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2022年7月18日 (月)

ウクライナの戦争に関する三人の明快な言葉

2022年7月12日
ケイトリン・ジョンストン

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ノーム・チョムスキー、ジョン・ピルジャーとクリス・ヘッジズは、ウクライナでの戦争について、しばしば紛らわしく、常に論争的なこの問題に、彼らの学識で大いに必要な明快さをもたらすのに役立つ発言をしている。以下がそうだ。

 「私は主流メデイアで働いて人生を過ごし、おそらく7回、8回か9回、武力戦争を報道した。全くの熱狂的愛国心、巧みに操作された熱狂的愛国心だらけの報道を見たことがない。」
~ジョン・ピルジャー

 この発言は、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(南華早報)による著名オーストラリア人ジャーナリストとの最近のインタビューのもので、今我々が状況を理解しようとして苦闘している情報生態系について、実に多くを物語っている。

 侵略の最も初期の日々以来、今までに見たことがあるあらゆることと違い、欧米世界がプロパガンダ大洪水で破壊されていたのは明確だった。紛争最初の一ヶ月、アメリカTV局は、ウクライナの戦争を、アメリカがイラクやベトナムを含め直接関係した他のいかなる戦争より多く報じた。主流報道機関による紛争分析のため最初にかり出された評論家の一部は、イラク戦争を設計した当の連中で、ロシアに対する狂気のエスカレーションの主張が、許容される議論を、外交的解決への支持から遠ざけ、戦争挑発過激派の方向へとオーバートンの窓を押しやるのに成功した。

 そして、ロシアゲートとして知られる長年の大規模心理作戦の結果、ロシア・ヒステリーで、道が既にならされていたので、これが全て大多数の人々の意識に易々と流し込まれた。クレムリンが、アメリカ政府最高レベルに潜入しているという陰謀理論と、ウクライナ侵略は表向き何の関係もないにもかかわらず、長年のアメリカの最も危険な対立には、長年メディアが作り出したロシアに関するパニックが先行していた。もう、どうでもいい。偶然の一致だ。

 「アメリカの談話で、この侵略を「いわれのないウクライナ侵略」と呼ぶことが、ほとんど義務的なのは非常に興味深い」。Google検索すれば、何十万もヒットする。もちろん、それは挑発されたのだ。さもなければ彼らは常に、それを、いわれのない侵略だとは呼ばないはずだ。」
ノーム・チョムスキー

 ラムジー・バロウドとの先月のインタビューからのこの言葉は、自明で本当で、より頻繁に指摘されるべきだ。

 認知される方法を操作するつもりがなければ、繰り返し何度も根拠のない形容詞や修飾語を連中が加えるはずはない。もし皆様の隣人が、常に妻を「私が確実に決して打擲していない妻」と呼んだら、普通の人々の普通の話題の話し方ではないから、皆様はすぐ怪しく思うはずだ。我々は「丸い地球」やら「本当に起きたホロコースト」とは言わず、それらの基本的性質は深刻に論争されておらず、我々は、それに関する人々の理解を操作したり、わかりにくしたりするため何もせず、単に、その言葉だけ言っている。

 政治/メディア支配層が、絶えず何度も、「いわれのない侵略」という言葉を繰り返すのは、それ自身彼らが偽りのない真実を話していないのを知っている自白だ。この典型的なTweetの帝国版プロパガンダだ。

 

 アメリカ/NATO権力構造が紛争前に行った多く挑発をチョムスキーは説明しているが、それは多くの欧米評論家が長年警告していた、帝国が既に行っていた挑発行動の結果おきたのだ。この侵略は、多少の外交と、ミンスク合意を尊重し、ウクライナに中立の保証を提供するなど、若干の低コスト、高報酬の譲歩で、容易に防ぐことができたはずだが、彼らはそうではなく、挑発とエスカレーションを選択した。これに、侵略前、キーウによるドンバスへの急激に増加した砲撃を加えて頂ければ、なぜ「いわれのない」説を推進すべく、帝国スピン・ドクターがそれほど懸命に働いているか皆様はご理解されるはずだ。

 ロシアは、この戦争で責を問われないと言っているわけではない。もし私が誰かを殴るよう誰かを挑発すれば、彼らは殴ったことに道徳的責任があるが、私もそれを引き起こしたことに責任がある。ロシアはその行動に対して責任があり、アメリカ/NATO/ウクライナ支配層はその行動に対して責任がある。プーチンは侵攻したことに責任があり、欧米帝国はその侵略を引き起こしたことに責任がある。複雑ではない。

 同じインタビューでチョムスキーは、この戦争に関して「アメリカでの検閲は私の人生におけるあらゆるものを越えるレベルに達した」とも言っている。その評価に加えて、今までに見たことがあるどれとも異なる戦争プロパガンダというピルジャー証言は、帝国の物語支配が、史上最高であることを示しており、帝国が今後数年内に導入したいと望んでいる、いくつかの主要な思惑を持っていなければ、これは起きていないはずだ。

「キューバミサイル危機を含め、これまで我々は核戦争危機にこれほど近づいたことはない。」
 クリス・ヘッジズ

 

 スティーヴン・コーエンが人生末期に言っていた緊急警報に共鳴して、ヘッジズの新記事は、モスクワに対し絶えずエスカレートする代理戦争で、帝国が核保有超大国としている非常に危険なゲームを説明している。

 この戦争に対する人々の理解を操作すべく、どれほどの取り組みがなされているかに関するピルガーとチョムスキーによる観察は、今ロシアに対し、次に中国に対し、帝国が展開しようとしている狙いが、世界を貧困と飢餓に陥らせるのみならず、我々を地表から消し去ることを狙っているのを皆様が悟ってこそ意味をなす。

 状況はこのようでなくてよいはずなのだ。世界最強力な政府が世界支配を確実に維持しようとして地球上の全員の命を危険にさらすのが必要な正当な理由などない。全ての国と民族が仲良くし、共通の利益のために協力することは可能なのだ。起きる必要があるのは、完全覇権という、これら思惑の放棄だ。

 不幸にして、帝国運営者連中は、近いうちに世界征服という連中の狙いを断念する計画を持っているように思われず、この世界の我々普通の人々は、我々の生存そのもののために、いつかの時点で、彼らに対決を迫らなければならないことになるかもしれない。

 生きて行くには大変な時だが、それは状況を興味深くし続けている。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2022/07/12/three-illuminating-quotes-about-the-war-in-ukraine/

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 日本の知識人には、彼らのような発言をしている人々は一体何人いるのだろう。おられても、もちろん、テレビという大本営広報端末には登場されない。

 統一教会の浸透度は驚くべきもの。案の定、野党を装う与党連中にも浸透。某一家のよからぬ行動を批判するアルカリ党員youtube、案の定、当選した人物と統一教会の問題には全く触れず、明治天皇やしゃご非難を続けている。自分の頭のハエは追えない。

 デモクラシータイムス 残念ながら今回落選した有田氏の下記映像は必見。1時間21分

肌感覚で知る永田町の統一教会 有田芳生さん 【The Burning Issues vol.23

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「片山さつき議員、安倍元総理銃撃での奈良県警の情報の出し方で、後輩の警察庁長官に『国益を損なうことがあってはならない』と『要請』!」

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コメント

 この記事に、全面的に賛成します。
 世界の現実は、この記事で述べられているとおりで、日本のマスコミの偏向報道は、全く酷いものです。

 寺島先生が、「ウクライナ問題の正体」(1、2)を、出版されたのを知りまして、早速、購入しました。
 アマゾンで、予約販売されていました。

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