« いい大人がウクライナ侵略は「挑発されたわけではない」と言うのは問題だ | トップページ | 「制裁で自殺」するヨーロッパ »

2022年9月18日 (日)

アメリカは、いかにEUを分裂させているか

2022年9月12日
ワレリー・クリコフ
New Eastern Outlook

 ホワイトハウスの政策に対する世界的批判が拡大しているため、今日アメリカは絶望的に、敵国だけでなく、あらゆる同盟諸国に対しても、破壊的行動を通して、支配力を維持しようと努めている。これはアメリカに扇動された世界中の多数の武力衝突や侵略によっても、ワシントンのおとなしい傀儡になるのを望まない国々に、一般に受け入れられる標準に違反し、国際組織の承認なしで課される制裁によっても明らかだ。ワシントンは、アメリカ同盟諸国を含め、他の国々の政治的、経済的、軍事的な立場は全く関心がなく、ホワイトハウスが始めた制裁による諸国の損失についても同じだ。

 長年大西洋対岸で起きていることがワシントンには気に食わなかったので、この破壊的政策は近年特に厳しい。アメリカの公式外交政策戦略では、ロシアと中国だけを敵としているが、本当の敵として、EUも確実にリストに含まれている。統合後のヨーロッパにおける統合進展という考えはワシントン政策の主要原則「分割して支配せよ」と矛盾する。

 公然と欧州連合を傷つけるのは避けているので、ワシントンは密かにそれを支配するだけでなく、その崩壊に貢献するため近年できる限りのことをしている。ヨーロッパを失うのを避けるだけでなく、地政学的影響力を巡る論争で、EUを潜在的ライバルから排除するためにあらゆることをしている。

 この点、ウルスラフォン・デア・ライエンや、シャルル・ミシェルやジョセップ・ボレルなどのワシントンで教育した要員をEU諸国や理事会の主要な地位に配置することはEUを支配する上で重要な手段になった。上記の政治家連中は長年ヨーロッパ全体や母国の権益を完全に無視して、アメリカの指示だけに従って行動している。

 ヨーロッパ統合を傷つけ、ヨーロッパでの代理を通して崩壊過程を開始するため、イギリス・ブレグジットが始められた。EUを離脱しても、イギリス人や他のヨーロッパ人に将来悪影響がないことを示す手段として、EUを離脱すれば即座に「有利な貿易協定」をロンドンと締結すると約束した2019年のアメリカのドナルド・トランプ大統領発言を思い出せば十分だ。このような「誘惑する声明」が公式にされるなら、この件に関し、ホワイトハウスがロンドンに与えた秘密指示の内容を我々は推測できるだけだ。究極的に、アメリカが思い通りにして、ブレグジットが起きて、ヨーロッパを巻き込んだ経済的、財政的、エネルギー危機からの脱出方法として分離主義感情が多くのEU加盟国で人気を得始めた。

 統合ヨーロッパの経済競争力を弱めるため、ワシントンはヨーロッパのエネルギー安全保障を弱める多面作戦を考え出した。これを狙って、ウクライナのロシア嫌悪感傷が利用されて、モスクワにウクライナを非ナチ化する特別作戦を実行するよう駆り立てられた。それから、モスクワのによるウクライナ民主化過程の「侵害」とされるもので、反ロシア偽情報キャンペーンを利用して、エネルギー分野を含め、完全なロシア批判ムードがヨーロッパで増加し始めた。究極的に、ワシントンは、かなりの数のEU加盟諸国に、ヨーロッパ市場へのロシア・エネルギー供給を制限し、それなしではEUが経済的にもエネルギー的にも崩壊し、この全てがあからさまにヨーロッパ自身の権益に反する対ロシア制裁を強化するよう説得するのに成功したのだ。

 結果はヨーロッパでの急速なインフレと、多くのヨーロッパの企業、特にロシア市場を狙ったものの閉鎖と破産だ。

 同時に、アメリカは、その代理人、特にジョセップ・ボレルとウルスラフォン・デア・ライエンを通して、EU自身の加盟諸国地域への支援削減を含め、ヨーロッパをキーウ政権に対する財政、軍事支援に引き込んだ。最初はキーウとモスクワ間の武力衝突エスカレーションで生じたEUへのウクライナ移民数百万人のうねりが、財政的、社会的、経済的状況に非常に深刻な打撃をもたらした。それから、気まぐれで、ワシントンのライバル、ヨーロッパに、ウクライナをヨーロッパ兵器で一杯にさせ、それに続く軍用品注文でアメリカの軍産複合体の権益を満足させた。これはEU防衛力のかなりの損失をもたらし、最近、ジョセップ・ボレルは、軍事援助をウクライナに送った後、EU加盟国は兵器在庫を使い果たしていると認めることさえ強いられた。

 アメリカによって悪化させられたヨーロッパの経済やエネルギー危機は、EU加盟国で着実に抗議運動を増しており、政治的、社会的状況が不安定化して、まさにワシントンが望んだ通りに、アメリカとの競争力を更に弱めている。

 ヨーロッパに更に損害を与えるため、ワシントンは、僅かなアメリカの施しのため、常にあら探しをして、対ロシア嫌悪で自身ロシア銃剣に投げ入れる用意ができているポーランドの助けを借りて、EU加盟諸国間で、財政と領土権主張争いを激化させ、連合の亀裂を深めようとしている。結果として、第二次世界大戦の結果に対するドイツ賠償金に対する要求の後、影響力あるポーランド新聞ジェチュポスポリタが既に明記したように、ポーランド政府はまもなくチェコ共和国に対し要求を申し立てるだろう。特にワルシャワの見地から、これは「不利な」ものに関するもので、1950年代のポーランド-チェコスロバキア国境分割だ。明らかに、チェコ共和国はポーランドに368ヘクタール以上の領域を返す義務がある!

 しかも、これは明らかに欧州連合を分断させ、世界支配のため旧世界との競合で勝利するワシントンの危険な計画の限度ではない。究極的に、細菌戦という手段は、コロナウイルス大流行で実証された通り、既にアメリカは試みており、ヨーロッパに大規模な苦難、かなりの財政的、人的損失をもたらし、アメリカ製薬会社を豊かにしただけではなかった。ワシントンに放たれたエネルギー危機の結果は、EUを破壊し続ける気候変動や新たな火事や暴風雨と洪水が、何年間もヨーロッパが経済に取り組むことを阻止している。

 だがワシントンの様々なトリックや挑発で麻痺させられているヨーロッパも、最終的に目を覚まし、アメリカではなく、自国権益のための政策を追求し始め、ヨーロッパ人の利益のため、ロシアと中国との関係を再考すると信じたい。

 ワレリー・クリコフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/09/12/how-the-us-is-breaking-up-the-eu/

---------

 寺島メソッド翻訳NEWS

ウクライナは「今すぐ交渉したほうがいい」米退役将官―キエフとNATOは、兵站の不足から戦略を変更せざるを得なくなる可能性がある、とマーク・T・キミット氏はWSJの論説で警告した。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

「戦争している場合ではない」 モディ印首相、プーチン氏に訴え.問題は如何にして戦争を終えるかである。誰が戦争の継続を望んでいるのか。

 デイリー新潮

ツイッターで活動再開の生稲晃子参院議員 助っ人に「安倍元総理」“最後の政策秘書”を採用の裏事情

 東京新聞

 朝刊特報面は NHK字幕問題 「川野直美が見つめた東京五輪」で五輪反対デモの参加者が金銭で動員されたとする虚偽字幕が流された問題。

まるで「政権維持装置」
首相→経営委→幹部任免 人事絡み忖度

 本音のコラムは 前川喜平氏

 不人気国葬の記録

 戦前最も不人気だった国葬は山縣有朋のそれだそうだ。
 中略
 因みに僕のところへの案内状が来たが、何の苦渋も感じることなく欠席の返事を出した。

 植草一秀の『知られざる真実』

メッキ剥がれてボロボロ岸田内閣

« いい大人がウクライナ侵略は「挑発されたわけではない」と言うのは問題だ | トップページ | 「制裁で自殺」するヨーロッパ »

アメリカ」カテゴリの記事

NGO」カテゴリの記事

ウクライナ」カテゴリの記事

イギリス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« いい大人がウクライナ侵略は「挑発されたわけではない」と言うのは問題だ | トップページ | 「制裁で自殺」するヨーロッパ »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ