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2022年9月13日 (火)

台湾を巡るアメリカ挑発と北京の堅実な対応

2022年9月2日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 米国下院議長ナンシー・ペロシによる8月初旬の訪問は、北京の激しい抗議の中行われた。この訪問は、政治的独立と領土保全に関する国際法違反と同様、「一つの中国」政策に関する北京との二国間合意のワシントンによる、あからさまな違反だった。

 多くの専門家が指摘したように、台湾を巡るアメリカの挑発は、ウクライナに関して、モスクワの「超えてはならない一線」を越えるため、モスクワの国家安全保障の懸念を脅かすため、意図的に行われたワシントンによる類似パターンを反映している。これらの挑発は最終的に、隣国ウクライナで現在進行中のロシア軍事行動を招いた。進行中の台湾を巡るアメリカ挑発からも、類似の紛争が生じかねない。

 中国の他の軍事的手段

 ペロシ下院議長の台湾訪問後、北京による、きわめて明らかな抗議に加えて、中国軍による台湾海峡中間線を渡る大規模訓練や、台湾が自称する「防空識別圏」(ADIZ)内への侵入が続いた。当初、アメリカと同盟諸国と欧米メディアは、これら演習を大いに不機嫌な北京がおこした「癇癪」として切り捨てた。だが間もなく、アメリカ議員や欧米メディアは、北京が徐々に確立しつつある「新常態」を論じ始めた。

 CNN記事「中国の脅威が益々迫る中の台湾海峡「新常態」」は、こう書いている。

 中国は台湾海峡に「新常態」を確立しようと試みており、台湾が支配する台湾領土支配を侵害し、頻繁な作戦出撃で攻撃の脅威を増していると当局者や専門家が言う。

 中国の軍事演習には台湾上空を通過するミサイル発射も含まれる。「台湾上空を越える中国ミサイルに、アメリカは「異議を唱えなければならない」と海軍大将が言う」BBC記事は、こう言っている。

 「我々がこの種のことに異議を唱えるのは非常に重要だ。部屋の中のゴリラが台湾上空にミサイルを発射しているのを私は知っている」とトーマス海軍中将がシンガポールで記者団に語った。「台湾上空越しに公海に向けてミサイルを発射するのは無責任だ。

 「もし、これに異議を唱えなければ、これは突然、今や前哨基地になった南シナ海の島と全く同様になりかねない。あそこは今、ミサイルを持ち、長い滑走路、格納庫、レーダー、聴音哨を備えた完全に機能する前哨基地だ。」

 トーマス海軍中将は、アメリカが台湾周辺、そして今や上空での中国の軍事活動に「異議を唱える」ために使える措置を提案しなかったが、アメリカがそうするためできることはほとんど何もない。

 アメリカの挑発は、北京による「新常態」正当化を助ける

 台湾を巡る中国のいかなる軍事活動に「異議を唱える」どんな能力もないアメリカは、代わりに、更に挑発すると決めているように見える。8月初旬のペロシ下院議長台湾訪問に続いて、8月中旬にアメリカ議員の集団が台湾を訪問したとBBCが報じている。

 ペロシ下院議長訪問が、台湾周辺での軍事演習を北京が正当化するのを可能にしたのと全く同様、アメリカ国会議員による最近の訪問は、北京に軍事活動を拡大する機会を与えた。記事「アメリカ代表団が台湾を訪問する中、中国は台湾周辺での新たな演習を発表」でAP通信は、こう報道している。

 この演習は、アメリカと台湾間の共謀と挑発に対する「毅然とした対応と厳粛な抑止力を意図している」と国防省が述べた。

 アメリカは、モスクワはエスカレートしない(そして、いくつかの理由で、そうできない)と誤って信じて、ロシアをウクライナへの軍事行動開始に駆り立てたが、今や北京にも同じ事を試している。台湾周辺領域や今や上空の軍事支配を強化する北京の戦略は戦争を必要とせずに、最終的に、この増大する危機で北京が優位を得られる戦略に思われる。

 あと知恵で、ウクライナに関して、ロシアに対する優位を維持するワシントン最良の決定は、ミンスク協定を守るようキーウを奨励することだったと考えても合理的に思われる。ロシア軍はロシア領内に留まったろうし、ドンバス地域はキーウ支配下に残ったろうし、アメリカは予測可能な期間、親欧米政権がキーウで権力を握った状態で、先に進めたはずだ。

 その代わり、今ワシントンは、ロシアがウクライナを吸収し、ウクライナ軍のみならず、ウクライナの西欧スポンサーの在庫まで非武装化するのを見ている。欧米の軍事的優位性という神話が、ウクライナの戦場で煙と共に吹き飛び、破壊された欧米兵器は、連中がこれまで自慢していた能力が到底ないことが暴露された。

 極めて似た過程が台湾で起きようとしており、アメリカが敵に対し遙かに大きな軍事優位を享受していた、大昔に考え出された戦略である、対等に近い相手、あるいは対等な軍事大国を挑発するのを目指す自滅戦略を反転させることは言うまでもなく、それを止める能力が、アメリカにはないように見える。

 本当に、停止したり、転換したりするのからほど遠く、アメリカ軍艦二隻が台湾海峡を横断した。CNNの記事「台湾海峡のアメリカ軍艦に対する中国の対応が専門家を驚かせた理由」は、欧米専門家は、北京が、この通過に直接、明確に反応するはずだと信じており、中国がそうしなかった時に驚いたと主張している。

 唯一の実際の驚きは、欧米の専門家が、アメリカ議員の無許可台湾訪問や、軍艦による中国領侵犯のような挑発に直接に反応するのを北京が拒否し、その代わり、事実上、台湾支配を確立するため、台湾周辺での更なる軍事活動に注力しているパターンを認識しなかったことだ。

 北京が、この戦略を推進して、台湾周辺に自身の条件で新常態を確立するにつれ、欧米は、まさに北京が必要とする継続的な正当化の根拠を与えるため、公然と更なる挑発を準備している。今やカナダは台湾を巡りアメリカの中国挑発に参加すると発表し、ガーディアンは記事で「議員の台湾訪問計画に関し中国はカナダに警告」と報じた。この来る挑発を、進行中の軍事行動を拡大するための更なる正当化として北京が利用すると予想するのに多くの想像力は不要だ。

 アメリカが支援する台北政権も、この危機に拍車をかけている。「台湾、中国無人飛行機に警告弾を発射」という記事で、ガーディアンはこう報じている。

 蔡英文大統領が、中国の挑発と呼ぶものに対し「強い対策」をとるよう台湾軍に命じたと言った直後、台湾は沖合の小島を低空飛行した中国無人飛行機に警告弾を発射した。

 このような行為は北京の軍事活動に「対処する」というよりも、北京の軍事活動を更に正当化し、北京が台北政権が自身のものと主張しようとしている領域に対する完全支配を確保するため一層徹底的で恒常的な措置をとる能力を与えかねない。

 台湾の経済的弱点は、北京が他の手段をとれるようにする

 北京から「独立」しているふりをしようと試みる政権にとって、台湾経済は中国に大きく依存しており、北京は、経済的措置で、容易に台北の分離主義者に対し、軍事的優位性や作戦を強化できる。

 ハーバード大学の経済複雑性地図によれば、中国本土は全台湾輸入の22.92%を占め、次が16.97%の日本だ。台湾の輸出総額の49%以上が中国に出荷され、アメリカがそれに続き12.65%で二番目に大きい輸出市場だ。

 台湾と中国間の緩やかな再統一は、既に主に経済統合を通して、何年もの間行われている。中国からの貿易、観光事業と投資が台湾経済を破産させずに維持している。これら要因のいずれの流れでも切断されれば、大崩壊を引き起こす。

 「中国は軍事力を誇示し、台湾の柑橘系果物に標的を定める」という記事で、CNNは中国による台湾農産品に対する8月の禁止令を、アメリカ議員訪問によって引き起こされた進行中の緊張と結びつけようとしている。実際、関係があるか否かにかかわらず、記事は北京が台湾の輸出に影響を与える政策を採用すると、台湾経済にとって、どれほど破壊的か例示するのに有効だ。欧米メディアとしては、ニューヨーク・タイムズも「中国は、いかにして台湾を窒息させられる」という記事で、中国の軍事封鎖による台湾の全貿易に対する影響を論じている。だが、類似の結果は、中国が、台湾との輸出/輸入全ての貿易を止めることで実現可能だ。

 このような台湾と中国間の貿易崩壊は、台湾「独立」が現実から実際どれほど離れているか、台湾の実際の最大利益からどれほど相違するかについての警告になる。これはまた台北政権が外国の権益のために、中国を分裂させ不安定化するため働き続ければ、大陸が台湾に対して持っている力も実証している。

 台湾の脆弱性は「同盟諸国」の悪意を明らかにする

 欧米の台湾支援者が、台湾「独立」のための本当の献身と構想の欠如を明らかにしているのは経済分野だ。2014年以来、アメリカに任命された傀儡政権が、キーウで不合理にウクライナの経済的生存能力を犠牲にして、ロシアとの多くの不可欠な経済的結びつきを削減した際に、ウクライナが苦しんだよりずっと酷い形で、台湾の経済と国民を荒廃させる近視眼的で、大いに自滅的政策だ。

 すると、ワシントンと西欧諸国は、なぜ今軍事挑発を含め、台湾に分離主義を追求させ、北京を挑発するよう熱心に奨励するのだろう? 台湾は経済的に生き残れず中国に対して勝つことが決してできない戦争を戦うよう奨励されているのだ。答えはアメリカと同盟諸国が、台湾や、その未来を気にかけていないということだ。台湾は、中国を包囲し、封じこめ、分割し、破壊するアメリカ外交政策目標を推進するため身勝手に使われている。中国本土が勝つだろうが、中国の一部である台湾は短期紛争の場合でさえ、非常に苦しむだろう。

 北京は、完全にこれを理解し、アメリカと同盟諸国からそれに提供されたそれぞれの刺激で、台湾周辺での徐々に軍事活動を拡大し、戦争を行わずに台湾に対する軍事支配を拡張しようと試みている。北京は同じく完全に台湾での軍隊と、あるいはアメリカのような外国勢力による介入の試みに対する軍事対決の用意を調えている。

 台湾が軍事的、経済的にそれほど脆弱なのに、それでもなお北京に対し挑発的政策を採用するよう奨励されている事実は、ワシントンがいかに僅かしか台湾とその未来を気にかけていないかを明示している。台湾を「守る」ために介入するというワシントンの考えは大いに非現実的だ。台湾「防衛」はアメリカが中国に対し戦争を行うための口実として利用されるはずで、よりありそうなのは、世界中で中国製品出荷を混乱させる試みだ。

 アメリカ国務省公式ホームページによれば、ワシントンは、中国は一つで台湾は中国の一部だという北京の立場を認めている。ワシントンの目標は、台湾を含め中国の全てを分割し、破壊することだ。

 Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/09/02/us-provocations-over-taiwan-and-beijing-s-steady-remedy/

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 耕助のブログで、同じ記事の翻訳が昨日掲載された。小生の翻訳の下手さが証明されるが仕方無い。

 No.1556 台湾をめぐる米国の挑発と北京の揺るぎない救済策

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