をさぐる」鈴木エイト氏(ジャーナリスト)、浅野健一氏(無声ジャーナリスト)、スピーチ:佐高信氏(評論家) 2:36:01

 日刊IWJガイド

「2月24日以降、ウクライナの民間人犠牲者数は1万6150人! ドンバス地域の政府軍支配地域での死者数は、ロシア軍支配地域の8倍!」

はじめに~2022年2月24日から10月23日までにウクライナの民間人犠牲者は1万6150人! ドンバス地域の政府軍支配地域での死者の数(3365人)は、ロシア軍支配地域での死者の数(423人)の約7.96倍! 2014年に始まったドンバス戦争の拡大版が、現在行われているウクライナ紛争! IWJは2月下旬にドンバスに侵攻する計画を記したウクライナ軍の軍事文書を仮訳!

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