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2022年9月 5日 (月)

ウクライナ「反攻」は失敗する定めだった。今日そうなった

2022年9月3日
Moon of Alabama

 8月24日、イギリスのボリス・ジョンソン首相がキーウを訪問した

 マリア宮殿でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の横で発言して、ジョンソンはウクライナは「この戦争に勝てるし、勝つだろう」と言った。

 ジョンソン訪問は、以前から発表されていたヘルソンに対するウクライナ「反攻」開始の合図だった。

 4月早々、ジョンソンはロシアとウクライナ間で、かなり進展していた和平交渉を止めるよう主張し、キーウを訪問した。

 「ロシアとウクライナの交渉者は、交渉した暫定和平合意に、とりあえず合意したように思われた」とフィオナ・ヒルとアンジェラ・ステントが書いた。「ロシアは2月23日の陣地に撤退し、ドンバス地域部分とクリミア半島全てを支配し、引き換えに、ウクライナはNATO加盟を求めないことを約束し、その代わり、多くの国から安全保障を得る。」

 このニュースは、ジャーナリストのブランコ・マーセティックがTwitterで書いたように、元イギリス首相ボリス・ジョンソンによる交渉を止める取り組みの影響を強調している。プーチンは交渉できず、欧米は戦争を終える用意ができていない、という二つの主な理由で、ロシアとの協議を打ち切るようウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に促したジョンソンの4月のキーウ訪問と同時に、合意をぶち壊す決定がなされた。

 数ヶ月にわたり、イギリスは数千人のウクライナ兵士と士官を訓練した。ウクライナ特殊部隊とイギリスの秘密情報部MI-6は、カホウカ・ドニプロ貯水池南側のザポリージャ原子力発電所支配を奪還するためのウクライナ特別作戦を計画した。これはウクライナが長い間阻止していたIAEA検査官のザポリージャ原発と同時になるよう意図されていた。

 ヘルソン攻撃は、8月30日に五カ所で始まった。それは失敗する定めだった。ロシア軍が占領している地域を確保する試みの三つが失敗した。一つは、戦略的価値の少ない小村を占領した後、止められた。唯一「成功した」攻撃は、カホウカ・ドニプロ貯水池を封鎖するダムと渡河地点方向のアンドリウカ近く、インフレツィ川を越えるものだった。


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 計画は初めからばかげていた。地域全体は平坦な開いた大草原だ。軍は開けた敵対的土地を通って50キロ(30マイル)の長い回廊地帯を作る必要があったのだ。途中にある町はほとんど援護機能がない主に平屋や二階建ての小農村だ。ウクライナ軍には前進する兵隊を擁護する航空防衛や空爆能力がない。火砲能力はロシア軍がその区域で行える10分の1だ。これが自爆作戦だったのは最初から明白だった。

 ウクライナ軍司令部はこの任務に反対だったと報じられている。だがウクライナ政治指導部、ゼレンスキー政権はそれを進めるよう命じた。政権は、少なくとも何らかの成功を示すようにといし外国支持者からの政治的圧力下にあった。

 攻撃は8月30日に開始された。ウクライナ軍はアンドリウカ近くのインフレツィ川に、三つの仮設橋を作った。これは既に、まずい雰囲気のものだった。ロシア空軍や砲兵隊は、なぜ即座にそれらの橋を破壊しなかったのか?

 これが罠だったのは明白だった。

 悪名高い「諜報」速記者ナターシャ・バートランドが共同執筆したCNN記事では、米軍は来る大惨事から距離を置いた

 現在のウクライナ反攻の準備段階で、複数の活動領域で拡張し過ぎて窮地に陥るのを避けるため、目的と地理両方で作戦を限定するようアメリカはキーウに奨励したと、複数のアメリカや西欧当局者やウクライナ情報提供者がCNNに語っている。

 それら議論には、キーウとの「戦争ゲーム」もあったと情報提供者は言った。異なるシナリオで成功を収めるには、どんなレベルの部隊を集める必要があるかウクライナ軍が理解するのを支援するよう意図された分析的演習だった。

 当初ウクライナは、より広範な反攻を考えていたが、ここ数週間で、南部のヘルソン地域に任務を絞ったと、アメリカとウクライナ当局者が述べた。
・・・
 ウクライナとロシア軍の平衡は増していると思うと当局者は言う。だが欧米当局者は(月曜日に南部の州ヘルソンで始まると思われた)起ころうとしているウクライナ作戦に本当の「反攻」というレッテルを貼るのをためらっていた。

 失地を奪還する上でウクライナが成功する可能性がどれだけあるかは不明だと最近の諜報情報に精通した情報提供者がCNNに述べた。

 三日間、ウクライナ軍は、次々と大隊を最前線に送った。彼らはイギリスに訓練された優秀な兵隊だった。彼らは近代化されたポーランドのT-72戦車と、装甲強化したオランダ歩兵戦闘車(YPR-765 IFV)を装備していた。だが、これら部隊は深い最前線を作るのは可能だが、まもなく彼らの墓になるだろう。

 9月1日に私はこう書いた

ウクライナのヘルソン攻撃は極めて大きい損失にもかかわらず続いている。Rybar地図は、ブルシキンシケから根絶された後、ウクライナ軍が前進しようとしている地点の一つを示す。


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その区域は兵隊が隠れる場所がない平坦な開いた大草原だ。ロシア側は砲火力で遙かに優位で、制空権を持っている。ウクライナ人に、これら自殺的作戦攻撃をするよう誰が命じたにせよ、殺人のかどで有罪であり、一生刑務所に入るべきだ。

 9月1日、IAEA委任が到着する予定だったまさに、その日、ウクライナ側はザポリージャ原発を占領するため大胆な攻撃をした。だがロシア側は警告を受けていた。イギリスに訓練されたウクライナ特殊部隊の二波は、貯水池を渡る間に殺害されたか、上陸するや否や、待ち伏せに出くわした。彼らは死んで終わった。IAEA調査は予定通り進んだ。

ジェフリー・ケイ @jeff_kaye - 21:18 UTC - 2022年9月2日

 木曜日、国連事務総長報道官ステファン・ジュジャリクがこう述べた。「我々の検査官の安全を維持するため、ロシア連邦が、あらゆる事をしたことに感謝する」!

私は主流メディアはこれを報じないと予想している。
インターファクス報告へのリンク

 攻撃3日目、インフレツィ川の橋は、まだ損なわれなていない。ロシアの戦術は明白だった。以前、ハルキウ戦線で使った案だ。

ウィル・シュライヴァー @imetatronink - 22:28 UTC - 2022年9月2日

 ヘルソン「攻撃」の真実は、誰が見ても分かるよう地図に書かれている。ウクライナ軍が攻撃する。ロシアは彼らを激しく砲撃して、後退する。ウクライナ軍が前進する。ロシアは彼らを砲撃するが、更に後退する。ウクライナ軍は前線兵力を強化する。ロシアは兵力で彼らを両側から挟み、彼らの後部を遮断する。罠は閉じられた。朝飯前の仕事だ。

 昨日遅くロシア空軍は、この「反攻」に、初めて本気を見せた。重要な前線小村ベズィメンネのウクライナ軍を、約24発の「低性能」500キログラム爆弾で攻撃した。これで、村と、そこにいた全てのウクライナ軍の存在を消滅させた。

 ロシア空軍はそれからインフレツィ川の全ての仮設橋破壊へと進んだ。

 ウクライナ軍は閉じ込められた。


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 彼らには選択肢がある。降参して白旗を振るか、死ぬか。

 ここにヘルソン地域の現在のRybar概観がある。このウクライナ「反攻」の試みは全て、いかなる本格的進展も実現し損ねた。


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 ウクライナ人犠牲者数は莫大だ。オデッサ、ニコラエフやクルィヴィーイ・リーフからの報告は何千人もの負傷者を示している。遙かに多くが亡くなった。何百輌ものウクライナ戦車と歩兵戦闘車がロシア軍に破壊されたか、拿捕された

 ウクライナのザカルパッチャ地域の第128山岳急襲大隊が総攻撃に参加し、破壊された。(なぜ開いた大草原で「山岳襲撃」専門家を使うのか?)報道によれば、この地域の知事は1日の哀悼を命じた。

 ウクライナがしばらくの間占領していた地域と町を得るため、ロシア側は、いくつか攻撃を開始した。これらの動きに対処するため、ウクライナはニコラエフ現地の予備役人員を急遽動員しようとしている。

 ゼレンスキー政権と共謀している「欧米」メディアでは、今までヘルソン「反攻」の血まみれの敗北や、ザポリージャ原発襲撃未遂のいずれも起きていない。

 私が見いだしたニューヨーク・タイムズ唯一の言及はこれだ。

 声明で、[ロシア国防省]は、原発を破壊するか奪還するためドニプロ川をボートで渡ったウクライナ奇襲部隊の二集団、合計最高60人の兵士をロシア軍が途中で捕らえた。

 総じてヘルソン「反攻」は、予想通り、ウクライナの主要軍事備蓄と、「欧米」から受け取った大型車両在庫の大半が破壊された完全な失敗だった。

 問題全体の主要「広報」目標だったザポリージャ原発はまだロシアの手中にあり、今IAEA代表団の恒久駐留で保証されている。

ブルーノ・ベルテス @BrunoBertez - 7:27 UTC - 2022年9月3日

「必要とされる期間、IAEAはそこに駐在する。我々は去らない。」と[IAEA事務局長]グロッシは言った。「原発に何らかの意図を持った人々にとって、国際査察官がそこに駐在し、目撃し、即座に起きていることを通知するのは、重要な安定化効果がある。」

 これを巡り、キーウで、頭が転がるべきで、おそらくそうなるだろう。だがそれで十分ではない。この常軌を逸した考えを思いついたロンドンの連中は解任されるべきだ。

 一方アメリカのジョー・バイデン大統領はウクライナへの追加資金137億ドルを要求した

 最後のウクライナ人までロシアと戦うのを彼は望んでいる。ロシアは望んでいないが、戦いの勝利がは保証されている。

 バイデンは、この責任を負うことになるのだろうか?

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2022/09/the-ukrainian-counteroffensive-was-destined-to-fail-today-it-did-so.html#more

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 今日イギリス新首相決定。彼女もジョンソン同様、ウクライナ戦争を煽るだろう。

 幸い植草氏が指摘する人物が出る番組、全く見ていない。

 植草一秀の『知られざる真実』

茶坊主司会者にブーイングの嵐

 日刊IWJガイド

「本日の岩上安身の櫻井義秀教授インタビュー、反日カルトと自民党がズブズブの関係の不可解!! 統一教会の正体、これをどうするのかの議論を!」

NHK『日曜討論』で、統一教会と自民党議員の関係について「国民の疑念の高まりを重く受け止め反省」と「反省」を口にしたはずの自民・茂木幹事長が、安倍元総理の関与解明を迫る共産・小池書記局長の追及に、開き直りの暴言!「左翼的な過激団体と共産党との関係をまったく調べないのも問題だ」と、矛先をそらす、まるで「勝共連合」の如き発言に、小池氏「公共の電波を使って自民党の幹事長が、まったく事実無根の話をしないでください! 撤回してください!」と抗議!! 共産党と新左翼過激派との長年の対立史を知らないとしたら茂木幹事長は政治家失格!

 年齢が一回りは違う後輩と、学生運動の話をしたことがある。新左翼を説明すると、驚いていた。同時代でなければ、大本営広報部が美化・歪曲するのを真に受けて「新左翼」素晴らしいと思い込むようだ。当時、某新聞は文化大革命を礼賛していた。大本営広報部は、もちろん「新左翼」を称賛していた。新聞、月刊誌、週刊誌。さすが、あさま山荘事件以降、変わったように見えたが。茂木幹事長、対立の歴史を十分知りながら、中傷作戦を推進しているだけのことだろう。

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