ペロシ訪問が台湾をいかに傷つけているか
2022年8月4日
Moon of Alabama
ナンシー・ペロシが台湾に「ウォーク」飛行した際、アメリカは、それに対する中国の軍事的対応を望んでいるように思われた。アメリカは空母一隻と強襲揚陸艦二隻を地域に配備した。アメリカは日本と韓国にも追加戦闘機を配備した。
国際評論家は、中国によるペロシの飛行機の強制目的地外着陸のようなあり得る衝突シナリオを作成した。だが中国政府は冷静さを維持した。中国への台湾再統合は緊急の問題ではない。中国は、台湾の独立派政権を服従させるよう意図した、より長期的措置に備えて計画を立てている。
台北が何を国境と主張するかにかかわらず、中国の軍事演習が台湾周囲で行われるだろう。これらミサイル発射や海や航空演習は危険な軍事対決を起こすほど威嚇的ではあるまい。だがそれは今後数年にわたり繰り返され、着実に益々台湾海岸に近づくだろう。
決して公式に認められていないが、守られてきた中国と台湾間の中間線は、今や無視されるだろう。
中国は本質的に、じわじわと圧力を増して、ことわざの様に台湾の独立カエルを茹でると決めたのだ。
中国人民解放軍は、木曜から日曜まで、台湾の周囲、六つの地域を閉鎖し、島から12マイル以内の一部地域で、実弾射撃訓練を含め、演習をすると予想される。
この演習は、1995年に、アメリカが台湾元大統領李登輝にビザを発給して起きた第三次台湾海峡危機の際に中国が開始したミサイル実験よりも大規模だと予想される。
台湾は海上貿易に依存している。今後数日間、中国の軍事演習は本質的にそれを阻止するだろう。中国が本当に真剣になったら起きるかもしれないことのデモだ。
軍のこれ見よがしの振る舞いは、台湾の現在の独立派政権に対する支持を無くすよう意図された選択的経済制裁を伴うだろう:
ペロシのおかげで、天然砂輸出停止と、この島の魚や果物生産物の輸入に対する禁止令を含め、中国は台湾に制裁を課した。
台湾が中国から90%輸入している天然砂の輸出に対する禁止令は無害に聞こえるかもしれない。だが地震に弱い地域で岩の上で暮らしていれば、コンクリートで高層ビルを建てたいと望むかもしれない。砂がなければ、コンクリートはない。台湾での建築経費は上昇し、政府はそれで責任を問われるだろう。
台湾のソフト・パワーも制限されるだろう。
当局は、筋金入りの独立主義の「台湾民主基金会」(TFD)と「財団法人国際合作発展基金会」(ICDF)という二つの組織に対して罰則措置をとると国務院台湾事務弁公室新聞局局長で報道官の馬暁光が言った。
二つの基金に寄付した、スピードテックエナジー、ハイウェブテクノロジー(凌網科技)、スカイラ有限公司、スカイアイズGPSテクノロジー(天眼衛星科技股?有限公司)などの企業は大陸組織や企業や個人と、いかなる取り引きや協力も行うことを禁じられるはずだ。これら企業の担当者は大陸入国を禁止される。
台湾の人々はペロシのスタンドプレーを支持しなかった。
ニュース・サイトが世論調査を報じたが、聯合報の回答者のほぼ3分の2が、訪問は不安定化だったと答えていた。ラジオのトーク番組は準備と脱出計画を議論し、聴取者に増大する不安を伝えた。
ペロシの鈍感さも助けにはならなかった。
水曜日、台湾の蔡英文大統領との共同記者会見で、彼女の訪問の結果、中国による経済報復を含め台湾が受ける可能性がある負担を埋め合わせるため、台湾に何を提供できるのかとペロシは問われた。
この訪問は、台湾と「より良い経済交流」をする、より広範なアメリカの取り組みの一環だと彼女は答え「主要」台湾企業が既にアメリカに製造投資を計画している」と述べた。
我々はお前のチップ製造の優位性を盗むが、お前は制裁する」というのは心を高揚させるメッセージではない。
ペロシが訪問した他の国々は、彼女の反中悪ふざけで、無視されたように感じている。
今回の訪問で無視され、緊張増大で失望させられたと感じていると評論家が言う地域主要同盟諸国による反中国体制支持を強化するホワイトハウスの努力をペロシ訪問は傷つけるかもしれない。最近の注目が、訪問に関する中国の猛烈な非難でむしばまれ、同盟諸国は、ペロシ女史訪問に先行して、もっと相談があったらよかったと示唆した。
最近の経済不均衡と貿易赤字を懸念する韓国は、ペロシを無視した:
尹大統領が夏休み中なので、二人の会談は計画されていないと大統領府が言った後、木曜日遅く、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、ナンシー・ペロシ下院議長と電話会話することを計画している。
ペロシは快く思わなかった。
Korea Pro @southkoreapro - 2022年8月4日 2:00 UTC
昨夜、尹政権と大韓民国議会は、ペロシ到着を歓迎する代表団を送らなかった。ペロシは、これに不満だったと複数報道が報じている。
要するに、ペロシ訪問は本人が想定していたような成功ではなかった。最初に台湾訪問を「漏らした」のが、彼女が自身に仕掛けた罠だった。彼女が行かなければ共和党は彼女を臆病者と激しく非難したはずだ。今や彼女は、中国・アメリカ関係を更に悪化させる責任を負うことになる。
あらゆる騒ぎが関連する台湾は、中国との経済関係で更に失い、経済大国として衰退するだろう。
最終的に、台湾の人々が別の党に投票し、統一が再び視野に入って来るだろう。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2022/08/how-pelosis-visit-hurts-taiwan.html#more
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寺島メソッド翻訳NEWS
The US wants to use China's neighbors against it – will the plan succeed?の翻訳。
植草一秀の『知られざる真実』
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
NHK内閣支持率46%と前月比-13政権発足以降最低。▼安倍元総理の国葬実施については評価する36%(ー13)、評価しない50%(+12)と評価するが急落。
UIチャンネル 東アジア共同体研究所
時事放談(2022年8月) 鳩山友紀夫×孫崎享 1:13:45
「本日午後6時半より、岩上安身による元・統一教会信者、『となりのカルト』著者 榊あまね氏インタビュー第2弾を、冒頭のみオープン、その後は会員限定で生配信します!」
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